第5章 死の秘宝
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第17話 闇に咲く灯
ヴォルデモートの声が、広間に低く響いていた。
行為を終えたばかりのその顔には、不気味な満足が滲んでいる。
蝋燭の光が蛇のように揺れ、その瞳に青白く映り込んでいた。
「セブルス。お前には、引き続きあの娘を見張らせよう」
「……我が君の御意のままに」
スネイプは片膝をつき、頭を垂れた。
その声の裏に潜む侮辱と嘲りを、誰よりも深く理解していた。
ヴォルデモートの指先が空をなぞるように動く。
「お前の名を呼んでいたぞ。あの娘はまだ壊れていないらしい。」
一瞬、空気が止まった。
スネイプの胸の奥で、何かが音を立てて揺れる。
イリスが、我輩の名を。
熱いものが喉の奥を通り、呼吸が乱れそうになる。
それは歓喜でも、安堵でもなかった。
ただ、どうしようもない痛みと愛しさが同時に溢れた。
彼女は、自分を呼んだ。
絶望の只中で、縋るように。
その声を想像した瞬間、胸の奥に焼けるような熱が広がる。
なぜ我輩は、その声を聞けなかったのか。
なぜ、彼女を守れなかったのか。
脳裏に、白い肌と血の匂いが浮かぶ。
痛みに耐えながら、自分の名を呼ぶ彼女の姿が見える気がした。
その想像が、耐え難いほどに美しく、そして残酷だった。
ヴォルデモートの声が続く。
「だからこそ、今はお前を傍に置く。
完全に砕けるまではな」
静かに笑うその音が、床の冷気を震わせる。
スネイプは顔を上げず、低く息を吐いた。
「……承知いたしました」
一礼して立ち上がる。
背を向けた瞬間、唇が固く結ばれた。
彼の中で、安堵と怒りがせめぎ合っていた。
想定通り、彼女の傍に留まることは叶った。
だがその事実は、同時にイリスが傷ついたという現実の証でもある。
廊下を歩く。
壁に映る自分の影が揺れるたび、胸の奥に血のような痛みが滲んだ。
ヴォルデモートの笑い声、ベラトリックスの甲高い声、
イリスの息を呑む音が、頭の中で交錯する。
闇の中にひとつ扉が見えた。
その向こうに、彼女がいる。
扉に手をかけた瞬間、金属のような音が耳を打った。
怒りとも恐怖ともつかぬ衝撃が胸を走る。
スネイプは勢いよく扉を開け放った。
そこにいたのは、ベラトリックス・レストレンジ。
黒い衣の裾を広げ、狂気に満ちた顔でイリスに杖を向けていた。
イリスは床に崩れ落ち、首筋から血を滲ませている。
その光景を見た瞬間、スネイプの中で何かが切れた。
視界の端が白く滲む。
呼吸が止まり、胸の奥に黒い炎が生まれる。
「……何をしている、ベラトリックス」
低い声が部屋を満たした。
それは怒号でも呪文でもない。
ただの言葉。
けれど、空気が震えた。
ベラトリックスが振り返り、唇を歪める。
「チッ。セブルス、邪魔をするな」
スネイプは無言で前へ進む。
その歩みだけで、空気が凍る。
「それはできぬ話だ。
我輩が、こやつの監視役となった。
……あまり痛めつけられては、あのお方が相手をする時に楽しみが減るだろう。
もうやめておけ」
声は静かだった。
だがその奥には、殺意に似た冷たさが潜んでいた。
ベラトリックスの瞳に怯えが宿る。
やがて彼女は杖を引き、唇を噛みしめる。
黒い裾を翻し、何も言わずに部屋を出ていった。
扉が閉まる。
その音が闇に吸い込まれた。
部屋に残るのは、血の匂いと、二人の呼吸だけだった。
スネイプはしばらくその場に立ち尽くしていた。
次の瞬間、足が動く。
膝をつき、イリスを抱き起こす。
白い肌に、無数の赤い跡が散っていた。
唇は乾き、息は浅い。
それでも、その瞳だけは生きていた。
「……セブルス」
弱い声がこぼれる。
イリスは震える指で、彼の胸元を掴んだ。
「……イリス」
スネイプはその手を包み込む。
凍えた指先を温めるように、自らの掌を重ねた。
声が出なかった。
胸の奥で、何かが崩れる音がした。
月光が二人の間を照らす。
その光が、傷の跡を淡く浮かび上がらせる。
スネイプはそっと彼女の頬に触れた。
指先に伝わる熱と、脆さ。
それは生きている証だった。
彼は静かに息を吐いた。
「……お前の光を、絶やさせはせぬ。
この闇がいくらお前を喰らおうと、我輩が支える。 奪わせはせん。
お前の心だけは、我輩に守らせてくれ。」
その声は祈りではなく、誓いだった。
言葉が終わると、スネイプはイリスを抱き寄せた。
震える身体を包み込むように、静かに。
外では雪が降り始めていた。
白い欠片が、屋敷の闇をゆっくりと覆っていく。
