第2章 炎のゴブレット
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第5話 試練の幕開け
ホグワーツの空気は、一夜にして変わっていた。 ゴブレットに名を呼ばれた翌日、校内の話題はハリーとイリスのことばかりだった。
「エルフのくせに、人間の競技に出たがるなんてな」
「自分の力を過信してるんじゃないのか?」
通りすがるたびに、囁きが背中を突き刺す。 注目を浴びるのは慣れていたはずだ。だが、それが悪意を伴うものなら、心を削る刃となる。
同時にイリスは人間の発言がこんなにも真逆に変わるとは思ってもいなかった。
選手発表がされる前は、参加しないことでからかわれ、発表後は参加したことの悪口を言われる。
あまりにも理不尽では無いか?。
イリスはただ俯き、何も言わなかった。いや、反応を示さないのが得策だと知っていたからだ。
それでも変わらず、どこに行ってもヒソヒソと話す声がする。あからさまな視線をこちらに向けて……。
そんな中廊下で、ボーバトンの女子がわざとらしい笑みを浮かべて近寄ってきた。初めての直接的な接触だ……。
「きっと美しい顔を見せびらかしたいだけなのね」 「エルフだから男の気を引くのは簡単でしょうし」
さらにダームストラングの男子も加わる。
「どうせ死なないんだろ? お前が出るなんて、反則だよな」
「まさか本当に出場するなんて。俺らの挑発に乗ったなんてことないよな?」
笑い声が響いたその瞬間。
「……授業の準備もろくにせぬ者が、余所者に構う暇とはな」
低い声が背後から降った。 声の主はスネイプだった。 鋭い視線に射抜かれ、ボーバトンの女子もダームストラングの男子も口を閉ざし、気まずそうに去っていく。
「くだらない連中だ……。」
冷淡な声音だったが、イリスにはそれが庇いの響きとして届いた。 胸の奥で、小さな熱が灯る。
──
その頃、ハリーとロンは言い争いをしていた。
「自分で名前を入れたんだろ」
とロンが責め、ハリーは必死に否定する。 二人の溝は深まり、イリスもなんとなくハリーたちと距離を置くようになった。 気づけば食堂でも、図書館でも、ひとりでいることが多くなる。
一人でいることには慣れているが、話し相手が居ないというのは少し寂しいものだと感じるイリス。
それでもイリスは一人図書館で本を漁った。 競技の内容は伏せられ、杖一本のみしか持ち込めない。 「何をすればいいのか分からない……」 頭を抱えながらも、魔法生物や呪文の知識を必死に詰め込んだ。
──
そんなある日、背後から声がかかった。
「イリス……」
振り返れば、ハリーだった。ぎこちない顔をして、そっと声を落とす。
「実は……第1課題はドラゴンなんだ」
イリスは息を呑んだ。
「ドラゴン……?」
「そう。種類は4つ。ハンガリー・ホーンテール、チャイニーズ・ファイアボール、スウェーデン・ショートスパー、そしてウェールズ・グリーン」
言葉を失う。あまりに強大な存在。 だが、告げられた情報は確かな助けとなる。
「……ありがとう」
イリスは小さく頭を下げた。 ハリーは少し驚いたように頷き、それ以上は言わなかった。
だが、どうして4匹しか情報がないのか?
残りの1匹は一体どんなドラゴンなのか…。
全く情報が無かったことにイリスは嫌な予感がした。
──
そして残りの1匹が分からないまま第1課題の日が来た。 控え室には既に他の代表者たちが集まっている。緊張に満ちた空気の中、布袋を引き寄せ、ひとりずつ小さな模型を掴み取っていく。
セドリックの手に――スウェーデン・ショートスパー。
フラーの手に――ウェールズ・グリーン。
クラムの手に――チャイニーズ・ファイアボール。 そしてハリーには――ハンガリー・ホーンテール。
それぞれの掌に乗る小さな模型は、尾を振り、火花を散らしていた。
残るは正体不明のあのドラゴンだった……
イリスは覚悟して布袋に手を差し入れると、掌に冷たい模型が落ちた。 それを見た瞬間、場の空気が凍る。
――漆黒の竜。 翼の先からは黒い靄のような煙が漂い、牙は闇そのもののように鈍く光っていた。
「ノルウェージャン・ナイトスティーカー……!」
教師陣が一斉にざわめいた。
「どういうことだ……。遅れて到着した挙句予定とは……」
教師たちの反応と言葉から察するにどうやら予定していたドラゴンとは別の個体が運ばれてしまったようだ。
「炎を吐かない。だが、吐き出す黒煙は挑戦者の精神を蝕む……。 物理的な脅威ではなく、幻惑と恐怖で追い詰めるタイプか」
クラウチの声は険しく、マクゴナガルの顔は青ざめていた。
イリスはただ静かに模型を見下ろしていた。 胸の奥に広がる冷気――。 その竜の性質が、自分の過去と重なる気がしたから。 虐げられたあの日々、心を縛られた記憶。 黒煙に飲まれれば、きっと再び“牢獄の闇”に閉じ込められるだろう。
そして、肉体への攻撃は治療可能だが、精神攻撃で狂ってしまったら魔法でも治療法がないことをイリスは知っていた……。
それでも、逃げ場はない。
相手が“心を蝕む獣”ならば、私も“心”で抗うしかない。
イリスは静かにそれを見つめ、胸の奥で小さく呟いた。
「……森よりも、荒々しい息吹ね。でも参加する以上恐怖に打ち勝ってやるしかないようね」
