再会編
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蔵馬なの?
そうつぶやいた瞬間彼の雰囲気が変わった。
妖気だけで倒れそうなほどの威圧感。
クラスメイトと少し話すと微笑みを顔に貼り付けてこちらへ歩いてきた。
目が、全く笑っていない。
「今日、放課後少し聞きたいことがあるんですけど、一緒に帰りませんか?」
拒否権は、ないのだろう。
断ったらどうなるかわからないような無言の圧力。
聞きたいことは私にだってあるけれど。
死にたいわけじゃない。
でも蔵馬かどうかの確認はしたい。
……覚悟を決めて頷いた。
「わ、私も聞きたいことがあるから。」
「そうですか、では放課後に。」
そう言って南野くんは自分の席へ戻って行った。
殺気。
人間界に来て15年。
小さい時は妖気の隠し方がいまいち掴めず小妖怪なんかに狙われることがあったから必然的にそういうものも向けられる事はあった。
それでも相手は小妖怪で脅威になるような力ではなかったんだよね。
だけど今回はどう見積もっても勝てる相手じゃない。
本当に殺されると思えるような殺気は初めてだ。
手が震えて掌はじっとりと汗をかいている。
まてよ、妖気……?
探られるような目を向けられる覚えはないって思ったけれど、原因は最近の私の妖気?
身体が成長するにしたがって妖力も大きく強くなっていき、ここ1週間でついに自分ではどうしようもないほどになってしまった。
そうか、霊界に警戒される程じゃないだろうとすっかり隠すのを諦めてしまったから彼は警戒しているのか。
……私が楽観視しすぎた?
でも……かといって自力で完ぺきに隠せるかと言われれば答えはNOなのだ。
なぜか妖気をうまく扱えない。
魔界にいた時は珍しい種族だという事もあって常に死と隣り合わせ。
必死に気配をさとらせまいと修行した。
それでも蔵馬には見つかってしまったのだけど。
でも今は霊界の管轄である人間界にいる。
その事を楽観的に見すぎた結果今の状況に至ったのだろうな……。
それなら私の事を話して理解してもらえれば何とかなる?
今まで観察だけですんでたってことは共存の意志はあるってことだもんね。
ただ蔵馬の名を聞いて反応した彼は何者なのだろう。
本人だという確証はない。
この身体になってからすっかり感知能力も落ちてしまって、妖気を感じられても確信できない。
妖気もあの眼差しも蔵馬に非常によく似ていたとしても。
本人だとしたら同じ時期にこの人間界に来たことになる。
私は見つかった後いろいろあって専属医として彼についた。
大抵の事は自分の薬草で何とかしてしまったけれど、ごく稀に病や毒をもらって帰ってくることもあった。
そういう時だけの医者だ。
そうして暮らしていたある日、アジト付近に私ではかなわないほどの強さを持ったS級クラスの妖怪が現れた。
私の血は毒にもなるがそれを攻撃として使えるのはある程度隙があったり、実力が拮抗しているものにだけだ。
実力がかなり違うものに使っても避けられるだけ。
噛み付いたり触るなんて出来るはずがない。
アジトに入れるわけにもいかないのでこっそり抜け出したのだが、狙いは私だったようであっという間に半殺しにあった。
運良く近くでとても大きな妖気を感じる事があり、相手がそちらに気をやった一瞬の隙に霊体になり人間界に逃げることが出来た。
あの日蔵馬は財宝を手に入れると言って居なかった。
まさかその時に私と同じように人間界へ……?
考えても答えは見つからない。
どうしたって彼とは話さなければならない。
何もなければ学校イチの美人……いや、人気者と肩を並べて帰るという素敵イベントなのに。
実際は命の危険があるなんて。
そして無情にも授業のおわりはやってくるのだった。
そうつぶやいた瞬間彼の雰囲気が変わった。
妖気だけで倒れそうなほどの威圧感。
クラスメイトと少し話すと微笑みを顔に貼り付けてこちらへ歩いてきた。
目が、全く笑っていない。
「今日、放課後少し聞きたいことがあるんですけど、一緒に帰りませんか?」
拒否権は、ないのだろう。
断ったらどうなるかわからないような無言の圧力。
聞きたいことは私にだってあるけれど。
死にたいわけじゃない。
でも蔵馬かどうかの確認はしたい。
……覚悟を決めて頷いた。
「わ、私も聞きたいことがあるから。」
「そうですか、では放課後に。」
そう言って南野くんは自分の席へ戻って行った。
殺気。
人間界に来て15年。
小さい時は妖気の隠し方がいまいち掴めず小妖怪なんかに狙われることがあったから必然的にそういうものも向けられる事はあった。
それでも相手は小妖怪で脅威になるような力ではなかったんだよね。
だけど今回はどう見積もっても勝てる相手じゃない。
本当に殺されると思えるような殺気は初めてだ。
手が震えて掌はじっとりと汗をかいている。
まてよ、妖気……?
探られるような目を向けられる覚えはないって思ったけれど、原因は最近の私の妖気?
身体が成長するにしたがって妖力も大きく強くなっていき、ここ1週間でついに自分ではどうしようもないほどになってしまった。
そうか、霊界に警戒される程じゃないだろうとすっかり隠すのを諦めてしまったから彼は警戒しているのか。
……私が楽観視しすぎた?
でも……かといって自力で完ぺきに隠せるかと言われれば答えはNOなのだ。
なぜか妖気をうまく扱えない。
魔界にいた時は珍しい種族だという事もあって常に死と隣り合わせ。
必死に気配をさとらせまいと修行した。
それでも蔵馬には見つかってしまったのだけど。
でも今は霊界の管轄である人間界にいる。
その事を楽観的に見すぎた結果今の状況に至ったのだろうな……。
それなら私の事を話して理解してもらえれば何とかなる?
今まで観察だけですんでたってことは共存の意志はあるってことだもんね。
ただ蔵馬の名を聞いて反応した彼は何者なのだろう。
本人だという確証はない。
この身体になってからすっかり感知能力も落ちてしまって、妖気を感じられても確信できない。
妖気もあの眼差しも蔵馬に非常によく似ていたとしても。
本人だとしたら同じ時期にこの人間界に来たことになる。
私は見つかった後いろいろあって専属医として彼についた。
大抵の事は自分の薬草で何とかしてしまったけれど、ごく稀に病や毒をもらって帰ってくることもあった。
そういう時だけの医者だ。
そうして暮らしていたある日、アジト付近に私ではかなわないほどの強さを持ったS級クラスの妖怪が現れた。
私の血は毒にもなるがそれを攻撃として使えるのはある程度隙があったり、実力が拮抗しているものにだけだ。
実力がかなり違うものに使っても避けられるだけ。
噛み付いたり触るなんて出来るはずがない。
アジトに入れるわけにもいかないのでこっそり抜け出したのだが、狙いは私だったようであっという間に半殺しにあった。
運良く近くでとても大きな妖気を感じる事があり、相手がそちらに気をやった一瞬の隙に霊体になり人間界に逃げることが出来た。
あの日蔵馬は財宝を手に入れると言って居なかった。
まさかその時に私と同じように人間界へ……?
考えても答えは見つからない。
どうしたって彼とは話さなければならない。
何もなければ学校イチの美人……いや、人気者と肩を並べて帰るという素敵イベントなのに。
実際は命の危険があるなんて。
そして無情にも授業のおわりはやってくるのだった。