暗黒武術会編
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呂屠戦が終わり飛影に交代したところで観客席を何気なく見ると、その先には行方不明だった凛が男に抱えられていた。
驚いて目を見開くと目が合って彼女はふわりと笑い、お疲れ様と唇が動いた。
直後ぐったりしながら目を閉じ、どこかへ運ばれて行った。
駆け出しそうになったが後ろに飛影の妖気を感じハッとした。
そうだ、今は大会中……。
彼女はこの大会の商品でもある、大丈夫。
ここにいることさえ分かれば会いに行ける。
スっと頭が冷えて、冷静になる。
「浦飯チーム中堅前へ!」
……
…………
あの後飛影は右手を犠牲にして凄まじい炎を是流に放って勝利、副将戦の幽助は激闘の末に見事勝利を収めた。
そうして一回戦は幕を閉じた。
「蔵馬。」
一回戦が終わり、彼らと別れたあと凛の妖気を探る。
島にいるはずなのに感じられない……。
どうしたものかと思っていると、後ろから声をかけられた。
「ここにおったのか、随分探したぞ。」
「その霊気……。」
後ろを振り向くとあの時、凛を連れて行った男が立っていた。
一瞬警戒するものの霊気でコエンマだと分かり警戒をといた。
「おまえには先に話しておこうと思ってな。凛が見つかった。今は部屋におる。」
「……場所は?」
「お前達のホテルの最上階だ。」
「……。」
ホテル……。
まさか同じ場所に泊まっていたとは。
すぐに踵を返してホテルへと歩みを進める。
自然と早足になっている自分に苦笑がもれる。
最上階でエレベーターを降りた時、やっと彼女の妖気を感じることができてひどく安心する。
ドアの前まで行ってチャイムを鳴らす。
「はい、どなたでしょう?」
「凛?」
声を発すると彼女の纏う弱々しい妖気が揺れた。
「く、らま?」
不安定に揺れている妖気と何かをこらえるような声。
「凛?どうした?……泣いてる?」
「うぅ……、ごめ、ちょっと待って……。」
「大丈夫だから。凛、開けて?」
優しく、なるべく刺激しないようにドアを開けるよう催促をする。
1人で泣かないで……オレがいるから。
こんなに胸を締め付けられるような切ない感情を、オレは、知らない。
ガチャリと音がして扉がゆっくりと開く。
久々に見た彼女は俯いてぽたぽたと大粒の涙を零しながら泣いていた。
「入りますね。」
そう声をかけると下を向いたまま頭が縦に動いた。
頼っては来るものの辛い事があっても1度もオレの前では泣いたことのなかった彼女。
とりあえず落ち着かせなければ。
「凛、こちらへ。」
そっと手を取りソファーの方へゆっくりと誘導する。
座らせたところで紅茶でも入れようと1歩踏み出すと繋がれていた手がキュッと少し強く握られた。
振り返ると彼女は不安そうな顔でオレを見つめていた。
……。
はぁ、……いよいよ認めなければならないな。
彼女でなければ紅茶を入れてくる、と手をほどいて離れただろう。
人によっては迷惑とすら思うかもしれない。
大切な女性の枠でいうと母さんだけれど、この気持ちは……。
彼女に触れ、不安気にしている彼女の瞳にオレだけが映っている。
頼られているこの状況を嬉しいと思ってしまうなんて。
顔を片手で隠す。
この緩んでしまった顔を見られないように。
認めてしまえば彼女が愛おしくてたまらない。
座っている凛に目線を合わせるように正面で膝をつく。
そして頭を撫でながら柔らかで綺麗な髪を触る。
「貴方が泣くなんて初めてじゃないですか?」
「……その、2ヵ月間結構過酷な環境にいて……なんか蔵馬の声聞いたら安心しちゃって。急に泣き出してごめんね。」
髪を耳にかけながら申し訳なさそうに、それでいて恥ずかしそうに笑った。
そしてなにか思いついたのかオレの左頬へ手を当てる。
「大した事何も出来ないけど、このくらいはさせてね。」
そういって治癒能力をつかった。
「凛!そんな身体で力を……!」
大した事ない切り傷なのだ。
薬草で処置してあるから明日には跡もなく消えるようなそんな傷。
何があったのかはわからないが、随分と衰弱している身体で能力を使う彼女を慌てて止める。
「だってこんな事じゃなきゃ役に立てない。今日だって最後まで応援するつもりだったのに……。」
今日の戦いを見て何か感じたのだろうか。
自分にできる事を探しているのか必死さも見える。
「あせる必要なんてないんですよ。今は身体を休める事に集中するんだ。この大会、猛者ばかりで大怪我をする事も出てくると思います。……その時に力を貸してもらえませんか?」
ゆっくり話しながら彼女を説得する。
少し目を伏せたあと、またオレの目を見てうなづいた。
ふと手に着いているバングルに目が止まった。
……微かに妖気を感じる。
「それは?」
彼女は視線をバングルに移すと眉間に皺を寄せた。
「特殊な術式の発信機?たぶん逃げられないように付けられたんだと思う。左京さんしか取れないみたい。」
「……ちょっと見せて。」
左京?