恐怖を抱えながらも、その赤い瞳には確かな覚悟が宿っていた。
ホグワーツの空気は、一夜にして変わっていた。 ゴブレットに名を呼ばれた翌日、校内の話題はハリーとイリスのことばかりだった。
「エルフのくせに、人間の競技に出たがるなんてな」
「自分の力を過信してるんじゃないのか?」
通りすがるたびに、囁きが背中を突き刺す。 注目を浴びるのは慣れていたはずだ。だが、それが悪意を伴うものなら、心を削る刃となる。
同時にイリスは人間の発言がこんなにも真逆に変わるとは思ってもいなかった。
選手発表がされる前は、参加しないことでからかわれ、発表後は参加したことの悪口を言われる。
あまりにも理不尽では無いか?。
イリスはただ俯き、何も言わなかった。いや、反応を示さないのが得策だと知っていたからだ。
それでも変わらず、どこに行ってもヒソヒソと話す声がする。あからさまな視線をこちらに向けて……。
そんな中廊下で、ボーバトンの女子がわざとらしい笑みを浮かべて近寄ってきた。初めての直接的な接触だ……。
「きっと美しい顔を見せびらかしたいだけなのね」 「エルフだから男の気を引くのは簡単でしょうし」
さらにダームストラングの男子も加わる。
「どうせ死なないんだろ? お前が出るなんて、反則だよな」
「まさか本当に出場するなんて。俺らの挑発に乗ったなんてことないよな?」
笑い声が響いたその瞬間。
「……授業の準備もろくにせぬ者が、余所者に構う暇とはな」
低い声が背後から降った。 声の主はスネイプだった。 鋭い視線に射抜かれ、ボーバトンの女子もダームストラングの男子も口を閉ざし、気まずそうに去っていく。
「くだらない連中だ……。」
冷淡な声音だったが、イリスにはそれが庇いの響きとして届いた。 胸の奥で、小さな熱が灯る。
──
その頃、ハリーとロンは言い争いをしていた。
「自分で名前を入れたんだろ」
とロンが責め、ハリーは必死に否定する。 二人の溝は深まり、イリスもなんとなくハリーたちと距離を置くようになった。 気づけば食堂でも、図書館でも、ひとりでいることが多くなる。
一人でいることには慣れているが、話し相手が居ないというのは少し寂しいものだと感じるイリス。
それでもイリスは一人図書館で本を漁った。 競技の内容は伏せられ、杖一本のみしか持ち込めない。 「何をすればいいのか分からない……」 頭を抱えながらも、魔法生物や呪文の知識を必死に詰め込んだ。
──
そんなある日、背後から声がかかった。
「イリス……」
振り返れば、ハリーだった。ぎこちない顔をして、そっと声を落とす。
「実は……第1課題はドラゴンなんだ」
イリスは息を呑んだ。
「ドラゴン……?」
「そう。種類は4つ。ハンガリー・ホーンテール、チャイニーズ・ファイアボール、スウェーデン・ショートスパー、そしてウェールズ・グリーン」
言葉を失う。あまりに強大な存在。 だが、告げられた情報は確かな助けとなる。
「……ありがとう」
イリスは小さく頭を下げた。 ハリーは少し驚いたように頷き、それ以上は言わなかった。
だが、どうして4匹しか情報がないのか?
残りの1匹は一体どんなドラゴンなのか…。
全く情報が無かったことにイリスは嫌な予感がした。
──
そして残りの1匹が分からないまま第1課題の日が来た。 控え室には既に他の代表者たちが集まっている。緊張に満ちた空気の中、布袋を引き寄せ、ひとりずつ小さな模型を掴み取っていく。
セドリックの手に――スウェーデン・ショートスパー。
フラーの手に――ウェールズ・グリーン。
クラムの手に――チャイニーズ・ファイアボール。 そしてハリーには――ハンガリー・ホーンテール。
それぞれの掌に乗る小さな模型は、尾を振り、火花を散らしていた。
残るは正体不明のあのドラゴンだった……
イリスは覚悟して布袋に手を差し入れると、掌に冷たい模型が落ちた。 それを見た瞬間、場の空気が凍る。
――漆黒の竜。 翼の先からは黒い靄のような煙が漂い、牙は闇そのもののように鈍く光っていた。
「ノルウェージャン・ナイトスティーカー……!」
教師陣が一斉にざわめいた。
「どういうことだ……。遅れて到着した挙句予定とは……」
教師たちの反応と言葉から察するにどうやら予定していたドラゴンとは別の個体が運ばれてしまったようだ。
「炎を吐かない。だが、吐き出す黒煙は挑戦者の精神を蝕む……。 物理的な脅威ではなく、幻惑と恐怖で追い詰めるタイプか」
クラウチの声は険しく、マクゴナガルの顔は青ざめていた。
イリスはただ静かに模型を見下ろしていた。 胸の奥に広がる冷気――。 その竜の性質が、自分の過去と重なる気がしたから。 虐げられたあの日々、心を縛られた記憶。 黒煙に飲まれれば、きっと再び“牢獄の闇”に閉じ込められるだろう。
そして、肉体への攻撃は治療可能だが、精神攻撃で狂ってしまったら魔法でも治療法がないことをイリスは知っていた……。
それでも、逃げ場はない。
相手が“心を蝕む獣”ならば、私も“心”で抗うしかない。
イリスは静かにそれを見つめ、胸の奥で小さく呟いた。
「……森よりも、荒々しい息吹ね。でも参加する以上恐怖に打ち勝ってやるしかないようね」
恐怖を抱えながらも、その赤い瞳には確かな覚悟が宿っていた。
