シロタエギク
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中学2年生に上がり学校生活にも慣れてきた6月。
園芸部である私は毎日早めに来て花壇の世話をしている。
今年は5月から暑くて花壇の手入れもちゃんとしないとすぐに水切れを起こすほどだ。
「毎日お疲れ様。」
「え?」
手を止めて後ろを振り向くとクラスメイトがにこやかに花を見ていた。
「幸村くん、おはよう。」
「おはよう藍田さん。」
「幸村くんも朝練お疲れ様。」
「ありがとう、じゃぁまた教室で。」
「うん、またね。」
穏やかな微笑みをたたえながらテニスバッグを背負いなおすと後ろにいたテニス部の面々に合流して歩いて行った。
みんな2年生なのにオーラあるなぁ。
彼らの後姿を見送ると花壇の状態を見て一息。
「よし、もうすこし草取ったら私も教室いかなくちゃ。」
10分ほど草取りをしてきれいになった花壇に満足。
少ししたらまた雑草まみれになるから毎日しないとなんだけど。
使った道具を倉庫に片づけて手を洗う。
あと10分くらいしかない、急がなきゃ。
この学校広いから余裕もっていかないと大変なのよね……。
チャイムがなるギリギリの所で駆け込みセーフ。
先生は既に来ていて毎日ご苦労様とわらっていた。
欲を言えばもう5分早いといいなぁと言われてしまった。
いつも草とりする時は夢中になってしまって時間を忘れてしまうのよね……。
最近はあまりギリギリまでやらなくなったんだけど……。
今日は何だか気になってついやってしまった。
幸村くんに声掛けてもらった時にやめておけばちょうどよかったんだろうなぁ。
ふと幸村くんの方を見ると少し顔を顰めていた。
でも瞬きをするといつものおだやかな表情だった。
……なんか一瞬顔色悪いように見えたけど見間違い?
すごく人気もあるし、花壇で作業している時にたまに声をかけてもらうくらいの間柄だからなんとなく近寄り難いんだよね……。
なんでもないといいんだけど。
朝礼を聞きながらそんなことを考えていた。
そこからなんとなく気になってたまにちらっと幸村くんを見てしまっていたんだけれど、特に何も無く穏やかないつもの表情のまま一日の授業を終えた。
気にしすぎだったみたい。
今日は朝に草取りしたし花壇の水やりしたら帰ろうかな。
授業が終わってみんなやりたいことをしに行くこの時間が少し好きなんだよね。
園芸部は基本的に花の植え替え時期以外はやりたい時にやるって感じだから急ぐ必要もないし。
運動部の人達は1年生の時よりはバタバタしていないもののまだ上級生はいるから少し急いでるのがわかる。
幸村くんも部室に向かうようだ。
わたしも花壇に行こうかな。
花壇につくと黄色いものが落ちていた。
テニスボールだ……。
ここからテニスコートってそこそこ近いけど柵もあるし滅多に飛んでくることないんだけど……。
1年生が飛ばしたのかな。
……これ、届けた方がいいよね?
その黄色を拾うと小学生以来久々のボールの触り心地になんだか懐かしくなった。
7歳の時、母に勧められてやったテニスは面白くてスクールに通うくらいだったけれど何となく部活ではやりたくなくて入らなかったんだよね。
通っていたスクールも中学生になる前にはやめなくてはいけなくなったし。
……水やり終わったら帰りしなに持っていこう。
水やりをササッと終えて再びボールを手に取るとテニス部が居るであろうコートへ近づいた。
そこには凛とした表情の幸村くんが先輩であろう背の高い人と試合をしていた。
……あんな表情するんだ。
穏やかな彼しか見た事なかったから少しびっくりだ。
わたしがやってたテニスとは違う……。
強いって聞いてはいたけど「常勝立海」さすがレベルが違う。
周りの部員に声をかけることを忘れて見事なテニスに見入ってしまった。
結果は幸村くんの圧勝。
1年の時から強いとは噂に聞いていたけれど……次元が違う。
見ていて圧倒されるような……そんな感じ。
試合が終わると先輩と話した後、幸村くんはこちらへ近づいてきた。
気づいていたのかな。
「藍田さん、珍しいね?どうしたの?テニス部に何か用かな。」
「えっと幸村くん、これ。ボールが花壇に落ちていたから届けに来たの。」
「……ありがとう。ボールが足りないって1年生が怒られるところだったよ。」
ふふっと笑っていつもの穏やかな笑い方に少しホッとした。
真剣な顔の幸村くんが全然知らない人のように思えたから緊張してたのかもしれない。
「これ渡しに来ただけだから、私帰るね。」
「気をつけてね。」
「うん、幸村くんも部活頑張って。」
「ありがとう。」
これ以上邪魔しないように短くやり取りをしてコートをあとにする。
少し歩いて振り向くと真剣な顔で黒い帽子の人と話していた。
