第34章
紅い鴉の夢主の名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
深夜零時を回って静かになった食堂の中、翌朝から長期任務の山本とクロームは先に部屋に戻り、了平は寝落ちてしまった珱を部屋まで連れていった。後片付けは獄寺がやると言って譲らないので悧塢は申し訳なく思いながらも彼に任せてくまのぬいぐるみを抱えながら自室へ向かい、抱えきれなかった他のプレゼントたちは共に部屋へ向かってくれている綱吉の腕の中だ。
「……あの」
「ん?」
「今日はありがとうございました」
「いいよ、礼なんか言わなくて。当たり前のことしただけなんだから」
「……やっぱり皆さん優しいですね」
「そうか?」
「はい……きっと立場的に仕方ないことなんでしょうけど……」
「俺達は立場なんか関係なく悧塢のこと大好きだからな。これからはこういう生活に慣れていけよ?」
「……はい」
素直に頷き微笑んだ悧塢を見て綱吉は少しずつだが慣れてきている彼女の様子に笑みを浮かべた。ボンゴレに来た当初ならば頷くことも笑うこともしなかっただろう。そう考えれば“人と関わっていくこと”に対して進歩したのだなと嬉しく思いながら悧塢の部屋の扉に手をかける。部屋の奥へと進んでテーブルの上にプレゼントたちを置けばくまのぬいぐるみを抱き締める悧塢からの瞳に見つめられており綱吉はどうしたのかと問うように微笑んだ。
「……あの、綱吉さん」
「ん?」
「……なんで分かったんですか? 私の好きなもの……」
「悧塢を見てれば分かるよ。この前街でガラス越しに見てただろ?」
「……すごいです」
判って当然といった態度に悧塢が嬉しさと憂いが混じったような顔つきになり燻る感情を感じ取った綱吉が彼女の目の前まで歩み寄った。
「……なんかあった?」
「いえ、ただ……龍兄は私がぬいぐるみ好きなの分からなかったから……」
「そりゃ、悧塢はこれからも一緒に暮らす家族なんだ。心の底から喜んでほしいんだよ」
「!」
「好きなものは好きって言っていいんだ。もう我慢するなよ?」
「……えへへ」
「なんだよ」
「嬉しいだけです」
「そっか」
伝えられた言葉に驚くがそれは一瞬だけで、すぐに憂いが消えて素直に微笑んだ悧塢につられて綱吉も微笑む。それも彼女が放った次の一言によって驚愕一色に染められることになった。
「……あの、今夜も一緒に寝ていいですか?」
「ぶっ!!??」
「……龍兄への対策でもありますけど、今日は誰かと寝たいんです」
「(頼むからその表現止めてくれ!!!)」
「子供っぽいのは分かってますし、ダメならいいんですけど……今はくまさんいますし……」
「…………それ持って俺の部屋においで。くまも一緒に寝よう」
「! ありがとうございます! 準備したら行きますねっ」
綱吉の返答に嬉しそうに室内を小走りし準備する悧塢を見てから自室へ戻った綱吉は部屋に入った瞬間手のひらで顔を押さえた。
「あー可愛すぎる……俺の理性どこまで持つかな……」
十数分後、控えめなノックの音の後に待ち焦がれた声が扉越しに綱吉の耳に届いた。
「綱吉さん、入って大丈夫ですか?」
「ああ、いいよ」
扉を開けてやると先ほどクロームに貰ったであろうふわふわしたパジャマを着た悧塢がくまのぬいぐるみを抱えて立っており綱吉の動きが一瞬鈍る。その上僅かに髪の毛が湿っていて、急いで準備したため乾ききらなかったのかと推測できてしまい可愛さで目眩を覚えた。
「(しっかりしろ俺の理性……!)」
「……綱吉さん?」
「ああ、ごめん。じゃあ寝よっか」
「はいっ」
嬉しそうに後ろを歩く悧塢を子ガモのようで可愛いと気を逸らす綱吉は何とか理性を保っていたのだが、それを知る由もない悧塢から更なる追い打ちが紡がれた。
「私綱吉さんに雇ってもらえて良かったです……出来ればもっと早く会いたかった……」
「…………悧塢……今それ言っちゃう?」
「え?」
「襲うよ?」
「返り討ちにします」
「本気の俺に勝てるとでも?」
「…………」
言い返す言葉が無かったのか頬を膨らませて視線を逸らした悧塢の行動が可愛すぎると堪えきれなかった綱吉がくまのぬいぐるみを挟んだ形で正面から抱き着いた。
「悧塢可愛い」
「……何言ってるんですか……」
「悧塢の全部が可愛すぎてやばい」
「……意味が分かりません」
「でもちょっと嬉しそう」
「……」
「あれ、図星?」
「…………です」
「!」
まさか肯定されるとは思わず腕の中にいた悧塢を見下ろすと抱いていたくまのぬいぐるみに顔を埋めていて、綱吉は気付かれないように彼女の髪の毛に口付けを落とした。
「(これくらいは許してくれな)可愛い……」
「……もう寝ましょうよ」
「そうだな」
照れながらも提言した悧塢に微笑み返してベッドへエスコートした綱吉は、隣に寝そべるなり穏やかな表情で夢の世界へ旅立つ様子に気を許してくれているのが伝わって幸せを噛み締めながら眠りについた。
翌朝、綱吉の部屋で起きた悧塢は目の前に綺麗な顔のどアップをみつけて一瞬硬直するが、綱吉だと判ると肩の力を抜いて自分の状況を確認する。くまのぬいぐるみを抱き締めた自身を綱吉が抱き締めているのだと判るなり時計に視線をやった。
「(時間……まだ早い……寝よう……)」
「……悧塢、朝からそれは刺激強い……」
「ぇ……起きてたんですか……というか何のことですか?」
「……俺だって判って二度寝で擦り寄ってくるって……」
「……別にそんなんじゃ……」
「……可愛いからくま退かしていい?」
「ダメです」
綱吉の発言に抱き締めていたくまのぬいぐるみに顔を埋める。そんな悧塢の行動に微笑みを浮かべながら綱吉がベッドから上半身を起こした。
「綱吉さん?」
「今朝から武とクロームが任務なんだ。そろそろ行く頃だから任務内容確認してくるよ」
「なら私も行きます」
「ん、さんきゅ」
悧塢は一度自室に戻り失礼にならない程度の服装に着替えて部屋の前で待機し、すぐに出てきた綱吉と共に執務室へ向かった。
→
1/4ページ