暗黒武術会編
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暗黒武術会
闇の力を使い富を築いた
裏社会の富豪や実力者たちが
それぞれ5名の魔性の
最強メンバーを集めバトルを繰り広げる
史上最悪の格闘技戦である。
この大会には"ゲスト"として闇世界に深くかかわり
裏社会の人間とって邪魔となる人間が強制的にエントリーされる。
拒否することはすなわち己の死を意味する
生き残る術はただひとつ
勝つことである。
今回の"ゲスト"は
浦飯幽助
桑原和真
蔵馬
飛影
この4名である。
ーーーーー
船に揺られて窓をのぞくと遠くの方に島が見えた。
あそこで、行われるのね……。
「そろそろ着くぞ。」
ふと席の後ろから声が聞こえた。
2か月間毎日聞いた声だ。
「……わかりました。」
「具合はどうだ。」
「妖力は少しずつ戻って来てますね、体は相変わらずだるいですけど。」
完全に寝たきりの状態が続いたせいで座っていても踏ん張れずフラフラする。
おまけに修行に使っている術に妖気を使っているせいもあってあまり休まらない。
1人で歩けないこともないけれどぶつかられたりしたら吹っ飛びそう。
「残念ながら姿は戻ってしまったようだな。」
「そうですね、極限状態じゃなくなったからでしょうね。」
正直助かった、あの姿じゃ部屋から出られない。
自分ではそんなに思わないけれど種族特有の容姿のせいで目立ってしまう。
5分くらいしてガタンという音と共に船独特の揺れがおさまる。
どうやら着いたようだ。
「戸愚呂、彼女を部屋まで運んでくれ。」
「了解。」
やっとみんなに会える……。
それだけで目頭が熱くなる。
2ヵ月間、監禁状態で話す人なんてお手伝いの人と左京さんだけだった。
あの部屋の居心地の悪さと言ったら……。
「しっかりつかまっていろ、落ちるぞ。」
まだ妖気が完ぺきに戻っていないせいで手足が自由に動かせない。
歩き出して本当に落ちそうになったのでとっさに頭にしがみつく。
私が乗っているせいか兄の方は普通に横を歩いていた。
チラリとずいぶんと体格の違う隣の男を見る。
お兄さんなんだって聞いたときはびっくりしたなあ……。
ぼんやり色々思い出しながら戸愚呂弟の右肩に乗ってホテルまで移動する。
ホテルを歩きエレベーターで上がる。
ふとエレベーターガールに押された番号を見ると……最上階。
流石というかなんというか。
……首縊島 か。
ここで最悪な格闘技大会が明日から始まる。
流石に乗っているのでは高さ的にドアから入れず、肩から降ろされて片腕で運ばれる。
大きい一枚ガラスの窓から日が差し込んでいて明るい部屋だ。
そのままベッドの上に降ろされると左京さんが近づいてきた。
「条件は話した通りだ。夜には必ずここに戻ってくること。日中は好きにするといい。彼らに会いに行こうが特に問題はない。ただこれだけは着けてもらう。」
「バングル?」
「特殊な術式のバングルでね、それをつけていればどこにいるのかすぐわかる。」
そう言いながら私の腕につけた。
シルバーでできた普通の細いバングルだ。
つけた瞬間大きさが変わり腕にピッタリはまった。
「それは私しか外せない。腕を切り落とせば話は別だがね。」
ブラックジョーク?
笑いながらいう事じゃない……。
でもこれさえつけれてば自由なんだよね。
「では、よい夢を。」
「……おやすみなさい。」
話はそれだけだったのか左京さんと戸愚呂は部屋を出て行った。
自由だとは言われていたけれど本当に誰もつかなかったのには驚きだ。
見張り1人くらいつくと思っていたのに。
2人が居なくなってベットに仰向けに倒れる。
ふぅ……。
やっぱり駄目ね、体がついていかない。
お風呂入って寝てしまおう。
明日はみんなを探しに行くんだから。
…………
……
ヒュルルルル
ドン! ドン!
起きて会場に行くとかなり盛り上がっているようであまたの妖怪がひしめきあっていた。
キョロキョロと周りを見回す。
確かこっちにVIP席が……。
痛っ!!