その夜、スネイプの中で確かな灯が生まれた。
それは、絶望の底で燃えるひとつの光だった。
ヴォルデモートの声が、広間に低く響いていた。
行為を終えたばかりのその顔には、不気味な満足が滲んでいる。
蝋燭の光が蛇のように揺れ、その瞳に青白く映り込んでいた。
「セブルス。お前には、引き続きあの娘を見張らせよう」
「……我が君の御意のままに」
スネイプは片膝をつき、頭を垂れた。
その声の裏に潜む侮辱と嘲りを、誰よりも深く理解していた。
ヴォルデモートの指先が空をなぞるように動く。
「お前の名を呼んでいたぞ。あの娘はまだ壊れていないらしい。」
一瞬、空気が止まった。
スネイプの胸の奥で、何かが音を立てて揺れる。
イリスが、我輩の名を。
熱いものが喉の奥を通り、呼吸が乱れそうになる。
それは歓喜でも、安堵でもなかった。
ただ、どうしようもない痛みと愛しさが同時に溢れた。
彼女は、自分を呼んだ。
絶望の只中で、縋るように。
その声を想像した瞬間、胸の奥に焼けるような熱が広がる。
なぜ我輩は、その声を聞けなかったのか。
なぜ、彼女を守れなかったのか。
脳裏に、白い肌と血の匂いが浮かぶ。
痛みに耐えながら、自分の名を呼ぶ彼女の姿が見える気がした。
その想像が、耐え難いほどに美しく、そして残酷だった。
ヴォルデモートの声が続く。
「だからこそ、今はお前を傍に置く。
完全に砕けるまではな」
静かに笑うその音が、床の冷気を震わせる。
スネイプは顔を上げず、低く息を吐いた。
「……承知いたしました」
一礼して立ち上がる。
背を向けた瞬間、唇が固く結ばれた。
彼の中で、安堵と怒りがせめぎ合っていた。
想定通り、彼女の傍に留まることは叶った。
だがその事実は、同時にイリスが傷ついたという現実の証でもある。
廊下を歩く。
壁に映る自分の影が揺れるたび、胸の奥に血のような痛みが滲んだ。
ヴォルデモートの笑い声、ベラトリックスの甲高い声、
イリスの息を呑む音が、頭の中で交錯する。
闇の中にひとつ扉が見えた。
その向こうに、彼女がいる。
扉に手をかけた瞬間、金属のような音が耳を打った。
怒りとも恐怖ともつかぬ衝撃が胸を走る。
スネイプは勢いよく扉を開け放った。
そこにいたのは、ベラトリックス・レストレンジ。
黒い衣の裾を広げ、狂気に満ちた顔でイリスに杖を向けていた。
イリスは床に崩れ落ち、首筋から血を滲ませている。
その光景を見た瞬間、スネイプの中で何かが切れた。
視界の端が白く滲む。
呼吸が止まり、胸の奥に黒い炎が生まれる。
「……何をしている、ベラトリックス」
低い声が部屋を満たした。
それは怒号でも呪文でもない。
ただの言葉。
けれど、空気が震えた。
ベラトリックスが振り返り、唇を歪める。
「チッ。セブルス、邪魔をするな」
スネイプは無言で前へ進む。
その歩みだけで、空気が凍る。
「それはできぬ話だ。
我輩が、こやつの監視役となった。
……あまり痛めつけられては、あのお方が相手をする時に楽しみが減るだろう。
もうやめておけ」
声は静かだった。
だがその奥には、殺意に似た冷たさが潜んでいた。
ベラトリックスの瞳に怯えが宿る。
やがて彼女は杖を引き、唇を噛みしめる。
黒い裾を翻し、何も言わずに部屋を出ていった。
扉が閉まる。
その音が闇に吸い込まれた。
部屋に残るのは、血の匂いと、二人の呼吸だけだった。
スネイプはしばらくその場に立ち尽くしていた。
次の瞬間、足が動く。
膝をつき、イリスを抱き起こす。
白い肌に、無数の赤い跡が散っていた。
唇は乾き、息は浅い。
それでも、その瞳だけは生きていた。
「……セブルス」
弱い声がこぼれる。
イリスは震える指で、彼の胸元を掴んだ。
「……イリス」
スネイプはその手を包み込む。
凍えた指先を温めるように、自らの掌を重ねた。
声が出なかった。
胸の奥で、何かが崩れる音がした。
月光が二人の間を照らす。
その光が、傷の跡を淡く浮かび上がらせる。
スネイプはそっと彼女の頬に触れた。
指先に伝わる熱と、脆さ。
それは生きている証だった。
彼は静かに息を吐いた。
「……お前の光を、絶やさせはせぬ。
この闇がいくらお前を喰らおうと、我輩が支える。 奪わせはせん。
お前の心だけは、我輩に守らせてくれ。」
その声は祈りではなく、誓いだった。
言葉が終わると、スネイプはイリスを抱き寄せた。
震える身体を包み込むように、静かに。
外では雪が降り始めていた。
白い欠片が、屋敷の闇をゆっくりと覆っていく。
その夜、スネイプの中で確かな灯が生まれた。
それは、絶望の底で燃えるひとつの光だった。
