第4章 謎のプリンス
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第13話 惚れ薬と蜂蜜酒
夕食後の廊下は、灯りが少しずつ落とされ、静まり返っていた。
イリスはみんなよりも遅れて大広間を出て、自室へ向かっていた。
動く階段に繋がる廊下を曲がったとき、どこか騒がしい声が聞こえる。
「ハリー……!僕の愛する人はどこだ?」
妙に浮かれた声。
見ると、ハリーが腕を掴まれながら、ふらつくロンを支えていた。
「どうしたの?」
イリスが駆け寄ると、ハリーは困り果てた顔で答える。
「惚れ薬を食べたらしい!スラグホーン先生のところに連れていく!」
ハリーが説明している間も、ロンは「うふふ……」と笑い、ハリーの胸元を変な手つきで撫でようとしている。
ハリーは心底嫌そうに手を払いながら言った。
「しっかりしろよ、ロン!」
イリスはその様子に驚きつつも、放っておけなかった。
「手伝うわ」と言って、ハリーと一緒にスラグホーンの部屋へ向かうのだった。
───
スラグホーンの部屋に着くと、最初は「今は取り込み中だ、後にしてくれ」と追い返そうとした。
だが、扉の向こうに見えたロンの様子と、それを支えるイリスの姿を見て眉をひそめた。
「……おや、これは一体どうしたのかね?」
ハリーが事情を説明する。
スラグホーンは話を聞くなり、手早く机の上の瓶を並べた。
「惚れ薬か。まったく、今どきの若者は困ったものだ。
よし、解毒薬を調合しよう」
手際は見事だった。
炎の色、魔法薬の泡立ち、杖さばき。
イリスは、久しく見ていなかった本物の魔法薬師の技に息を呑んだ。
人間はこうして、知識と技で命を繋ぐのだと改めて感じる。
その正確さはスネイプにも引けを取らない。
イリスはロンの肩を押さえ、静かにその動きを見守っていた。
やがて薬が完成し、ロンがそれを飲み干す。
数秒もしないうちに、表情から恍惚の色が消えていった。
「これで元通り!」
スラグホーンは大きく笑い、戸棚から琥珀色の瓶を取り出した。
「いやぁ、今宵は祝いに一杯どうだね? 本来これは人に渡すものだったんだが、まあいいだろう」
蜂蜜酒の栓を抜くと、甘い香りが広がる。
イリスは思わずその香りを吸い込み、少しだけ眉を寄せた。
人間はどんな時でも、こうして“祝い”を選ぶのだと、不思議な気持ちで見つめる。
ハリーも少し困惑していたが、スラグホーンに促されて椅子に座る。
ロンもまだぼんやりした顔でグラスを取った。
───
「では、乾杯!」
スラグホーンが声を上げるよりも早く、ロンはグラスを傾けていた。
次の瞬間、口元を押さえて苦しみ出す。
「ロン!?」
ハリーの叫びが響く。
ロンは椅子から崩れ落ち、全身を痙攣させた。
イリスは咄嗟に駆け寄り、彼の体に跨り押さえつける。
体が暴れて怪我をしないように押さえ、痙攣の合間に頭を横向きにして溢れ出てくる泡が詰まらないように気道を確保した。
その動きは冷静で、迷いがなかった。
「先生、解毒を!」
ハリーがスラグホーンの机の上を漁って叫ぶ。
だがスラグホーンは青ざめ、瓶を持ったまま呆然としていた。
ハリーは箱の中からベゾアール石を掴み取ると、ロンの口に押し込んだ。
数秒後、痙攣がおさまり、息がゆっくりと戻る。
スラグホーンは震える手でグラスを見つめていた。
「こ、これは……そんな……」
イリスは彼の前に歩み寄り、静かに言った。
「先生、これは誰のせいでもありません。仕掛けた者がいるだけです。」
その言葉に、スラグホーンはわずかに肩を落とし、目を伏せた。
ロンはすぐに医務室へ運ばれ、ポンフリー夫人が手際よく手当てを始めた。
夜も更け、事情の説明は翌朝に持ち越された。
───
朝の光が差し込む中、ハリーが昨夜の経緯を説明する。
マクゴナガルは眉を寄せながらも「見事な判断だった」と評し、
