第6章 死の秘宝2
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第7話 静寂の中の光
外の世界は、不気味なほど静かだった。
まるで音という概念そのものが、世界から消えたかのようだった。
イリスはハーマイオニーとロンと共に、玄関ホールを抜けて外を見た。
風が吹かない。鳥も鳴かない。
夜の大地は息を潜め、空の星々でさえ凍りついたように動かなかった。
「……音が、しない。」
ハーマイオニーが呟いた。
ロンが唾を飲み込み、落ち着かない目で辺りを見回す。
イリスは胸の奥で波立つ不安を感じていた。
大地も空も沈黙している。
それは自然が“恐れている”兆候だった。
何かが近づいてくる。
世界そのものが闇の影に押し潰されようとしている。
そして、遠くの森の方から、重い足音と歓声のようなざわめきが聞こえ始めた。
その音は次第に大きくなり、黒い集団が近づいてくるのが見える。
火を灯した杖の光が、揺れながらこちらへ迫っていた。
イリスたちは玄関ホールを出て、闇に覆われた中庭へと足を踏み出す。
月明かりに浮かぶ影の列がゆっくりと橋を渡ってくる。
やがて、鮮明に見えたのはヴォルデモートだった。
そのすぐ後ろにはハグリット――。
その両腕の中に、ぐったりとしたハリーを抱えていた。
「……ハリー……!」
ハーマイオニーの声が掠れる。
ロンは唇を震わせたまま言葉を失った。
イリスは息を止めた。
ハリーの腕がだらりと垂れ下がっている。
ただ静かに、冷たく、沈黙していた。
胸がきゅっと締めつけられる。
何度も死を見てきたこの目で、確信してしまった。
彼はもう、息をしていないと。
闇の軍勢が橋を渡りきり、広場に足を踏み入れた。
その瞬間、全ての音が止む。
ヴォルデモートは笑みを浮かべ、両手を広げた。
「ハリー・ポッターは……死んだ!」
声が夜空を裂き、歓声と笑いが響いた。
「さあ、我が元に着きたい者がいるなら、
今のうちだ。
我が軍に跪く者には、死を与えぬ。」
その時だった。
ヴォルデモートの冷たい視線が、群衆の中のイリスを捕らえる。
「……あぁ、イリス。ドラコ、おらぬと思えば……。」
笑みの端がゆっくりと歪む。
その声には、愉悦と狂気が混じっていた。
「さぁ来い。新たな時代の幕開けだ。」
イリスは思わず視線を巡らせ、少し離れた場所にいるドラコを見つけた。
ドラコは俯いたまま、何かを決意したようにゆっくりと歩き出す。
「イリス、来い。」
ヴォルデモートの声が今度は低く、鋭く響いた。
その一言で、イリスの肩がびくりと震える。
本当は行きたくなかった。
あの冷たい声に再び従うことなど、もう耐えられない。
けれど、いま拒めば彼の怒りが再び無辜の者たちに降りかかる。
イリスは目を閉じ、静かに息を整えた。
そして、静かに歩き出した。
「イリス……!」
背後からハーマイオニーの掠れた声が聞こえた。
イリスは振り返らずに、ただ前へ進む。
彼女の心の奥で何かが軋む音を立てた。
周囲の視線が痛いほど突き刺さる。
誰もが、裏切りの烙印を押された者を見るような目で彼女を見ていた。
そして、ヴォルデモートの前に立った瞬間、
冷たい腕がイリスの身体を包み込んだ。
その抱擁は、愛ではなく支配。
氷のように硬く、息ができない。
かつてセブルスがそっと触れた温もりとは正反対の、恐怖そのものだった。
イリスは何も言わず、その腕の中でわずかに震えながらも耐えた。
そして、静かに列の中に身を寄せる。
そのとき、視線の先に横たわるハリーを見つめた。
静かに目を閉じる彼の体から、
ほんの一瞬だが微かに、魔力の脈動が伝わってきた。
目を見開く。
確かに感じた。
彼は、まだ生きている。
それは、凍りついた夜に差し込む一筋の光のようだった。
胸の奥で、希望がふっと灯る。
けれどイリスはその表情を変えず、何も気づかせぬように静かに列に並んだ。
その胸の奥でだけ、確かな鼓動が鳴っていた。
───
「さあ、他にはおらぬのか?」
