再会編
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その能力を初めて見たのは帰り道にある公園でだった。
住宅街の中にある小さな公園。
自分の足音以外は聞こえない静かな夜だった。
本屋で参考書を買った帰りに微かな妖気を感じ、その妖気の元を探り近付くと女性が桜の木の下に座り込んでいた。
害があるのかわからない。
警戒をし、少し遠くから観察していると一瞬妖気が大きくなり反射的に身構える。
すぐ感じられないほどの妖気に戻り、数秒して元気な犬の声が聞こえてきた。
「よかったね、お前の病気はこれで治ったはずだよ。」
「わふっ!」
「舐めないでよ、くすぐったいったら!」
……聞く限り治癒能力だろうか。
彼女はそういって子犬を放したあと勢いよく振り返ってこちらをじっと見た。
そして小首を傾げてやや小走りで公園を去って行った。
……こちらを伺っていたようだがバレてはいないようだな。
公園の照明が近かったおかげで顔ははっきり見えた。
ミルクティーのような色のセミロングヘア。
海のような澄んだブルーの瞳。
驚いた事に高校でのクラスメイトだ。
彼女の名は確か、藍田凛。
中学での成績は上の中あたりで確か運動神経はいいと聞いている。
あまり親しい友達は作らなかったと。
学校では気づかなかったが大きくなった時の妖気は今のオレには十分に脅威になりえる強さだ。
去り際に声をかけるかどうか迷ったが今の所は害になりそうにないと判断してそのまま見送った。
「明日から少々観察する必要がありそうですね。」
ポツリと声がこぼれた。
次の日からさっそく観察を始めたが、気づいているのかいないのか時々こちらを見ている気配がする。
別に今は敵対する気は無い。
見極めたいだけ、自分に害があるのかどうかを。
学校にいる間はやはり妖気は感じられないみたいだった。
あの夜の事がなければ今も普通のクラスメイトとして接していただろう。
オレが気が付かなかったくらいなのだから隠すことは得意なのかもしれない。
「ふぅ……。」
今日の授業がすべて終わって彼女が教室を出ていくまで気を緩めなかったからか、どっと疲れが押し寄せてきた。
魔界にいた時とは比べ物にならないほど平和な日々を過ごしてきたせいか緩みすぎていたことに苦笑がこぼれた。
下駄箱で彼女と友達が話しているのを横目で見てそのまま通り過ぎる。
背中に彼女の視線を感じた。
オレが観察していることに気付いているようですね……。
鈍くはないらしい。
学校を出て家へ近づくと知った妖気を感じた。
自室のドアを開けると上からベランダへ降りてくる気配がする。
暗闇に黒い影。
「珍しいですね飛影、どうしました?」
パチリと電気をつけ、窓を開けると靴のまま彼は入ってくる。
「ふん、分かっているくせにいちいち聞くな。」
今密かに計画している活動の仲間。
利害が一致しているから行動を共にしているだけだが、彼とは中学校時代からの付き合いもある。
飛影は目線を外して外を見た。
「昨晩のことだ。」
「……あなたも感じましたか。」
計画の事で来たのかと思ったがどうやら昨晩の妖気の正体を知りたいらしい。
「オレにも正体はわかりません、知っている人だったので今日1日観察をしてみましたが特に何もありませんでしたね。」
「知っている奴だったのか?お前が見落とすなど珍しい事もあったものだな。」
「オレも驚いていますよ、今日観察していてもなんら一般人とかわりない……昨日のことがなければ警戒しようとも思わないほどに妖気の痕跡がないんです。」
飛影は眉間にシワをよせてこちらを向き、少し考える素振りを見せたあとまた外を見た。
「まあいい、計画に支障がでなければ俺にはどうでもいいことだ。」
「飛影らしいですね、オレは生活がかかっているのでもう少し様子を見ますよ。」
「せいぜい頑張れ。」
そう言って彼はスっと窓からでていった。
「全く……、部屋に上がる時は靴くらい脱いでくださいよ。」
床の上に付いた靴跡を見て大きくため息をつく。
何度言っても彼は人間の常識を理解しようとしない。