「ご、ごめんなさい!」
キョロキョロしていた所為で前をよく見ておらずぶつかってしまった。
案の定踏ん張れなくて尻もちをついた。
いてて……。
顔を上げると忍者のような恰好で水色の髪をオールバックにした青年が立っていた。
「こっちこそ悪かった。大丈夫か?」
「すみません、ありがとうございます。」
差し出された手をとって起こしてもらう。
……その辺の妖怪とは妖力が違う。
「凍也がべっぴんさんをナンパしてるだ!!」
「違う、ぶつかってしまっただけだ。」
頭に角の生えた赤い髪の青年が目の前にいる青年の後ろに……浮いてた。
浮いてる……羽とかないのに。
それにこの人も強い……。
じっと観察していると赤髪の青年はにかっと笑った。
「おめ、いい風もってんなぁ。」
「え?」
「オレは陣、こっちが凍矢。」
「おい、陣……行くぞ。」
「おー、おめさ気に入っただ!名前さ教えてくんろ。」
「藍田、凛……。」
「凛な!ほんじゃまたなー!」
ブンブンと大きく手を振って彼らは行ってしまった。
ぶつかってしまった彼とは対照的でにぎやかな人だったな。
陣……?
どこかで聞いたような?
「皆様、大変長らくお待たせしました!!ただ今より1回戦第1試合の選手入場です!!」
は、始まった……!
急がないと!
「暗黒武術会開会いたします!!!」
あら?あの後ろ姿……。
会場受付の場所で何やら騒いでいるようだ。
なるべく急ぎ足で近づいて声をかける。
「ぼたんさん?」
「え?……!?凛ちゃん!!心配したんだよ!!よかったぁあああ。」
「ぼ、ぼたんさん泣かないでっ。」
「うぅー……。コエンマ様ー!幽助たちがもう出てますよ!!それに凛ちゃんもいました!!」
「……!?何!?凛じゃと!?」
振り向いたぼたんさんは驚いた顔から一変して目にいっぱい貯めた涙をぽろぽろこぼした。
誰かと話していたらしいコエンマ様はこちらを向いて目を丸くした。
今日は青年バージョンだ。
「無事じゃったか!大会の商品になったと聞いたときはびっくりしたが、とにかく無事でよかった。探しても全くつかめなくてな……。」
そうだよね。
左京さんがそんなへまするわけないよね……。
垂金といい裏の金持ちはホントなんでもやるもの。
ぼたんさんが泣いてくれてる。
どうやらかなり心配をかけていたようだ。
じんわりと心が温かくなる。
心配かけて申し訳ないけど、ちょっと嬉しい。
私を心配してくれる人たちがいること。
にやけてしまった顔を俯いて髪で隠した。
「お昼の間は好きにできるみたいなんです、ご一緒しても?」
「もちろんだよ!こっちからは何もしてあげられなくてごめんね……。」
「大丈夫です、浦飯チームが勝ってくれますから。」
不安だけど、笑いながらそう言葉にしないと崩れてしまいそう。
怖いんだと、助けて欲しいんだと。
助けてなんて無理だとわかっているから、困らせてしまうから。
彼女たちには本音は言えない。
「……あ、紹介するね。こちらは幽助のお母さんの温子さん。こっちは会ったことあるよね。幽助の幼馴染の螢子ちゃん。で、桑原くんのお姉さんの静流さん!」
「初めまして、藍田凛です。螢子ちゃんと静流さんはお久しぶりです。」
「あの、こんにちは。幽助がお世話になってるみたいで……。」
「ふふ、こんなとこまで来て……螢子ちゃん可愛い。私こそお世話になってます。」
「そ、そんな!一発殴らないと気が済まないだけです!!」
螢子ちゃんは顔を赤くしながら怖いこと言ってる。
いいな……初めて会った時、飛影の時だけど浦飯くんが本気で心配してた。
今は螢子ちゃんが真剣に浦飯くんの事心配してる。
羨ましいな、そういう関係。
お互いがお互いを、ってやつ。
考えながら心配かけないように慎重に歩く。
よろけて倒れなんかしたら大変だ。
「おお!?出やがったぞ。」
「こらァ!ウラメシくたばれァ!!」
「裏切者の飛影と蔵馬てめーらは肉切れをクソにしてくれるぜ!!」
仲間意識ないくせに裏切者扱いとは……。
それにしても汚いヤジだなぁ。
「両チーム中央へ!!」
あ、始まっちゃう……。
「もう始まってるみたい、早く行こう?」
「そうさね、ほんじゃこっちだよ。」
階段を上がって会場入りをする。
