霊界探偵編
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朝日が登る前のまだ薄暗い時刻。
秋になってから少し経って、日が昇るのも遅くなってきているようだ。
ざわざわと木々が音をたてて揺れている。
黄色くなりかけた葉がゆらゆらと落ちた。
ぼたんさんのオールに乗せてもらいここまで来たのだが……。
霊界から人間界に出てきて見たものは。
山と森と森と森。
そして降り立った敷地には……。
目の前には大きい家。
後ろには立派な門。
上から見た時も思ったけどなんて広いところなの……?
動揺しながらキョロキョロしていると声が聞こえた。
「来たようだね。」
目の前の大きな家の引き戸がスッと開くと、ウエーブのかかった薄桃色の髪をした小柄なおばあさんがでてきた。
被っている帽子には霊の文字が書かれている。
この人が幻海師範。
超一流の霊波動の使い手。
じっと私の方を見るとぼたんさんを見て一言。
「全く霊界はすぐに私の所へ厄介事を持ち込むね、少しは年寄りをいたわることを覚えた方がいい。」
ぼたんさんは、あははーと笑いながら頭の後ろに手をやっている。
「で、お前が凛だね?見たところ普通の人間だが妖気が感じられる。」
再び、じっと見つめられて思わず悲鳴をあげそうになった。
眼力が半端じゃない。
黙っているわけにもいかず自己紹介をする事にした。
「元吸血鬼の妖怪で凛といいます。訳あって人間の身体になりました……。力の扱い方を教えていただきたくてコエンマ様に紹介していただきました。」
「ふーむ……。ぼたん、帰っていいよ……。後はこっちでやっておく。」
ぼたんさんはビシッと敬礼したあとオールに乗って戻って行ってしまった。
去り際に凛ちゃん、しっかり学んでくるんだよ!と言い残して。
あっという間に空に消えてしまったぼたんさんの方をポカンと見ていると、何をぼさっとしているんだい!お前はこっちだよ!と怒られてしまった。
うう……こわい。
ちゃんとやっていけるか不安だ。
ハッ……!
いや、弱気になっちゃダメだ!
顔をパチンと叩くと頭を振って前を見据えた。
「そこで靴を脱いで入ってきな。」
引き戸の前でそういうと幻海師範は中へ入っていった。
「お邪魔します……。」
靴を脱ぎ、揃えると一応声をかけて中に入る。
案内されたのはお茶の間だった。
畳のいい匂いがする、変えたばかりなのだろうか。
古い家だが埃っぽさはなく綺麗にされている。
「座りな。」
幻海師範は座布団を出すとお茶を汲んでくると言って部屋を出ていった。
出された座布団を少しの間立ったままじっと見ておずおずと座る。
見知らぬ場所に一人でいるのはなんだかソワソワする。
キョロキョロしていると廊下から足音が聞こえ引き戸が開いた。
ちゃぶ台に湯呑みを置くと私の対面に腰を下ろした。
「それでも飲んで少しは落ち着きな。取って食いやしないよ。」
「!……はい、いただきます……。」
暖かいお茶を飲んで身体の力が抜けたのか少し気が楽になった。
心の余裕も出てきたのかさっきまで聞こえなかった時計の音や外で鳴いている鳥のさえずりも聞こえるようになったみたいだ。
「落ち着いたようだね。」
「はい、ありがとうございました……。なれない事の連続で最近心が休まらなくて……。」
「そうかい、そりゃ大変だったね。……しかしお前がお前である限りこれからも大変な事が続くだろう、覚悟はしておくんだよ。」
「私が私である限り……。」
人間の器であろうと私が吸血鬼の凛である限り大変なことは一生続く。
大きく息を吐いて覚悟を決める。
「幻海師範、私に力の使い方を教えてください。乗り越えるための力をください。」
師範はじっと私を見つめるとニヤッと笑ってこれからのことを話した。
「お前の努力次第だよ。」
師匠曰く、リングがあるとはいえいつどうなるかわからない状況らしい。
学業は大事だが命あっての物種なので修行優先でやることを決めた。
とりあえず様子を見ながら1週間住み込みで修行する事にした。
1週間なら休んでも単位が取れないことは無いはず……!
