短編
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あー……。
通りで布団から出づらいと思った。
カーテンを開けると真っ白に雪化粧を施された街並が目にはいった。
スリッパで寒い廊下をパタパタと走ってリビングへ向かう。
ドアを開けると既に暖房がついていてあたたかかった。
あれ、つけっぱなしで寝た……?
「おはよう。」
「あ、おはよう。」
キッチンからマグカップを持って出てきたのは彼氏の涼介だった。
「昨日、遅かったみたいだったからまだ寝てると思ったよ。」
思ったことをそのまま口に出すと彼はフッと笑った。
なんつー絵になる人だ。
恋人の贔屓目なくてもイケメンだもんなぁ。
「せっかくの休みだし、凛と長く一緒に居たくてな。」
「……うん。」
彼は実家に住んでいるのだけれど、たまにこうやって合鍵ではいってくるのだ。
最初は涼介も危険だと渋っていた。
本来ならチェーンなりする所だろうけど……。
そう言われていたけれどチェーンをしない私に呆れたのかどうなのか何も言わなくなった。
そして、合鍵ではいってくるようになった。
まぁ、今日みたいに夜中に来るのは稀だけど。
どっかに遠征に行ったりするとその足で来たりする。
彼は走り屋だ。
私自身は走り屋でも無いただの車が好きな一般人だけれど。
彼が手がけてるプロジェクトDが忙しくてあまり一緒に居られない。
Dを優先したいから別れてくれと言われた時はすごく焦った。
優先してくれていい、私の事はDが終わるまで放っておいて大丈夫だと食い下がって今もまだ恋人同士でいられているわけなんだけど……。
テレビの前のソファーに座り、上半身をひねり後ろのキッチンの方へ顔を向ける。
「ねえ、無理してない?」
「無理?」
「うん。……Dが始まる時に別れ話したじゃない?私は涼介が大好きだから別れたくなかった。」
涼介は自分が飲もうとしていたのであろうマグカップにミルクを入れ私に渡し、またお湯を沸かすのにスイッチを入れた。
「ありがと。……私はDが終わるまで会えなかったとしても恋人だって繋がりが欲しくて食い下がった。その結果涼介は私とまだ一緒にいる。」
お湯がわき、カチッという音がする。
カップにお湯を注いでいる涼介を見ながら話を続けた。
「Dが始まるって聞いた時、終わるまでは会えないだろうって思ってた。Dがどれだけ涼介にとって大切なのかも、そして大変なのかも聞いてたから。なのに……結構頻繁に逢いに来てくれてる。」
入れ終えたコーヒーを持って、こちらへ来る涼介を見上げる。
ソファーをまわりこむ際に頭を撫でられた。
「無理はしていない。」
隣に座った涼介に体の向きをあわせる。
「凛と別れようとしておいて、こんな事を言うのもなんだが……。」
涼介はコーヒーをひと口飲んで、ローテーブルにカップを置く。
私もそれに倣ってカップを置いた。
「あの時は医者になる為の勉強とDの両立をしながら凛と一緒には居られないとそう思った。だから1度別れてDが終わって医者になってから迎えに行こうと思っていた。」
「うん、言ってたね。」
「……別れなくて正解だった、と最近は思っている。Dの事を考えるのは楽しいし、医者になる為の勉強も苦じゃない。だが、疲れて休憩をとる時にふと凛の事を考える。」
「私?」
それは邪魔してるのでは?
焦る気持ちが顔に出ていたのか涼介は笑いながら私の髪をさわる。
「邪魔なんて思ってない。凛の事を少し考えるだけでスっと気持ちがリセットされるんだ。……どんなことでも要領よくやれる自信はある。だが俺も人だからな……頭を使えば疲れる。」
聞いたのは私だけど、涼介が自分の事を話してくれるのは本当に珍しい。
なんだか嬉しくなって涼介の頬を撫でる。
「……つまり、凛の事を考えたり会いに来ると気持ちが軽くなるから別れなくてよかったって事だ。」
撫でていた手を取られて涼介に引き寄せられた。
急に引っ張られ、体勢を崩して涼介の胸に飛び込むと抱きとめられた。
嬉しくなってそのまま胸に擦り寄るとフッと笑ってさっきより強く抱きしめられた。
はー、幸せだ。
涼介がそんな事を思っていたなんて考えもしなかった。
ただただ重荷にならないように過ごしていたのだから。
こっちからは邪魔にならないように連絡しなかったし会いにもいっていない。
それも功を奏してるとは思うけど。
たまにはわがままも許されるかしら?