そしてリング場に見えたものは……。
「あ~~~あれ!!桑原くんが凧みたいにとばされてる!!」
「あれは糸?妖気で操ってあの男の子が持ち上げてるんだね……。」
5メートル以上も体を持ち上げられてあんなとこから落とされたらいくらなんでも危ない。
しかし180センチ以上の桑原くんの体をあの高さまでもちあげるなんて、あの子なかなかやるわね。
「ちょっと、あんな高さから落ちたら死ぬじゃないの、シャレになってないわよこれ!!」
「だからそーゆー大会なんだって。」
どこかのん気な温子さんの言葉にコエンマ様がすかさずツッコミを入れる。
「幽助!!幽助!!友達が危ないって時に何のん気に寝てんのよ薄情者!!」
「おいおいそんな大声で……。」
コエンマ様も大変ね……。
きっとぼたんさんが口滑らして皆がついてきたんだと思うけど。
あー言わんこっちゃない。
「んんん?なんだこの女ウラメシ側の人間かァ。」
「クソして帰んな、ここは妖怪のための大会だぜ。」
大きい2人の妖怪が近づいてくる。
「妖怪が何よ!ウチの幽助は一回死んで生き返ったのよ!」
流石浦飯くんのお母さん……。
妖怪見ても臆せず……すごい度胸……。
「ケケケ喰ったろか!?」
ジュッ
静流さんが温子さんと螢子ちゃんの後ろから手を伸ばす。
そして大口を開けた妖怪の舌にタバコを押し当てた。
「し、静流さん。」
「さすが桑原君のお姉さん、見事な追っぱらい!」
ケンカを売ってきた妖怪は走って逃げて行った。
しっかし、これ無事にホテル帰れるかな……?
私も万全じゃないから守ってあげられないんだけど。
「コラー、バカ幽助!!起きろ!!」
「桑原君、根性よ!!根性ではばたきなさい!」
螢子ちゃんも温子さんも相変わらず大声で叫び続けている。
周りの妖怪の目はなかなかに厳しい。
は、はばたきなさいって……。
思わず苦笑をこぼしてしまう。
「無事に帰れるかな~~~。」
横目でコエンマ様を見る。
私と同じことを思っていたようだ。
「落ちたァーーー!!これは万事休すゥーーー!」
実況の女の子の声でリングへ目を向ける。
桑原くん……!!
「のびた剣を突き刺し!!落下の力を反動にして横にとんだァ!!」
驚いた、桑原くんって実戦で力が出せるタイプなのかな。
発想力とかそういうの凄いよなぁ。
でもあれじゃ正面から当ててくださいって言ってるようなもの。
少年は桑原くんに向かってヨーヨーを当てにかかる。
!
もう1本の剣!?
桑原くんはもう1本剣を出して少年に向かって伸ばす。
まっすぐ伸びて避けられると思った剣はヨーヨーの糸の間を縫って少年のお腹へ突き刺さった。
しかし桑原くんも顔面にヨーヨーが当たり両者とも場外まで吹っ飛んだ。
白虎の時に器用だと思ったけど、霊気を自在に操る……か。
桑原くんも修行がんばってたのね……。
先生は誰だったんだろう。
1人で強くなるのには限界があるもの、2ヶ月間でレベルアップする為にはそれなりの先生がいたはずだけど……。
「なんと、両者反対方向の場外です!!相打ち!!相打ちです!!カウントをとります!」
「1 、2 !!」
カウント4で鈴駒 という少年がリングに上がった。
結構ダメージを受けているようで治療に専念しているように見える。
あ、桑原くん……!
桑原くんも立ち上がったが、リング場に上がろうとしたところで手から離れていたはずのヨーヨーに絡みつかれ倒れた。
「9 、10 !!先鋒戦は六遊怪チームの勝利です。」
テンカウント負け……。
手から離れたヨーヨーをも操るなんて、やはりかなり妖力レベルが高いんだろう。
桑原くんは納得いかないのか鈴駒くんに向かって指をさしていた。
鈴駒くん、ルールに救われたわね……。
「次鋒、前へ!!」
浦飯チームを見るとリング上へ移動する赤が見えた。
蔵馬……!
久しぶりに見る姿に思わず涙がこぼれる。
ハッとして周りに悟られないようにぬぐった。
「次鋒、蔵馬V.S.呂屠 始め!!」
「あの長髪のコ普通の人間じゃないわね。」
「え!?静流さんわかるの?」
「凛ちゃんみたいな感じがするわ。」
「え?どういうことですか?」
静流さんと螢子ちゃんのそんな会話が後ろから聞こえてきた。
静流さん勘弁して、あまり知られたくないの……!