確か戸愚呂チームのスポンサー……。
彼女の手首を持ってバングルを見ると妖気で細かくびっしり文字が刻まれていた。
……これは……封印の呪い。
凛の体調が戻らないのはこれのせいか。
「……これは特殊な封印の呪いが施された魔具ですよ。妖狐だった時何度か同じようなものを見た事があります。」
「え、封印?じゃあこれつけてる間は力が戻らないって事……?」
「みたところこれ自体に発信機の役割はありません。怪しまれないようにそう言ったのでしょうね。大丈夫、この系統なら外せます。……ただ、外したと感づかれると監視の目は厳しくなりそうですね……。」
俯いていた彼女は顔を上げるなり真っ直ぐにオレを見つめた。
「蔵馬、お願い。これはずして?応援に行けなくなるかもしれないけど、このまま力が戻らないんじゃ何の役にも立てない!もう寝たきりの生活なんて……やだよ。」
寝たきり……?
一体彼女に何をしたんだと名前しか知らない人物に殺意を覚える。
とりあえずこれを外して体調を戻すのが先か……。
あまりいろいろと思い出させて精神的に負担をかけるのもよくない。
軽く息をついて昔やったことを思い出しながら妖気をバングルに送りこむと、妖気の文字が光って消えた。
「大丈夫ですか!?」
外れた瞬間ぐらりと体が傾いてこちらへ倒れてきた。
抱きとめると弱弱しい声で彼女は眠いと言った。
「身体が減りすぎた妖力の回復をしようとしているんですね、ゆっくり休んでください。」
安心したような顔で寝入った彼女をベッドまで運ぶ。
この衰弱状態ならしばらくは起きないだろう。
頭を撫でた手をそのまま下へずらして頬を撫でる。
グッとこぶしを握り締めて部屋を後にした。
驚いて目を見開くと目が合って彼女はふわりと笑い、お疲れ様と唇が動いた。
直後ぐったりしながら目を閉じ、どこかへ運ばれて行った。
駆け出しそうになったが後ろに飛影の妖気を感じハッとした。
そうだ、今は大会中……。
彼女はこの大会の商品でもある、大丈夫。
ここにいることさえ分かれば会いに行ける。
スっと頭が冷えて、冷静になる。
「浦飯チーム中堅前へ!」
……
…………
あの後飛影は右手を犠牲にして凄まじい炎を是流に放って勝利、副将戦の幽助は激闘の末に見事勝利を収めた。
そうして一回戦は幕を閉じた。
「蔵馬。」
一回戦が終わり、彼らと別れたあと凛の妖気を探る。
島にいるはずなのに感じられない……。
どうしたものかと思っていると、後ろから声をかけられた。
「ここにおったのか、随分探したぞ。」
「その霊気……。」
後ろを振り向くとあの時、凛を連れて行った男が立っていた。
一瞬警戒するものの霊気でコエンマだと分かり警戒をといた。
「おまえには先に話しておこうと思ってな。凛が見つかった。今は部屋におる。」
「……場所は?」
「お前達のホテルの最上階だ。」
「……。」
ホテル……。
まさか同じ場所に泊まっていたとは。
すぐに踵を返してホテルへと歩みを進める。
自然と早足になっている自分に苦笑がもれる。
最上階でエレベーターを降りた時、やっと彼女の妖気を感じることができてひどく安心する。
ドアの前まで行ってチャイムを鳴らす。
「はい、どなたでしょう?」
「凛?」
声を発すると彼女の纏う弱々しい妖気が揺れた。
「く、らま?」
不安定に揺れている妖気と何かをこらえるような声。
「凛?どうした?……泣いてる?」
「うぅ……、ごめ、ちょっと待って……。」
「大丈夫だから。凛、開けて?」
優しく、なるべく刺激しないようにドアを開けるよう催促をする。
1人で泣かないで……オレがいるから。
こんなに胸を締め付けられるような切ない感情を、オレは、知らない。
ガチャリと音がして扉がゆっくりと開く。
久々に見た彼女は俯いてぽたぽたと大粒の涙を零しながら泣いていた。
「入りますね。」
そう声をかけると下を向いたまま頭が縦に動いた。
頼っては来るものの辛い事があっても1度もオレの前では泣いたことのなかった彼女。
とりあえず落ち着かせなければ。
「凛、こちらへ。」