「あたしゃ厳しいよ、しっかり付いてきな!」
「はい!」
こうして私の修行は始まった。
秋になってから少し経って、日が昇るのも遅くなってきているようだ。
ざわざわと木々が音をたてて揺れている。
黄色くなりかけた葉がゆらゆらと落ちた。
ぼたんさんのオールに乗せてもらいここまで来たのだが……。
霊界から人間界に出てきて見たものは。
山と森と森と森。
そして降り立った敷地には……。
目の前には大きい家。
後ろには立派な門。
上から見た時も思ったけどなんて広いところなの……?
動揺しながらキョロキョロしていると声が聞こえた。
「来たようだね。」
目の前の大きな家の引き戸がスッと開くと、ウエーブのかかった薄桃色の髪をした小柄なおばあさんがでてきた。
被っている帽子には霊の文字が書かれている。
この人が幻海師範。
超一流の霊波動の使い手。
じっと私の方を見るとぼたんさんを見て一言。
「全く霊界はすぐに私の所へ厄介事を持ち込むね、少しは年寄りをいたわることを覚えた方がいい。」
ぼたんさんは、あははーと笑いながら頭の後ろに手をやっている。
「で、お前が凛だね?見たところ普通の人間だが妖気が感じられる。」
再び、じっと見つめられて思わず悲鳴をあげそうになった。
眼力が半端じゃない。
黙っているわけにもいかず自己紹介をする事にした。
「元吸血鬼の妖怪で凛といいます。訳あって人間の身体になりました……。力の扱い方を教えていただきたくてコエンマ様に紹介していただきました。」
「ふーむ……。ぼたん、帰っていいよ……。後はこっちでやっておく。」
ぼたんさんはビシッと敬礼したあとオールに乗って戻って行ってしまった。
去り際に凛ちゃん、しっかり学んでくるんだよ!と言い残して。
あっという間に空に消えてしまったぼたんさんの方をポカンと見ていると、何をぼさっとしているんだい!お前はこっちだよ!と怒られてしまった。
うう……こわい。
ちゃんとやっていけるか不安だ。
ハッ……!
いや、弱気になっちゃダメだ!
顔をパチンと叩くと頭を振って前を見据えた。
「そこで靴を脱いで入ってきな。」
引き戸の前でそういうと幻海師範は中へ入っていった。
「お邪魔します……。」
靴を脱ぎ、揃えると一応声をかけて中に入る。
案内されたのはお茶の間だった。
畳のいい匂いがする、変えたばかりなのだろうか。
古い家だが埃っぽさはなく綺麗にされている。
「座りな。」
幻海師範は座布団を出すとお茶を汲んでくると言って部屋を出ていった。
出された座布団を少しの間立ったままじっと見ておずおずと座る。
見知らぬ場所に一人でいるのはなんだかソワソワする。
キョロキョロしていると廊下から足音が聞こえ引き戸が開いた。
ちゃぶ台に湯呑みを置くと私の対面に腰を下ろした。
「それでも飲んで少しは落ち着きな。取って食いやしないよ。」
「!……はい、いただきます……。」
暖かいお茶を飲んで身体の力が抜けたのか少し気が楽になった。
心の余裕も出てきたのかさっきまで聞こえなかった時計の音や外で鳴いている鳥のさえずりも聞こえるようになったみたいだ。
「落ち着いたようだね。」
「はい、ありがとうございました……。なれない事の連続で最近心が休まらなくて……。」
「そうかい、そりゃ大変だったね。……しかしお前がお前である限りこれからも大変な事が続くだろう、覚悟はしておくんだよ。」
「私が私である限り……。」
人間の器であろうと私が吸血鬼の凛である限り大変なことは一生続く。
大きく息を吐いて覚悟を決める。
「幻海師範、私に力の使い方を教えてください。乗り越えるための力をください。」
師範はじっと私を見つめるとニヤッと笑ってこれからのことを話した。
「お前の努力次第だよ。」
師匠曰く、リングがあるとはいえいつどうなるかわからない状況らしい。
学業は大事だが命あっての物種なので修行優先でやることを決めた。
とりあえず様子を見ながら1週間住み込みで修行する事にした。
1週間なら休んでも単位が取れないことは無いはず……!
「あたしゃ厳しいよ、しっかり付いてきな!」
「はい!」
こうして私の修行は始まった。