第4章 謎のプリンス
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第21話 陽のもとに帰る光
朝の大広間は、静まり返っていた。
いつもなら賑やかに響く食器の音も、今日はほとんど聞こえない。
生徒たちは皆、目の前の皿に手を伸ばすこともなく、ただ俯いていた。
空気そのものが重く、冷たく沈んでいる。
イリスも同じだった。
口の中に何を入れても味がしない。
胸の奥には、まだ昨日の夜の熱と痛みが残っていた。
隣に座るハリーは、パンをちぎったまま手を止めていた。
頬の血の気が引いて、唇の色まで薄い。
見ていられなくて、イリスは静かに声をかけた。
「ハリー……ありがとう」
ハリーは顔を上げる。
イリスの瞳は穏やかに揺れていた。
「ダンブルドアを手にかけた男を愛してる私を……助けてくれたの。
すごく辛かったよね。」
言葉を選ぶようにゆっくりと告げた。
ハリーは何も言わず、視線を逸らした。
その頬の筋肉が、ほんの僅かに動いた。
「私、スネイプを……信じてる。あなたの大切な先生を、ご両親を奪った人を……それでも信じてる。
それなのに、あなたは私を責めなかった。
助けてくれたのに、怒りもぶつけなかった。
きっと、あなたの方がずっと辛かったはずなのに。」
ハリーは深く息を吸い、そして吐いた。
長い沈黙のあと、小さな声が返ってくる。
「……僕も、まだ分からないんだ。」
彼は俯いたまま、手の中のパンを見つめた。
目の奥には、迷いと苦しみが揺れていた。
「でも、あの人を信じてる君を見てると……」
ハリーは言葉を探すように、口を噤んでから小さく笑った。
「……少しだけ、先生のことを……信じたくなる。
……まだまだ、憎ったらしいけどね。」
その言葉に、イリスは微かに笑った。
その笑みは痛みと温かさを同時に含んでいた。
「ハリー……ありがとう。」
ほんの少しだけ、朝の空気が柔らかくなったような気がした。
────
時間になると、生徒たちはゆっくりと席を立った。
皆、黙って列を作り、外へと向かっていく。
向かう先は湖のほとり。
外に出ると、重たかった雲が晴れ、柔らかな光が差し込んでいた。
昨日までの暗闇が嘘のように、太陽が眩しいほどに輝いている。
まるでダンブルドアが、最後まで生徒たちに光を見せてくれているようだった。
湖のそばに設けられた葬儀の会場には、何百もの椅子が並んでいた。
生徒、教師、そして見知らぬ多くの人々
皆が静かに腰を下ろし、風の音に耳を傾けていた。
椅子は次々に埋まり、列は遠くまで続いている。
その光景を見て、イリスの胸に熱いものが広がった。
これほどの人々に慕われた人物。
ホグワーツを、そして多くの命を守り続けた偉大な存在。
彼のもとで生きられたことが、どれほど幸せだったかを今、強く感じていた。
ダンブルドアは150年もの長い時を生きた。
人の寿命を超えた年月を、その知恵と愛で満たして。
だからこそ、今この別れが、あまりにも早すぎるように思えた。
夢のようで、まだ心が追いつけない。
イリス達も静かに席に着く
やがて、どこからか音楽が流れ始めた。
この世の歌ではないような……言葉にならない、けれど心を包み込むような旋律。
その旋律は悲嘆の気持ちを乗せてた祈りのようだった。
しばらくして、重い足音が近づいてきた。
皆がそちらを振り向く。
ハグリットだった。
大粒の涙で顔を濡らし、嗚咽をこらえながら歩いてくる。
その腕の中には
──ダンブルドアの遺体。
綺麗な服に身を包まれ、穏やかな顔で眠っている。
まるで深い夢を見ているようで、イリスは現実だと思えなかった。
彼はよく笑った。
よく冗談を言って、空気を和ませた。
今にも目を開けて
「寝すぎて葬儀まで開かれてしまったようじゃ。
……心配かけたのぅ」
と笑いそうなのに。
だが、日差しに照らされた肌には血の気がなく、
どんなに暖かい陽を浴びても、もう動かない。
それが現実なのだと、ようやく理解した瞬間、胸の奥が沈んだ。
これから、どうなるのだろう。
ホグワーツは、守る者を失った。
あの人の魔法が支えていたこの場所は、今どんな未来を迎えるのか。
恐怖と不安が押し寄せる。
やがて、音楽が止んだ。
誰かが静かに言葉を述べているが、イリスには遠くて聞こえなかった。
ただ、風が湖面を撫で、陽光が水面にきらめいている。
そして──
突然、白い炎がダンブルドアの周りを包み込んだ。
誰も息を呑んだまま動けない。
炎は高く高く立ち上り、風もないのに静かに揺れる。
その揺らぎの中で、イリスは見た。
青空の中を、ひとつの光が羽ばたく。
それは不死鳥のように見えた。
ゆるやかに舞い上がり、やがて陽の中へと消えていく。
その瞬間、イリスは感じた。
これは、別れではない。
彼の魂が、次の光へと帰っていっただけ。
炎は静かに消えた。
遺体は穏やかに横たわったまま、何一つ変わっていない。
ただ、空気が柔らかく変わっていた。
イリスは胸の前で手を組み、そっと目を閉じる。
光が瞼を通して温かく滲んだ。
「ありがとう、ダンブルドア先生……」
その声は誰に届くこともなく、風に溶けていった。
けれど確かに、湖の水面が小さく揺れたように見えた。
