第4章 謎のプリンス
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第2話 疑惑
春休みの終わり頃から、スネイプはどこか落ち着かない様子だった。
姿を見せない日も多くなり、研究や教師の仕事で忙しいのだろう。生徒もまだおらず寂しい気持ちはあるものの、仕方がないと理解していた。
そんなある朝、呼び止められる。
彼は淡々と告げる。
「新学期の準備をしておけ。今日はポッターたちと共にダイアゴン横丁へ行け」
「先生は……?」
「今は共に行動すべきではない」
突き放すような口調だった。だが次の瞬間、スネイプはイリスの上着の胸元に指先をかざした。かすかな光が揺れ、衣に吸い込まれる。
「保護魔法だ」
そう一言だけ残し、背を向けた。
冷たい声音の裏に、変わらぬ想いがあることを感じて、イリスの胸は少しだけ温かくなった。
───
ダイアゴン横丁は、かつての賑わいを失っていた。店は閉まっているものが多く、石畳の路地に響くのは低い囁き声ばかり。
「マグルが行方不明になった」
「橋が落ちた」
──そんな噂が飛び交っている。
イリスはその空気を深く吸い込み、長い時を生きてきた感覚で悟る。世界が、確実に暗く染まりつつある。
それでも、ウィーズリー双子の店だけは明るい光に満ちていた。
賑やかな商品と客の笑い声に、皆の緊張がほんの少し解ける。
───
買い物を進めていたとき、イリスは目を見開いた。
オリバンダーの店が焼け焦げていたのだ。
壁も床も黒く煤け、炭のように崩れた残骸が散らばり、悲惨さがよく分かる。
ハリーたちも同じように驚き、開いた口が塞がらないといった様子だった。
そうして店だった建物の中を抜け、ふと窓の外へ目をやるとドラコとナルシッサの姿を見かけた。
ハリーたちも気がついたのかうなずき合い、影に身を潜めながら彼らを追う。
細い路地を抜けた先は、闇の横丁。鬱蒼とした空気の中、ドラコと母親は「ボージン&バークス」に入っていった。
ハリーたちと共に屋根に上がり、中を覗き込む。そこでは大きなキャビネットを前に、ドラコが店主と何やら話し込んでいる。背後にはベラトリックスの姿らしき影も見えた。
皆が息を殺す。次の瞬間、窓辺に誰かが立ち塞がった。こちらを振り返る気配に慌てて身を隠す。再び窓を覗いたときには、もうカーテンが閉じられていた。
皆足早に引き返し闇の横丁を抜け、ダイアゴン横丁の大通りへと出る。
「ドラコは死喰い人に違いない!」
ハリーが早口に言う。
「証拠はないわ」
ハーマイオニーは渋い顔をする。
「……でも怪しいのは確かだろ」
ロンも低く付け加える。
イリスは静かに三人を見つめ、何も言わなかった。心ではハリーに同意していたが、証拠のない憶測を軽々しく口にする気にはなれなかった。
───
帰り道、皆が両手いっぱいにそれぞれの新学期へ向けた荷物を抱えて歩いていた。
背後を気にしながら歩くイリスの胸には、先ほどの光景が重くのしかかっている。
そのとき、通りの角から黒いローブの影がすっと現れた。
ローブの裾がひるがえり、周囲の空気が一瞬張り詰める。
フードを深く被ったスネイプだった。
「行くぞ」
短い言葉。だがその声を聞いた瞬間、胸の奥の緊張がふっとほどけた。
イリスはハリーたちに小さく礼を言い、スネイプの後を追った。
───
人混みを抜けて歩く。スネイプは振り返らない。
それでも、イリスとの距離は常に一定に保たれている。冷たい背中なのに、そこから確かに守られている気配が伝わってきた。
けれどふと気づく。彼の右手に、かすかに絡みつくような奇妙な魔力が揺れている。
危険なものには見えなかったが、どこか違和感を覚える。
今急いで深く問うべきことではない。
