暗黒武術会編
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周りは皆、恐ろしいものを見たというような目で蔵馬を見ている。
え、なに?
もう一度飛影を見ても目を合わせてはくれなかった。
戸惑いながらも立ち上がり、静流さんがあけてくれた蔵馬の隣に座る。
「み、みんな、どうかしたの……?」
ひとりひとりの顔を見るように見回すけれど、みんな何でもないと顔を横に振るだけだった。
余計に頭に疑問符が並んだところで蔵馬を見るが涼しい顔をしてコールと言い放った。
トランプを見てポーカーかと思っていたけど
そのうち私も参加して違うゲームをしたりしているうちにみんな飽き始めたのか、それぞれ違うことをしだした。
私はぼたんさんと螢子ちゃんに捕まっていた。
周りを見回すと雪菜ちゃんと桑原くんは2人で話していて、飛影は相変わらずひとりで外を眺めていた。
蔵馬はすっかり出来上がった温子さんと静流さんに捕まっているようだ。
「凛さんとゆっくり話すのは初めてですね。」
「そういえばそっか、ゆっくり螢子ちゃんとお話しすることもなかったもんね。」
あの時より少し大人びたような感じがする。
たった半年だけれど、なんとなく。
何も知らないで巻き込まれていた時とは、もう違うからなんだろうか。
「で、凛さん!蔵馬さんとは付き合ってるんですか?」
ぼけーっとまた自分の世界に入っていると興奮気味に螢子ちゃんが小声で聞いてくる。
さっきから何かソワソワしていたのはそれを聞きたかったから?
「……えーっと?」
「そうそうそれそれ!あたしもさっきから気になっててさぁ。」
ぼたんさんと螢子ちゃんは目を輝かせながら前のめりになって興味津々といったところだ。
付き合ってるってどこをどう見てそうなったんだろう。
仲はいいと思うけど。
最近スキンシップが増えたから……?
思い当たる節はある。
いやでも、みんなの目があるような場所ではしてないような気もするんだけど。
と思ったけど前の試合のときとかそう見えても仕方ないこと、ちょっとしてた……?
っていうか小声で話しても本人に聞こえてるんだよねこの会話。
「何の勘違いをしているのかわからないけれど、付き合ってないよ。」
「えぇ!?」
「ちょっと、ぼたんさん声が大きい!」
ごめんごめんと笑いながらも2人して嘘だぁという表情で見つめてくる。
蔵馬の事、ねぇ……。
横目で静流さん達につかまっている蔵馬を見る。
うーん……。
「蔵馬の近くにいてドキドキしたりすることないのかい?」
「ドキドキ……。あることにはあるけど恋とは違う気もするなぁ。」
「えー……。」
私の答えに螢子ちゃんががっかりする。
ぼたんさんは人差し指を顎に当てて何か考えている。
「あー!あれかもしれないねぇ。近すぎてわからないってやつ。」
「近すぎて、ですか?」
「あー近くても大丈夫な螢子ちゃん達には関係ないもんねぇ。」
「どーいういみですか!」
何やら2人で盛り上がってる。
近すぎてわからない……?
近すぎるもなにも家族みたいなものだし。
そう思ってもう一度蔵馬を見ると、酔っぱらった静流さんと温子さんに肩を組まれて困ったように笑っていた。
……ほんの少し気分が沈んだのはきっと気のせいだ。
ふとさっきまで言い争っていた2人に視線を戻すとニヤニヤ顔が2つ、私を見ていた。
「付き合ってないのなら蔵馬の片思いかと思ったけど、その様子だとそうでもないみたいだね?」
「ぼたんさん、私お2人を見守ることにします!!」
な、なに?
片思い?
よくわからない間に2人はガシっという効果音がつきそうなくらいの握手をしていた。
ふと時計を見るとそこそこな時間になっていた。
「そろそろ遅いし部屋に戻りますね。」
「送りますよ。」
立ち上がってみんなに声をかけると当たり前のように蔵馬も立ち上がる。
「頑張れ蔵馬君!!」
「おねーさん達は応援している!!」
完全に酔っぱらった静流さんと温子さんは大声で何か言っている。
応援?ここでもよくわからない話になっているな。
何?私が鈍いだけなの?
蔵馬に目をやると、蔵馬も困った顔をしていた。
……困った顔するなんてめずらしい、普段困っても顔になんて出ないのに。
みんなに見送られて廊下に出てから準決勝の相手の事を頭に思い浮かべる。
裏御伽チームか。
「優勝賞品……ねぇ。気に入られても困るんだけどな。」
エレベーターから降りて独り言をつぶやく。
「じゃぁくら、ま。」
部屋の前に着いて送ってくれたことに対して感謝を伝えようとノブに手をかけながら口を開くが、弱く反対側の手を引かれた。
驚いて振り返ると紅い髪が揺れて、おでこに何か当たった気がした。
「!?」
「絶対渡しませんから。」
「え、うん?」
「それじゃ、おやすみ。」
真剣な顔でそう言った後フッと笑い、私の頭をひと撫でしてエレベーターの方へ向かっていった。
蔵馬が見えなくなってもしばらく動けなかったのはしょうがないと思う。
何とか心を落ち着けて部屋に入ったのだけれど、蔵馬がどういう気持ちでああいう事をするのかだんだんわからなくなってきている。
さっき……おでこにキ、キスされたんだよね?
何が困るってそれが別に嫌じゃないっていうこの気持ち。
……蔵馬のこと好きなの?
でも螢子ちゃん達にも答えたように何か違う気もする。
はっ……!
わかった!
ペットにするスキンシップみたいな事?
文字通り猫可愛がり?みたいな?
そういう事?
そうじゃなかったら、蔵馬は私の事を?
……ありえないよね。
だって蔵馬はぼたんさんの事……。
あの顔を思い出してぐっと手に力が入った。
恋愛感情じゃないんだとしたら可愛がられてるって事で慣れないといけないんだろうけど。
うあー!と変な声を出しながら両手で頭を抱える。
余計に恥ずかしくなってきた!!
考えるの、やめよ。
シャワー浴びて全部流して寝よう!
明日は準決勝。
苦戦はしないと思うけれどここまで残った相手だ、油断はできない。
別に私が戦うわけではないんだけど。
決勝に近づくにつれ戸愚呂の存在が大きくなってくる。
あのクラスの奴らに浦飯チームが勝てるのかどうか。
お風呂に入るのに立ち上がり、ふとまた暗い外を眺める。
凄くザワザワする。
明日、一体何が起こるんだろう。
胸騒ぎを感じながら明日に備えるべく寝る準備を進めていった。
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