俺には関係ないと思っているんでしょうね……。
「やれやれ、出会ってから半年ほど経つのに困った人ですね。」
住宅街の中にある小さな公園。
自分の足音以外は聞こえない静かな夜だった。
本屋で参考書を買った帰りに微かな妖気を感じ、その妖気の元を探り近付くと女性が桜の木の下に座り込んでいた。
害があるのかわからない。
警戒をし、少し遠くから観察していると一瞬妖気が大きくなり反射的に身構える。
すぐ感じられないほどの妖気に戻り、数秒して元気な犬の声が聞こえてきた。
「よかったね、お前の病気はこれで治ったはずだよ。」
「わふっ!」
「舐めないでよ、くすぐったいったら!」
……聞く限り治癒能力だろうか。
彼女はそういって子犬を放したあと勢いよく振り返ってこちらをじっと見た。
そして小首を傾げてやや小走りで公園を去って行った。
……こちらを伺っていたようだがバレてはいないようだな。
公園の照明が近かったおかげで顔ははっきり見えた。
ミルクティーのような色のセミロングヘア。
海のような澄んだブルーの瞳。
驚いた事に高校でのクラスメイトだ。
彼女の名は確か、藍田凛。
中学での成績は上の中あたりで確か運動神経はいいと聞いている。
あまり親しい友達は作らなかったと。
学校では気づかなかったが大きくなった時の妖気は今のオレには十分に脅威になりえる強さだ。
去り際に声をかけるかどうか迷ったが今の所は害になりそうにないと判断してそのまま見送った。
「明日から少々観察する必要がありそうですね。」
ポツリと声がこぼれた。
次の日からさっそく観察を始めたが、気づいているのかいないのか時々こちらを見ている気配がする。
別に今は敵対する気は無い。
見極めたいだけ、自分に害があるのかどうかを。
学校にいる間はやはり妖気は感じられないみたいだった。
あの夜の事がなければ今も普通のクラスメイトとして接していただろう。
オレが気が付かなかったくらいなのだから隠すことは得意なのかもしれない。
「ふぅ……。」
今日の授業がすべて終わって彼女が教室を出ていくまで気を緩めなかったからか、どっと疲れが押し寄せてきた。
魔界にいた時とは比べ物にならないほど平和な日々を過ごしてきたせいか緩みすぎていたことに苦笑がこぼれた。
下駄箱で彼女と友達が話しているのを横目で見てそのまま通り過ぎる。
背中に彼女の視線を感じた。
オレが観察していることに気付いているようですね……。
鈍くはないらしい。
学校を出て家へ近づくと知った妖気を感じた。
自室のドアを開けると上からベランダへ降りてくる気配がする。
暗闇に黒い影。
「珍しいですね飛影、どうしました?」
パチリと電気をつけ、窓を開けると靴のまま彼は入ってくる。
「ふん、分かっているくせにいちいち聞くな。」
今密かに計画している活動の仲間。
利害が一致しているから行動を共にしているだけだが、彼とは中学校時代からの付き合いもある。
飛影は目線を外して外を見た。
「昨晩のことだ。」
「……あなたも感じましたか。」
計画の事で来たのかと思ったがどうやら昨晩の妖気の正体を知りたいらしい。
「オレにも正体はわかりません、知っている人だったので今日1日観察をしてみましたが特に何もありませんでしたね。」
「知っている奴だったのか?お前が見落とすなど珍しい事もあったものだな。」
「オレも驚いていますよ、今日観察していてもなんら一般人とかわりない……昨日のことがなければ警戒しようとも思わないほどに妖気の痕跡がないんです。」
飛影は眉間にシワをよせてこちらを向き、少し考える素振りを見せたあとまた外を見た。
「まあいい、計画に支障がでなければ俺にはどうでもいいことだ。」
「飛影らしいですね、オレは生活がかかっているのでもう少し様子を見ますよ。」
「せいぜい頑張れ。」
そう言って彼はスっと窓からでていった。
「全く……、部屋に上がる時は靴くらい脱いでくださいよ。」
床の上に付いた靴跡を見て大きくため息をつく。
何度言っても彼は人間の常識を理解しようとしない。
俺には関係ないと思っているんでしょうね……。
「やれやれ、出会ってから半年ほど経つのに困った人ですね。」