霊界探偵編
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「大丈夫か浦飯。」
「血管ぶちぎれるかと思ったぜ……。助かったぜ飛影!!サンキュー。……ヒヤヒヤさせやがって、役者だなオイ?性格がワリーのは変わってねーみてーだな。」
桑原くんが浦飯くんに声をかけると浦飯くんは返事をした後、飛影の肩に手を置きながら声をかけた。
「……フン、別に貴様らを助けたわけじゃない!!かんちがいするな。頭数がいた方がヤツらを倒しやすいのはオレも同じだからな。」
「フッ……彼流のお礼のつもりなんだ気にしないで。」
ツンデレか?
そんなことを考えながらみんなの後ろで見守る。
安心したら腰抜けた。
どうしよう。
「凛さん!大丈夫ですか!?」
後ろで座り込んでいる私に気づいた桑原くんが駆け寄ってきた。
皆も驚いて振り返って私を見る。
「お恥ずかしながら安心したら腰抜けました。……えへ。」
「お任せください!!この桑原和真が運んで差し上げます!!」
「えっ!?そ、そんな悪いよ。」
「遠慮なさらず!!」
桑原くんは背中にのれと言わんばかりに私の前にしゃがむと背を向けた。
おんぶ……恥ずかしいけど立てないしなあ。
ここは素直にお言葉に甘えようかな。
そう思って手を伸ばそうとすると体が浮いた。
「!?」
「オレが運ぶよ。」
耳元で声が聞こえる。
いつの間にか近くに来ていた蔵馬が私を持ち上げたらしい。
こ、これは……お姫様抱っこってやつですね……!?
「く、蔵馬さん……流石に恥ずかしいんですけど。」
「そうですか?でも急いでますからね、このまま行きましょう。」
「仲いーなおめーら。」
浦飯くんはそう言いながら先へ進んでいく。
飛影は鼻で笑いながら、心なしががっかりしているように見える桑原くんも先へ進んでいった。
「……。」
「オレたちも行きましょう。」
絶対楽しんでる、私の反応見て楽しんでる……!!
ジト目で見るが相変わらずスルーされた。
しばらく進むと浦飯くんが口を開いた。
「迷宮城っていうだけあって入りくんでんな。階段見つけて上に行こうぜ。親玉の部屋は最上階と相場が決まってっからな。」
「幽助!!こちら人間界のぼたんだよ、今んとこ混乱は起きてないよ。」
どこからかぼたんさんの声が聞こえた。
「おっ。」
心当たりがあるのか浦飯くんはポケットを漁ると丸いコンパクトのような物を取り出して開いた。
蓋の裏は画面になっていて中は少しのボタンがついていた。
「パトロールの途中で15匹魔回虫を始末しといたよ。」
「数千匹中の15匹か……。焼け石に水だな。やっぱ早いとこ虫笛を奪ってこわさねーと。」
「魔回虫ってやつは陰湿な心の人間にしか寄生しないからね。きっとそういう人間が少なくて寄生できずにオロオロしてたんだよ。まだまだ人間もすてたもんじゃないねェ。……あ、また一匹めっけ。でも嵐の前の静けさかもしれないから用心しながらも早いとこ頼んだよ!」
「おう!」
通信が切れたようだ。
師範は心配ないと思うけど皐の事は気になる。
皆だって家族や友達はいるし……早いところ終わらせないとね。
「さて……まだ町は無事みてーだ。急ぐか。あ……ところで蔵馬、四聖獣ってどんな奴らだ?妖怪の事ならオメー達の方がくわしいだろ。」
「蔵馬ありがとう、そろそろ大丈夫。降ろして?」
「そうですか?別にこのままでも構いませんよ。」
「もう!敵の反応が近くなってるの。」
蔵馬はくすっと笑って私を降ろすと、浦飯くんの方を向いて説明を続けた。
「霊界が彼らを魔界に封じこんでいることからもわかるように危険な連中だよ。かなり人間離れしているからびっくりするかもね。」
「お褒めの言葉ありがとうよ。」
廊下のつきあたりにある大きな扉から声が聞こえた。
「ここか!!」
浦飯くんは勢いよく扉を開けると、中にいたのはごつごつした岩のようでしっぽの生えた妖怪だった。
亀に似ていなくもない……?
