霊界探偵編
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少し遅れた授業内容を取り戻そうと部屋で勉強しているときだった。
窓をコンコンとノックする音が響く。
振り返って窓の外を見ると……。
そこには……。
「やっほー!ぼたんちゃんでーっす!」
明るく話す彼女は、窓を開けてオールから飛び降りた。
「私は妖怪だから幽霊がどうとかそういうの何とも思わないけれど、こんな夜に窓ノックするとかホラーですよ。」
「あらま、ごめんよ!」
絶対悪いと思ってないな。
ノートの上にペンを置いてぼたんさんの方へ体を向ける。
「今日はどうしたんですか?」
「実は幽助に霊界探偵としての依頼が出されてね、それを助手の凛ちゃんにも手伝ってもらおうかなーと思ったんだけど……。」
「依頼……。すみません、今回は行かない方向っていうのはダメですか?私、前回の四聖獣たちとの戦いで自分の無力さを改めて痛感して……。今師範のところでいろいろ学んでいる最中なんです。」
「あーうん、それは聞いているさね。だから一応どうするのか確認をね。
コエンマ様から今回は人間界での任務で、対人間になるだろうから幽助1人でも何とかなるだろうって修行を優先してもいいって話になってるんだよ。」
「そうなんですね。でも1人より2人ですよね……うーん……。」
「明日幽助が内容確認すると思うからアイツがどうするか決めたらまた報告しに来るよ。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
「じゃ、わたしはこれで!」
ぼたんさんはオールを何もないところから出すとそれに乗り、窓から出て行った。
あのオールどうなっているんだろう……。
出て行った窓を閉めて机に突っ伏す。
どうしよう。
あれから1週間、師範のところへ行って武術の基礎や妖気の扱いを学んでいる。
蔵馬には一応相談して無茶はしないようにと許可はもらった。
学べることが多くて毎日がすごく楽しい。
でもこの自由は霊界に協力することで保っているようなもの。
コエンマ様が大丈夫だと言っても閻魔様や上の人たちが異議を唱えるようなことがあれば私は自由を失ってしまう。
……ここは協力すべき、なのかな。
浦飯くんに桑原くん、飛影、螢子ちゃんそれに皐……。
そして蔵馬。
みんなに会えなくなるのは耐えられない。
私の不安定な力がちゃんと安定したと判断されないかぎりは……。
コントロールできるようになってきてるとはいえ今はそれを証明する手立ては無い。
しかたない、行きますか。
師範にはちゃんと伝えて、蔵馬にも一応言っておかないとね。
電話しようと思ったけど……。
時間は21時、ちょっと迷惑な時間か。
明日学校で会った時で大丈夫かな。
うん、寝よう。
-----
目覚ましが鳴り響く。
上のボタンを押して体を起こす。
少し寒くなってきたなぁ。
パジャマから制服に着替えるとエプロンをつける。
このエプロン、皐にもらったんだったな。
好きな花を聞かれたときに薔薇と答えたら誕生日にこのエプロン渡されたのよね。
誕生日プレゼントなんて久しぶりにもらってすごく嬉しかったのを覚えてる。
数か月前の出来事だけど貰ってからの時間がいろいろ濃すぎて最近って感じがしないな。
彼女と一緒にいるためにもお仕事頑張らないとね。
平和にこの生活を続けられるように……。
学校につくと私の席に誰かが座っていた。
あれは皐?
