霊界探偵編
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「おめでとう、浦飯くん。桑原くんの応急処置はしておいたけど、複雑なところは師範にやってもらうことにした。」
師範の方へ視線を向けるとうなずいた。
「本来、あたしの霊波動はこーゆー使い方をするべきものなのじゃからな。」
そういって桑原くんの方へ歩いて行った。
ぼたんさんは倒れた乱童を拾い上げて、乱童自身が出した糸で縛っていた。
私は浦飯くんの近くまで行って治癒能力を使う。
思った以上に浦飯くんの回復速度が速く、そんなに力を使わずに済んだ。
「すげーな、ぼたんの治癒能力とはまたちげーみてーだけど。」
「うん、霊力使っているわけじゃないからね。それにしても浦飯くんの回復速度には驚いたよ。」
「そーか?」
浦飯くんは寝ころんだまま手をグーパーしながら動けるか確かめ、そして力が戻ったのを確認すると立ち上がった。
ぼたんさんは縛り終わったのか乱童の髪をつまみながらこちらを向いた。
「乱童はこのまま金庫にでも入れて連行するよ。」
「自分が出した糸でしばられてちゃ世話ねー。よーし、これで任務終了!!約束の東京ドーム世界格闘技戦を見にいくぜ!」
「あれだけ戦ってまだこりないかね。」
「またんか、なにを言っとるお前は。」
「えっ。」
笑顔で任務終了と言ってぼたんさんに呆れられる浦飯くんだが、そこに師範の待ったがかかった。
ま、帰れるわけないよね。
「奥義はお前に渡すといったろーが幽助!……これからみっちり霊光波動拳の基礎を教えてやる。当分の間ここで修業してもらうぞ!!」
「な、なんだって~~!!」
広大な山々に浦飯くんの叫びが響いた。
「えっと、頑張ってね?」
「まちな!凛、お前もだよ!まったく簡単に頭に血が上って我を忘れよって……!みっちり精神修行してやる。」
「ひえっ……。」
苦笑しながらぼたんさんと一緒に離れようとしたが、どうやらそうもいかないようだ。
そして半月が過ぎ……。
久しぶりの学校だけど蔵馬いるかな……?
今回はぼたんさんに蔵馬への伝言を頼んだから心配はしてないはずだけど。
っていうか私進級大丈夫なのかな……。
前の件も合わせると結構休んじゃっているんだけども。
教室についてドアを開けるとガタンと音がした。
音がなったほうへ視線を向けると高校から仲良くなった
「凛!!」
「えっと、皐……久しぶり。」
「久しぶり、じゃないよ!もう、心配したんだよ?最近よく休むから!」
「ご、ごめん。」
皐は腰に手を当てながらいかにも怒っていますという感じだ。
蔵馬を怒らせないようにって考えてたら皐のことまで頭が回らなかった。
これは反省……。
……もともと妖怪だってことであまり友達を作ってこなかった。
小学生の時に私を狙ってきた妖怪が当時親しくしていた子をさらった事件から友達を作るのが怖くなってしまったのだ。
だから中学でも親しい人は作らなかったし高校でも作る気はなかった。
でも彼女は私が冷たくしても何故か話しかけてきて、結局私が折れた形で今に至る。
「ま、南野くんから両親の件で用事だって聞いてたから実はそんなに怒ってないんだけどね。」
「え?」
「最近仲いいなって思ってたけど、なになに?付き合ってんの?あんたたち!」
「いやいや、昔の知り合いだってわかって仲良くなっただけよ。」
「えー?つまんなーい!せっかくの美男美女が浮いた話の一つもないとは……。」
「美男はまあ、南野くんかっこいいし認めるとして美女はいいすぎでしょうに。」
蔵馬から話を聞いてるってのも驚きだけど、誰が美女よ。
恥ずかしい。
「おはようございます、藍田さん。両親の件は片付いたんですか?」
「お、南野くん!噂をすればだね。」
「噂?」
「き、気にしなくてもいいよ。」
絶対聞こえてたよね!
そんなきょとんとした顔してもわかるよ!
