第3章 不死鳥の騎士団
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第11話 刻まれる裏切り
必要の部屋の空気は張り詰めていた。イリスは集中しようと杖を握り直すが、胸の奥はざわめいたまま。紅い瞳は呪文の先に定まらず、揺らめいている。
その時――轟音が響いた。
壁が震え、大きな衝撃音が何度も響いた。
生徒たちが息を呑む間に、壁の一角が崩れ落ち、粉塵の中からアンブリッジが姿を現した。
「ここにいましたわね、みなさん」
満面の笑み。後ろにはフィルチ、そしてチョウの姿。
一斉にざわめきが走り、信じられないという視線が彼女に向かう。
裏切り。その言葉が心の中に鋭く突き刺さり、イリスの胸の奥で小さな痛みが広がった。
───
大広間の長いテーブルは片付けられ、代わりに整然と椅子が並べられていた。
生徒たちは一列に座らされ、アンブリッジの指示のもと「罰則の羽ペン」を手にする。
「さぁ……真実を学ぶ時間ですわ」
嫌に甘ったるい声が響く。
インクはどこにもない。羽ペンを羊皮紙に走らせ続けることで皮膚に直接刻む。
書き記すたびに、燃えるような痛みが右手を貫いた。
血がにじみ、皮膚に赤黒い文字が浮かぶ。呻き声をこらえて顔を歪める生徒たち。
イリスもまた同じように罰則を受けていたが、声を漏らすことはなかった。
紅い瞳を伏せ、ただ静かにペンを走らせる。痛みが容赦なく刻まれても、微動だにしない。
その沈黙は強さではなく、どこか凄絶な気配を漂わせていた。周囲の生徒たちは思わず視線を逸らし、恐怖と尊敬の入り混じった思いを抱いた。
罰則が終わり、生徒たちは重い足取りでそれぞれの部屋へ戻っていった。 イリスも自室に入り、扉を閉めると、そっと右手を抱えた。皮膚に刻まれた赤い文字がひりつき、視界が滲む。
「……大丈夫。少し経てば……」
自分にそう言い聞かせる。だが痛みは収まらず、胸の奥の孤独は深まっていくばかりだった。
ふと机に目を向けると、そこには以前スネイプから渡された薬瓶が置かれていた。
その小さな瓶は、彼との繋がりを無言で訴えかけてくる。だが今さらどう顔を合わせればいいのか。
思い浮かぶのは、互いに交わした言葉と、覗かれてしまった記憶。
視線は自然と伏せられ、胸の奥に苦い塊が沈んでいった。
その時コンコン、と扉が叩かれる。
低い声が扉の向こうから聞こえた。
「……開けろ」
スネイプの声だった。
心の準備をする間もなく、イリスは小さく返事をして扉を開いた。
立っていたスネイプは何も言わず、ただ一言だけ告げる。
「魔法薬学室へ来い」
無言で並んで歩く二人。
夜の廊下は冷たく、足音だけが硬く響いた。
互いの沈黙は重く、探り合うような空気が漂っている。
やがて教室に着くと、スネイプは棚から薬瓶を取り出し、机に置いた。
瓶の中の液体が淡く光を反射する。
「どうやら集会が見つかったようだな」
低い声が落ちた。
「……どうせあの女のことだ。またあの罰則を受けたのだろう」
イリスは小さな声で「はい」と答えた。 それ以上言葉は続かず、再び静寂が落ちる。
彼女は俯いたまま。どうしてもスネイプの顔を見られなかった。
必要の部屋の空気は張り詰めていた。イリスは集中しようと杖を握り直すが、胸の奥はざわめいたまま。紅い瞳は呪文の先に定まらず、揺らめいている。
その時――轟音が響いた。
壁が震え、大きな衝撃音が何度も響いた。
生徒たちが息を呑む間に、壁の一角が崩れ落ち、粉塵の中からアンブリッジが姿を現した。
「ここにいましたわね、みなさん」
満面の笑み。後ろにはフィルチ、そしてチョウの姿。
一斉にざわめきが走り、信じられないという視線が彼女に向かう。
裏切り。その言葉が心の中に鋭く突き刺さり、イリスの胸の奥で小さな痛みが広がった。
───
大広間の長いテーブルは片付けられ、代わりに整然と椅子が並べられていた。
生徒たちは一列に座らされ、アンブリッジの指示のもと「罰則の羽ペン」を手にする。
「さぁ……真実を学ぶ時間ですわ」
嫌に甘ったるい声が響く。
インクはどこにもない。羽ペンを羊皮紙に走らせ続けることで皮膚に直接刻む。
書き記すたびに、燃えるような痛みが右手を貫いた。
血がにじみ、皮膚に赤黒い文字が浮かぶ。呻き声をこらえて顔を歪める生徒たち。
イリスもまた同じように罰則を受けていたが、声を漏らすことはなかった。
紅い瞳を伏せ、ただ静かにペンを走らせる。痛みが容赦なく刻まれても、微動だにしない。
その沈黙は強さではなく、どこか凄絶な気配を漂わせていた。周囲の生徒たちは思わず視線を逸らし、恐怖と尊敬の入り混じった思いを抱いた。
罰則が終わり、生徒たちは重い足取りでそれぞれの部屋へ戻っていった。 イリスも自室に入り、扉を閉めると、そっと右手を抱えた。皮膚に刻まれた赤い文字がひりつき、視界が滲む。
「……大丈夫。少し経てば……」
自分にそう言い聞かせる。だが痛みは収まらず、胸の奥の孤独は深まっていくばかりだった。
ふと机に目を向けると、そこには以前スネイプから渡された薬瓶が置かれていた。
その小さな瓶は、彼との繋がりを無言で訴えかけてくる。だが今さらどう顔を合わせればいいのか。
思い浮かぶのは、互いに交わした言葉と、覗かれてしまった記憶。
視線は自然と伏せられ、胸の奥に苦い塊が沈んでいった。
その時コンコン、と扉が叩かれる。
低い声が扉の向こうから聞こえた。
「……開けろ」
スネイプの声だった。
心の準備をする間もなく、イリスは小さく返事をして扉を開いた。
立っていたスネイプは何も言わず、ただ一言だけ告げる。
「魔法薬学室へ来い」
無言で並んで歩く二人。
夜の廊下は冷たく、足音だけが硬く響いた。
互いの沈黙は重く、探り合うような空気が漂っている。
やがて教室に着くと、スネイプは棚から薬瓶を取り出し、机に置いた。
瓶の中の液体が淡く光を反射する。
「どうやら集会が見つかったようだな」
低い声が落ちた。
「……どうせあの女のことだ。またあの罰則を受けたのだろう」
イリスは小さな声で「はい」と答えた。 それ以上言葉は続かず、再び静寂が落ちる。
彼女は俯いたまま。どうしてもスネイプの顔を見られなかった。
