第3章 不死鳥の騎士団
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第20話 黒衣の胸奥に芽生えるもの
アンブリッジが森の奥へ連れ去られたと聞き城中を歩きイリスの姿を探すも見当たらなかった。
その時イリスをハリーたちと共に行かせてしまったことに気づいた。
彼女が狙われやすい存在だと分かっていたのに、どうして引き留めなかったのか。 ただ一人でも守り抜くべきだったのではないか
自身の軽率さが彼女を闇の帝王の眼前へと追いやってしまった。
その後悔が頭から離れず、自責の念が胸を焼いた。
数時間が経ち、スネイプの気持ちは落ち着かずにいた。
その時医務室から出てきたイリスの姿が視界に入った。
左肩を三角巾で吊り、血に染まったブラウス、煌めく白髪の間から覗く白い首筋には無残な痕が刻まれている。 首筋に散らばる赤黒い印――それが彼女の身に起きたことを雄弁に物語っていた。
目を逸らすことなどできなかった。
「……我輩の寮の生徒だ。話もあるため、我輩が連れていこう」
冷ややかな声を投げかけると、彼女の周囲にいたハーマイオニーとジニーは不満そうに声を漏らす。
今すぐにでも何があったのかを確認したい。その気持ちでいっぱいでスネイプは2人を睨みつけた。
そして2人からイリスを引き受けるとすぐに歩き出した。
――
人気のない廊下の角に差しかかったところで立ち止まる。 黒衣の裾が翻る音と共に問いが口を突いた。
「……何があった」
冷静に言う。しかし内心では焦りでいっぱいだった。
イリスは真っ直ぐに応えた。
「スネイプ先生もご存じだと思いますが、彼はかつて見世物小屋にも来ていました。その時の執着は今も変わらずありました。私を傍に置こうとしているみたいです」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に鈍い衝撃が走った。
視線は再び彼女の首筋に吸い寄せられる。 白すぎる肌に赤黒い鬱血痕と深い噛み跡が散っていた。
理性が崩れ、冷静さは霧のように消えていく。
──またしても奪われる。
その恐怖が脳裏を真っ白に染め上げた。
気づけばイリスの背を石壁へ押し付けていた。 驚きに目を見開いた彼女に顔を近づける。
壁に押しやったことでブラウスから手を離したイリス。
隠されていた痕跡が露わになる。白く陶器のような肌に刻まれた痛々しい歯形、しつこく付けたであろう鬱血痕の数々…
それら全ての痕跡は彼女が弄ばれた証に他ならない。
その光景がさらに胸をかき乱した。
その瞬間考えるよりも先に体は勝手に動いており、イリスを強く、強く抱きしめていた。
───
思いがけない行動に息を飲んだのは自分だった。
腕の中で彼女の体が小さく震えた。 痛む肩を庇うようにぎこちなくも、細い右腕が背に回される。
抱き返されていることに気づき、更に息が詰まった。 その白く小さい手が触れる部分からじんわりと熱が広がる。
腕の中で静かに涙を零し、こちらに身を預けている彼女の姿を見て制していた自身の心が抗うことも出来ず揺れ動かされた。
この先もイリスの行先を傍で見守りたい
イリスを傷つけるもの全てから守りたい
と想ってしまった。それはイリスに惹かれていること以外の何物でもなかった。
そして何よりもイリスを抱きしめて体温を感じ、微かに舞った匂いを香ったとき…
イリスがぎこちなく抱き返したとき…
初めに浮かんだのは愛おしさだった。
もう認める他なかった。これ以上は自身を騙せない。
自身の殻から抜け出し、未来へ進むしかないと。
そう思った瞬間彼女は震える声で言った。
「あの時に戻りたくない…。戻るのが怖くて仕方ないんです」
スネイプは胸が締め付けられた。分かっていた。恐ろしい思いをしたと。それなのに本人の口からきくことは耐えられないものがある。自然とイリスを強く抱きしめてしまった。
「スネイプ先生を見ると、声を聞くと何故か心拍が激しくなるんです。胸が痛むこともあります。それなのに、そばに居ると言いようのない温かい気持ちでいっぱいになるんです。だから…」
やめろ、それ以上は…。
『できることならずっと……先生のそばにいたい……。』
ああ…もう退くことなどできない…。
スネイプは静かに過去の自身と別れを告げた。
イリスの言葉はそれが人間にとってどれほどの意味を持つのか、彼女自身は知らないのかもしれない。
それでもイリスもまたスネイプと同じようにそばにいたいと考えていたことにスネイプは胸がいっぱいになった。
イリスが自分の隣で笑う未来を築きたい。
