第5章 死の秘宝
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第2話 沈む城の灯
階段を上がる足音に、イリスは肩をすくめた。
振り返ると、そこにはマクゴナガルがいた。
厳しい眼差しの奥に、抑え込んだ感情の揺れが見えた。
「あなた……あの場で見つかっていたら、どうするつもりだったのです」
静かな怒りがこもっていた。
「もし見つかっていたら、あなたは連れ去られていたかもしれない。ちゃんと分かっているのですか?」
イリスはその言葉に負けることなく、まっすぐに顔を上げた。
「スネイプ先生は、そんなことはなさいません」
短い沈黙が降りる。
マクゴナガルは何か言いかけて、唇を結んだ。
やがて深く息をつき、少しだけ視線を外す。
「軽率な行為に違いはありません。
信じていようが、なんだろうが、彼は今“闇”の側にいるのですから」
マクゴナガルは静かに言う。
イリスは静かに頭を下げた。
その胸の奥では、確かに自分の行動の無謀さを感じていた。
マクゴナガルは玄関ホールの方を振り返り、小さく呟いた。
「彼が何を背負っているのか、私には分かりません」
その声には、ほんのかすかな哀しみが混じっていた。
イリスは何も言わずにその横顔を見つめる。
ふたりの間を流れる沈黙が、全てを物語っていた。
マクゴナガルもまた、スネイプを憎みきれないのだ。
───
数日後、ホグワーツ全体に冷たい緊張が走った。
正式に「スネイプ校長就任」が告げられたのだ。
大広間では、教師陣が整列していた。
中央の席に黒いローブをまとった男が座っている。
その姿は、かつての「先生」ではなく、今や「支配者」だった。
マクゴナガルは視線を伏せ、スラグホーンは所在なげにカップを揺らしている。
イリスは遠くの席からスネイプの姿を見つめた。
ほんの一瞬、彼の黒い瞳がこちらをかすめた。
けれど、その視線はすぐに逸らされた。
何事もなかったかのように。
その一瞬で胸の奥が痛んだ。
彼が遠くへ行ってしまったような、そんな距離を感じた。
けれど同時に分かっていた。
この冷たさを装わなければ、彼は“任務”を果たせないのだ。
闇の中で生きるための、仮面の冷たさだと。
戻ってきたのに、まるで別人のように遠い。
氷よりも冷たい存在になってしまった。
不器用で無愛想でも温かいスネイプを知ってしまったイリスにはこの事実がとても辛いものになってしまったのだった。
───
九月一日。
ホグワーツ特急が到着し、生徒たちが城へ戻ってくる。
だが、いつものような笑い声も歓声もない。
校門の前には黒いローブの監視者たち
──死喰い人が並んでいる。
生徒たちは組ごとの集団で4列に並び、歩幅を合わせて歩かされていた。
列を乱す者は一人もいない。
その光景は、もはや学校ではなく、軍隊のようだった。
イリスも同様に列を歩きながら、静かに息をついた。
この城はもう、あの頃のホグワーツではない。
今ここにあるのは厳しすぎる規律と沈黙、そして恐怖の支配だけだった……。
階段を上がる足音に、イリスは肩をすくめた。
振り返ると、そこにはマクゴナガルがいた。
厳しい眼差しの奥に、抑え込んだ感情の揺れが見えた。
「あなた……あの場で見つかっていたら、どうするつもりだったのです」
静かな怒りがこもっていた。
「もし見つかっていたら、あなたは連れ去られていたかもしれない。ちゃんと分かっているのですか?」
イリスはその言葉に負けることなく、まっすぐに顔を上げた。
「スネイプ先生は、そんなことはなさいません」
短い沈黙が降りる。
マクゴナガルは何か言いかけて、唇を結んだ。
やがて深く息をつき、少しだけ視線を外す。
「軽率な行為に違いはありません。
信じていようが、なんだろうが、彼は今“闇”の側にいるのですから」
マクゴナガルは静かに言う。
イリスは静かに頭を下げた。
その胸の奥では、確かに自分の行動の無謀さを感じていた。
マクゴナガルは玄関ホールの方を振り返り、小さく呟いた。
「彼が何を背負っているのか、私には分かりません」
その声には、ほんのかすかな哀しみが混じっていた。
イリスは何も言わずにその横顔を見つめる。
ふたりの間を流れる沈黙が、全てを物語っていた。
マクゴナガルもまた、スネイプを憎みきれないのだ。
───
数日後、ホグワーツ全体に冷たい緊張が走った。
正式に「スネイプ校長就任」が告げられたのだ。
大広間では、教師陣が整列していた。
中央の席に黒いローブをまとった男が座っている。
その姿は、かつての「先生」ではなく、今や「支配者」だった。
マクゴナガルは視線を伏せ、スラグホーンは所在なげにカップを揺らしている。
イリスは遠くの席からスネイプの姿を見つめた。
ほんの一瞬、彼の黒い瞳がこちらをかすめた。
けれど、その視線はすぐに逸らされた。
何事もなかったかのように。
その一瞬で胸の奥が痛んだ。
彼が遠くへ行ってしまったような、そんな距離を感じた。
けれど同時に分かっていた。
この冷たさを装わなければ、彼は“任務”を果たせないのだ。
闇の中で生きるための、仮面の冷たさだと。
戻ってきたのに、まるで別人のように遠い。
氷よりも冷たい存在になってしまった。
不器用で無愛想でも温かいスネイプを知ってしまったイリスにはこの事実がとても辛いものになってしまったのだった。
───
九月一日。
ホグワーツ特急が到着し、生徒たちが城へ戻ってくる。
だが、いつものような笑い声も歓声もない。
校門の前には黒いローブの監視者たち
──死喰い人が並んでいる。
生徒たちは組ごとの集団で4列に並び、歩幅を合わせて歩かされていた。
列を乱す者は一人もいない。
その光景は、もはや学校ではなく、軍隊のようだった。
イリスも同様に列を歩きながら、静かに息をついた。
この城はもう、あの頃のホグワーツではない。
今ここにあるのは厳しすぎる規律と沈黙、そして恐怖の支配だけだった……。