ダンブルドアは蜂蜜酒の瓶を手に取って匂いを嗅いだ。
「リコリスとチェリーの香りがするはずじゃが……違うようじゃな」
イリスはその言葉に、胸の奥がひやりと冷たくなるのを感じた。
誰に向けられた毒だったのか思考の底で、不穏な予感が形を取り始める。
スラグホーンは震える声で言った。
「これは……本来、人に……校長あなたに渡すはずだったものです。まさか、毒だったなんて」
その顔に浮かぶのは、深い後悔と恐怖。
けれど、誰も彼を責めなかった。
───
すると突然、扉が勢いよく開いた。
「私のウォンウォンはどこ!?」
泣きながら飛び込んできたラベンダーが、ベッドの側に駆け寄る。
だがすぐに隣にいるハーマイオニーに気づき、表情が凍る。
「なんであなたがここにいるの!私が彼の“ガールフレンド”よ!」
ハーマイオニーは戸惑いながら言った。
「友達だから心配で……」
「今さら友達?これまでろくに話してなかったくせに!」
「それは……友達が毒を盛られたのよ!心配して当たり前じゃない!」
イリスは息を呑んだ。
人間の感情が火花のようにぶつかり合う光景に、胸がざわつく。
たかが言葉のやり取りなのに、まるで猛獣同士がが牙を剥いているようだった。
ハリーとジニーは顔を見合わせて気まずそうにしている。
教師たちは呆れ混じりの微笑を浮かべ、
スネイプはくだらない、と言いたげに無表情だった。
その時、ロンが寝言をつぶやく。
「……ハーマイオニー……」
ハーマイオニーの名前を繰り返し呼ぶロンを前にラベンダーの瞳から光が消え、涙を流し走り去る。
ハーマイオニーは一瞬きょとんとし、それから頬を染めて俯いた。
静寂を破ったのは、ダンブルドアの穏やかな声だった。
「若い心に、愛の痛みはつきものじゃな。さて……良い看護人もおるようじゃ。ここは任せよう。」
そう言って教師たちは立ち去り、
ハリーは思わず笑いを零し、ジニーもほっとしたように息をつく。
イリスも小さく微笑み、静かにその場を後にした。
夕食後の廊下は、灯りが少しずつ落とされ、静まり返っていた。
イリスはみんなよりも遅れて大広間を出て、自室へ向かっていた。
動く階段に繋がる廊下を曲がったとき、どこか騒がしい声が聞こえる。
「ハリー……!僕の愛する人はどこだ?」
妙に浮かれた声。
見ると、ハリーが腕を掴まれながら、ふらつくロンを支えていた。
「どうしたの?」
イリスが駆け寄ると、ハリーは困り果てた顔で答える。
「惚れ薬を食べたらしい!スラグホーン先生のところに連れていく!」
ハリーが説明している間も、ロンは「うふふ……」と笑い、ハリーの胸元を変な手つきで撫でようとしている。
ハリーは心底嫌そうに手を払いながら言った。
「しっかりしろよ、ロン!」
イリスはその様子に驚きつつも、放っておけなかった。
「手伝うわ」と言って、ハリーと一緒にスラグホーンの部屋へ向かうのだった。
───
スラグホーンの部屋に着くと、最初は「今は取り込み中だ、後にしてくれ」と追い返そうとした。
だが、扉の向こうに見えたロンの様子と、それを支えるイリスの姿を見て眉をひそめた。
「……おや、これは一体どうしたのかね?」
ハリーが事情を説明する。
スラグホーンは話を聞くなり、手早く机の上の瓶を並べた。
「惚れ薬か。まったく、今どきの若者は困ったものだ。
よし、解毒薬を調合しよう」
手際は見事だった。
炎の色、魔法薬の泡立ち、杖さばき。
イリスは、久しく見ていなかった本物の魔法薬師の技に息を呑んだ。
人間はこうして、知識と技で命を繋ぐのだと改めて感じる。
その正確さはスネイプにも引けを取らない。
イリスはロンの肩を押さえ、静かにその動きを見守っていた。
やがて薬が完成し、ロンがそれを飲み干す。
数秒もしないうちに、表情から恍惚の色が消えていった。
「これで元通り!」