体を起こそうと涼介の胸に手を当てて力を入れるが、抱きしめる力を弱めてくれず起き上がれなかった。
珍しい、本当に。
結構クールでドライなのに。
「……ねぇ、今日は休みにしたんでしょ?ちょっと寝てさ、赤城山いかない?」
「赤城山へ?」
「そう、雪降ってるからきっと綺麗だと思うんだよね。私は雪道怖いから申し訳ないけど涼介に運転させる事になるんだけど……。」
「かまわない、今からでも問題ないが。」
「あまり寝てないんだからまずはお休みします!」
少し笑うと涼介は抱きしめていた腕を解いて暖房を消した。
「ん、なんで消すの。」
「もちろん一緒に寝てくれるんだろ?」
「!」
立ち上がると私の手を引いて立たせ、涼介の為の仮眠部屋へ手を引いて歩いていく。
確かに涼介がちゃんと休めるようにセミダブルにしてあるけど……。
暖房を入れ、涼介は布団に入る。
私は起きたばかりだし寝るつもりは無かったのでどうしようかと立っていると声がかかった。
「おいで。」
なんというか嬉しいような恥ずかしいような気持ちで布団に入るとそのまま抱きしめられる。
抱き枕……?
位置が落ち着くと一瞬にして寝てしまった涼介に、相変わらずの○太くんだ!とか思いながら私も抱きついた。
今日はどのくらい積もるだろうか。
滅多に積もらないから都心は大変だろうなとか、赤城山の雪景色綺麗かなとかそんなことを考えていると私も眠くなってきた。
おやすみ涼介、今日はゆっくりしようね。
そう思いながら意識を飛ばしていった。
通りで布団から出づらいと思った。
カーテンを開けると真っ白に雪化粧を施された街並が目にはいった。
スリッパで寒い廊下をパタパタと走ってリビングへ向かう。
ドアを開けると既に暖房がついていてあたたかかった。
あれ、つけっぱなしで寝た……?
「おはよう。」
「あ、おはよう。」
キッチンからマグカップを持って出てきたのは彼氏の涼介だった。
「昨日、遅かったみたいだったからまだ寝てると思ったよ。」
思ったことをそのまま口に出すと彼はフッと笑った。
なんつー絵になる人だ。
恋人の贔屓目なくてもイケメンだもんなぁ。
「せっかくの休みだし、凛と長く一緒に居たくてな。」
「……うん。」
彼は実家に住んでいるのだけれど、たまにこうやって合鍵ではいってくるのだ。
最初は涼介も危険だと渋っていた。
本来ならチェーンなりする所だろうけど……。
そう言われていたけれどチェーンをしない私に呆れたのかどうなのか何も言わなくなった。
そして、合鍵ではいってくるようになった。
まぁ、今日みたいに夜中に来るのは稀だけど。
どっかに遠征に行ったりするとその足で来たりする。
彼は走り屋だ。
私自身は走り屋でも無いただの車が好きな一般人だけれど。
彼が手がけてるプロジェクトDが忙しくてあまり一緒に居られない。
Dを優先したいから別れてくれと言われた時はすごく焦った。
優先してくれていい、私の事はDが終わるまで放っておいて大丈夫だと食い下がって今もまだ恋人同士でいられているわけなんだけど……。
テレビの前のソファーに座り、上半身をひねり後ろのキッチンの方へ顔を向ける。
「ねえ、無理してない?」
「無理?」
「うん。……Dが始まる時に別れ話したじゃない?私は涼介が大好きだから別れたくなかった。」
涼介は自分が飲もうとしていたのであろうマグカップにミルクを入れ私に渡し、またお湯を沸かすのにスイッチを入れた。
「ありがと。……私はDが終わるまで会えなかったとしても恋人だって繋がりが欲しくて食い下がった。その結果涼介は私とまだ一緒にいる。」
お湯がわき、カチッという音がする。
カップにお湯を注いでいる涼介を見ながら話を続けた。
