第4章 謎のプリンス
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第6話 誓いと欲望
イリスの唇を離したとき、彼女は頬を赤く染め、か細い声で言った。
「……すごい、です。でも……もう少し、分かりたい」
その一言が胸の奥を突き破った。
イリスにそのつもりがないことは分かっている、それでも無知なままでここまで本能をくすぐる言葉が出てくるとは…。
今まで幾度も抑え込んできた衝動が、一気に堰を切ったように溢れ出す。
あの夜の記憶が脳裏をよぎる。
悪夢に怯えたイリスの願いで、同じベッドに横になったとき。
小さな身体が腕に縋りつき、熱を帯びた吐息が頬に触れた瞬間。
理性を必死に押し殺し、抱き寄せたい衝動を胸の奥に封じ込めた。
そのときと同じ欲望が、今度こそ抑えきれず顔を出してしまった。
「……愚か者め」
低く吐き捨てるように言いながらも、腕は彼女を引き寄せていた。
再び唇を重ねる。柔らかな口内に舌を滑らせれば、イリスの身体がぴくりと震える。驚きの反応。だが逃げはしない。
むしろぎこちなくも舌を動かし、受け入れようとしている。
その瞬間、胸の奥からこみ上げたものがあった。
愛おしさ。独占欲。
この少女を誰にも渡したくないそんな醜いまでの想い。
唇を重ねるたび、彼女の表情が柔らかく蕩けていく。
赤く染まった頬、潤んだ瞳。息を奪うたびに小さな声を漏らし、震える身体が腕の中に沈んでいく。
その姿は残酷なまでに美しく、たまらなく欲しいと願ってしまう。
だが次の瞬間、我に返り吐き出すように唇を離した。
荒く乱れた息を抑え込む。
今、彼女を守るどころか、欲望の対象として扱ってしまった。
誓いを裏切るような行為。純粋さを踏みにじるような行為。
「我輩は……貴様の純粋さすら汚そうとしたのか……」
胸の奥に冷たい痛みが広がっていく。
守るべき存在に触れ、欲してしまった自分。自責が喉を塞ぐ。
そのとき、イリスが小さく身を寄せ、抱きついてきた。
紅い瞳が真っ直ぐに自分を見上げている。
「……セブルス、あなたが触れてくれると、不思議と怖くないの。汚されるんじゃなくて……守られてるって思える」
息が止まった。
「私、見世物小屋でも色々あったけれど、誰かにこんなに強く触れてほしいと思ったの、初めてなの。
あなたじゃなければ、こんな気持ちにはならなかった」
その言葉に全身が縫い止められたように動けなくなる。
彼女は怯えてなどいない。不快でもない。むしろ、受け入れている。
いや、それ以上に
──自分だからこそ求めているのだと。
心を抉るようだった自責が、少しずつ溶けていくのを感じた。
欲望と誓いの狭間で揺らいでいた心が、彼女の言葉に支えられていく。
「……愚か者は、我輩の方か」
かすれた声で呟いた。
抱きしめたイリスの体は、腰が抜けたように力なく預けられている。
そっと腕を回し、支えるように立ち上がる。
「……部屋に戻れ」
そう言いながらも、彼女をしっかりと抱いたまま隣室へと送り届けた。
───
自室に戻った瞬間、膝が揺らいだ。
唇に残る熱、舌に絡んだ柔らかな感触。まだ焼き付くように離れない。
あの瞳、あの言葉。どれも胸の奥を掻き乱す。
イリスが受け入れてくれる限り、自分は前へ進めるような気がした。
彼女は確かに、自分を支え、受け止めてくれる存在だ。
だが同時にその優しさに甘えてしまえば、必ず彼女を傷つける。
いつか離れる運命にある。だからこそ、これ以上近づくべきではない。
机に突っ伏し、乱れた息を整えた。
それでも唇の熱は冷める気配を見せないままだった。
近づきたい衝動と、距離を取ろうとする理性。
