断章Ⅲ
紅い鴉の夢主の名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
イタリアのとある建物のとある部屋。そこには龍羽と彼より少し歳上の女が佇んでいた。
「はぁ……誤算だったなぁ……」
「何が?」
「悧塢がボンゴレに懐いた」
「……へぇ……、じゃあもう諦めたら?」
「諦めるわけないじゃん、バカだなぁ」
「……」
龍羽の言葉に、正確には“悧塢”という名前に女は眉間に皺を寄せる。悧塢を拾ってきた龍羽は子育ての助言がほしいと知り合いの女を訪ねた。女のほうは龍羽に懸想しており悧塢に対していい感情を抱いてはいなかったが。
「それにまだ迷ってる段階だから余裕だし」
「…………もう少しトラウマ植え付けたほうがよかったかしら」
「……は?」
女が聞こえないだろうと小声で呟いた言葉に、龍羽の雰囲気が穏やかなものから鋭いものへと変わった。だが、まだ顔に笑みは貼り付いている。
「今、何つった?」
「……別に」
「トラウマ植え付けた? 誰が? 誰に?」
「……っ」
「なぁ…………悧塢が出ていったことと関係あんの?」
一歩一歩距離を詰められて壁と龍羽に挟まれた女は冷や汗を流しながらも彼を見つめて声を張った。
「……知らないわよ、いつの間にか居なくなってたんだから」
「……」
「これで龍羽は私だけのものになったと思ったのに……結局あの子を探してばっかりだし……私のほうがずっと龍と長くいたのに……なんで……なんで私を見てくれないのよ!」
「俺にとってあんたはただの近所のネェサンだよ、悧塢の足元にも及ばない」
「っ」
「そんなあんたが……俺から悧塢を遠ざけた? はっ、ヘドが出るな」
「ぇ……?」
女の主張を嘲笑うような言葉を投げ掛け鋭利な刃を女の首筋に宛がう。龍羽の顔に笑みは、ない。
「悧塢に何て言った」
「……」
「悧塢に何て言って追い出した!!?」
「……あんたを大事にするヤツなんているわけない。そんな血の色した瞳の子供なんて気持ち悪いだけだって……」
「……に……」
「だって本当のことでしょう!? あんな子に寄生されてる龍羽を私が解放してあげたのよ! それなのにどうして、」
「お前に生きる価値はない」
そう言い終えたのと同時に、女の首が赤と一緒に飛んだ。龍羽の体にも女の赤が飛び散っていく。
「そっか……だから怯えてたのか……早く慰めに行かなくちゃだなぁ……」
楽しそうに笑う龍羽の顔は、端から見れば優しげだろう。だが、血を纏いながら笑う姿は狂気さえ感じるほど恐ろしい。
「さぁて……まずは誰から消そうかなぁ……」
恍惚とした表情で対峙した時の悧塢を思い浮かべる龍羽は彼女が自分の手をとるには障害として立ちはだかった綱吉たちが邪魔なのだとサバイバルナイフを天へと掲げて赤ぎ滴る刃先に自身を映した。
「俺と君の世界に、他はいらないよね?」
龍羽の計画が動き出す。
1/1ページ