第3章 不死鳥の騎士団
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第8話 言葉の刃、心の壁
放課後の石造りの部屋は、薄暗く冷たい空気に包まれていた。 窓から射し込む光は弱く、壁にかかる影を長く伸ばしている。 そこにスネイプが立っていた。背筋を伸ばし、黒衣の裾を揺らしながら、冷ややかな瞳で二人を見据える。
「よく聞け」
その声は静かでありながら鋭く響き、空気を一層重くした。
「ヴォルデモートは、心の隙をついて侵入する。思考も感情も、すべてを覗き見ることができる。お前たちが狙われれば、彼は遠からずお前たちを媒介にしてこちらの世界に干渉してくるだろう」
ハリーは息を呑み、拳を握りしめた。 イリスは紅い瞳を瞬かせながら、黙ってスネイプを見つめる。
「閉心術を習得すること。それが唯一の防御だ。頭を空にし、感情を沈め、心の扉を閉ざせ」
言葉は冷酷で淡々としている。だがその裏には、切迫した必要性がにじんでいた。
「失敗すれば……お前たち自身だけでなく、この学校全体に危険を招くことになる」
その一言に、部屋の空気が凍りついた。 イリスは見世物小屋を思い出し、身をふるわせる。ようやく過去を乗り越えてきたのに、ヴォルデモートに引きずり戻される訳には行かないと考えて、閉心術を必ず完璧にしてみせると意気込む
それからハリーとイリスの放課後の日課に閉心術の訓練が追加されることになった。
───
あの日から訓練は続いている。
そしてスネイプは杖を突きつけるたびに、低い声で呪文を唱える。
「レジリメンス」
意識に鋭い刃が差し込む。 心の奥を暴かれる感覚に、ハリーは顔をしかめ、必死に抵抗する。だが心の壁はもろく崩れ、次々に思い出が引き出されてしまった。
「集中しろ、ポッター!」
スネイプの声が叱責となって響く。
ハリーは汗をぬぐいながらも視線を逸らし、反抗的に睨み返すばかりだった。
───
時間が経ちイリスの訓練が回ってきた。
イリスは静かに目を閉じる。 感情を揺らさず、心を澄んだ水面のように落ち着ける。
スネイプの呪文が放たれても、その波は届かず、静謐な空気に溶けていった。
「……よかろう。だが油断はするでないぞ。」
スネイプの目が細められる。 驚きも称賛も見せない。ただ、淡々と次の指示を告げた。
イリスは初回の訓練から閉心術ができていた。閉心術の習得方法は生まれた時から当たり前のようにしていたことのおかげだった。
自然と調和し、心を空にする。それはエルフにとって呼吸と同じほど日常的な営み。だからこそ、彼女にとって閉心術は
「学ぶもの」ではなく
「思い出すもの」にすぎなかった。
───
数日が経ちハリーは心を幾度も覗かれ疲弊していた。
訓練から開放されたハリーは先を歩くイリスに駆け寄り声をかけた。
「……僕、夢を見てるんだ」
その表情は、恐怖よりもどこか興奮に近いものだった。
「ヴォルデモートの飼ってる蛇の視点みたいで……、この前はロンの父親を襲う夢を見たんだ……君もいただろう?校長室に。あの夜の夢だったんだ。」
「そうなの?じゃあダンブルドアはそれで急遽こうして閉心術を学ばせたんだね…」
イリスはハリーの話を聞きなぜ急遽ダンブルドアが指示したのか理解した。 そして、ハリーの瞳の奥に宿る好奇心も……
しかしハリーはイリスの言葉を聞き表情を曇らせる。
「僕はヴォルデモートと同じようになると思われているのかな?あの時も、なんだか急に怒りが抑えられなくて……」
「ハリー、私にはハリーの感じていること全てわかるわけじゃないけど、関わってる感じでは悪人には感じない。その夢を通じてヴォルデモートが入り込んで感情を乱れさせている可能性はないかな?」
「そうなのかな……でも、夢じゃなかったよ……、あの夢は本当だったんだ……だから……」
