霊界探偵編
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「とうとう最後の力も使い果たしたようだな。」
バラバラにしたのはいいけど……。
斬られてもまた玄武は復活……えっ?
「フッ……クク……ククク。」
「ははははそんなに恐ろしいか!?今楽にしてやるからな」
「!!」
「む……!?なんだ!?奴がさかさに……!?」
「ギャハハハハハハハハハ!!でけーキン〇マだなオイ!」
元に戻ったと思った玄武は手やしっぽが通常の位置とは違うところについていた。
なんと頭は両足の間についていたのだ。
それを見た浦飯くんと桑原くんは大爆笑。
「は!?な、ないぞ!!キ、キサマまさかまさかオレのォオ。」
「探し物はこれですか?」
「はぁあそれェエエ!!」
蔵馬は口角を上げドクンドクンと脈打つ赤い石を手にしていた。
それを見た瞬間玄武は恐れおののき態度が変わった。
「これがバラバラになった体を元に戻す司令塔の役目をする中枢岩ですね。たくみにオレの目から隠してはいたがパワーを出す時に光るのは見逃さなかった。隠そうとするものを見つけるのは得意なんだ、本業は盗賊だからね。」
「あぁあま、待て!!それを傷つけるなぁ!!」
「断る。」
そういって赤い岩を投げるとムチでスパッと両断した。
中枢岩が割れたことで断末魔をあげ砂になっていった。
「やったぜ!!ザマーみろ!!」
「……くっ!!」
「あっ蔵馬!!」
「蔵馬!!」
終わったと同時にまた膝をついてしまった蔵馬のもとへ近寄ると、問答無用で治療を始めた。
怪我の具合を見てやはりかすり傷じゃないことを悟る。
「どこがかすり傷よ!全く無茶するんだから。」
「……蔵馬にこれほどの深手を負わせるとは……。」
「なーに、あとはオレたちにまかしとけ!!」
「おう!!次はオレがやったる。」
皆の声を聴きながら腐餓鬼との戦いの時に自分で作った傷を開き、血を出す。
血を流した手を見て眉間にしわを寄せ、何か言いたそうにしている蔵馬に対し声をかける。
「血を使うななんて言わないでね。却下に決まってるから。」
図星だったのか蔵馬はため息をつくと何も言わず治療の様子を見ていた。
少し強いマヒ毒を鎮痛薬の代わりに調合し練り、それをお腹の傷へ直接塗布する。
あとは止血の薬も練って……っと、まあ戦闘したら傷は開くけど……。
「急ぎだし応急処置しかできなかったけど……。」
「……痛みが少し楽になりました。ありがとう。行きましょうか。」
立ち上がるとみんなで階段の方へ歩いた。
階段をのぼりきった先はまた長い廊下だった。
「蔵馬、キズは大丈夫かよ。」
「ああ、動けないほどじゃない。彼女のおかげでさっきより痛みもマシだ。」
「だが戦えるほど浅い傷でもないだろう。予定が狂ったな……蔵馬を欠いて残り三匹か。」
「しばらくは戦っちゃダメだからね、結構深かったんだから。」
「なーに、次の相手はオレにまかせとけ!」
「蔵馬が勝つまでビビりまくってたくせに。」
「うるせ!イキナリで驚いただけだ!オレだってオメーが師範のとこで修業してる間に何もしてなかったわけじゃねェ。いろいろ試しているうちに自分自身の手だけでも霊気の剣を出せるようになったんだ。ほらよ。」
そういうと桑原くんは霊気の剣を右手に発動させた。
おぉ、すごい!
