第6章
紅い鴉の夢主の名前
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悧塢がボンゴレに来てから二週間が経った頃。屋敷の中の雰囲気に少しだけ変化があった。
「あ、もしもし? そっちはどう?」
厨房から自室へ移動する際にどこかの部屋から聞こえたのは綱吉が携帯で誰かと仲良さげに会話する声。内容から察するに相手は恐らく女性。己には関係のないこと。更に言えば依頼主の私情に立ち入るわけにはいかない。そんな事は重々承知している筈なのだが。
「はは、俺は大丈夫だよ。お前だって知ってるだろ? ……うん、じゃあ頑張って」
電話越しの相手に向ける綱吉の声音に、悧塢はどうにも落ち着かない心地に見舞われていた。
「……胸焼けでもしたのかな……」
思わず呟いた言葉は誰にも拾われる事はなかったが、それでも居た堪れなくなって自室に向かう足は早かった。
悧塢は自室で自分の腕に黒い炎を近付ける。だが〝何も起きなかった〟。本来ならば黒い炎にあてられたものは消滅してしまう筈。それが炎の属性だからだ。けれど、悧塢には何故かそれが通用しないのだ。悧塢自身理由は解っていない。
「……ハァ」
そんな物思いに耽ってため息を吐くとドアがノックされて訪ねてきた波動を無意識に探っていた。訪ねてくる相手など殆どの決まっているけれども。
「悧塢、いる?」
「……何でしょうか、ボス」
「ちょっといい?」
「?」
言われるままにドアを開けて部屋の外に立っていた綱吉を中へ招くがやんわりと断られる。
「どうしたんですか?」
「今日の夜まででいいからさ、部屋に居てほしいんだ。何か用があるなら俺に連絡くれればいいから」
「……お客様ですか?」
「ちょっと違うよ。あとで呼びに来るから待ってて」
「……判りました、ごゆっくり」
そして悧塢は離れていく綱吉の波動を見送ると扉を閉めてベッドに沈んだ。
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