ハリーはイリスの言葉を聞きつつも、自分が操られている可能性については認めたくないのかそのことについて触れることはなかった。
明らかな好奇心は見えなくともイリスは悟った。
閉心術を学ぶ気がないのではなく、学びたくないのでは? 夢を見続けることで自分が何かを予知して助けになれると考えているのでは?と。
その瞬間胸の奥に、ひやりとした不安が広がった。
───
日が経つにつれて、スネイプの苛立ちは露わになっていった。 訓練の最中、スネイプの声は一層鋭くなる。
「心を空にしろと何度言えばわかるのだ!」
ハリーは口をつぐみ、唇を噛み締める。その眼差しには写る反抗の光もまたスネイプの苛立ちに比例して増していく。
2人の感情がぶつかり合い部屋には冷たい怒気が満ちていく。
イリスはそんなふたりを不安げに見守ることしか出来なかった。
ふたりがぶつかり合いながらも訓練は続いていたある日。
訓練の緊張はついに頂点に達した。 あまりにも不真面目で、反抗心ばかり大きく育っていくハリーに対しスネイプが冷笑を浮かべる。
「いつになったら自分の愚かさを認めるのだ?……お前の父親も同じだ。無鉄砲で、愚かで、規則を守らぬ男だった」
「やめろ!」
ハリーの声は怒りで震えた。
「ブラックにも似ておる、自分は不当な扱いばかり受けていると嘆いている。だが、人生とは不当なものだ。お前の父親はそれを我輩によくよく思い知らせてくれた!」
「違う!!」
「お前の父親は卑劣で不当だった!」
スネイプが声を張り上げると同時に彼は杖を振った。
「レジリメンス!」
「プロテゴ!」
ハリーも反射的に呪文を放つ。
光がぶつかり、反射した呪文が逆流する。 標的はスネイプ自身。
(――危ない!)
イリスは考えるよりも早く体を投げ出していた。
スネイプの前に立ちふさがり、その身で呪文を受け止める。
視界が灼かれ、心の奥に鋭い刃が突き立つ。
紅い瞳が大きく揺らぎ、彼女はその場に崩れ落ちた。
放課後の石造りの部屋は、薄暗く冷たい空気に包まれていた。 窓から射し込む光は弱く、壁にかかる影を長く伸ばしている。 そこにスネイプが立っていた。背筋を伸ばし、黒衣の裾を揺らしながら、冷ややかな瞳で二人を見据える。
「よく聞け」
その声は静かでありながら鋭く響き、空気を一層重くした。
「ヴォルデモートは、心の隙をついて侵入する。思考も感情も、すべてを覗き見ることができる。お前たちが狙われれば、彼は遠からずお前たちを媒介にしてこちらの世界に干渉してくるだろう」
ハリーは息を呑み、拳を握りしめた。 イリスは紅い瞳を瞬かせながら、黙ってスネイプを見つめる。
「閉心術を習得すること。それが唯一の防御だ。頭を空にし、感情を沈め、心の扉を閉ざせ」
言葉は冷酷で淡々としている。だがその裏には、切迫した必要性がにじんでいた。
「失敗すれば……お前たち自身だけでなく、この学校全体に危険を招くことになる」
その一言に、部屋の空気が凍りついた。 イリスは見世物小屋を思い出し、身をふるわせる。ようやく過去を乗り越えてきたのに、ヴォルデモートに引きずり戻される訳には行かないと考えて、閉心術を必ず完璧にしてみせると意気込む
それからハリーとイリスの放課後の日課に閉心術の訓練が追加されることになった。
───
あの日から訓練は続いている。
そしてスネイプは杖を突きつけるたびに、低い声で呪文を唱える。
「レジリメンス」
意識に鋭い刃が差し込む。 心の奥を暴かれる感覚に、ハリーは顔をしかめ、必死に抵抗する。だが心の壁はもろく崩れ、次々に思い出が引き出されてしまった。
「集中しろ、ポッター!」
スネイプの声が叱責となって響く。
ハリーは汗をぬぐいながらも視線を逸らし、反抗的に睨み返すばかりだった。
───
時間が経ちイリスの訓練が回ってきた。