こんな早い時間に皐がいるなんて珍しいこともあるもんだ。
「おはよ。」
「!おはよう、凛。」
「珍しいね、皐がこんな時間にいるなんて。」
「いやー、その……笑わないでね?」
皐にしては珍しく歯切れが悪い。
いつもあっけらかんとしているのに。
「どうかしたの?」
「いや、夢でさ、凛が遠くに行ってしまう夢を見て。その夢があまりにもリアルで……その……不安で早く来ちゃいました!」
「なんで半ギレなのよ。私はいるよ、ここに。」
「だよねー、いやただの夢だとは思ったんだけどさー。すっごく嫌な感じがしたんだよね。でも来て安心したよー!」
「おはようございます。」
「あ、南野くんおはよー。」
「おはよう。」
沈んでいた空気はどこへやら。
皐はいつもの調子を取り戻しにこやかに笑いだした。
私が遠くに行く、か。
「深刻そうな雰囲気でしたが、解決したんですか?」
「あーいやね、私が変な夢見てさ。その夢があまりにもリアルだったから凛に癒してもらってたのー。」
「夢、ですか。」
「そうそう、凛がどっかいっちゃう夢。まあ今日来たし安心しましたー!南野くんもよかったね、凛来なくなったら寂しいでしょ。」
「……そうですね。」
「ふふ。」
いつもの高いテンションに戻った皐に苦笑で返す蔵馬をみて笑いが零れた。
こんな平穏な日常が続けばいい。
そのためにも……。
授業の用意に戻った皐を見送って蔵馬を見る。
人も少しずつ増えてきてにぎやかになってきた。
その声に紛れるように小声で話す。
「昨日ぼたんさんが来て霊界探偵の依頼が浦飯くんに渡ったって。その任務に同行してほしいって言われて1度は断ったんだけど、今は霊界に従っておいた方がいいかなって思い直しまして。どう思う?」
「霊界の案件なんて行かなければいいというのが率直な意見ですが、今凛の状況を考慮すると行った方がいいでしょうね……。あそこを敵に回していい事なんて1つもありませんから。依頼はどういったものなんです?」
「聞かずに断っちゃったけど今回は人間界で人間相手なんだって。人間相手に浦飯くんが苦戦するとも思えないけど一応ね。私も人間相手ならバレるようなこともないだろうから霊界に従ってますって所見せておこうかと。」
「結論はいつまでに?」
「今日浦飯くんが任務確認してどうするか決まったらぼたんさんがくるって。」
「また急ですね……。」
「そうだね。」
「いいと思いますよ、受けても。」
「うん、そっか。じゃあ来たら返事していってくるね。」
そして授業後、ぼたんさんが私の部屋に駆け込んできてすぐ任務地の骨爛村 へ行くことになった。
どうやら桑原くんが浦飯くんと依頼のビデオを見て、目的の少女に一目惚れをしたらしい。
桑原くんに春が来たのか……人生わからないものだね。
ザ・山!!
師範の敷地といい勝負かな……。
バスを降りて辺りを見回す。
見事に木と山しか見えない。
「おでれーたな。町から電車とバスで一時間半、もうこんな山奥だ。」
「土地ってなァあるとこにゃあるし、持ってるやつは持ってやがるな。このタイヤの跡たどってきゃ別荘につくだろ。」
「待っててくれよ雪娘 さん!!オレがガァ必ずァ助けるぜェ!!」
そう叫びながら1人で走っていった。
「あー、一目ぼれしたってのは本当なのね……。」
「みてーだな……。」
桑原くんのやる気がふりきれてる。
聞いた話によると名前は雪菜 ちゃん、飛影の妹らしい。
浦飯くんは飛影に借りもあるし依頼を受けざるを得なかったわけだ。
「桑原くんはあのこと知ってるの?」
「いんや、あいつはビデオの後半見てねーからな。」
「……言えないわね。」
「ああ、言えるわけねェ。」
ん……?
桑原くんを追って小高い場所から下を見ると彼は歩みを止めていた。
……!!
