霊界探偵編
お名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なんで私のこと……。
「馬鹿だね、覚えてないのかい。」
「……はい。」
桑原くんが酷い目にあわされたあとの記憶がない。
あの瞬間目の前が真っ白になって。
気づいたら倒れていた。
「未熟者、暴走して変身したんだ……あたしが止めたけどね。」
師範は腕を組みながら咎めるような目で私を見る。
「ビックリしたさね……完全に我を失ってたよ……?」
「う……。」
力の制御は何とかなってきたけど……。
自分を律するのは……。
知り合いがやられるのを見て冷静ではいられないよ。
昔、お前は感情的になりすぎるって怒られたっけ。
あの頃からかわってないな、私。
せっかく師範に力の使い方教わったのに、これじゃ……意味ない。
もし……。
師範がいなかったら……。
私にどの程度力があるかわからないけれど。
きっと毒をふりまいて皆にも迷惑をかけていたはず。
使う毒によっては殺していたかもしれない。
頭にきた時こそ冷静になれ、か。
ああ、落ち込むなぁ。
その時浦飯くんが殴られて仰向けに倒れた。
「浦飯くん!!」
「……もう何言われよーが動け……ねェ、勝手にしや……がれ。」
霊気の残量はもうない、肉体的にも限界なのが分かる。
どうしよう……このままじゃ浦飯くんも……。
「どうやら本当に力尽きたようですね、ならばせっかくの機会だしあなたも縮身の呪術でほうむってあげましょう。」
「そんな……。」
「私が呪文を唱え終えたとき、あなたに万が一の勝機すらなくなります!くくく……そしてそこの妖怪と奥義は私のものです!!」
「私はあなたのものにはならないし、絶対止めて見せるわ。」
言い返すが乱童はうすら笑いを浮かべて縮身の呪術を浦飯くんに唱え続ける。
師範の方を見るが手を出すなと言わんばかりにこちらに視線をよこす。
「フフフ……終わってしまいましたよ、あなたの体はどんどん縮むだけ!さあどうやって殺してあげましょうか?骨という骨を全部くだいた後、虫けらのようにふみつぶしてあげるというのはどうですか?」
おかしい、浦飯くんの体が縮まない……。
それどころか乱童の体がどんどん縮んでいく。
呪術の失敗?そんなこと……。
でも、これなら……!!
「な、なに!?ま……まさか、まさか!!縮んだのは僕なのか!!?」
「?」
「一体……これは!?」
「……技におぼれたな乱童、呪術は術が失敗すれば呪いは己の身に返ってくる危険なもの……不用意になん度も使うべきではなかったな。」
「失敗!?バカな!!ボクの念はカンペキだった!!」
乱童は額に汗をかき、明らかに動揺しているのが見て取れる。
妖気も動揺で乱れてる……。
今なら倒せる、けど浦飯くんにその力が残っているかどうか。
「縮身の呪術は相手の聴覚を通し脳細胞から全身へと直接念波を送り込む術で極めて無防備な相手にしか通用せん不完全な技だったのじゃ、そのことを知っている者であれば耳をふさぐだけで呪いをふせげるような……な。」
「そ……そんな!し、しかし奴はそのことを知らないはず。」
師範の言葉を聞きさらに動揺する乱童。
でも失敗したってことは浦飯くんの耳は今聞こえていないことになる。
「さっきから全然耳がきこえねーぞ。」
そう言いながらトントンと手で頭を叩きながら耳の中から何か出そうとする。
まさか……。
「!?ゲ……池の藻が……こんなに!聞こえねーはずだ。」
落ちたときに藻が入っていたのね!