ジト目をして蔵馬の方を見るとにっこり微笑み返された。
ぐ……作った笑顔でもまぶしい、美人の笑顔まぶしい。
ふと思う。
……最近いろいろ慌ただしくてこんなやり取りもいつぶりだろう。
なんか、嬉しいな。
「ふふっ。」
「……凛、そんな顔もできるのね?初めて見たかも。」
「え?」
「幸せそうな顔!」
「そんな顔してた?」
「「して(まし)た。」」
かぶってるかぶってる。
……もちろん皐のおかげもあるんだけど、そう思えるのはやっぱり蔵馬のおかげなんだろう。
精神的に支えられてる、そう思う。
授業が一通り終わり、皐はバイトがあるからと聞いていたので今日は違う目的の人物を探す。
ちょうどバッグに教科書やノートをしまっているところだ。
帰られてしまう前に小走りで机の前までいって話しかける。
「南野くん。」
「どうしました?」
声をかけると鞄に詰めていた手を止め、私の方へ顔を向ける。
顔を動かしたときに揺れた髪が光に当たって煌めく。
深紅、きれいだなあ。
はっ……見とれてる場合じゃないわ。
「……部活の後でいいの、時間ある?」
「もちろん、というかオレも話がしたいし今日は休みますよ。」
「えっ、大丈夫なの?」
「幽霊部員多いですし、オレが休んだところで変わりませんよ。いきましょう。」
蔵馬は素早く教科書をしまい、席を立って廊下へ歩き出す。
教室で部活が終わるのを待つ気マンマンだったため、机に鞄を置いたままだった私は急いで鞄を持って後を追う。
教室を出てすぐの廊下で待ってくれていた蔵馬に追いつくと並んで歩きだす。
「いなかった間、先生にもいろいろ言ってくれてたんだね?補習を受ければテストの結果次第で日数何とかしてくれるって説明されたよ。」
「今回は霊界案内人から事情を聴いていましたからね、できることをしたまでですよ。」
「ありがとう、本当に助かったよ……!師範ったら帰すつもり全くないんだもの。」
「……それはしょうがないですよ、我を忘れて変身したらしいじゃないですか。」
「げ……。」
知ってますよ?と言わんばかりににっこり笑う彼を見て戦慄が走った。
「昔言いましたよね、感情的になりすぎるって。」
「お、覚えてるよ?でもぐっと我慢して冷静に見るのって難しいよ。」
「そうですね……感情が豊かなのはキミのいいところだ、だけど今回のようにそれが原因で危ない目にあうことだってある。わかってくれますよね?」
「……うん、善処する。今回はそのための精神修行だったわけだから。心配してくれてありがとう。」
「いえ、わかってもらえればいいんです。」
一つ息をつくと鞄を持ちなおして蔵馬を見る。
怒ってはいなさそうだ。
じっと見ていると蔵馬は困ったように笑って口を開く。
「怒ってませんよ、そんなにじっと見ないでください。」
顔色を伺ってたの、バレていたみたいだ。
へへへ、と笑いながら視線を外す。
そしてまた一呼吸おいて蔵馬を見つめる。
「……あのね。」
「はい。」
「人間界に来ていろいろあって……高校生になって蔵馬と再会した。精神的にすごく助けてもらってるなって、そう思うの。本当にありがとう。感謝してる。」
「前も言ったとおり、オレにとってあなたは大事な人だ。できることはするつもりですよ。お礼を言われるようなことはしていません。……でも、支えになれているのであればよかった。」
目を細めてふっと笑った蔵馬を見て、少し目頭が熱くなる。
心からあふれる喜びが目からこぼれそうだ。
隠すように蔵馬から目を外すと下を向いた。
その様子を見てなのかくすくすと笑う声が聞こえた。
「そうだ、あとで霊界探偵助手のぼたん、でしたっけ?彼女から聞くと思いますが今度幽助に協力することで免罪も可能って話になったんですよ。」
「えっ!?」
その言葉に驚いて涙が引っ込み、再び蔵馬を見た。
「ついでに飛影もね。」
「そうなの!?よかった、お手伝いさえすれば今まで通りにすごせるんだね!」
「……その手伝いが少々厄介な感じなんですが、まあしょうがないですね。」
厄介?一体どんな依頼なんだろう。
蔵馬が厄介っていうくらいだからそれなりの依頼なんだろうけど。
疑問を残したまま蔵馬と別れ、帰宅した。
感謝も伝えられて満足な一日だった。
そして……。
数日経った土曜日、ぼたんさんから連絡があった。
霊界探偵補佐への指令である。
要約するとこうだ。
人間界への移住権を求めている四聖獣が
その作戦に加わってほしいということだった。
魔回虫が数千匹って……。
陰気な心を好む魔界の虫。
あの虫に寄生されたら破壊・暴力・殺害衝動……そういうものが強力にひきおこされる。
普通の人間には見えないから注意したって無駄。
……四聖獣と戦って虫笛を壊すしかないわけね。
蔵馬が言ってた厄介な依頼、もといお手伝いってこれのことか。
浦飯くんとなぜか桑原くんも行くことになったって言ってたけど……。
そこで考えるのをやめ、出撃の用意をしてぼたんさんから聞いた待ち合わせ場所まで走った。
行く気がすごくあるらしいから急がなきゃ。