ヴォルデモートの声が響く。
その時、一人の影が群衆をかき分けて前に出た。
ネビル・ロングボトムだった。
ボロボロになった組み分け帽子を片手に、足を引きずりながら前へ進む。
その小さな背中に、イリスは確かな勇気を見た。
「名はなんという?」
「……ネビル・ロングボトム。」
その答えに、闇の陣営から笑いが起こった。
「ロングボトムの……あぁ、よく知っている。
お前にも何か地位を与えよう――」
「その前に、一つ言いたい。」
ヴォルデモートの言葉を遮るように、ネビルが声を張る。
その瞳は怯えていなかった。
ヴォルデモートは不快そうに眉をひそめたが、冷たい笑みで促す。
「いいだろう。聞かせてもらおうか。」
ネビルは拳を握りしめ、かすれた声で言った。
「友達や家族が毎日死んでるんだ。
そして今夜、ハリーを失った。
でも、ハリーはここにいる。フレッドも、リーマスも、トンクスも、みんな。
無駄死になんかじゃない。」
その声は震えていたが、確かな力があった。
イリスの胸にその言葉が染み渡る。
ヴォルデモートは鼻で笑い、口元に蔑みの影を浮かべた。
「勇ましいな、ロングボトム。だが愚かだ。」
「でも、お前の存在は違う!!」
その叫びと同時に――
ハグリットの腕の中で静かに伏せていたハリーが、勢いよく身を起こした。
「……!!」
歓声と悲鳴が同時に上がる。
ヴォルデモートの目が見開かれ、怒りと動揺が交錯する。
ネビルは組み分け帽子に手を入れ、グリフィンドールの剣を引き抜いた。
光が夜を裂く。
イリスの心が跳ねた。
その瞬間、戦いが再び始まった。
ヴォルデモートが叫び、呪文を放つ。
イリスはハグリットを縛っていた鎖を壊し、近くの死喰い人たちを吹き飛ばす。
「ハグリット! 逃げなさい!」
ハグリットが巨体を揺らしながら走り出す。
イリスは息を荒げつつ、ハリーが瓦礫の影に滑り込むのを見届けた。
ヴォルデモートは振り返り、イリスを見据える。
その顔には怒りが燃え上がっていた。
「イリス!! 貴様……俺様を裏切るというのか!!」
「セブルスを殺したあなたに、闇につく理由はない。」
ヴォルデモートの呪文が飛ぶ。
イリスは手を払うだけで、周囲の瓦礫が盾のように立ち上がり、光を弾いた。
破片が舞う中、イリスは一歩も退かずに微笑む。
「あなたは最強になるために人間を捨てた。
けれど、エルフの血肉が力になるという根拠のない幻想を信じるあなたは実に人間臭く、歪ね。」
「黙れ!!」
ヴォルデモートの叫びが雷のように響く。
イリスは冷たい瞳で彼を見据えた。
「あなたは愛の代わりに力を求めた。
けれどそれは、何の意味もない。
身近にある愛を見落とし、決して手に入らない力を追い求める。
それこそが、あなたの敗北よ。」
ヴォルデモートの攻撃が一層激しくなる。
地が揺れ、空が裂ける。
しかしイリスはその嵐の中で静かに立っていた。
「あなたは私を求めた。
満たされぬ愛を無意識に求めて私に縋った。
でも、私はあなたがどうにかできるほどの存在じゃないの。
私は、光の時代を生きる!」
その声が轟き、闇を切り裂いた。
ヴォルデモートの目が一瞬だけ見開かれる。
「イリス……お前は後だ。
先に小僧を殺してから、お前を殺す。
これまで生かしていたのが間違いだった。」
そう吐き捨てると、ヴォルデモートの姿は煙のように掻き消えた。
イリスはその消えた闇を見送ることなく、手を振り上げる。
地面が震え、石畳が裂け、太い木の根が地を突き破って伸び上がった。
それらは蛇のようにうねり、死喰い人たちや巨人族の足を絡め取る。
「これ以上、誰も殺させない!」
声が風に溶け、闇に響いた。
しかし敵の数は多く、根の隙間を抜けてなおもホグワーツへと迫ってくる。
再び、戦いが始まった。
けれどイリスの胸の奥には、
確かに灯る希望があった。
彼女の瞳は、もう恐怖を映してはいなかった。
「セブルス……。
私は、あなたが見たかった世界をこの手で守る。」
夜が再び裂け、光と闇がぶつかり合う。
その中心で、イリスは迷いのない足取りで前へ進んだ。
