第3章 不死鳥の騎士団
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第19話 溢れた想い
気がつけばホグワーツ正門広間に立っていた。 魔法省にとも向かったメンバーが先戻っており、誰もが緊張と恐怖に顔を曇らせていた。
「イリス!大丈夫なの?」
ハーマイオニーの声かけを合図に皆が駆け寄る。
しかし、ネビルやロンは急に顔を赤らめ、目のやり場に困っているようだった。
2人のその様子に気がついたハーマイオニーとジニーはイリスの姿を改めて観察し慌てたように駆け寄る。
「イリス!何があったの!?とりあえずしっかりブラウスを抑えていて!」
引き裂かれて大きく開きすぎている胸元のブラウスを手繰り寄せて隠すハーマイオニー。
イリスはその行動に困惑する。
「え、なんで。」
「なんでって……。恥ずかしくないの?」
ジニーもまた困惑した様子で返した。
「イリス、人間は胸や下半身を人に見せることに恥じらいがあるの。今のあなたは……かなり際どい格好よ。だから隠すの。」
ハーマイオニーがそうおしえてくれた。
どうやら人間は胸がはだけているのは恥ずかしいことらしい。知らなかった。
そんなこと気にしたこともなかった。
そしてイリスは左肩に力を入れぬよう右手で左手を持ち上げ、左手でブラウスを掴む。
「イリス、怪我したの?それに…その痕は……一体何があったの?」
ハーマイオニーが理解できない様子で改めて訊ねる。
イリスは出来事を説明しようと、これまでの流れを思い出す。
落ち着いたからか左肩に響く鈍痛とともに首や胸に付けられた数々の印にまとわりつく熱が再燃する。
「左肩は騎士団とともに戦った時に…。そのあとはハリーを追ったの。そしてヴォルデモートが来た。その時にこれは付けられた。でもダンブルドア先生が助けに来てくれたから無事に帰ってこれた。ハリー達はあとから来るって言っていたわ。」
「そうなの…。じゃあやっぱり完全に復活していたのね。」
「…分かっていたけど辛いな。この先どうなるんだろう」
イリスの言葉を聞き、皆の間に重苦しい空気が流れた。
───
その後はハーマイオニーとジニーに連れられて、医務室へ向かった。
医務室へ入るやいなやポンフリー夫人が目を見開き、すぐに手を動かした。
「まあ、ひどい……!左肩は骨折ね。動かないで。それにしても……」
左肩の、状態を見極めたと同時にイリスの体の印をみて怪訝な表情をする。
「これをつけた相手は頭がおかしいですよ。他には何もされなかったわよね?」
ポンフリーがイリスの顔を覗き込む。
「ほかは無いです。こんなのはすぐに治りますから。大丈夫です。」
イリスは本当に印に関してはマーキングだとヴォルデモートが言っていたが、そんなものはすぐに治ると分かっていたためそう答えた。
しかしポンフリーは何故か心を痛めたような表情をしていた。
ポンフリーによって左肩に温かい魔法が走り、骨のずれが整えられる。
しかし骨の整復はかなり痛い。短い叫び声を押し殺し、イリスは唇を噛んだ。
整復したあとは三角巾で左腕と肩を固定された。呼吸が浅くなるほどきつく感じたが、支えられている安心感があった。
「今日は絶対に安静に。すぐに部屋へ戻って眠りなさい」
そう言われて2人に付き添われ医務室を出ると───
「……我輩の寮の生徒だ。話もあるため我輩
が連れていこう」
冷たい声が廊下に響いた。 顔を上げると、黒衣を翻したスネイプが立っていた。 彼の瞳はイリスをしっかりと捉えて離さなかった。
「で、でも……」
と口を開いたジニーとハーマイオニーにスネイプは冷たく鋭い視線を送った。
その迫力に二人は黙り込み、イリスはその腕に導かれるまま歩き出した。
「イリス、また後から来るわ…。」
そう言葉を残して。
スネイプはイリスの右腕を引き、導く。その横顔は冷静に見えるがどこか強ばっていた。
そして人目のない角に入った途端、スネイプが立ち止まった。 黒い瞳が真っ直ぐにイリスを射抜く。
「……何があった?」
低く抑えた声。冷静さの裏に、熱が滲んでいる。
イリスは迷わず答えた。