闇の力を使い富を築いた
裏社会の富豪や実力者たちが
それぞれ5名の魔性の
最強メンバーを集めバトルを繰り広げる
史上最悪の格闘技戦である。
この大会には"ゲスト"として闇世界に深くかかわり
裏社会の人間とって邪魔となる人間が強制的にエントリーされる。
拒否することはすなわち己の死を意味する
生き残る術はただひとつ
勝つことである。
今回の"ゲスト"は
浦飯幽助
桑原和真
蔵馬
飛影
この4名である。
ーーーーー
船に揺られて窓をのぞくと遠くの方に島が見えた。
あそこで、行われるのね……。
「そろそろ着くぞ。」
ふと席の後ろから声が聞こえた。
2か月間毎日聞いた声だ。
「……わかりました。」
「具合はどうだ。」
「妖力は少しずつ戻って来てますね、体は相変わらずだるいですけど。」
完全に寝たきりの状態が続いたせいで座っていても踏ん張れずフラフラする。
おまけに修行に使っている術に妖気を使っているせいもあってあまり休まらない。
1人で歩けないこともないけれどぶつかられたりしたら吹っ飛びそう。
「残念ながら姿は戻ってしまったようだな。」
「そうですね、極限状態じゃなくなったからでしょうね。」
正直助かった、あの姿じゃ部屋から出られない。
自分ではそんなに思わないけれど種族特有の容姿のせいで目立ってしまう。
5分くらいしてガタンという音と共に船独特の揺れがおさまる。
どうやら着いたようだ。
「戸愚呂、彼女を部屋まで運んでくれ。」
「了解。」
やっとみんなに会える……。
それだけで目頭が熱くなる。
2ヵ月間、監禁状態で話す人なんてお手伝いの人と左京さんだけだった。
あの部屋の居心地の悪さと言ったら……。
「しっかりつかまっていろ、落ちるぞ。」
まだ妖気が完ぺきに戻っていないせいで手足が自由に動かせない。
歩き出して本当に落ちそうになったのでとっさに頭にしがみつく。
私が乗っているせいか兄の方は普通に横を歩いていた。
チラリとずいぶんと体格の違う隣の男を見る。
お兄さんなんだって聞いたときはびっくりしたなあ……。
ぼんやり色々思い出しながら戸愚呂弟の右肩に乗ってホテルまで移動する。
ホテルを歩きエレベーターで上がる。
ふとエレベーターガールに押された番号を見ると……最上階。
流石というかなんというか。
……
ここで最悪な格闘技大会が明日から始まる。
流石に乗っているのでは高さ的にドアから入れず、肩から降ろされて片腕で運ばれる。
大きい一枚ガラスの窓から日が差し込んでいて明るい部屋だ。
そのままベッドの上に降ろされると左京さんが近づいてきた。
「条件は話した通りだ。夜には必ずここに戻ってくること。日中は好きにするといい。彼らに会いに行こうが特に問題はない。ただこれだけは着けてもらう。」
「バングル?」
「特殊な術式のバングルでね、それをつけていればどこにいるのかすぐわかる。」
そう言いながら私の腕につけた。
シルバーでできた普通の細いバングルだ。
つけた瞬間大きさが変わり腕にピッタリはまった。
「それは私しか外せない。腕を切り落とせば話は別だがね。」
ブラックジョーク?
笑いながらいう事じゃない……。
でもこれさえつけれてば自由なんだよね。
「では、よい夢を。」
「……おやすみなさい。」
話はそれだけだったのか左京さんと戸愚呂は部屋を出て行った。
自由だとは言われていたけれど本当に誰もつかなかったのには驚きだ。
見張り1人くらいつくと思っていたのに。
2人が居なくなってベットに仰向けに倒れる。
ふぅ……。
やっぱり駄目ね、体がついていかない。
お風呂入って寝てしまおう。
明日はみんなを探しに行くんだから。
…………
……
ヒュルルルル
ドン! ドン!
起きて会場に行くとかなり盛り上がっているようであまたの妖怪がひしめきあっていた。
キョロキョロと周りを見回す。
確かこっちにVIP席が……。
痛っ!!