妖気を感じる。
近くに……いや、進行方向に何かいる……。
駆け下りて桑原くんの横に行く。
「妖気を感じるよ、何かいる。」
「そうなんすよ、……妙な気配がする。」
ガサッ
音がした方を見ると草木の陰から一人出てきた。
見た目は人っぽいけど明らかに感じられるのは妖気だ。
サングラスをしたスーツ姿の男。
「ここは私有地だ、とっとと立ち去れ。」
「道に迷って帰れねーな!」
「垂金 って奴の別荘に泊めさせろ!!」
流石というかなんというか……。
「それはできんな……。」
男はそう言うとビリビリとズボンを破りながら下半身をタコのように変化させた。
そして緑色に変色し、上半身も姿が変わった。
胸からお腹にかけて大きな口がある。
……気持ち悪い。
「ゲ!!!」
「!?」
「無理にでもお帰り願おう……死体でな。」
蔵馬ごめん、全然人間相手じゃなかったみたい。
でも感じる妖気は並以下だし相手にならない。
「あの世で後悔するんだな、垂金権造 の私有地にふみこんだことを……。」
「てってめェ妖怪か!!」
「今さら帰るといっても手遅れだぞ。この姿を見て生きている人間はいない……!」
「…………。垂金邸に捕らえられてる女の子ってのは妖怪なんだ。いわばあんたの仲間なんだぜ。」
「ろくでもねー人間にひでー目にあわされてんのなんとも思わねーのかよ。」
浦飯くん、桑原くん……。
こいつらは朱雀たちと一緒。
仲間意識なんて皆無だわ。
「それがどうした?お前ら人間にも私欲のためオレ達の黒い力に魂を売る奴がいるだろう。オレは人間界の金と欲望に魂を売ったのさ。ケケケお前らだって目の前に大金積まれりゃ土下座して犬のマネでもやるんだろーが。」
「いっしょにすんじゃねーよ、ヘドヤローが!!」
妖怪の言葉に2人の霊力が上がり戦闘態勢に入った。
「気どるんじゃねェーーーっ人間 がぁーーー!!」
妖怪は飛び掛かってきたが、桑原くんの霊剣にバラバラにされた後、浦飯くんの霊丸で跡形もなく消え去った。
……すごい、朱雀たちより格下といえど消し去ほどの威力。
あの時より数段霊力が上がってる。
「簡単な任務だと思ってたけど妖怪がでてきたとなると気を引き締めないとね。」
あれから2時間以上は歩いだだろうか……。
「うーん、いったいどれだけひれェんだここはよ!」
「だんだん暗くなってきたね、今日のところはここら辺で野宿しよっか。」
「まだまだ着きそうにねーもんなぁ、そうすっか。」
薪を集めて火をつける。
なんかとっても久しぶりだな、こういうの。
「すみません、凛さん……。女性に野宿させるなんて。」
「え……?あぁ気にしないで、慣れてる。こっち来てからは初めてだけど、魔界にいた頃はよくしてたんだよ。」
くすくすと微笑み返すと2人は忘れていたのかキョトンとしていた。
「そういや凛って妖怪なんだったな。」
「……変身しなければ人間と変わりないので忘れていました。」
「そう?うまく溶け込めてる?」
2人の方を見ると、うんうんと頷いていた。
私には本当に蔵馬や駁くんしかいなかったからこういうのって凄くくすぐったい。
人間界で大切な人が増えたと実感する。
自然と口角が上がるのがわかる。
「なんか嬉しそうだな?」
「……うん、浦飯くんや桑原くんみたいな素敵な人達に巡り会えた事が嬉しいんだー。今まではずっと追われる側だったから。」
「そういえば四聖獣の依頼ん時、やたらと蔵馬が気にしてたよな。」
「うん、私って本当に特殊なんだ。……私の事については蔵馬が1番分かってくれてるからね、家族みたいなものだよ。今は同い年だけど妖怪としてはずっと歳上なの。」
「へぇ?てっきり付き合ってんのかと思ったぜ。」
「え?違うよ!」
「ほぉー?」
ニヤニヤしながら浦飯くんは蔵馬はどう思ってんのかなァと呟いていた。
家族みたいな存在だって言ってたし、そうなんじゃないかなと思うけど。
からかう材料でもほしいのかしら。
……?