出した当時は破邪刀だっけ?のかけらもって出してたものね。
「ほう……ただのでくの棒じゃなかったわけだ。」
「死ぬかコラ!?」
「よせって。」
飛影ってばすぐつっかかるんだから……。
毎度止めてる浦飯くんもだんだん怒りはじめてるよ。
「…………ちっまぁいいや、だがこれからがオレの研究の成果だ。いいかみてろよ。剣よのびろ!!」
「おお!?ヤリみてーにのびやがった。」
「へっへっへっ、オレの意思で伸縮自在よ!前はいきなり化け物を見てビビっちまったがもう心の準備はOKだ。次の相手はオレにまかせてもらおう!……うっ……今の霊気の放出でかなり疲労が……。」
「じゃやんな!!戦う前に。」
「!?」
感心してみていたところで廊下が揺れるほどの大きな雄たけびが聞こえた。
天井からはパラパラと砂や石が降ってきた。
「な、なんだ今のスゲー叫び声は。この世のものとは思えねェ。」
「魔界だからね、ここ……。白虎の雄たけびみたいだね。」
「彼はどうやら相当ごきげんななめの様だ。」
桑原くんのうろたえる声に私が答えると、蔵馬も真面目な顔で言葉を発した。
「こっちだ!いくぞ!!」
階段を駆け上がると開けた場所へ出た。
前を見ると一本の細い道が円形の広場へ続き、その先の高い場所に白虎がいた。
構造は橋のようになっていて高さは結構あるな……。
一本道の先、向こうの建物に行くには白虎の後ろにある道を行くしかない。
「わざわざオレ様にまで足を運ばせやがってクソ虫どもが。使い走りの玄武を倒したぐらいでいい気になるなよ。」
「で、でけェ、3m以上あるんじゃねェか!?」
「や、約束が違うじゃねェか。」
「ただでさえ辛気くせえ魔界の城に閉じ込められてうめぇ人肉にもありつけずイライラしてるってのに、その上霊界がオレたちを倒すためによこした相手が人間二匹に裏切者三匹だと。いいか!!ゴミども。てめェら人間は全部オレ様のエサだ!!飛影!!蔵馬!!それから妖怪の女!!おのれらはきりきざんで腐餓鬼どものエサにしてくれるわ。」
「なんてすげェ声だ、腹ん中までえぐられそうだ。」
声だけで後ろの塔が振動している。
太鼓の音のようにおなかにくる声。
いやまあ、太鼓の比じゃないけど……。
「ヤロォ好きかって言いやがって。」
「桑原!」
「口だけじゃなく本当にひとりで行く気か。」
「たりめーだタイマンはケンカの常識よ!!」
「足の震えは武者震いかオイ。」
足をカクカクさせながらズイっと前に出ると両手で指をポキポキ鳴らしながら歩いていった。
完全にびびりまくってるけど、引っ込みつかなくなったのね。
「とにかくオレが行くっていったら行くんだよ!!」
「ひっこみつかねーだけじゃねーの?」
「うるせェな黙って見てろ!!」
「く、桑原くん、気を付けてね?」
「は、はいい!!凛さん!頑張ってきます!!」
1人で大丈夫かな、桑原くん。
前回師範のところであった時より霊力が増してるのはわかるけど、剣術とか習ってないんじゃ……。
白虎の見た目は二足歩行の3m以上ある大きな虎だ。
凄い筋肉だし……。
でもまあ桑原くんももちろん心配だけど……。
チラリと蔵馬の傷を見てため息をつく。
ホントどこがかすり傷なの。
「蔵馬、桑原くんが戦ってくれるみたいだし少しでも傷治すよ。どっかの誰かさんに受けた傷と同じ位置でしょ。第一、あの傷だって完治してないでしょう?」
「……ばれてましたか。でも凛のおかげで本当にだいぶ良くなったんですよ。それに白虎の前だ、能力は極力知られないほうがいい。」
「麻酔かけてあるんだから当たり前です!変身したりしない限り大丈夫。治癒能力くらいじゃばれないよ、いいからキズ見せて!」
そんな問答をしているとまた大きな声が後ろから聞こえてきたので振り向いた。
「ひとり!?オレ様を相手にヤツがひとりで戦うとでも言うのか!?ぬう……く……くく……くっくっく。わははははは!!……馬鹿馬鹿しくて怒る気も失せたわ。」
「こらてめェ!笑ってねェでさっさと降りてきやがれ。」
「くくくバカがふざけるな、貴様などオレ様が手を下すまでもないわ。そらよ。」
「!?なにィ!?奴の毛が獣に変わりやがったァ!!」
白虎が大笑いしてるのを見て桑原くんは高台にいる白虎に降りて来いと指をさしながら言うが、白虎は自分の毛を毟ると息を吹きかけこちらに飛ばした。
するとその毛は4本足の体長2mほどの大きな妖怪に変わった。
角が2本、目は額に小さく3つで通常の位置にも2つ、大きい3本のかぎ爪をもっていて切り裂かれでもしたら大変だ……。
あの大きな牙だって噛みつかれたら骨折どころか丸ごと持っていかれそう……。
「オレ様の分身妖獣だ!さぁお前達ジワジワと切りきざんで殺してやれ。オレ様にはむかった無謀さを死んでも後悔するようにな!!」
「ギギギギ!!」
白虎の命令により四匹の妖獣は一斉に桑原くんへとびかかる。
次から次へと繰り出される攻撃を避けるものの肩や頬にダメージを負ってしまっている。
「うおっ!