そう判断したイリスは、ただ静かに彼の背を追い続けた。
春休みの終わり頃から、スネイプはどこか落ち着かない様子だった。
姿を見せない日も多くなり、研究や教師の仕事で忙しいのだろう。生徒もまだおらず寂しい気持ちはあるものの、仕方がないと理解していた。
そんなある朝、呼び止められる。
彼は淡々と告げる。
「新学期の準備をしておけ。今日はポッターたちと共にダイアゴン横丁へ行け」
「先生は……?」
「今は共に行動すべきではない」
突き放すような口調だった。だが次の瞬間、スネイプはイリスの上着の胸元に指先をかざした。かすかな光が揺れ、衣に吸い込まれる。
「保護魔法だ」
そう一言だけ残し、背を向けた。
冷たい声音の裏に、変わらぬ想いがあることを感じて、イリスの胸は少しだけ温かくなった。
───
ダイアゴン横丁は、かつての賑わいを失っていた。店は閉まっているものが多く、石畳の路地に響くのは低い囁き声ばかり。
「マグルが行方不明になった」
「橋が落ちた」
──そんな噂が飛び交っている。
イリスはその空気を深く吸い込み、長い時を生きてきた感覚で悟る。世界が、確実に暗く染まりつつある。
それでも、ウィーズリー双子の店だけは明るい光に満ちていた。
賑やかな商品と客の笑い声に、皆の緊張がほんの少し解ける。
───
買い物を進めていたとき、イリスは目を見開いた。
オリバンダーの店が焼け焦げていたのだ。
壁も床も黒く煤け、炭のように崩れた残骸が散らばり、悲惨さがよく分かる。
ハリーたちも同じように驚き、開いた口が塞がらないといった様子だった。
そうして店だった建物の中を抜け、ふと窓の外へ目をやるとドラコとナルシッサの姿を見かけた。
ハリーたちも気がついたのかうなずき合い、影に身を潜めながら彼らを追う。
細い路地を抜けた先は、闇の横丁。鬱蒼とした空気の中、ドラコと母親は「ボージン&バークス」に入っていった。
ハリーたちと共に屋根に上がり、中を覗き込む。そこでは大きなキャビネットを前に、ドラコが店主と何やら話し込んでいる。背後にはベラトリックスの姿らしき影も見えた。
皆が息を殺す。次の瞬間、窓辺に誰かが立ち塞がった。こちらを振り返る気配に慌てて身を隠す。再び窓を覗いたときには、もうカーテンが閉じられていた。
皆足早に引き返し闇の横丁を抜け、ダイアゴン横丁の大通りへと出る。
「ドラコは死喰い人に違いない!」
ハリーが早口に言う。
「証拠はないわ」
ハーマイオニーは渋い顔をする。
「……でも怪しいのは確かだろ」
ロンも低く付け加える。
イリスは静かに三人を見つめ、何も言わなかった。心ではハリーに同意していたが、証拠のない憶測を軽々しく口にする気にはなれなかった。
───
帰り道、皆が両手いっぱいにそれぞれの新学期へ向けた荷物を抱えて歩いていた。
背後を気にしながら歩くイリスの胸には、先ほどの光景が重くのしかかっている。
そのとき、通りの角から黒いローブの影がすっと現れた。
ローブの裾がひるがえり、周囲の空気が一瞬張り詰める。
フードを深く被ったスネイプだった。
「行くぞ」
短い言葉。だがその声を聞いた瞬間、胸の奥の緊張がふっとほどけた。
イリスはハリーたちに小さく礼を言い、スネイプの後を追った。
───
人混みを抜けて歩く。スネイプは振り返らない。
それでも、イリスとの距離は常に一定に保たれている。冷たい背中なのに、そこから確かに守られている気配が伝わってきた。
けれどふと気づく。彼の右手に、かすかに絡みつくような奇妙な魔力が揺れている。
危険なものには見えなかったが、どこか違和感を覚える。
今急いで深く問うべきことではない。
そう判断したイリスは、ただ静かに彼の背を追い続けた。
