愛してない訳ない

そう思っているのは私の方だよ。

ねぇ、何で貴方は私をこんなに助けてくれて、愛してくれるの？

私が貴方にあげられるものなんて何ひとつないのに。

ベッドの上で優しく私を確かめる彼の手や唇に心の中まで触れられて、余計な事は考えるなと言われてるみたいに、ただただ快楽と幸福が続く。

「ゆり…」

名前を呼ぶ低くて甘い声、私を映す青い瞳…

人を好きにならないようにするのは苦しかった。
でも好きになっても、愛されても苦しいなんて知らなかった。

胸が押し潰されそうになるこの想いが、このまま終わりませんように。私は悟さんの事が好きで好きで、今この時だって夢みたいに幸せだから。

「愛してる…」

溢れ出した想いが口をついて出てくる。

彼の薄く綺麗な唇が重なって、何も考えられなくなって、私を満たす。


「ゆり、愛してる。めちゃくちゃにしてしまいそうだ…」



もうこれ以上愛し合えないほど濃厚な時を過ごした後も、夢は覚めなかった。

「一緒に暮らさない？」

仕事に行く用意をしていた悟さんの突然の提案に反応できずにいると、彼が話を続ける。

「いずれ一人暮らしするつもりでしょ？高専にずっといたらsexしにくいし♡ね？僕の家広いからすぐにでも来れるよ。って…ゆり？泣いてる？」

アイマスクをしていても私が泣いてるって何で分かるんだろう？

口元しか見えない彼の顔が楽しそうに笑っている。でも全然涙が止まらなくて次第に困らせてしまった。