第4章 謎のプリンス
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第4話 新たな魔法薬学
柔らかい陽の光が差し込み、豪奢な装飾が施された教室は、まるでサロンのようだった。
スネイプの暗く湿った雰囲気の教室とは正反対。
磨かれた真鍮の器具がきらめき、机の上には見慣れない薬草や瓶が並べられている。
「ようこそ、ようこそ!ホラス・スラグホーンと申しますぞ!」
丸々とした体を揺らしながら、新任の教師は笑顔で両手を広げた。 一人ひとりを見渡しては、名前を間違えたり、大げさに褒めたり。
その様子は生徒たちをくすぐり、くすくすと笑い声が漏れる。
そしてスラグホーンの目がイリスに留まった瞬間、表情が一層輝いた。
「おや……!これはまた、見事な……!透き通るような白い髪に紅玉のような瞳!アルビノのエルフとは!いやはや、私は長い人生では出会えぬと思っていたぞ!」
ざわつく教室の中で、スラグホーンは目を丸くしたまま続ける。
「なんと珍しい!貴重だ!ぜひとも親しくなりたいものだ、イリス嬢!」
大げさに手を打ち鳴らす彼に、イリスは困惑を隠せず、ただ小さく会釈を返した。
スネイプの冷徹な視線と比べると、甘ったるすぎる眼差し。 胸の奥に妙な違和感が残った。
───
そのとき、ハリーとロンが慌てて教室に駆け込んできた。 二人は息を切らしながら、教科書を棚から掴み取る。
「では皆さん!」
スラグホーンが手を叩き、教壇に並べられた小瓶を指し示す。
色も匂いもまったく異なる薬が、いくつも並んでいた。
「これは私が調合してきた薬です。さあ、誰が最も多く言い当てられるかな?」
すぐにハーマイオニーが手を挙げ、次々と正答を重ねていく。 イリスはその様子を横目に、静かに耳を傾けるだけだった。 表立つ必要はない。彼女はそう判断していた。
───
「では次だ。生ける屍の水薬!完成させられた者には、特別なご褒美を差し上げよう!」
スラグホーンは声を張り上げ、金色に光る小瓶を掲げた。
「フェリックス・フェリシス!幸運の薬だ!」
教室にどよめきが走る。 めったに見られぬその薬を目にして、生徒たちは一斉にざわめいた。
「ただし、私が知る限り、この薬を見事に仕上げた生徒はただ1人……さて、挑戦してもらおう!」
材料の説明に熱を込め、彼は大げさに効能や逸話を語る。 その裏には豊富な知識があり、聞いているだけで楽しくなった。
だが実際に調合を始めてみると、誰もが失敗を繰り返した。
教科書通りに進めたはずなのに、薬は泡を吹いて爆ぜたり、どす黒く濁ったり、腐食作用を持つ液体になったり。
イリスもまた、途中で手を止めた。
教科書の指示に明らかな矛盾を感じたからだ。
しかし、正解が見えず、次の一手を迷ってしまう。
一方、ハリーは棚から借りた古い教科書に目を落としていた。
そこに書き込まれた注釈どおりに手を動かすと、彼の薬は驚くほど滑らかに形を整えていった。
「……」
イリスはその手元を覗き込む。
インクの文字は古びていたが、整然とした書き込みは明らかに天才の痕跡を示していた。
「いいものを見つけたね」
小声で告げると、ハリーは驚いたように顔を上げる。
イリスはそれ以上言葉を足さなかったが、その文字に、どこか見覚えがある気がした。
先日、黒板に書かれていた、冷たいけれど整った字に……。
だが、似ている字は世の中に多い。イリスは深く考えずに視線を戻した。
───
やがて結果が出揃った。
ハーマイオニーの薬は教科書通りに仕上がっていたが、色も粘度も微妙に違っている。 一方、ハリーの薬は美しく透き通り、理想の状態に近い。
「素晴らしい!完璧だ!」
スラグホーンは満面の笑みでハリーを称え、両手を叩いた。
「さあ約束通りこれを君に!」
ハリーの手に、幸運の薬・フェリックスフェリシスが渡された。 生徒たちの視線が一斉に集まり、羨望と驚きの空気が広がる。
イリスは心の中で確信していた。彼の手にある古い本、かつてその本に書き込みを残した“誰か”が過去に一度だけ生ける屍の薬を作り上げたのだと。
───
授業後、廊下を歩きながらハーマイオニーが言った。
「変よ、あの本。絶対に普通じゃない」
ハリーは言葉を濁した。 ロンは羨ましそうに瓶をちらちらと見ている。
イリスはただ静かに呟いた。
「たしかに、ただの教科書じゃない」
本に宿る知識の深さを直感で理解していた。
スラグホーンの授業は確かに楽しい。 だが楽しいだけで終わってはならない。 スネイプの冷たく厳しい授業と並べて考えると、イリスの胸には二つの異なる重さが刻まれていた。