「グフフ、よくきたな。玄武様がかわいがってやるぜ。」
「ででで、でけェ……!!」
やっぱり亀だった。
浦飯くんが驚くのも無理ないよね。
完全に化け物だものね。
妖力的には大したことないみたいだけど……。
何か特別な能力を隠しているかもしれないし、油断は禁物……。
「上に行く階段はここしかないぜ。俺を倒していくか死体となっていくかだ。」
そう言いながら玄武はスウッとしっぽを持ち上げると地面へたたきつけた。
たたきつけられた床は大きな窪みとなり、石の破片が散った。
「まとめてかかってきていいぜ。その方がオレも手間がはぶける。」
「じょ、冗談じゃねェぜ!!どうやってこんな化け物と闘うんだよ!?」
「オレがやろう、敵の性質がわからない以上全員で行くのは危険だ。」
「蔵馬!」
桑原くんはしっぽの威嚇で完全にビビっているようだ。
普通の人間の反応だししょうがないことだ。
妖力は大したことないとはいえ私だってできれば行きたくはないけど、……蔵馬が行くのか。
「それに飛影にばかりいい格好をさせるわけにはいかないしね。」
「うるさい!」
チラッと飛影を見ながら口角を上げた。
飛影はぷいっとそっぽを向いて言うが……。
あ……照れてる。
「ひとりずつ死にたいか、それもいいだろう。」
「ム、ムチャだぜ!それよりなんとかスキを見て上に進んだ方が……。」
「貴様は蔵馬の強さを知らんからな。なぜオレがヤツと手を組んだが教えてやる。敵にまわしたくないからだ。自分に危害を加えようとする者に対する圧倒的な冷徹さはオレ以上だぜ。……オレは危害を加えられなくてもやるけどな。」
「うん、飛影の言うとおりだよ。ここは蔵馬に任せよう?」
浦飯くんはスキを見て上がろうと提案し、桑原くんもそっち派のようだ。
しかし飛影は蔵馬なら大丈夫だと説明するので私もそれに乗る。
蔵馬が人間の姿になってからのちゃんとした戦闘を見るのは初めてだ。
蔵馬は皆の輪から外れ、歩いていくと玄武と向きあった。
「さぁ……どこからでもどうぞ。」
蔵馬が玄武に向かって言うが、玄武は黙って蔵馬を見ているだけだ。
威勢がよかった割には慎重派なの……?
「…………。こないならこちらからいきましょうか。」
「あの野郎のしっぽがかたい床の中にとけこむ様に入っている!?」
「!?」
浦飯くんの言葉にハッとしてしっぽを見ると確かに床の中に入っていっていた。
するとそのしっぽは勢いよく蔵馬の背後から出てきた。
「なにィ!!蔵馬の背後からしっぽだけ出てきた!!」
「!?」
「ぐはははオレは岩と一体となって移動することができるのだ。岩を通せばしっぽだけの移動など朝飯前よ!!」
蔵馬は浦飯くんの声でかろうじてしっぽの直撃は避けたが、ドシュっと嫌な音がして腹部に傷を作った。
「岩の中を通じてシッポが移動しやがった。く、蔵馬!!」
「岩と一体になりその中を自由に動けるオレにとってこの部屋全体がオレ自身なのだ。キサマに逃れる術はない!!」
「蔵馬大丈夫か!!」
「心配はいらない、かすり傷だ。不意をつかれて多少驚いたがね。」
蔵馬……。
前、飛影の剣が貫通したとこと同じ居場所。
あんなに血も出てるのにかすり傷なわけない。
「強がりもいつまで言っていられるかな……。これからが本番だぜ。」
「ああ!今度は玄武の体全部が岩の中に沈んでいく!」
「くくく。」
完全に沈んで部屋が静寂に包まれる。
どこから攻撃してくるかわからない玄武に蔵馬は部屋中を見るしかない。
息苦しいような張り詰めた空気が漂う。
「ばぁ!!」
「また後ろか!!」
声と共にバッと玄武が出てきて蔵馬は反応するが、同時に前からもしっぽが出てきて挟み撃ちの形になる。
今度は見えていたようでパンチやしっぽのふりおろしを華麗に体をひねって避けた。
玄武は当たらなかったのを見て体をまたスウっと床に沈めていった。
「また沈むぞ!」
「てめー汚ねェぞコラァ!」
浦飯くんと桑原くんは叫ぶ。