「Dが始まるって聞いた時、終わるまでは会えないだろうって思ってた。Dがどれだけ涼介にとって大切なのかも、そして大変なのかも聞いてたから。なのに……結構頻繁に逢いに来てくれてる。」
入れ終えたコーヒーを持って、こちらへ来る涼介を見上げる。
ソファーをまわりこむ際に頭を撫でられた。
「無理はしていない。」
隣に座った涼介に体の向きをあわせる。
「凛と別れようとしておいて、こんな事を言うのもなんだが……。」
涼介はコーヒーをひと口飲んで、ローテーブルにカップを置く。
私もそれに倣ってカップを置いた。
「あの時は医者になる為の勉強とDの両立をしながら凛と一緒には居られないとそう思った。だから1度別れてDが終わって医者になってから迎えに行こうと思っていた。」
「うん、言ってたね。」
「……別れなくて正解だった、と最近は思っている。Dの事を考えるのは楽しいし、医者になる為の勉強も苦じゃない。だが、疲れて休憩をとる時にふと凛の事を考える。」
「私?」
それは邪魔してるのでは?
焦る気持ちが顔に出ていたのか涼介は笑いながら私の髪をさわる。
「邪魔なんて思ってない。凛の事を少し考えるだけでスっと気持ちがリセットされるんだ。……どんなことでも要領よくやれる自信はある。だが俺も人だからな……頭を使えば疲れる。」
聞いたのは私だけど、涼介が自分の事を話してくれるのは本当に珍しい。
なんだか嬉しくなって涼介の頬を撫でる。
「……つまり、凛の事を考えたり会いに来ると気持ちが軽くなるから別れなくてよかったって事だ。」
撫でていた手を取られて涼介に引き寄せられた。
急に引っ張られ、体勢を崩して涼介の胸に飛び込むと抱きとめられた。
嬉しくなってそのまま胸に擦り寄るとフッと笑ってさっきより強く抱きしめられた。
はー、幸せだ。
涼介がそんな事を思っていたなんて考えもしなかった。
ただただ重荷にならないように過ごしていたのだから。
こっちからは邪魔にならないように連絡しなかったし会いにもいっていない。
それも功を奏してるとは思うけど。
たまにはわがままも許されるかしら?
体を起こそうと涼介の胸に手を当てて力を入れるが、抱きしめる力を弱めてくれず起き上がれなかった。
珍しい、本当に。
結構クールでドライなのに。
「……ねぇ、今日は休みにしたんでしょ?ちょっと寝てさ、赤城山いかない?」
「赤城山へ?」
「そう、雪降ってるからきっと綺麗だと思うんだよね。私は雪道怖いから申し訳ないけど涼介に運転させる事になるんだけど……。」
「かまわない、今からでも問題ないが。」
「あまり寝てないんだからまずはお休みします!」
少し笑うと涼介は抱きしめていた腕を解いて暖房を消した。
「ん、なんで消すの。」
「もちろん一緒に寝てくれるんだろ?」
「!」
立ち上がると私の手を引いて立たせ、涼介の為の仮眠部屋へ手を引いて歩いていく。
確かに涼介がちゃんと休めるようにセミダブルにしてあるけど……。
暖房を入れ、涼介は布団に入る。
私は起きたばかりだし寝るつもりは無かったのでどうしようかと立っていると声がかかった。
「おいで。」
なんというか嬉しいような恥ずかしいような気持ちで布団に入るとそのまま抱きしめられる。
抱き枕……?
位置が落ち着くと一瞬にして寝てしまった涼介に、相変わらずの○太くんだ!とか思いながら私も抱きついた。
今日はどのくらい積もるだろうか。
滅多に積もらないから都心は大変だろうなとか、赤城山の雪景色綺麗かなとかそんなことを考えていると私も眠くなってきた。
おやすみ涼介、今日はゆっくりしようね。
そう思いながら意識を飛ばしていった。