戦いの果てに、彼が愛した“人の光”があると信じて。
外の世界は、不気味なほど静かだった。
まるで音という概念そのものが、世界から消えたかのようだった。
イリスはハーマイオニーとロンと共に、玄関ホールを抜けて外を見た。
風が吹かない。鳥も鳴かない。
夜の大地は息を潜め、空の星々でさえ凍りついたように動かなかった。
「……音が、しない。」
ハーマイオニーが呟いた。
ロンが唾を飲み込み、落ち着かない目で辺りを見回す。
イリスは胸の奥で波立つ不安を感じていた。
大地も空も沈黙している。
それは自然が“恐れている”兆候だった。
何かが近づいてくる。
世界そのものが闇の影に押し潰されようとしている。
そして、遠くの森の方から、重い足音と歓声のようなざわめきが聞こえ始めた。
その音は次第に大きくなり、黒い集団が近づいてくるのが見える。
火を灯した杖の光が、揺れながらこちらへ迫っていた。
イリスたちは玄関ホールを出て、闇に覆われた中庭へと足を踏み出す。
月明かりに浮かぶ影の列がゆっくりと橋を渡ってくる。
やがて、鮮明に見えたのはヴォルデモートだった。
そのすぐ後ろにはハグリット――。
その両腕の中に、ぐったりとしたハリーを抱えていた。
「……ハリー……!」
ハーマイオニーの声が掠れる。
ロンは唇を震わせたまま言葉を失った。
イリスは息を止めた。
ハリーの腕がだらりと垂れ下がっている。
ただ静かに、冷たく、沈黙していた。
胸がきゅっと締めつけられる。
何度も死を見てきたこの目で、確信してしまった。
彼はもう、息をしていないと。
闇の軍勢が橋を渡りきり、広場に足を踏み入れた。
その瞬間、全ての音が止む。
ヴォルデモートは笑みを浮かべ、両手を広げた。
「ハリー・ポッターは……死んだ!」
声が夜空を裂き、歓声と笑いが響いた。
「さあ、我が元に着きたい者がいるなら、
今のうちだ。
我が軍に跪く者には、死を与えぬ。」
その時だった。
ヴォルデモートの冷たい視線が、群衆の中のイリスを捕らえる。
「……あぁ、イリス。ドラコ、おらぬと思えば……。」
笑みの端がゆっくりと歪む。
その声には、愉悦と狂気が混じっていた。
「さぁ来い。新たな時代の幕開けだ。」
イリスは思わず視線を巡らせ、少し離れた場所にいるドラコを見つけた。
ドラコは俯いたまま、何かを決意したようにゆっくりと歩き出す。
「イリス、来い。」
ヴォルデモートの声が今度は低く、鋭く響いた。
その一言で、イリスの肩がびくりと震える。
本当は行きたくなかった。
あの冷たい声に再び従うことなど、もう耐えられない。
けれど、いま拒めば彼の怒りが再び無辜の者たちに降りかかる。
イリスは目を閉じ、静かに息を整えた。
そして、静かに歩き出した。
「イリス……!」
背後からハーマイオニーの掠れた声が聞こえた。
イリスは振り返らずに、ただ前へ進む。
彼女の心の奥で何かが軋む音を立てた。
周囲の視線が痛いほど突き刺さる。
誰もが、裏切りの烙印を押された者を見るような目で彼女を見ていた。
そして、ヴォルデモートの前に立った瞬間、
冷たい腕がイリスの身体を包み込んだ。
その抱擁は、愛ではなく支配。
氷のように硬く、息ができない。
かつてセブルスがそっと触れた温もりとは正反対の、恐怖そのものだった。
イリスは何も言わず、その腕の中でわずかに震えながらも耐えた。
そして、静かに列の中に身を寄せる。
そのとき、視線の先に横たわるハリーを見つめた。
静かに目を閉じる彼の体から、
ほんの一瞬だが微かに、魔力の脈動が伝わってきた。
目を見開く。
確かに感じた。
彼は、まだ生きている。
それは、凍りついた夜に差し込む一筋の光のようだった。
胸の奥で、希望がふっと灯る。
けれどイリスはその表情を変えず、何も気づかせぬように静かに列に並んだ。
その胸の奥でだけ、確かな鼓動が鳴っていた。
───
「さあ、他にはおらぬのか?」
ヴォルデモートの声が響く。
その時、一人の影が群衆をかき分けて前に出た。