「ご、ごめんなさい!」
キョロキョロしていた所為で前をよく見ておらずぶつかってしまった。
案の定踏ん張れなくて尻もちをついた。
いてて……。
顔を上げると忍者のような恰好で水色の髪をオールバックにした青年が立っていた。
「こっちこそ悪かった。大丈夫か?」
「すみません、ありがとうございます。」
差し出された手をとって起こしてもらう。
……その辺の妖怪とは妖力が違う。
「凍也がべっぴんさんをナンパしてるだ!!」
「違う、ぶつかってしまっただけだ。」
頭に角の生えた赤い髪の青年が目の前にいる青年の後ろに……浮いてた。
浮いてる……羽とかないのに。
それにこの人も強い……。
じっと観察していると赤髪の青年はにかっと笑った。
「おめ、いい風もってんなぁ。」
「え?」
「オレは陣、こっちが凍矢。」
「おい、陣……行くぞ。」
「おー、おめさ気に入っただ!名前さ教えてくんろ。」
「藍田、凛……。」
「凛な!ほんじゃまたなー!」
ブンブンと大きく手を振って彼らは行ってしまった。
ぶつかってしまった彼とは対照的でにぎやかな人だったな。
陣……?
どこかで聞いたような?
「皆様、大変長らくお待たせしました!!ただ今より1回戦第1試合の選手入場です!!」
は、始まった……!
急がないと!
「暗黒武術会開会いたします!!!」
あら?あの後ろ姿……。
会場受付の場所で何やら騒いでいるようだ。
なるべく急ぎ足で近づいて声をかける。
「ぼたんさん?」
「え?……!?凛ちゃん!!心配したんだよ!!よかったぁあああ。」
「ぼ、ぼたんさん泣かないでっ。」
「うぅー……。コエンマ様ー!幽助たちがもう出てますよ!!それに凛ちゃんもいました!!」
「……!?何!?凛じゃと!?」
振り向いたぼたんさんは驚いた顔から一変して目にいっぱい貯めた涙をぽろぽろこぼした。
誰かと話していたらしいコエンマ様はこちらを向いて目を丸くした。
今日は青年バージョンだ。
「無事じゃったか!大会の商品になったと聞いたときはびっくりしたが、とにかく無事でよかった。探しても全くつかめなくてな……。」
そうだよね。
左京さんがそんなへまするわけないよね……。
垂金といい裏の金持ちはホントなんでもやるもの。
ぼたんさんが泣いてくれてる。
どうやらかなり心配をかけていたようだ。
じんわりと心が温かくなる。
心配かけて申し訳ないけど、ちょっと嬉しい。
私を心配してくれる人たちがいること。
にやけてしまった顔を俯いて髪で隠した。
「お昼の間は好きにできるみたいなんです、ご一緒しても?」
「もちろんだよ!こっちからは何もしてあげられなくてごめんね……。」
「大丈夫です、浦飯チームが勝ってくれますから。」
不安だけど、笑いながらそう言葉にしないと崩れてしまいそう。
怖いんだと、助けて欲しいんだと。
助けてなんて無理だとわかっているから、困らせてしまうから。
彼女たちには本音は言えない。
「……あ、紹介するね。こちらは幽助のお母さんの温子さん。こっちは会ったことあるよね。幽助の幼馴染の螢子ちゃん。で、桑原くんのお姉さんの静流さん!」
「初めまして、藍田凛です。螢子ちゃんと静流さんはお久しぶりです。」
「あの、こんにちは。幽助がお世話になってるみたいで……。」
「ふふ、こんなとこまで来て……螢子ちゃん可愛い。私こそお世話になってます。」
「そ、そんな!一発殴らないと気が済まないだけです!!」
螢子ちゃんは顔を赤くしながら怖いこと言ってる。
いいな……初めて会った時、飛影の時だけど浦飯くんが本気で心配してた。
今は螢子ちゃんが真剣に浦飯くんの事心配してる。
羨ましいな、そういう関係。
お互いがお互いを、ってやつ。
考えながら心配かけないように慎重に歩く。
よろけて倒れなんかしたら大変だ。
「おお!?出やがったぞ。」
「こらァ!ウラメシくたばれァ!!」
「裏切者の飛影と蔵馬てめーらは肉切れをクソにしてくれるぜ!!」
仲間意識ないくせに裏切者扱いとは……。
それにしても汚いヤジだなぁ。
「両チーム中央へ!!」
あ、始まっちゃう……。
「もう始まってるみたい、早く行こう?」
「そうさね、ほんじゃこっちだよ。」
