第19章
紅い鴉の夢主の名前
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まだ朝日が昇る前の薄暗い屋敷内を歩く影が二つ。それは対談に行く綱吉と獄寺の影で。
「隼人、まだ時間大丈夫だよな?」
「はい。対談の予定時刻は八時ですから」
「あぁぁ行きたくねぇ…」
「……よろしかったんですか? 悧塢を同伴させなくて」
隼人の言葉に通り過ぎた彼女の部屋を振り返るが起きている気配はない。
「……今はまだ、悧塢を連れていくのは不味い。多分あいつのことを聞きたくて集まる奴らばかりだからな」
「そうですか」
綱吉の答えに安心したのか小さく息を吐いて車へ向かう獄寺は、長時間離れることになるが彼女が隣に居なくて平気なのか問いたいのだろう。
「大丈夫、昨日その事は話したから。心配しなくてもきっちり話はつけてくるよ」
「はい」
いつも通りの時間に起きて綱吉を起こしに行こうとした悧塢はふと立ち止まって周りを見回す。
「(あれ、屋敷内に橙色がない……。会合かな……)……久しぶりだな、綱吉さんがいないなんて」
ボンゴレに来てからは毎朝綱吉を起こしてから食堂に向かうという流れで動いていた為、彼と会わない日は初めてだった。だからこそ感じる、違和感。
「……朝食、作らなきゃ……」
屋敷の中に獄寺の波動もないことに気が付いてすぐに食堂へ向かう。また空腹に耐えきれなくなった彼らが押し掛けてくる前に。
「あ、恭弥さん」
「……おはよ」
「おはようございます」
「……」
廊下の角を曲がるとちょうど食堂に向かう雲雀に出会し、すぐに目的地を目指して前に向き直る彼の隣に並んで歩幅を合わせる。
「恭弥さん、昨日の怪我大丈夫ですか?」
「……大した傷じゃないよ。君が心配するようなことじゃない」
「……ありがとうございます」
お礼を言うと少しだけ彼の表情が和らいだように見えて力を抜くと目の前に迫った食堂の扉を開ける。まだ誰も居ない食堂に入った雲雀はいつも座っている席へと腰を降ろした。
「……和食」
「はい」
ボソリと呟かれたリクエストに二つ返事をして厨房へ向かう。頭の隅では和食を作れる材料が冷蔵庫の中にあったかを確かめつつメニューを考えていた。
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