スラグホーンは大きく笑い、戸棚から琥珀色の瓶を取り出した。
「いやぁ、今宵は祝いに一杯どうだね? 本来これは人に渡すものだったんだが、まあいいだろう」
蜂蜜酒の栓を抜くと、甘い香りが広がる。
イリスは思わずその香りを吸い込み、少しだけ眉を寄せた。
人間はどんな時でも、こうして“祝い”を選ぶのだと、不思議な気持ちで見つめる。
ハリーも少し困惑していたが、スラグホーンに促されて椅子に座る。
ロンもまだぼんやりした顔でグラスを取った。
───
「では、乾杯!」
スラグホーンが声を上げるよりも早く、ロンはグラスを傾けていた。
次の瞬間、口元を押さえて苦しみ出す。
「ロン!?」
ハリーの叫びが響く。
ロンは椅子から崩れ落ち、全身を痙攣させた。
イリスは咄嗟に駆け寄り、彼の体に跨り押さえつける。
体が暴れて怪我をしないように押さえ、痙攣の合間に頭を横向きにして溢れ出てくる泡が詰まらないように気道を確保した。
その動きは冷静で、迷いがなかった。
「先生、解毒を!」
ハリーがスラグホーンの机の上を漁って叫ぶ。
だがスラグホーンは青ざめ、瓶を持ったまま呆然としていた。
ハリーは箱の中からベゾアール石を掴み取ると、ロンの口に押し込んだ。
数秒後、痙攣がおさまり、息がゆっくりと戻る。
スラグホーンは震える手でグラスを見つめていた。
「こ、これは……そんな……」
イリスは彼の前に歩み寄り、静かに言った。
「先生、これは誰のせいでもありません。仕掛けた者がいるだけです。」
その言葉に、スラグホーンはわずかに肩を落とし、目を伏せた。
ロンはすぐに医務室へ運ばれ、ポンフリー夫人が手際よく手当てを始めた。
夜も更け、事情の説明は翌朝に持ち越された。
───
朝の光が差し込む中、ハリーが昨夜の経緯を説明する。
マクゴナガルは眉を寄せながらも「見事な判断だった」と評し、
ダンブルドアは蜂蜜酒の瓶を手に取って匂いを嗅いだ。
「リコリスとチェリーの香りがするはずじゃが……違うようじゃな」
イリスはその言葉に、胸の奥がひやりと冷たくなるのを感じた。
誰に向けられた毒だったのか思考の底で、不穏な予感が形を取り始める。
スラグホーンは震える声で言った。
「これは……本来、人に……校長あなたに渡すはずだったものです。まさか、毒だったなんて」
その顔に浮かぶのは、深い後悔と恐怖。
けれど、誰も彼を責めなかった。
───
すると突然、扉が勢いよく開いた。
「私のウォンウォンはどこ!?」
泣きながら飛び込んできたラベンダーが、ベッドの側に駆け寄る。
だがすぐに隣にいるハーマイオニーに気づき、表情が凍る。
「なんであなたがここにいるの!私が彼の“ガールフレンド”よ!」
ハーマイオニーは戸惑いながら言った。
「友達だから心配で……」
「今さら友達?これまでろくに話してなかったくせに!」
「それは……友達が毒を盛られたのよ!心配して当たり前じゃない!」
イリスは息を呑んだ。
人間の感情が火花のようにぶつかり合う光景に、胸がざわつく。
たかが言葉のやり取りなのに、まるで猛獣同士がが牙を剥いているようだった。
ハリーとジニーは顔を見合わせて気まずそうにしている。
教師たちは呆れ混じりの微笑を浮かべ、
スネイプはくだらない、と言いたげに無表情だった。
その時、ロンが寝言をつぶやく。
「……ハーマイオニー……」
ハーマイオニーの名前を繰り返し呼ぶロンを前にラベンダーの瞳から光が消え、涙を流し走り去る。
ハーマイオニーは一瞬きょとんとし、それから頬を染めて俯いた。
静寂を破ったのは、ダンブルドアの穏やかな声だった。
「若い心に、愛の痛みはつきものじゃな。さて……良い看護人もおるようじゃ。ここは任せよう。」
そう言って教師たちは立ち去り、
ハリーは思わず笑いを零し、ジニーもほっとしたように息をつく。
イリスも小さく微笑み、静かにその場を後にした。