イリスは静かに目を閉じる。 感情を揺らさず、心を澄んだ水面のように落ち着ける。
スネイプの呪文が放たれても、その波は届かず、静謐な空気に溶けていった。
「……よかろう。だが油断はするでないぞ。」
スネイプの目が細められる。 驚きも称賛も見せない。ただ、淡々と次の指示を告げた。
イリスは初回の訓練から閉心術ができていた。閉心術の習得方法は生まれた時から当たり前のようにしていたことのおかげだった。
自然と調和し、心を空にする。それはエルフにとって呼吸と同じほど日常的な営み。だからこそ、彼女にとって閉心術は
「学ぶもの」ではなく
「思い出すもの」にすぎなかった。
───
数日が経ちハリーは心を幾度も覗かれ疲弊していた。
訓練から開放されたハリーは先を歩くイリスに駆け寄り声をかけた。
「……僕、夢を見てるんだ」
その表情は、恐怖よりもどこか興奮に近いものだった。
「ヴォルデモートの飼ってる蛇の視点みたいで……、この前はロンの父親を襲う夢を見たんだ……君もいただろう?校長室に。あの夜の夢だったんだ。」
「そうなの?じゃあダンブルドアはそれで急遽こうして閉心術を学ばせたんだね…」
イリスはハリーの話を聞きなぜ急遽ダンブルドアが指示したのか理解した。 そして、ハリーの瞳の奥に宿る好奇心も……
しかしハリーはイリスの言葉を聞き表情を曇らせる。
「僕はヴォルデモートと同じようになると思われているのかな?あの時も、なんだか急に怒りが抑えられなくて……」
「ハリー、私にはハリーの感じていること全てわかるわけじゃないけど、関わってる感じでは悪人には感じない。その夢を通じてヴォルデモートが入り込んで感情を乱れさせている可能性はないかな?」
「そうなのかな……でも、夢じゃなかったよ……、あの夢は本当だったんだ……だから……」
ハリーはイリスの言葉を聞きつつも、自分が操られている可能性については認めたくないのかそのことについて触れることはなかった。
明らかな好奇心は見えなくともイリスは悟った。
閉心術を学ぶ気がないのではなく、学びたくないのでは? 夢を見続けることで自分が何かを予知して助けになれると考えているのでは?と。
その瞬間胸の奥に、ひやりとした不安が広がった。
───
日が経つにつれて、スネイプの苛立ちは露わになっていった。 訓練の最中、スネイプの声は一層鋭くなる。
「心を空にしろと何度言えばわかるのだ!」
ハリーは口をつぐみ、唇を噛み締める。その眼差しには写る反抗の光もまたスネイプの苛立ちに比例して増していく。
2人の感情がぶつかり合い部屋には冷たい怒気が満ちていく。
イリスはそんなふたりを不安げに見守ることしか出来なかった。
ふたりがぶつかり合いながらも訓練は続いていたある日。
訓練の緊張はついに頂点に達した。 あまりにも不真面目で、反抗心ばかり大きく育っていくハリーに対しスネイプが冷笑を浮かべる。
「いつになったら自分の愚かさを認めるのだ?……お前の父親も同じだ。無鉄砲で、愚かで、規則を守らぬ男だった」
「やめろ!」
ハリーの声は怒りで震えた。
「ブラックにも似ておる、自分は不当な扱いばかり受けていると嘆いている。だが、人生とは不当なものだ。お前の父親はそれを我輩によくよく思い知らせてくれた!」
「違う!!」
「お前の父親は卑劣で不当だった!」
スネイプが声を張り上げると同時に彼は杖を振った。
「レジリメンス!」
「プロテゴ!」
ハリーも反射的に呪文を放つ。
光がぶつかり、反射した呪文が逆流する。 標的はスネイプ自身。
(――危ない!)
イリスは考えるよりも早く体を投げ出していた。
スネイプの前に立ちふさがり、その身で呪文を受け止める。
視界が灼かれ、心の奥に鋭い刃が突き立つ。
紅い瞳が大きく揺らぎ、彼女はその場に崩れ落ちた。
