第2章 炎のゴブレット
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第7話 光を掴む
膝を抱えた小さな自分が檻の中で震えている。 その姿を見た瞬間、胸の奥が切り裂かれるように痛んだ。
「……いや……」 かすれた声が漏れる。
(行かないで……)
目を必死に探す。 見世物小屋の中を、黒衣の男の姿を。 だが、闇は深く、どこを見てもその姿は見えない。
(見つけて……私を見て……置いていかないで……!)
心が張り裂けそうな恐怖。 それは竜の黒煙が見せる幻覚なのか、それとも自分の深層に眠る恐怖そのものか。 境界はもう分からなかった。
だが、次の瞬間。
頭の中に浮かんだ。 ハリーの真剣な瞳。 ハーマイオニーの心配そうな顔。 そして何よりも、冷たいようでいて、自分を庇ってくれたあの人。
スネイプの顔が。
心臓が強く打った。 その顔が、この闇の中で唯一の光のように思えた。
「……私は……二度と戻らない!」
叫びと共に、胸の奥から力が溢れ出す。 森に生きるエルフの魔力
───命を守り、癒すはずの力が、黒煙を押し返すように迸った。
視界が一気に明るさを取り戻す。 竜の愉悦に細められた眼が目前に迫っていたが、イリスの赤い瞳にはもう恐怖ではなく、確かな決意が宿っていた。
胸に手を当てると心の光がそこに集まる感覚がある。そしてそれは少しずつ溢れ出す。溜まりきった白銀の光が胸から一筋の閃光を放ち、黒煙を一気に押し払った。
その瞬間観客席が大きくどよめく。
竜が光に怯む一瞬を逃さず、イリスは身を翻し、地面を駆け抜け、 障害を潜り抜けた。
目が眩んだナイトスティーカーはより激しく体を振り乱し、煙を手当り次第に吐き散らしている。
イリスは攻撃を弾きながら卵のもとへとたどり着き、掴み取った。
その瞬間、会場に歓声が爆発した。
───
控え室に戻ったイリスは、扉を閉めた瞬間、膝から力が抜けた。 椅子に腰を落とし、深い呼吸を繰り返す。 もう立ち上がる力もない。
「イリス!」
真っ先に駆け寄ったのはハリーだった。
「本当にすごかったよ! あんなドラゴンに……君はやり切ったんだ!」
セドリックも頷き、真剣な声で言った。
「冷静さと勇気がなければ到底できない。君は立派にやり遂げたよ」
イリスは俯いたまま、震える手で卵を抱きしめる。 胸の奥で、ようやく小さな声が響いた。
……私は、精一杯やり切ったんだ
それは初めて、自分自身を認める言葉だった。 涙が滲んだが、それは敗北の悔しさではなく
確かに「生き抜いた」証の涙だった。
───
観客席の一角。 スネイプは立ち上がらず、静かに腕を組んでいた。
イリスが一筋の閃光を放ち黒煙を振り払ったあの姿が焼き付いて離れなかった。
人間にはない魔法。それはこの会場の全員が息を飲むほど美しく力強いものだった。
そして恐らくあの煙の中で彼女はトラウマと向き合うことになったはずだ。
それでもなお光を見失わず、やり遂げたイリスの姿にスネイプは静かに、そしてひっそりと笑を零した。
膝を抱えた小さな自分が檻の中で震えている。 その姿を見た瞬間、胸の奥が切り裂かれるように痛んだ。
「……いや……」 かすれた声が漏れる。
(行かないで……)
目を必死に探す。 見世物小屋の中を、黒衣の男の姿を。 だが、闇は深く、どこを見てもその姿は見えない。
(見つけて……私を見て……置いていかないで……!)
心が張り裂けそうな恐怖。 それは竜の黒煙が見せる幻覚なのか、それとも自分の深層に眠る恐怖そのものか。 境界はもう分からなかった。
だが、次の瞬間。
頭の中に浮かんだ。 ハリーの真剣な瞳。 ハーマイオニーの心配そうな顔。 そして何よりも、冷たいようでいて、自分を庇ってくれたあの人。
スネイプの顔が。
心臓が強く打った。 その顔が、この闇の中で唯一の光のように思えた。
「……私は……二度と戻らない!」
叫びと共に、胸の奥から力が溢れ出す。 森に生きるエルフの魔力
───命を守り、癒すはずの力が、黒煙を押し返すように迸った。
視界が一気に明るさを取り戻す。 竜の愉悦に細められた眼が目前に迫っていたが、イリスの赤い瞳にはもう恐怖ではなく、確かな決意が宿っていた。
胸に手を当てると心の光がそこに集まる感覚がある。そしてそれは少しずつ溢れ出す。溜まりきった白銀の光が胸から一筋の閃光を放ち、黒煙を一気に押し払った。
その瞬間観客席が大きくどよめく。
竜が光に怯む一瞬を逃さず、イリスは身を翻し、地面を駆け抜け、 障害を潜り抜けた。
目が眩んだナイトスティーカーはより激しく体を振り乱し、煙を手当り次第に吐き散らしている。
イリスは攻撃を弾きながら卵のもとへとたどり着き、掴み取った。
その瞬間、会場に歓声が爆発した。
───
控え室に戻ったイリスは、扉を閉めた瞬間、膝から力が抜けた。 椅子に腰を落とし、深い呼吸を繰り返す。 もう立ち上がる力もない。
「イリス!」
真っ先に駆け寄ったのはハリーだった。
「本当にすごかったよ! あんなドラゴンに……君はやり切ったんだ!」
セドリックも頷き、真剣な声で言った。
「冷静さと勇気がなければ到底できない。君は立派にやり遂げたよ」
イリスは俯いたまま、震える手で卵を抱きしめる。 胸の奥で、ようやく小さな声が響いた。
……私は、精一杯やり切ったんだ
それは初めて、自分自身を認める言葉だった。 涙が滲んだが、それは敗北の悔しさではなく
確かに「生き抜いた」証の涙だった。
───
観客席の一角。 スネイプは立ち上がらず、静かに腕を組んでいた。
イリスが一筋の閃光を放ち黒煙を振り払ったあの姿が焼き付いて離れなかった。
人間にはない魔法。それはこの会場の全員が息を飲むほど美しく力強いものだった。
そして恐らくあの煙の中で彼女はトラウマと向き合うことになったはずだ。
それでもなお光を見失わず、やり遂げたイリスの姿にスネイプは静かに、そしてひっそりと笑を零した。