ネビル・ロングボトムだった。
ボロボロになった組み分け帽子を片手に、足を引きずりながら前へ進む。
その小さな背中に、イリスは確かな勇気を見た。
「名はなんという?」
「……ネビル・ロングボトム。」
その答えに、闇の陣営から笑いが起こった。
「ロングボトムの……あぁ、よく知っている。
お前にも何か地位を与えよう――」
「その前に、一つ言いたい。」
ヴォルデモートの言葉を遮るように、ネビルが声を張る。
その瞳は怯えていなかった。
ヴォルデモートは不快そうに眉をひそめたが、冷たい笑みで促す。
「いいだろう。聞かせてもらおうか。」
ネビルは拳を握りしめ、かすれた声で言った。
「友達や家族が毎日死んでるんだ。
そして今夜、ハリーを失った。
でも、ハリーはここにいる。フレッドも、リーマスも、トンクスも、みんな。
無駄死になんかじゃない。」
その声は震えていたが、確かな力があった。
イリスの胸にその言葉が染み渡る。
ヴォルデモートは鼻で笑い、口元に蔑みの影を浮かべた。
「勇ましいな、ロングボトム。だが愚かだ。」
「でも、お前の存在は違う!!」
その叫びと同時に――
ハグリットの腕の中で静かに伏せていたハリーが、勢いよく身を起こした。
「……!!」
歓声と悲鳴が同時に上がる。
ヴォルデモートの目が見開かれ、怒りと動揺が交錯する。
ネビルは組み分け帽子に手を入れ、グリフィンドールの剣を引き抜いた。
光が夜を裂く。
イリスの心が跳ねた。
その瞬間、戦いが再び始まった。
ヴォルデモートが叫び、呪文を放つ。
イリスはハグリットを縛っていた鎖を壊し、近くの死喰い人たちを吹き飛ばす。
「ハグリット! 逃げなさい!」
ハグリットが巨体を揺らしながら走り出す。
イリスは息を荒げつつ、ハリーが瓦礫の影に滑り込むのを見届けた。
ヴォルデモートは振り返り、イリスを見据える。
その顔には怒りが燃え上がっていた。
「イリス!! 貴様……俺様を裏切るというのか!!」
「セブルスを殺したあなたに、闇につく理由はない。」
ヴォルデモートの呪文が飛ぶ。
イリスは手を払うだけで、周囲の瓦礫が盾のように立ち上がり、光を弾いた。
破片が舞う中、イリスは一歩も退かずに微笑む。
「あなたは最強になるために人間を捨てた。
けれど、エルフの血肉が力になるという根拠のない幻想を信じるあなたは実に人間臭く、歪ね。」
「黙れ!!」
ヴォルデモートの叫びが雷のように響く。
イリスは冷たい瞳で彼を見据えた。
「あなたは愛の代わりに力を求めた。
けれどそれは、何の意味もない。
身近にある愛を見落とし、決して手に入らない力を追い求める。
それこそが、あなたの敗北よ。」
ヴォルデモートの攻撃が一層激しくなる。
地が揺れ、空が裂ける。
しかしイリスはその嵐の中で静かに立っていた。
「あなたは私を求めた。
満たされぬ愛を無意識に求めて私に縋った。
でも、私はあなたがどうにかできるほどの存在じゃないの。
私は、光の時代を生きる!」
その声が轟き、闇を切り裂いた。
ヴォルデモートの目が一瞬だけ見開かれる。
「イリス……お前は後だ。
先に小僧を殺してから、お前を殺す。
これまで生かしていたのが間違いだった。」
そう吐き捨てると、ヴォルデモートの姿は煙のように掻き消えた。
イリスはその消えた闇を見送ることなく、手を振り上げる。
地面が震え、石畳が裂け、太い木の根が地を突き破って伸び上がった。
それらは蛇のようにうねり、死喰い人たちや巨人族の足を絡め取る。
「これ以上、誰も殺させない!」
声が風に溶け、闇に響いた。
しかし敵の数は多く、根の隙間を抜けてなおもホグワーツへと迫ってくる。
再び、戦いが始まった。
けれどイリスの胸の奥には、
確かに灯る希望があった。
彼女の瞳は、もう恐怖を映してはいなかった。
「セブルス……。
私は、あなたが見たかった世界をこの手で守る。」
夜が再び裂け、光と闇がぶつかり合う。
その中心で、イリスは迷いのない足取りで前へ進んだ。
戦いの果てに、彼が愛した“人の光”があると信じて。