「……スネイプ先生も見た思いますが彼は、かつて見世物小屋にも来ていた。その時の執着は今も変わらずありました。私を傍に置こうとしているみたいです。」
その言葉を聞いた瞬間、スネイプの視線が首筋に吸い寄せられる。 イリスも、そのことに気づいた。けれど、なぜそんなに見つめるのかは分からなかった。
次の瞬間、体を押され、石壁に背中を打ち付けた。驚きに目を見開く。
スネイプの顔が近い。息がかかるほどに。 視線は首筋へ、赤黒く残る鬱血痕と、噛まれた深い跡へと釘付けになっていた。
壁に押しやられた際にブラウスを掴む手が離れ白い肌と赤い痕が露わになる。
スネイプは時が止まったように固まる。
しかし次の瞬間――強く抱きしめられた。

「……っ!」
痛む肩が抗議するよりも早く、胸が大きく跳ねた。
抱きしめられたことは忌々しい過去に何度もあった。
だがそれはあまりにも一方的で心が冷え切るようなものだった。
しかしスネイプの腕の中はとても温かくこんな風に誰かに抱きしめられたことは、遠い記憶の中、幼かった頃母親から抱擁された時以来だ。
普段のスネイプからは想像できない突然の行動の連続に驚きつつもイリスの恐怖で凍った心に温かいものが流れ込む。
抱きしめるその強さは、彼がどれほど自分を案じているかを伝えてきた。
自然と、イリスの右腕も動いていた。固定された左肩のせいでぎこちなかったが、確かに抱き返した。
スネイプの匂いに包まれ、体温の温かさを感じると、不思議と心がほどけていく。 張り詰めていた恐怖が、一気に溶けて流れ出し、目から涙があふれた。
イリスは自然と言葉を紡ぐ。
「あの時に戻りたくない…。戻るのが怖くて仕方ないんです」
スネイプの力が強まるのを感じる。
「スネイプ先生を見ると、声を聞くと何故か心拍が激しくなるんです。胸が痛むこともあります。それなのに、そばに居ると言いようのない温かい気持ちでいっぱいになるんです。だから…」
『できることならずっと……先生のそばにいたい……。』
抑えることなく零れ落ちた言葉。
その言葉が人間にとってどのような意味を持つのか理解出来ぬままイリスは自身の心底の願いが声となっていた。
気がつけばホグワーツ正門広間に立っていた。 魔法省にとも向かったメンバーが先戻っており、誰もが緊張と恐怖に顔を曇らせていた。
「イリス!大丈夫なの?」
ハーマイオニーの声かけを合図に皆が駆け寄る。
しかし、ネビルやロンは急に顔を赤らめ、目のやり場に困っているようだった。
2人のその様子に気がついたハーマイオニーとジニーはイリスの姿を改めて観察し慌てたように駆け寄る。
「イリス!何があったの!?とりあえずしっかりブラウスを抑えていて!」
引き裂かれて大きく開きすぎている胸元のブラウスを手繰り寄せて隠すハーマイオニー。
イリスはその行動に困惑する。
「え、なんで。」
「なんでって……。恥ずかしくないの?」
ジニーもまた困惑した様子で返した。
「イリス、人間は胸や下半身を人に見せることに恥じらいがあるの。今のあなたは……かなり際どい格好よ。だから隠すの。」
ハーマイオニーがそうおしえてくれた。
どうやら人間は胸がはだけているのは恥ずかしいことらしい。知らなかった。
そんなこと気にしたこともなかった。
そしてイリスは左肩に力を入れぬよう右手で左手を持ち上げ、左手でブラウスを掴む。
「イリス、怪我したの?それに…その痕は……一体何があったの?」
ハーマイオニーが理解できない様子で改めて訊ねる。
イリスは出来事を説明しようと、これまでの流れを思い出す。
落ち着いたからか左肩に響く鈍痛とともに首や胸に付けられた数々の印にまとわりつく熱が再燃する。
「左肩は騎士団とともに戦った時に…。そのあとはハリーを追ったの。そしてヴォルデモートが来た。その時にこれは付けられた。でもダンブルドア先生が助けに来てくれたから無事に帰ってこれた。ハリー達はあとから来るって言っていたわ。」
「そうなの…。じゃあやっぱり完全に復活していたのね。」
「…分かっていたけど辛いな。この先どうなるんだろう」
イリスの言葉を聞き、皆の間に重苦しい空気が流れた。
───
