ゆりと連絡が取れなくなって一週間。
僕が仕事で３日ほど留守にしていた時に出掛けた彼女が帰ってないと伊地知から連絡がきて、急いで帰ってきた。

居場所はすぐに特定できたけど、問題はそこじゃない。
彼女は自分で出て行ったらしいし、無理矢理連れて行かれたわけじゃないんだろう。

連絡したくても出来ない状況にあるのかもしれないが、何で何も言わずに居なくなるんだよ。悪い事ばかりが頭をよぎる。病気が再発したのか、それとも縁を切りたいのか。

せっかく自由になったんだから、そうだよな。

「手伝おうか？彼女は君の残穢を纏ってるから探すのは簡単だよ」
肩に乗せた烏を撫でながら冥さんはいくら儲かるか考えている顔だ。

「居場所は分かってるんだけどねー。無理矢理連れ戻しても意味ないから。」

「あの事は言ってなかったのかい？」
「寿命のこと？必要ないでしょ」

冥さんの連れてきた魔術師に払った対価は金と僕の寿命10年分。安いもんだと思った。
もちろん冥さんへの仲介手数料も発生している。

「返せるわけでもないからね。それにしても対価に寿命を要求してくるとは…魔女が長生きするわけだ。逆らえないな。」

冥さんの話を聞きながら、あと10年分の寿命を払ってでも彼女に僕の側にいて、僕としかsexできない体にする魔法をかけたいと思っていた。

「それだけ寿命よりも叶えたい願いがあるって事なんじゃないの？」

「まぁ実際五条くんでさえそうなんだ。普通の人間なら尚更だろうね。」

普通の人間ね。
彼女も僕を天使だと思ったって言ってたなぁ。

冥さんと別れてから、伊地知に渡された彼女からの手紙を開いてみた。

…

「ははっ、どんだけ惚れてんだよ」


それは僕の方か。

とても人には聞かせられない泣きそうな声で心の内が言葉になっていた。

「ゆり…戻ってきてよ。寿命でもなんでもあげるから、側にいて」



その時、電話が鳴った。