殺し合いに汚いも何もないけど……。
……妖力は大したことないって思っていたけど、こういう戦いの仕方をするわけね。
「オラオラ!逃げてばかりでは勝てんぞ!!」
玄武はまた死角から出てきて蔵馬を襲うがひらりとかわす。
「確かに貴方の言う通りだ。オレも本気を出そう。」
玄武の言葉を受け、蔵馬は受け身をとってしゃがんだ態勢から髪へ手をやり、その中から一輪のバラの花を出す。
「バッバラの花~~~!?蔵馬ァ血迷ったのか!!」
「もちろんただのバラじゃない。
「あ……部屋中バラの香りが。」
「キザなヤローだ奴もいけ好かん。」
蔵馬が薔薇を振ると一瞬にして棘のあるムチに変わった。
同時に薔薇の濃い香りが部屋を満たす。
「くくくバカめ。どこから攻撃するかわからない相手にムチなどふりまわす余裕があるとおもうのか。」
「そう思うならばどこからでもどうぞ。」
「……おもしろい!!一撃でズタズタにしてくれるわ。」
姿を見せないまま声だけ聞こえる玄武に対し、蔵馬はムチを持ったままスッと目を閉じ集中した。
「上か!!」
「な、なぜオレの位置が……!?」
「フッ臭いさ。薔薇の香りで洗われたこの部屋で貴方の妖気はひどく臭う。」
「とらえた!!あのムチについているトゲは鉄をも切り裂くとぎすまされた刃だ!」
「
玄武が姿を現すと同時にムチを振り上げそのまま玄武をとらえた。
ドォォオオンとものすごい重量感のある音を立てて、切られた玄武が床に落ちる。
「やったぜ!一撃でやられたのは玄武の方だ!!」
「なーんでェあのヤロォまるで弱いじゃねェか!」
「バカめ、蔵馬だからこそ簡単に倒した様にみえるんだ。お前らだったら最初の一撃で死んでいる。」
「てめーはいちいちカンにさわるヤローだな。ああ!?お!?いいかオレはな幻海師範の後継者大会で第3位の実力の持ち主だぞ!」
「知るかバカめ。」
「蔵馬!お腹の傷、みせて。」
桑原くんと飛影の言い合いを横目に蔵馬に走り寄り、腕をつかんだところで生体を感知した。
……!!
まだ反応が消えていない。
「蔵馬……。」
終わっていないことに落胆し顔を見ると、蔵馬も何か察していたようでうなずいた。
つかんでいた手を放し、後ろへ下がる。
「……どうやらまだのようだ。」
「え!?」
浦飯くんは後ろを向くと驚いた。
バラバラにして倒したはずの玄武のパーツがガコンと音を立てながら元に戻っていったのを目にしたのだ。
その様子をじっと見ていると完全にもとの姿に戻っていった。
「ムダだ!!いくら切ってもオレは倒せんぞ!!」
「あのヤロォ!切っても元に戻りやがる!!まさか不死身かぁ!?」
「元に戻るどころか自ら分裂することもできるぞ!この様にな!!
「ちいっ」
宣言通りバラバラになった玄武は蔵馬めがけて勢いよく一直線に向かっていった。
蔵馬は向かってきたパーツを鞭で粉々にした。
「やったぜ!!今度はコナゴナだ!」
「あれならいくらなんでも……。」
その言葉にニヤッと笑うと粉々になった体は再び1ヵ所に集まり玄武の形を作っていった。
「くっくっく、ムダだというのがわからんのか。」
「ゲェ……あれでもダメなのか!?これじゃぁ勝ち目がねェぜ。」
蔵馬……。
ハラハラしながら勝負の行く末を見守る。
最初の一撃が効いているのかかなり消耗しているように見える。
さっき何かに気づいていたようだけど……。
「遊びは終わりだ。死ね!!爆裂岩衝弾!!」
「くっ。」
再びバラバラになって蔵馬を襲う。
破片が当たり体中に傷を作りながらも玄武の体をムチで切り刻むが、腹部が痛んだのか押さえながら膝をついた。
「蔵馬!?」
駆け寄ろうとするが蔵馬はこちらを向き手で制止をかけた。
「凛、大丈夫ですから離れたところで待っていてください。」
「……うん。」
どう見ても大丈夫そうに見えないけれど、蔵馬がそういうのだから黙ってみていよう。
何か考えがあるんだよね……?
胸の前で手を握り勝利を祈った。