そのせいで聞こえなかったんだ。
風丸さんの時もだけど何て強運の持ち主なんだろう……。
「他人の技を盗むことのみ執着し技の本質をつかめなかったお前の負けじゃ!!」
「敗北!?ふざけるな!!解呪の呪文を唱えればすぐにもと通りに……なっ!?」
「へへ……おめーが呪文を唱え終わるまで待つほどオレがお人よしに見えるか?も、もうパンチ一発打つ力も残ってねェがオメーに向かって倒れこくことぐらいはできるぜ!」
師範が乱童に向かって負けを宣言するが乱童は否定し解呪の呪文を唱えようとした。
が、フラフラながらも立ち上がった浦飯くんはそのまま重力に身を任せ、乱童へと倒れこむ。
「エルボー・ドロップ!!」
見事に肘がきまり乱童は気絶した。
顔にきまったようで顔がすごいことになっている……。
「……も……もう立てねェ……キン〇マの位置直す力も残ってねーぞ、どうだいバァサンわれながらみっともねェ姿だが一応勝ったぜ。」
「うむ、奥義継承者 浦飯幽助に決定!!」
「やったー!!」
ぼたんさんと師範は浦飯くんと乱童のところまでいって勝利を喜び。
私は桑原くんの横でその様子を少し遠くから見ていた。
「おめでとう、浦飯くん。桑原くんの応急処置はしておいたけど、複雑なところは師範にやってもらわないと私ではダメみたい。」
師範の方へ視線を向けるとうなずいた。
「本来、あたしの霊波動はこーゆー使い方をするべきものなのじゃからな。」
そういって桑原くんの方へ歩いて行った。
ぼたんさんは倒れた乱童を拾い上げて、乱童自身が出した糸で縛っていた。
私は浦飯くんの近くまで行って治癒能力を使う。
思った以上に浦飯くんの回復速度が速く、そんなに力を使わずに済んだ。
「すげーな、ぼたんの治癒能力とはまたちげーみてーだけど。」
「うん、霊力使っているわけじゃないからね。それにしても浦飯くんの回復速度には驚いたよ。」
「そーか?」
浦飯くんは寝ころんだまま手をグーパーしながら動けるか確かめ、そして力が戻ったのを確認すると立ち上がった。
ぼたんさんは縛り終わったのか乱童の髪をつまみながらこちらを向いた。
「乱童はこのまま金庫にでも入れて連行するよ。」
「自分が出した糸でしばられてちゃ世話ねー。よーし、これで任務終了!!約束の東京ドーム世界格闘技戦を見にいくぜ!」
「あれだけ戦ってまだこりないかね。」
「またんか、なにを言っとるお前は。」
「えっ。」
笑顔で任務終了と言ってぼたんさんに呆れられる浦飯くんだが、そこに師範の待ったがかかった。
ま、帰れるわけないよね。
「奥義はお前に渡すといったろーが幽助!……これからみっちり霊光波動拳の基礎を教えてやる。当分の間ここで修業してもらうぞ!!」
「な、なんだって~~!!」
広大な山々に浦飯くんの叫びが響いた。
「えっと、頑張ってね?」
「まちな!凛、お前もだよ!まったく簡単に頭に血が上って我を忘れよって……!みっちり精神修行してやる。」
「ひえっ……。」
苦笑しながらぼたんさんと一緒に離れようとしたが、どうやらそうもいかないようだ。
そして半月が過ぎ……。
久しぶりの学校だけど蔵馬いるかな……?
今回はぼたんさんに蔵馬への伝言を頼んだから心配はしてないはずだけど。
っていうか私進級大丈夫なのかな……。
前の件も合わせると結構休んじゃっているんだけども。
教室についてドアを開けるとガタンと音がした。
音がなったほうへ視線を向けると高校から仲良くなった
「凛!!」
「えっと、皐……久しぶり。」
「久しぶり、じゃないよ!もう、心配したんだよ?最近よく休むから!」
「ご、ごめん。」
皐は腰に手を当てながらいかにも怒っていますという感じだ。
蔵馬を怒らせないようにって考えてたら皐のことまで頭が回らなかった。
これは反省……。
……もともと私は妖怪だってことであまり友達を作ってこなかった。
小学生の時に私を狙ってきた妖怪が当時親しくしていた子をさらった事件から友達を作るのが怖くなってしまったのだ。
だから寂しいとは思っていたけれど、高校でも作る気はなかった。
でも彼女は私が冷たくしても何故か話しかけてきて、結局私が折れた形で今に至る。
「ま、南野くんから両親の件で用事だって聞いてたから実はそんなに怒ってないんだけどね。」
「え?」
「最近仲いいなって思ってたけど、なになに?付き合ってんの?あんたたち!」
「いやいや、昔の知り合いだってわかって仲良くなっただけよ。」
「えー?つまんなーい!せっかくの美男美女が浮いた話の一つもないとは……。」
「美男はまあ、南野くんかっこいいし認めるとして美女はいいすぎでしょうに。」
蔵馬から話を聞いてるってのも驚きだけど、誰が美女よ。
恥ずかしい。
「おはようございます、藍田さん。両親の件は片付いたんですか?」
「お、南野くん!噂をすればだね。」
「噂?」
「き、気にしなくてもいいよ。」
絶対聞こえてたよね!
そんなきょとんとした顔してもわかるよ!
ジト目をして蔵馬の方を見るとにっこり微笑み返された。
ぐ……作った笑顔でもまぶしい、美人の笑顔まぶしい。
ふと思う。
……最近いろいろ慌ただしくてこんなやり取りもいつぶりだろう。
なんか、嬉しいな。
「ふふっ。」
「……凛、そんな顔もできるのね?初めて見たかも。」
「え?」
「幸せそうな顔!」
「そんな顔してた?」
「「して(まし)た。」」
かぶってるかぶってる。
……もちろん皐のおかげもあるんだけど、やっぱり蔵馬のおかげなんだろう。
いるだけで心強い、そう思う。
