第一章
夢小説設定
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突然降ってきた雨に足止めをくらう人。
カバンを頭に抱えて足早に建物に入って行く人。
逆に荷物を濡らすまいと胸に抱えて身を屈めて道を急ぐ人。
その人はそのどれでもなく、晴天時と変わらない足取りで店に入って来た。その手に傘は無く、濡れた服を気にする様子もない。
「いらっしゃいませ。よろしければお使い下さい。」とそのお客様にタオルを差し出す。
幹線道路沿いのこの和菓子屋からは行き交う人がよく見える。彼が目に入ったのは雨の中周りと違う足取りの為ともう一つ。長身で白髪にサングラス…と天候とは関係なく目立つ出立ちのせい。
少し怖気付いてしまいそうな見た目だがお客様に変わりないので、タオルを受け取ってくれた彼を笑顔で見上げる。
違和感がある。ゆっくり歩いて来ていたのに、白い髪はサラサラと空気を含んでいて、全く濡れていない。よく見ると服も…?
私の視線に気付いてか、ショーケースを見ていた彼がパッと首を振って私と目が合う。正確にはサングラスの奥は全く見えないので、こちらを向いただけなのにドキッとしてちょっと体が浮いたかと思った。
「イチゴ大福とみたらし団子頂戴。10コずつね」
注文か…びっくりした…
「かしこまりました。」
全然湿っていないタオルと引き換えに商品を受け取ると、彼はまた雨の中に躊躇いもなく出て行こうとする。
「よければこれ使って下さい。お返しは不要ですので。」
「ありがとう、またくるよ。」
曇天の中でそこだけ晴れている青空のような瞳が見えた。
きっと彼の上はいつも晴れているんだ。
傘をさすと物珍しそうに眺めて、帰っていく不思議な彼を見送りながら、人間じゃないのかもしれないと思った。
カバンを頭に抱えて足早に建物に入って行く人。
逆に荷物を濡らすまいと胸に抱えて身を屈めて道を急ぐ人。
その人はそのどれでもなく、晴天時と変わらない足取りで店に入って来た。その手に傘は無く、濡れた服を気にする様子もない。
「いらっしゃいませ。よろしければお使い下さい。」とそのお客様にタオルを差し出す。
幹線道路沿いのこの和菓子屋からは行き交う人がよく見える。彼が目に入ったのは雨の中周りと違う足取りの為ともう一つ。長身で白髪にサングラス…と天候とは関係なく目立つ出立ちのせい。
少し怖気付いてしまいそうな見た目だがお客様に変わりないので、タオルを受け取ってくれた彼を笑顔で見上げる。
違和感がある。ゆっくり歩いて来ていたのに、白い髪はサラサラと空気を含んでいて、全く濡れていない。よく見ると服も…?
私の視線に気付いてか、ショーケースを見ていた彼がパッと首を振って私と目が合う。正確にはサングラスの奥は全く見えないので、こちらを向いただけなのにドキッとしてちょっと体が浮いたかと思った。
「イチゴ大福とみたらし団子頂戴。10コずつね」
注文か…びっくりした…
「かしこまりました。」
全然湿っていないタオルと引き換えに商品を受け取ると、彼はまた雨の中に躊躇いもなく出て行こうとする。
「よければこれ使って下さい。お返しは不要ですので。」
「ありがとう、またくるよ。」
曇天の中でそこだけ晴れている青空のような瞳が見えた。
きっと彼の上はいつも晴れているんだ。
傘をさすと物珍しそうに眺めて、帰っていく不思議な彼を見送りながら、人間じゃないのかもしれないと思った。
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