最初見た時もそうだったな。なんか彼女は呪力ではないけど、普通と違うものを纏っているように見えた。
一目惚れしたから、ただのひいき目だと思ってた。好きな人は遠くからでもすぐ見つけられるみたいなアレ。

駅前には他にも待ち合わせらしき人が何人かいて、初めて私服姿で会うから間違えないか正直ちょっと不安だった。
案の定オフの彼女は一段と化けていて、その纏ってるものがなかったら自信を持って近寄れなかった。
いや、駆け寄ってきた彼女が黙ったままだったから、本当に間違えたかと思った。

「ゆり？」初めて触れた彼女の手。もう一生握ってたい。頬擦りしたい。この感触だけで今夜は…（自重）

車に乗ってもよそよそしいゆり。可愛い。2人きりだったらきっと暴走してる。
「緊張してる？あ、彼は後輩の伊地知くん！」
「はじめまして。伊地知です。私の事は気にしないで下さいね。」
うんうん。
「こんにちは、ゆりです。迎えに来てくださってありがとうございます。」

「じゃ、言ってた店まで頼むよ」

予約してる店は高専の近く。1時間ほどのドライブ。最初に口を開いたのは彼女の方だった。

「あの、悟さんは何されてる方なんですか？」
そう言えば僕の話はした事なかったような…。
「僕、教師なの」

そう言った時の彼女の顔、何言ってんの？って書いてあってちょっと凹んだよね。
伊地知もルームミラーでちら見したのか吹き出して、すぐ謝ってきた。
「ほ、本当に？」
「ホント、ホント。ちょっと特殊な学校でね。」

「あ、あー！専門学校とか？！」
なんだかとても納得したみたい。
「そんな感じ。嬉しいね、ゆりが僕の事きいてくるなんて」

一般人のゆりに全ては話せない。でももっと深くお互いに入り込みたくて、話は尽きなかった。