感知範囲に誰か入ってきた。
…………この気配は飛影。
どうしてここが……。
いや、邪眼もあるし私たちの事、分からなくはないか。
それとも霊界から雪菜ちゃんの事聞いたのかしら。
チラリと2人を見るが気づいていないようだ。
話しかけてこないところを見ると一緒に行く気はないみたいね。
ここは知らん振りかな。
「そろそろ休もっか。」
「そーだなァ」
私は近くの木にもたれるとそのまま眠りについた。
窓をコンコンとノックする音が響く。
振り返って窓の外を見ると……。
そこには……。
「やっほー!ぼたんちゃんでーっす!」
明るく話す彼女は、窓を開けてオールから飛び降りた。
「私は妖怪だから幽霊がどうとかそういうの何とも思わないけれど、こんな夜に窓ノックするとかホラーですよ。」
「あらま、ごめんよ!」
絶対悪いと思ってないな。
ノートの上にペンを置いてぼたんさんの方へ体を向ける。
「今日はどうしたんですか?」
「実は幽助に霊界探偵としての依頼が出されてね、それを助手の凛ちゃんにも手伝ってもらおうかなーと思ったんだけど……。」
「依頼……。すみません、今回は行かない方向っていうのはダメですか?私、前回の四聖獣たちとの戦いで自分の無力さを改めて痛感して……。今師範のところでいろいろ学んでいる最中なんです。」
「あーうん、それは聞いているさね。だから一応どうするのか確認をね。
コエンマ様から今回は人間界での任務で、対人間になるだろうから幽助1人でも何とかなるだろうって修行を優先してもいいって話になってるんだよ。」
「そうなんですね。でも1人より2人ですよね……うーん……。」
「明日幽助が内容確認すると思うからアイツがどうするか決めたらまた報告しに来るよ。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
「じゃ、わたしはこれで!」
ぼたんさんはオールを何もないところから出すとそれに乗り、窓から出て行った。
あのオールどうなっているんだろう……。
出て行った窓を閉めて机に突っ伏す。
どうしよう。
あれから1週間、師範のところへ行って武術の基礎や妖気の扱いを学んでいる。
蔵馬には一応相談して無茶はしないようにと許可はもらった。
学べることが多くて毎日がすごく楽しい。
でもこの自由は霊界に協力することで保っているようなもの。
コエンマ様が大丈夫だと言っても閻魔様や上の人たちが異議を唱えるようなことがあれば私は自由を失ってしまう。
……ここは協力すべき、なのかな。
浦飯くんに桑原くん、飛影、螢子ちゃんそれに皐……。
そして蔵馬。
みんなに会えなくなるのは耐えられない。
私の不安定な力がちゃんと安定したと判断されないかぎりは……。
コントロールできるようになってきてるとはいえ今はそれを証明する手立ては無い。
しかたない、行きますか。
師範にはちゃんと伝えて、蔵馬にも一応言っておかないとね。
電話しようと思ったけど……。
時間は21時、ちょっと迷惑な時間か。
明日学校で会った時で大丈夫かな。
うん、寝よう。
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目覚ましが鳴り響く。
上のボタンを押して体を起こす。
少し寒くなってきたなぁ。
パジャマから制服に着替えるとエプロンをつける。
このエプロン、皐にもらったんだったな。
好きな花を聞かれたときに薔薇と答えたら誕生日にこのエプロン渡されたのよね。
誕生日プレゼントなんて久しぶりにもらってすごく嬉しかったのを覚えてる。
数か月前の出来事だけど貰ってからの時間がいろいろ濃すぎて最近って感じがしないな。
彼女と一緒にいるためにもお仕事頑張らないとね。
平和にこの生活を続けられるように……。
学校につくと私の席に誰かが座っていた。
あれは皐?