休むことなく妖獣は攻撃を繰り出してくる。
ダメ、攻撃を見切れていない……。
「くそっ。」
「ほう、ちょこざいにも霊気を武器化できるのか。だがそんななまくら刀一本で妖獣四匹を相手にできると思うのか!!」
「!!」
霊気の剣を出して応戦するものの飛影と違って剣術を学んでいないのが目に見える。
剣を振っても全く当たらず妖獣の攻撃は胸や背中に当たっていく。
「…………話にならんな。あの程度の太刀さばきではなぶり殺されるのは時間の問題だ。」
飛影……。
このままじゃ桑原くんはあの妖獣たちに殺されてしまう。
「…………!!桑原!!オレと代われ!!相手が大勢ならオレの散弾式霊丸でなんとかなるかも知れねェ、離れて戦えねェオメーじゃ不利だ!!」
浦飯くんは見ていられないといった様子で桑原くんに向かって叫ぶ。
浦飯くんが叫んでいる間も、やみくもにブンブン剣を振り回しているけど全く当たっていない……。
「くはは、変らなくともお前ら全員で戦った方がいいぞ、しょせんおのれらゴミがひとりで立ち向かうこと自体ムリなのだ!!」
「ふざけんじゃねェ!!アイツを同じ土俵に引きずり出さねーうちにオメオメと代われるか!!……いいか浦飯!!余計な手出しやがったら白虎の前にてめーをぶっ殺すぞ。」
「フン、まだ薬が足りんようだな。よし妖獣どもよやつの手足を一本ずつ食いちぎれ。頭と胴体はオレが喰うからな!!」
妖獣たちはまた右から左からと攻撃を繰り出し始める。
右から飛び掛かってきた一匹の鋭い爪が桑原くんの手をかすめる。
「うわっ!!……冗談じゃねェぜ、せっかく治った手足を喰われてたまっか。」
「桑原ァァ!クソ意地張ってねーでオレと交代しろぁーー!!オメーの剣じゃ大勢をいっぺんに倒すのは無理だ!!桑原ァーー!!」
「……!!そうだ!!」
「む?」
浦飯くんがまた大声で叫ぶと桑原くんはこちらを向いて何かを閃いたのか細い一本道を渡りこちらへ向かってきた。
「わははようやく恐怖にめざめ仲間のところに逃げ出したか。だがもう遅い!!そっちにいる仲間もろとも喰い殺してやれぃ!!」
スッと蔵馬が私の前へでてかばう体制に入るが、桑原くんはある程度来たところでくるっと反転して妖獣たちの方を向いた。
一体何を……?
「おおおお!!誰が逃げるって!?」
「「「「!!」」」」
「剣よのびろ!!!」
「ギイィィィィエェェ!!!」
細い道を一列に並んだ妖獣たちは勢いよくのびた霊剣に串刺しにされ、悲鳴を上げる。
「なにィ!!」
「バカがかかったぜ。こいつらを一直線に並ばすためにわざと狭い道におびきよせたんで。」
「ぬうう、しかしワシの分身妖獣はその程度で死ぬほどヤワではないぞ。そのまま奴に喰らいつけ!!」
「おお!?おおおおおおお!!おりゃああ!」
しかし妖獣は白虎の言った通り死ぬどころか弱ることもせず、剣が刺さったまま突進した。
桑原くんはヤツらに刺したままの剣を持って、私たちが出てきた円形状の塔の周りをまわり始めた。
のびた剣の先をかぎ爪状にしてレンガの塔に引っ掛け、そのまま引っかかった先端まで走って自分が持っている一番後ろの部分とを結んでしまった。
「これでどうだぁあ!!見たかァ化け物の串刺しドーナツ・ヴァージョン!」
ハァハァと息を切らせながら妖獣たちの方を向いて満足げな顔をしている。
「霊気をむすんじまいやがった、非常識な奴だ。」
「もとがあいつの毛じゃ焼いても煮ても喰えん。」
飛影も浦飯くんもそれぞれ感想を言っている。
しかし驚いた、発想力もそうだけど霊気をむすんじゃうっていう器用さ。
霊感能力の高い桑原くんならではの勝利ね……。