応援したいなって素直にそう思った。
園芸部である私は毎日早めに来て花壇の世話をしている。
今年は5月から暑くて花壇の手入れもちゃんとしないとすぐに水切れを起こすほどだ。
「毎日お疲れ様。」
「え?」
手を止めて後ろを振り向くとクラスメイトがにこやかに花を見ていた。
「幸村くん、おはよう。」
「おはよう藍田さん。」
「幸村くんも朝練お疲れ様。」
「ありがとう、じゃぁまた教室で。」
「うん、またね。」
穏やかな微笑みをたたえながらテニスバッグを背負いなおすと後ろにいたテニス部の面々に合流して歩いて行った。
みんな2年生なのにオーラあるなぁ。
彼らの後姿を見送ると花壇の状態を見て一息。
「よし、もうすこし草取ったら私も教室いかなくちゃ。」
10分ほど草取りをしてきれいになった花壇に満足。
少ししたらまた雑草まみれになるから毎日しないとなんだけど。
使った道具を倉庫に片づけて手を洗う。
あと10分くらいしかない、急がなきゃ。
この学校広いから余裕もっていかないと大変なのよね……。
チャイムがなるギリギリの所で駆け込みセーフ。
先生は既に来ていて毎日ご苦労様とわらっていた。
欲を言えばもう5分早いといいなぁと言われてしまった。
いつも草とりする時は夢中になってしまって時間を忘れてしまうのよね……。
最近はあまりギリギリまでやらなくなったんだけど……。
今日は何だか気になってついやってしまった。
幸村くんに声掛けてもらった時にやめておけばちょうどよかったんだろうなぁ。
ふと幸村くんの方を見ると少し顔を顰めていた。
でも瞬きをするといつものおだやかな表情だった。
……なんか一瞬顔色悪いように見えたけど見間違い?
すごく人気もあるし、花壇で作業している時にたまに声をかけてもらうくらいの間柄だからなんとなく近寄り難いんだよね……。
なんでもないといいんだけど。
朝礼を聞きながらそんなことを考えていた。
そこからなんとなく気になってたまにちらっと幸村くんを見てしまっていたんだけれど、特に何も無く穏やかないつもの表情のまま一日の授業を終えた。
気にしすぎだったみたい。
今日は朝に草取りしたし花壇の水やりしたら帰ろうかな。
授業が終わってみんなやりたいことをしに行くこの時間が少し好きなんだよね。
園芸部は基本的に花の植え替え時期以外はやりたい時にやるって感じだから急ぐ必要もないし。
運動部の人達は1年生の時よりはバタバタしていないもののまだ上級生はいるから少し急いでるのがわかる。
幸村くんも部室に向かうようだ。
わたしも花壇に行こうかな。
花壇につくと黄色いものが落ちていた。
テニスボールだ……。
ここからテニスコートってそこそこ近いけど柵もあるし滅多に飛んでくることないんだけど……。
1年生が飛ばしたのかな。
……これ、届けた方がいいよね?
その黄色を拾うと小学生以来久々のボールの触り心地になんだか懐かしくなった。
7歳の時、母に勧められてやったテニスは面白くてスクールに通うくらいだったけれど何となく部活ではやりたくなくて入らなかったんだよね。
通っていたスクールも中学生になる前にはやめなくてはいけなくなったし。
……水やり終わったら帰りしなに持っていこう。
水やりをササッと終えて再びボールを手に取るとテニス部が居るであろうコートへ近づいた。
そこには凛とした表情の幸村くんが先輩であろう背の高い人と試合をしていた。
……あんな表情するんだ。
穏やかな彼しか見た事なかったから少しびっくりだ。
わたしがやってたテニスとは違う……。
強いって聞いてはいたけど「常勝立海」さすがレベルが違う。
周りの部員に声をかけることを忘れて見事なテニスに見入ってしまった。
結果は幸村くんの圧勝。
1年の時から強いとは噂に聞いていたけれど……次元が違う。
見ていて圧倒されるような……そんな感じ。
試合が終わると先輩と話した後、幸村くんはこちらへ近づいてきた。
気づいていたのかな。
「藍田さん、珍しいね?どうしたの?テニス部に何か用かな。」
「えっと幸村くん、これ。ボールが花壇に落ちていたから届けに来たの。」
「……ありがとう。ボールが足りないって1年生が怒られるところだったよ。」
ふふっと笑っていつもの穏やかな笑い方に少しホッとした。
真剣な顔の幸村くんが全然知らない人のように思えたから緊張してたのかもしれない。
「これ渡しに来ただけだから、私帰るね。」
「気をつけてね。」
「うん、幸村くんも部活頑張って。」
「ありがとう。」
これ以上邪魔しないように短くやり取りをしてコートをあとにする。
少し歩いて振り向くと真剣な顔で黒い帽子の人と話していた。
応援したいなって素直にそう思った。
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