そのためにもう二度と、彼女を奪わせはしない。
その決意だけが、心の底から力強く燃え上がった。
アンブリッジが森の奥へ連れ去られたと聞き城中を歩きイリスの姿を探すも見当たらなかった。
その時イリスをハリーたちと共に行かせてしまったことに気づいた。
彼女が狙われやすい存在だと分かっていたのに、どうして引き留めなかったのか。 ただ一人でも守り抜くべきだったのではないか
自身の軽率さが彼女を闇の帝王の眼前へと追いやってしまった。
その後悔が頭から離れず、自責の念が胸を焼いた。
数時間が経ち、スネイプの気持ちは落ち着かずにいた。
その時医務室から出てきたイリスの姿が視界に入った。
左肩を三角巾で吊り、血に染まったブラウス、煌めく白髪の間から覗く白い首筋には無残な痕が刻まれている。 首筋に散らばる赤黒い印――それが彼女の身に起きたことを雄弁に物語っていた。
目を逸らすことなどできなかった。
「……我輩の寮の生徒だ。話もあるため、我輩が連れていこう」
冷ややかな声を投げかけると、彼女の周囲にいたハーマイオニーとジニーは不満そうに声を漏らす。
今すぐにでも何があったのかを確認したい。その気持ちでいっぱいでスネイプは2人を睨みつけた。
そして2人からイリスを引き受けるとすぐに歩き出した。
――
人気のない廊下の角に差しかかったところで立ち止まる。 黒衣の裾が翻る音と共に問いが口を突いた。
「……何があった」
冷静に言う。しかし内心では焦りでいっぱいだった。
イリスは真っ直ぐに応えた。
「スネイプ先生もご存じだと思いますが、彼はかつて見世物小屋にも来ていました。その時の執着は今も変わらずありました。私を傍に置こうとしているみたいです」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に鈍い衝撃が走った。
視線は再び彼女の首筋に吸い寄せられる。 白すぎる肌に赤黒い鬱血痕と深い噛み跡が散っていた。
理性が崩れ、冷静さは霧のように消えていく。
──またしても奪われる。
その恐怖が脳裏を真っ白に染め上げた。
気づけばイリスの背を石壁へ押し付けていた。 驚きに目を見開いた彼女に顔を近づける。
壁に押しやったことでブラウスから手を離したイリス。
隠されていた痕跡が露わになる。白く陶器のような肌に刻まれた痛々しい歯形、しつこく付けたであろう鬱血痕の数々…
それら全ての痕跡は彼女が弄ばれた証に他ならない。
その光景がさらに胸をかき乱した。
その瞬間考えるよりも先に体は勝手に動いており、イリスを強く、強く抱きしめていた。
───
思いがけない行動に息を飲んだのは自分だった。
腕の中で彼女の体が小さく震えた。 痛む肩を庇うようにぎこちなくも、細い右腕が背に回される。
抱き返されていることに気づき、更に息が詰まった。 その白く小さい手が触れる部分からじんわりと熱が広がる。
腕の中で静かに涙を零し、こちらに身を預けている彼女の姿を見て制していた自身の心が抗うことも出来ず揺れ動かされた。
この先もイリスの行先を傍で見守りたい
イリスを傷つけるもの全てから守りたい
と想ってしまった。それはイリスに惹かれていること以外の何物でもなかった。
そして何よりもイリスを抱きしめて体温を感じ、微かに舞った匂いを香ったとき…
イリスがぎこちなく抱き返したとき…
初めに浮かんだのは愛おしさだった。
もう認める他なかった。これ以上は自身を騙せない。
自身の殻から抜け出し、未来へ進むしかないと。
そう思った瞬間彼女は震える声で言った。
「あの時に戻りたくない…。戻るのが怖くて仕方ないんです」
スネイプは胸が締め付けられた。分かっていた。恐ろしい思いをしたと。それなのに本人の口からきくことは耐えられないものがある。自然とイリスを強く抱きしめてしまった。
「スネイプ先生を見ると、声を聞くと何故か心拍が激しくなるんです。胸が痛むこともあります。それなのに、そばに居ると言いようのない温かい気持ちでいっぱいになるんです。だから…」
やめろ、それ以上は…。
『できることならずっと……先生のそばにいたい……。』
ああ…もう退くことなどできない…。
スネイプは静かに過去の自身と別れを告げた。
イリスの言葉はそれが人間にとってどれほどの意味を持つのか、彼女自身は知らないのかもしれない。
それでもイリスもまたスネイプと同じようにそばにいたいと考えていたことにスネイプは胸がいっぱいになった。
イリスが自分の隣で笑う未来を築きたい。
そのためにもう二度と、彼女を奪わせはしない。
その決意だけが、心の底から力強く燃え上がった。