その後はハーマイオニーとジニーに連れられて、医務室へ向かった。
医務室へ入るやいなやポンフリー夫人が目を見開き、すぐに手を動かした。
「まあ、ひどい……!左肩は骨折ね。動かないで。それにしても……」
左肩の、状態を見極めたと同時にイリスの体の印をみて怪訝な表情をする。
「これをつけた相手は頭がおかしいですよ。他には何もされなかったわよね?」
ポンフリーがイリスの顔を覗き込む。
「ほかは無いです。こんなのはすぐに治りますから。大丈夫です。」
イリスは本当に印に関してはマーキングだとヴォルデモートが言っていたが、そんなものはすぐに治ると分かっていたためそう答えた。
しかしポンフリーは何故か心を痛めたような表情をしていた。
ポンフリーによって左肩に温かい魔法が走り、骨のずれが整えられる。
しかし骨の整復はかなり痛い。短い叫び声を押し殺し、イリスは唇を噛んだ。
整復したあとは三角巾で左腕と肩を固定された。呼吸が浅くなるほどきつく感じたが、支えられている安心感があった。
「今日は絶対に安静に。すぐに部屋へ戻って眠りなさい」
そう言われて2人に付き添われ医務室を出ると───
「……我輩の寮の生徒だ。話もあるため我輩
が連れていこう」
冷たい声が廊下に響いた。 顔を上げると、黒衣を翻したスネイプが立っていた。 彼の瞳はイリスをしっかりと捉えて離さなかった。
「で、でも……」
と口を開いたジニーとハーマイオニーにスネイプは冷たく鋭い視線を送った。
その迫力に二人は黙り込み、イリスはその腕に導かれるまま歩き出した。
「イリス、また後から来るわ…。」
そう言葉を残して。
スネイプはイリスの右腕を引き、導く。その横顔は冷静に見えるがどこか強ばっていた。
そして人目のない角に入った途端、スネイプが立ち止まった。 黒い瞳が真っ直ぐにイリスを射抜く。
「……何があった?」
低く抑えた声。冷静さの裏に、熱が滲んでいる。
イリスは迷わず答えた。
「……スネイプ先生も見た思いますが彼は、かつて見世物小屋にも来ていた。その時の執着は今も変わらずありました。私を傍に置こうとしているみたいです。」
その言葉を聞いた瞬間、スネイプの視線が首筋に吸い寄せられる。 イリスも、そのことに気づいた。けれど、なぜそんなに見つめるのかは分からなかった。
次の瞬間、体を押され、石壁に背中を打ち付けた。驚きに目を見開く。
スネイプの顔が近い。息がかかるほどに。 視線は首筋へ、赤黒く残る鬱血痕と、噛まれた深い跡へと釘付けになっていた。
壁に押しやられた際にブラウスを掴む手が離れ白い肌と赤い痕が露わになる。
スネイプは時が止まったように固まる。
しかし次の瞬間――強く抱きしめられた。

「……っ!」
痛む肩が抗議するよりも早く、胸が大きく跳ねた。
抱きしめられたことは忌々しい過去に何度もあった。
だがそれはあまりにも一方的で心が冷え切るようなものだった。
しかしスネイプの腕の中はとても温かくこんな風に誰かに抱きしめられたことは、遠い記憶の中、幼かった頃母親から抱擁された時以来だ。
普段のスネイプからは想像できない突然の行動の連続に驚きつつもイリスの恐怖で凍った心に温かいものが流れ込む。
抱きしめるその強さは、彼がどれほど自分を案じているかを伝えてきた。
自然と、イリスの右腕も動いていた。固定された左肩のせいでぎこちなかったが、確かに抱き返した。
スネイプの匂いに包まれ、体温の温かさを感じると、不思議と心がほどけていく。 張り詰めていた恐怖が、一気に溶けて流れ出し、目から涙があふれた。
イリスは自然と言葉を紡ぐ。
「あの時に戻りたくない…。戻るのが怖くて仕方ないんです」
スネイプの力が強まるのを感じる。
「スネイプ先生を見ると、声を聞くと何故か心拍が激しくなるんです。胸が痛むこともあります。それなのに、そばに居ると言いようのない温かい気持ちでいっぱいになるんです。だから…」
『できることならずっと……先生のそばにいたい……。』
抑えることなく零れ落ちた言葉。
その言葉が人間にとってどのような意味を持つのか理解出来ぬままイリスは自身の心底の願いが声となっていた。
