もう一度キスしてくれたら
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五条に掴まれた腕を振り解けない。
「あれは、もう大丈夫だから…」
「昼に話したあの事かな?」夏油が察して割って入ってくる。
「あの後偶然会ったから話したんだよ。謝ってくれたし、もう大丈夫。せっかく気使ってくれたのにごめん」
五条が手を離してくれて、ホッとする。
でも脅す様な五条の声がまた私を動けなくする。
「2人で?」
私が萎縮して黙っていると、夏油が助け舟を出してくれた。
「悟が気にする事じゃないだろう?」
「俺とキスした後に傑と会ったのか?」
何でそんな事言うの?と口にしたつもりだったけど、声が出てたか分からない。裏切られた様な寂しさと、苛立ちと、夏油に知られたくなかった気持ちとか、色々ごちゃごちゃになって、泣いてしまいそう。
2人の顔が見れなくてベッドに座って俯く。
その私の態度が五条の言葉がハッタリじゃない事を証明してしまっている。
「……あの時ゆりは泣いてた。無理矢理したのか?」
「お前みたいな事しねーよ。同意の上だよ。」
「ゆり、本当…?」
夏油に優しい声で聞かれて、俯いていた頭を少し縦に動かす。
「でも彼女じゃねーから、別に傑と会ってたって文句いわねーよ」
何がしたいの?
思わず顔を上げて五条に目で訴える。
「ゆりは悟が好きなわけではないんだね。じゃあ私もまだ諦める事はなさそうだ…」
私に触れようとした夏油の手を五条が制止する。
「また襲うつもりか?」
「もうそんな事はしないよ。ゆりは悟の物じゃないんだろ?」
「そうだな」
五条が私の体をベッドに押し倒す。
でも押さえつけられてる訳じゃない。
真っ直ぐ私を見下ろしている、いつもと違って真剣な顔の五条から目が離せなかった。
「ゆり、俺の物になれよ。嫌なら抵抗して。」
強気な言葉とは裏腹に、切なそうに笑って、消えそうな声で私に選択を迫る。
抵抗できない。でも…
「分からない…」
いっそのこと選択肢なんて無い方がどれだけ楽か…
堪えていた涙が溢れてくる。見られたくなくて
手で覆った顔を背ける。
「キスした時もそんなやり方でしたのか?」
夏油はそう言って五条を退かせて、私を起こして自分の胸に抱き寄せる。
「ちが…う…の、好きとか…わから…ないけど、私がいい…と思ったの…」
「ゆり」
名前を呼ばれて思わず顔を上げてしまった。
夏油の胸の中で五条の事を擁護した私が無神経だったんだ。
目を閉じる間もなく唇を奪われてしまった。