柔らかい陽の光が差し込み、豪奢な装飾が施された教室は、まるでサロンのようだった。
スネイプの暗く湿った雰囲気の教室とは正反対。
磨かれた真鍮の器具がきらめき、机の上には見慣れない薬草や瓶が並べられている。
「ようこそ、ようこそ!ホラス・スラグホーンと申しますぞ!」
丸々とした体を揺らしながら、新任の教師は笑顔で両手を広げた。 一人ひとりを見渡しては、名前を間違えたり、大げさに褒めたり。
その様子は生徒たちをくすぐり、くすくすと笑い声が漏れる。
そしてスラグホーンの目がイリスに留まった瞬間、表情が一層輝いた。
「おや……!これはまた、見事な……!透き通るような白い髪に紅玉のような瞳!アルビノのエルフとは!いやはや、私は長い人生では出会えぬと思っていたぞ!」
ざわつく教室の中で、スラグホーンは目を丸くしたまま続ける。
「なんと珍しい!貴重だ!ぜひとも親しくなりたいものだ、イリス嬢!」
大げさに手を打ち鳴らす彼に、イリスは困惑を隠せず、ただ小さく会釈を返した。
スネイプの冷徹な視線と比べると、甘ったるすぎる眼差し。 胸の奥に妙な違和感が残った。
───
そのとき、ハリーとロンが慌てて教室に駆け込んできた。 二人は息を切らしながら、教科書を棚から掴み取る。
「では皆さん!」
スラグホーンが手を叩き、教壇に並べられた小瓶を指し示す。
色も匂いもまったく異なる薬が、いくつも並んでいた。
「これは私が調合してきた薬です。さあ、誰が最も多く言い当てられるかな?」
すぐにハーマイオニーが手を挙げ、次々と正答を重ねていく。 イリスはその様子を横目に、静かに耳を傾けるだけだった。 表立つ必要はない。彼女はそう判断していた。
───
「では次だ。生ける屍の水薬!完成させられた者には、特別なご褒美を差し上げよう!」
スラグホーンは声を張り上げ、金色に光る小瓶を掲げた。
「フェリックス・フェリシス!幸運の薬だ!」
教室にどよめきが走る。 めったに見られぬその薬を目にして、生徒たちは一斉にざわめいた。
「ただし、私が知る限り、この薬を見事に仕上げた生徒はただ1人……さて、挑戦してもらおう!」
材料の説明に熱を込め、彼は大げさに効能や逸話を語る。 その裏には豊富な知識があり、聞いているだけで楽しくなった。
だが実際に調合を始めてみると、誰もが失敗を繰り返した。
教科書通りに進めたはずなのに、薬は泡を吹いて爆ぜたり、どす黒く濁ったり、腐食作用を持つ液体になったり。
イリスもまた、途中で手を止めた。
教科書の指示に明らかな矛盾を感じたからだ。
しかし、正解が見えず、次の一手を迷ってしまう。
一方、ハリーは棚から借りた古い教科書に目を落としていた。
そこに書き込まれた注釈どおりに手を動かすと、彼の薬は驚くほど滑らかに形を整えていった。
「……」
イリスはその手元を覗き込む。
インクの文字は古びていたが、整然とした書き込みは明らかに天才の痕跡を示していた。
「いいものを見つけたね」
小声で告げると、ハリーは驚いたように顔を上げる。
イリスはそれ以上言葉を足さなかったが、その文字に、どこか見覚えがある気がした。
先日、黒板に書かれていた、冷たいけれど整った字に……。
だが、似ている字は世の中に多い。イリスは深く考えずに視線を戻した。
───
やがて結果が出揃った。
ハーマイオニーの薬は教科書通りに仕上がっていたが、色も粘度も微妙に違っている。 一方、ハリーの薬は美しく透き通り、理想の状態に近い。
「素晴らしい!完璧だ!」
スラグホーンは満面の笑みでハリーを称え、両手を叩いた。
「さあ約束通りこれを君に!」
ハリーの手に、幸運の薬・フェリックスフェリシスが渡された。 生徒たちの視線が一斉に集まり、羨望と驚きの空気が広がる。
イリスは心の中で確信していた。彼の手にある古い本、かつてその本に書き込みを残した“誰か”が過去に一度だけ生ける屍の薬を作り上げたのだと。
───
授業後、廊下を歩きながらハーマイオニーが言った。
「変よ、あの本。絶対に普通じゃない」
ハリーは言葉を濁した。 ロンは羨ましそうに瓶をちらちらと見ている。
イリスはただ静かに呟いた。
「たしかに、ただの教科書じゃない」
本に宿る知識の深さを直感で理解していた。
スラグホーンの授業は確かに楽しい。 だが楽しいだけで終わってはならない。 スネイプの冷たく厳しい授業と並べて考えると、イリスの胸には二つの異なる重さが刻まれていた。