こんな早い時間に皐がいるなんて珍しいこともあるもんだ。
「おはよ。」
「!おはよう、凛。」
「珍しいね、皐がこんな時間にいるなんて。」
「いやー、その……笑わないでね?」
皐にしては珍しく歯切れが悪い。
いつもあっけらかんとしているのに。
「どうかしたの?」
「いや、夢でさ、凛が遠くに行ってしまう夢を見て。その夢があまりにもリアルで……その……不安で早く来ちゃいました!」
「なんで半ギレなのよ。私はいるよ、ここに。」
「だよねー、いやただの夢だとは思ったんだけどさー。すっごく嫌な感じがしたんだよね。でも来て安心したよー!」
「おはようございます。」
「あ、南野くんおはよー。」
「おはよう。」
沈んでいた空気はどこへやら。
皐はいつもの調子を取り戻しにこやかに笑いだした。
私が遠くに行く、か。
「深刻そうな雰囲気でしたが、解決したんですか?」
「あーいやね、私が変な夢見てさ。その夢があまりにもリアルだったから凛に癒してもらってたのー。」
「夢、ですか。」
「そうそう、凛がどっかいっちゃう夢。まあ今日来たし安心しましたー!南野くんもよかったね、凛来なくなったら寂しいでしょ。」
「……そうですね。」
「ふふ。」
いつもの高いテンションに戻った皐に苦笑で返す蔵馬をみて笑いが零れた。
こんな平穏な日常が続けばいい。
そのためにも……。
授業の用意に戻った皐を見送って蔵馬を見る。
人も少しずつ増えてきてにぎやかになってきた。
その声に紛れるように小声で話す。
「昨日ぼたんさんが来て霊界探偵の依頼が浦飯くんに渡ったって。その任務に同行してほしいって言われて1度は断ったんだけど、今は霊界に従っておいた方がいいかなって思い直しまして。どう思う?」
「霊界の案件なんて行かなければいいというのが率直な意見ですが、今凛の状況を考慮すると行った方がいいでしょうね……。あそこを敵に回していい事なんて1つもありませんから。依頼はどういったものなんです?」
「聞かずに断っちゃったけど今回は人間界で人間相手なんだって。人間相手に浦飯くんが苦戦するとも思えないけど一応ね。私も人間相手ならバレるようなこともないだろうから霊界に従ってますって所見せておこうかと。」
「結論はいつまでに?」
「今日浦飯くんが任務確認してどうするか決まったらぼたんさんがくるって。」
「また急ですね……。」
「そうだね。」
「いいと思いますよ、受けても。」
「うん、そっか。じゃあ来たら返事していってくるね。」
そして授業後、ぼたんさんが私の部屋に駆け込んできてすぐ任務地の
どうやら桑原くんが浦飯くんと依頼のビデオを見て、目的の少女に一目惚れをしたらしい。
桑原くんに春が来たのか……人生わからないものだね。
ザ・山!!
師範の敷地といい勝負かな……。
バスを降りて辺りを見回す。
見事に木と山しか見えない。
「おでれーたな。町から電車とバスで一時間半、もうこんな山奥だ。」
「土地ってなァあるとこにゃあるし、持ってるやつは持ってやがるな。このタイヤの跡たどってきゃ別荘につくだろ。」
「待っててくれよ
そう叫びながら1人で走っていった。
「あー、一目ぼれしたってのは本当なのね……。」
「みてーだな……。」
桑原くんのやる気がふりきれてる。
聞いた話によると名前は
浦飯くんは飛影に借りもあるし依頼を受けざるを得なかったわけだ。
「桑原くんはあのこと知ってるの?」
「いんや、あいつはビデオの後半見てねーからな。」
「……言えないわね。」
「ああ、言えるわけねェ。」
ん……?
桑原くんを追って小高い場所から下を見ると彼は歩みを止めていた。
……!!