その二つが胸の奥でぶつかり合い、眠れぬ夜を生み出していった。
イリスの唇を離したとき、彼女は頬を赤く染め、か細い声で言った。
「……すごい、です。でも……もう少し、分かりたい」
その一言が胸の奥を突き破った。
イリスにそのつもりがないことは分かっている、それでも無知なままでここまで本能をくすぐる言葉が出てくるとは…。
今まで幾度も抑え込んできた衝動が、一気に堰を切ったように溢れ出す。
あの夜の記憶が脳裏をよぎる。
悪夢に怯えたイリスの願いで、同じベッドに横になったとき。
小さな身体が腕に縋りつき、熱を帯びた吐息が頬に触れた瞬間。
理性を必死に押し殺し、抱き寄せたい衝動を胸の奥に封じ込めた。
そのときと同じ欲望が、今度こそ抑えきれず顔を出してしまった。
「……愚か者め」
低く吐き捨てるように言いながらも、腕は彼女を引き寄せていた。
再び唇を重ねる。柔らかな口内に舌を滑らせれば、イリスの身体がぴくりと震える。驚きの反応。だが逃げはしない。
むしろぎこちなくも舌を動かし、受け入れようとしている。
その瞬間、胸の奥からこみ上げたものがあった。
愛おしさ。独占欲。
この少女を誰にも渡したくないそんな醜いまでの想い。
唇を重ねるたび、彼女の表情が柔らかく蕩けていく。
赤く染まった頬、潤んだ瞳。息を奪うたびに小さな声を漏らし、震える身体が腕の中に沈んでいく。
その姿は残酷なまでに美しく、たまらなく欲しいと願ってしまう。
だが次の瞬間、我に返り吐き出すように唇を離した。
荒く乱れた息を抑え込む。
今、彼女を守るどころか、欲望の対象として扱ってしまった。
誓いを裏切るような行為。純粋さを踏みにじるような行為。
「我輩は……貴様の純粋さすら汚そうとしたのか……」
胸の奥に冷たい痛みが広がっていく。
守るべき存在に触れ、欲してしまった自分。自責が喉を塞ぐ。
そのとき、イリスが小さく身を寄せ、抱きついてきた。
紅い瞳が真っ直ぐに自分を見上げている。
「……セブルス、あなたが触れてくれると、不思議と怖くないの。汚されるんじゃなくて……守られてるって思える」
息が止まった。
「私、見世物小屋でも色々あったけれど、誰かにこんなに強く触れてほしいと思ったの、初めてなの。
あなたじゃなければ、こんな気持ちにはならなかった」
その言葉に全身が縫い止められたように動けなくなる。
彼女は怯えてなどいない。不快でもない。むしろ、受け入れている。
いや、それ以上に
──自分だからこそ求めているのだと。
心を抉るようだった自責が、少しずつ溶けていくのを感じた。
欲望と誓いの狭間で揺らいでいた心が、彼女の言葉に支えられていく。
「……愚か者は、我輩の方か」
かすれた声で呟いた。
抱きしめたイリスの体は、腰が抜けたように力なく預けられている。
そっと腕を回し、支えるように立ち上がる。
「……部屋に戻れ」
そう言いながらも、彼女をしっかりと抱いたまま隣室へと送り届けた。
───
自室に戻った瞬間、膝が揺らいだ。
唇に残る熱、舌に絡んだ柔らかな感触。まだ焼き付くように離れない。
あの瞳、あの言葉。どれも胸の奥を掻き乱す。
イリスが受け入れてくれる限り、自分は前へ進めるような気がした。
彼女は確かに、自分を支え、受け止めてくれる存在だ。
だが同時にその優しさに甘えてしまえば、必ず彼女を傷つける。
いつか離れる運命にある。だからこそ、これ以上近づくべきではない。
机に突っ伏し、乱れた息を整えた。
それでも唇の熱は冷める気配を見せないままだった。
近づきたい衝動と、距離を取ろうとする理性。
その二つが胸の奥でぶつかり合い、眠れぬ夜を生み出していった。