そっと手を取りソファーの方へゆっくりと誘導する。
座らせたところで紅茶でも入れようと1歩踏み出すと繋がれていた手がキュッと少し強く握られた。
振り返ると彼女は不安そうな顔でオレを見つめていた。
……。
はぁ、……いよいよ認めなければならないな。
彼女でなければ紅茶を入れてくる、と手をほどいて離れただろう。
人によっては迷惑とすら思うかもしれない。
大切な女性の枠でいうと母さんだけれど、この気持ちは……。
彼女に触れ、不安気にしている彼女の瞳にオレだけが映っている。
頼られているこの状況を嬉しいと思ってしまうなんて。
顔を片手で隠す。
この緩んでしまった顔を見られないように。
認めてしまえば彼女が愛おしくてたまらない。
座っている凛に目線を合わせるように正面で膝をつく。
そして頭を撫でながら柔らかで綺麗な髪を触る。
「貴方が泣くなんて初めてじゃないですか?」
「……その、2ヵ月間結構過酷な環境にいて……なんか蔵馬の声聞いたら安心しちゃって。急に泣き出してごめんね。」
髪を耳にかけながら申し訳なさそうに、それでいて恥ずかしそうに笑った。
そしてなにか思いついたのかオレの左頬へ手を当てる。
「大した事何も出来ないけど、このくらいはさせてね。」
そういって治癒能力をつかった。
「凛!そんな身体で力を……!」
大した事ない切り傷なのだ。
薬草で処置してあるから明日には跡もなく消えるようなそんな傷。
何があったのかはわからないが、随分と衰弱している身体で能力を使う彼女を慌てて止める。
「だってこんな事じゃなきゃ役に立てない。今日だって最後まで応援するつもりだったのに……。」
今日の戦いを見て何か感じたのだろうか。
自分にできる事を探しているのか必死さも見える。
「あせる必要なんてないんですよ。今は身体を休める事に集中するんだ。この大会、猛者ばかりで大怪我をする事も出てくると思います。……その時に力を貸してもらえませんか?」
ゆっくり話しながら彼女を説得する。
少し目を伏せたあと、またオレの目を見てうなづいた。
ふと手に着いているバングルに目が止まった。
……微かに妖気を感じる。
「それは?」
彼女は視線をバングルに移すと眉間に皺を寄せた。
「特殊な術式の発信機?たぶん逃げられないように付けられたんだと思う。左京さんしか取れないみたい。」
「……ちょっと見せて。」
左京?
確か戸愚呂チームのスポンサー……。
彼女の手首を持ってバングルを見ると妖気で細かくびっしり文字が刻まれていた。
……これは……封印の呪い。
凛の体調が戻らないのはこれのせいか。
「……これは特殊な封印の呪いが施された魔具ですよ。妖狐だった時何度か同じようなものを見た事があります。」
「え、封印?じゃあこれつけてる間は力が戻らないって事……?」
「みたところこれ自体に発信機の役割はありません。怪しまれないようにそう言ったのでしょうね。大丈夫、この系統なら外せます。……ただ、外したと感づかれると監視の目は厳しくなりそうですね……。」
俯いていた彼女は顔を上げるなり真っ直ぐにオレを見つめた。
「蔵馬、お願い。これはずして?応援に行けなくなるかもしれないけど、このまま力が戻らないんじゃ何の役にも立てない!もう寝たきりの生活なんて……やだよ。」
寝たきり……?
一体彼女に何をしたんだと名前しか知らない人物に殺意を覚える。
とりあえずこれを外して体調を戻すのが先か……。
あまりいろいろと思い出させて精神的に負担をかけるのもよくない。
軽く息をついて昔やったことを思い出しながら妖気をバングルに送りこむと、妖気の文字が光って消えた。
「大丈夫ですか!?」
外れた瞬間ぐらりと体が傾いてこちらへ倒れてきた。
抱きとめると弱弱しい声で彼女は眠いと言った。
「身体が減りすぎた妖力の回復をしようとしているんですね、ゆっくり休んでください。」
安心したような顔で寝入った彼女をベッドまで運ぶ。
この衰弱状態ならしばらくは起きないだろう。
頭を撫でた手をそのまま下へずらして頬を撫でる。
グッとこぶしを握り締めて部屋を後にした。