それはまるで、
“光はまだここにある”
と告げるようだった。
朝の大広間は、静まり返っていた。
いつもなら賑やかに響く食器の音も、今日はほとんど聞こえない。
生徒たちは皆、目の前の皿に手を伸ばすこともなく、ただ俯いていた。
空気そのものが重く、冷たく沈んでいる。
イリスも同じだった。
口の中に何を入れても味がしない。
胸の奥には、まだ昨日の夜の熱と痛みが残っていた。
隣に座るハリーは、パンをちぎったまま手を止めていた。
頬の血の気が引いて、唇の色まで薄い。
見ていられなくて、イリスは静かに声をかけた。
「ハリー……ありがとう」
ハリーは顔を上げる。
イリスの瞳は穏やかに揺れていた。
「ダンブルドアを手にかけた男を愛してる私を……助けてくれたの。
すごく辛かったよね。」
言葉を選ぶようにゆっくりと告げた。
ハリーは何も言わず、視線を逸らした。
その頬の筋肉が、ほんの僅かに動いた。
「私、スネイプを……信じてる。あなたの大切な先生を、ご両親を奪った人を……それでも信じてる。
それなのに、あなたは私を責めなかった。
助けてくれたのに、怒りもぶつけなかった。
きっと、あなたの方がずっと辛かったはずなのに。」
ハリーは深く息を吸い、そして吐いた。
長い沈黙のあと、小さな声が返ってくる。
「……僕も、まだ分からないんだ。」
彼は俯いたまま、手の中のパンを見つめた。
目の奥には、迷いと苦しみが揺れていた。
「でも、あの人を信じてる君を見てると……」
ハリーは言葉を探すように、口を噤んでから小さく笑った。
「……少しだけ、先生のことを……信じたくなる。
……まだまだ、憎ったらしいけどね。」
その言葉に、イリスは微かに笑った。
その笑みは痛みと温かさを同時に含んでいた。
「ハリー……ありがとう。」
ほんの少しだけ、朝の空気が柔らかくなったような気がした。
────
時間になると、生徒たちはゆっくりと席を立った。
皆、黙って列を作り、外へと向かっていく。
向かう先は湖のほとり。
外に出ると、重たかった雲が晴れ、柔らかな光が差し込んでいた。
昨日までの暗闇が嘘のように、太陽が眩しいほどに輝いている。
まるでダンブルドアが、最後まで生徒たちに光を見せてくれているようだった。
湖のそばに設けられた葬儀の会場には、何百もの椅子が並んでいた。
生徒、教師、そして見知らぬ多くの人々
皆が静かに腰を下ろし、風の音に耳を傾けていた。
椅子は次々に埋まり、列は遠くまで続いている。
その光景を見て、イリスの胸に熱いものが広がった。
これほどの人々に慕われた人物。
ホグワーツを、そして多くの命を守り続けた偉大な存在。
彼のもとで生きられたことが、どれほど幸せだったかを今、強く感じていた。
ダンブルドアは150年もの長い時を生きた。
人の寿命を超えた年月を、その知恵と愛で満たして。
だからこそ、今この別れが、あまりにも早すぎるように思えた。
夢のようで、まだ心が追いつけない。
イリス達も静かに席に着く
やがて、どこからか音楽が流れ始めた。
この世の歌ではないような……言葉にならない、けれど心を包み込むような旋律。
その旋律は悲嘆の気持ちを乗せてた祈りのようだった。
しばらくして、重い足音が近づいてきた。
皆がそちらを振り向く。
ハグリットだった。
大粒の涙で顔を濡らし、嗚咽をこらえながら歩いてくる。
その腕の中には
──ダンブルドアの遺体。
綺麗な服に身を包まれ、穏やかな顔で眠っている。
まるで深い夢を見ているようで、イリスは現実だと思えなかった。
彼はよく笑った。
よく冗談を言って、空気を和ませた。
今にも目を開けて
「寝すぎて葬儀まで開かれてしまったようじゃ。
……心配かけたのぅ」
と笑いそうなのに。
だが、日差しに照らされた肌には血の気がなく、
どんなに暖かい陽を浴びても、もう動かない。
それが現実なのだと、ようやく理解した瞬間、胸の奥が沈んだ。
これから、どうなるのだろう。
ホグワーツは、守る者を失った。
あの人の魔法が支えていたこの場所は、今どんな未来を迎えるのか。
恐怖と不安が押し寄せる。
やがて、音楽が止んだ。
誰かが静かに言葉を述べているが、イリスには遠くて聞こえなかった。
ただ、風が湖面を撫で、陽光が水面にきらめいている。
そして──
突然、白い炎がダンブルドアの周りを包み込んだ。
誰も息を呑んだまま動けない。
炎は高く高く立ち上り、風もないのに静かに揺れる。
その揺らぎの中で、イリスは見た。
青空の中を、ひとつの光が羽ばたく。
それは不死鳥のように見えた。
ゆるやかに舞い上がり、やがて陽の中へと消えていく。
その瞬間、イリスは感じた。
これは、別れではない。
彼の魂が、次の光へと帰っていっただけ。
炎は静かに消えた。
遺体は穏やかに横たわったまま、何一つ変わっていない。
ただ、空気が柔らかく変わっていた。
イリスは胸の前で手を組み、そっと目を閉じる。
光が瞼を通して温かく滲んだ。
「ありがとう、ダンブルドア先生……」
その声は誰に届くこともなく、風に溶けていった。
けれど確かに、湖の水面が小さく揺れたように見えた。
それはまるで、
“光はまだここにある”
と告げるようだった。