妖気を感じる。
近くに……いや、進行方向に何かいる……。
駆け下りて桑原くんの横に行く。
「妖気を感じるよ、何かいる。」
「そうなんすよ、……妙な気配がする。」
ガサッ
音がした方を見ると草木の陰から一人出てきた。
見た目は人っぽいけど明らかに感じられるのは妖気だ。
サングラスをしたスーツ姿の男。
「ここは私有地だ、とっとと立ち去れ。」
「道に迷って帰れねーな!」
「
流石というかなんというか……。
「それはできんな……。」
男はそう言うとビリビリとズボンを破りながら下半身をタコのように変化させた。
そして緑色に変色し、上半身も姿が変わった。
胸からお腹にかけて大きな口がある。
……気持ち悪い。
「ゲ!!!」
「!?」
「無理にでもお帰り願おう……死体でな。」
蔵馬ごめん、全然人間相手じゃなかったみたい。
でも感じる妖気は並以下だし相手にならない。
「あの世で後悔するんだな、
「てってめェ妖怪か!!」
「今さら帰るといっても手遅れだぞ。この姿を見て生きている人間はいない……!」
「…………。垂金邸に捕らえられてる女の子ってのは妖怪なんだ。いわばあんたの仲間なんだぜ。」
「ろくでもねー人間にひでー目にあわされてんのなんとも思わねーのかよ。」
浦飯くん、桑原くん……。
こいつらは朱雀たちと一緒。
仲間意識なんて皆無だわ。
「それがどうした?お前ら人間にも私欲のためオレ達の黒い力に魂を売る奴がいるだろう。オレは人間界の金と欲望に魂を売ったのさ。ケケケお前らだって目の前に大金積まれりゃ土下座して犬のマネでもやるんだろーが。」
「いっしょにすんじゃねーよ、ヘドヤローが!!」
妖怪の言葉に2人の霊力が上がり戦闘態勢に入った。
「気どるんじゃねェーーーっ
妖怪は飛び掛かってきたが、桑原くんの霊剣にバラバラにされた後、浦飯くんの霊丸で跡形もなく消え去った。
……すごい、朱雀たちより格下といえど消し去ほどの威力。
あの時より数段霊力が上がってる。
「簡単な任務だと思ってたけど妖怪がでてきたとなると気を引き締めないとね。」
あれから2時間以上は歩いだだろうか……。
「うーん、いったいどれだけひれェんだここはよ!」
「だんだん暗くなってきたね、今日のところはここら辺で野宿しよっか。」
「まだまだ着きそうにねーもんなぁ、そうすっか。」
薪を集めて火をつける。
なんかとっても久しぶりだな、こういうの。
「すみません、凛さん……。女性に野宿させるなんて。」
「え……?あぁ気にしないで、慣れてる。こっち来てからは初めてだけど、魔界にいた頃はよくしてたんだよ。」
くすくすと微笑み返すと2人は忘れていたのかキョトンとしていた。
「そういや凛って妖怪なんだったな。」
「……変身しなければ人間と変わりないので忘れていました。」
「そう?うまく溶け込めてる?」
2人の方を見ると、うんうんと頷いていた。
私には本当に蔵馬や駁くんしかいなかったからこういうのって凄くくすぐったい。
人間界で大切な人が増えたと実感する。
自然と口角が上がるのがわかる。
「なんか嬉しそうだな?」
「……うん、浦飯くんや桑原くんみたいな素敵な人達に巡り会えた事が嬉しいんだー。今まではずっと追われる側だったから。」
「そういえば四聖獣の依頼ん時、やたらと蔵馬が気にしてたよな。」
「うん、私って本当に特殊なんだ。……私の事については蔵馬が1番分かってくれてるからね、家族みたいなものだよ。今は同い年だけど妖怪としてはずっと歳上なの。」
「へぇ?てっきり付き合ってんのかと思ったぜ。」
「え?違うよ!」
「ほぉー?」
ニヤニヤしながら浦飯くんは蔵馬はどう思ってんのかなァと呟いていた。
家族みたいな存在だって言ってたし、そうなんじゃないかなと思うけど。
からかう材料でもほしいのかしら。
……?
感知範囲に誰か入ってきた。
…………この気配は飛影。
どうしてここが……。
いや、邪眼もあるし私たちの事、分からなくはないか。
それとも霊界から雪菜ちゃんの事聞いたのかしら。
チラリと2人を見るが気づいていないようだ。
話しかけてこないところを見ると一緒に行く気はないみたいね。
ここは知らん振りかな。
「そろそろ休もっか。」
「そーだなァ」
私は近くの木にもたれるとそのまま眠りについた。