階段を上がって会場入りをする。
そしてリング場に見えたものは……。
「あ~~~あれ!!桑原くんが凧みたいにとばされてる!!」
「あれは糸?妖気で操ってあの男の子が持ち上げてるんだね……。」
5メートル以上も体を持ち上げられてあんなとこから落とされたらいくらなんでも危ない。
しかし180センチ以上の桑原くんの体をあの高さまでもちあげるなんて、あの子なかなかやるわね。
「ちょっと、あんな高さから落ちたら死ぬじゃないの、シャレになってないわよこれ!!」
「だからそーゆー大会なんだって。」
どこかのん気な温子さんの言葉にコエンマ様がすかさずツッコミを入れる。
「幽助!!幽助!!友達が危ないって時に何のん気に寝てんのよ薄情者!!」
「おいおいそんな大声で……。」
コエンマ様も大変ね……。
きっとぼたんさんが口滑らして皆がついてきたんだと思うけど。
あー言わんこっちゃない。
「んんん?なんだこの女ウラメシ側の人間かァ。」
「クソして帰んな、ここは妖怪のための大会だぜ。」
大きい2人の妖怪が近づいてくる。
「妖怪が何よ!ウチの幽助は一回死んで生き返ったのよ!」
流石浦飯くんのお母さん……。
妖怪見ても臆せず……すごい度胸……。
「ケケケ喰ったろか!?」
ジュッ
静流さんが温子さんと螢子ちゃんの後ろから手を伸ばす。
そして大口を開けた妖怪の舌にタバコを押し当てた。
「し、静流さん。」
「さすが桑原君のお姉さん、見事な追っぱらい!」
ケンカを売ってきた妖怪は走って逃げて行った。
しっかし、これ無事にホテル帰れるかな……?
私も万全じゃないから守ってあげられないんだけど。
「コラー、バカ幽助!!起きろ!!」
「桑原君、根性よ!!根性ではばたきなさい!」
螢子ちゃんも温子さんも相変わらず大声で叫び続けている。
周りの妖怪の目はなかなかに厳しい。
は、はばたきなさいって……。
思わず苦笑をこぼしてしまう。
「無事に帰れるかな~~~。」
横目でコエンマ様を見る。
私と同じことを思っていたようだ。
「落ちたァーーー!!これは万事休すゥーーー!」
実況の女の子の声でリングへ目を向ける。
桑原くん……!!
「のびた剣を突き刺し!!落下の力を反動にして横にとんだァ!!」
驚いた、桑原くんって実戦で力が出せるタイプなのかな。
発想力とかそういうの凄いよなぁ。
でもあれじゃ正面から当ててくださいって言ってるようなもの。
少年は桑原くんに向かってヨーヨーを当てにかかる。
!
もう1本の剣!?
桑原くんはもう1本剣を出して少年に向かって伸ばす。
まっすぐ伸びて避けられると思った剣はヨーヨーの糸の間を縫って少年のお腹へ突き刺さった。
しかし桑原くんも顔面にヨーヨーが当たり両者とも場外まで吹っ飛んだ。
白虎の時に器用だと思ったけど、霊気を自在に操る……か。
桑原くんも修行がんばってたのね……。
先生は誰だったんだろう。
1人で強くなるのには限界があるもの、2ヶ月間でレベルアップする為にはそれなりの先生がいたはずだけど……。
「なんと、両者反対方向の場外です!!相打ち!!相打ちです!!カウントをとります!」
「
カウント4で
結構ダメージを受けているようで治療に専念しているように見える。
あ、桑原くん……!
桑原くんも立ち上がったが、リング場に上がろうとしたところで手から離れていたはずのヨーヨーに絡みつかれ倒れた。
「
テンカウント負け……。
手から離れたヨーヨーをも操るなんて、やはりかなり妖力レベルが高いんだろう。
桑原くんは納得いかないのか鈴駒くんに向かって指をさしていた。
鈴駒くん、ルールに救われたわね……。
「次鋒、前へ!!」
浦飯チームを見るとリング上へ移動する赤が見えた。
蔵馬……!
久しぶりに見る姿に思わず涙がこぼれる。
ハッとして周りに悟られないようにぬぐった。
「次鋒、蔵馬V.S.
「あの長髪のコ普通の人間じゃないわね。」
「え!?静流さんわかるの?」
「凛ちゃんみたいな感じがするわ。」
「え?どういうことですか?」
静流さんと螢子ちゃんのそんな会話が後ろから聞こえてきた。
静流さん勘弁して、あまり知られたくないの……!
