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ONE PIECE









彼と会う当日の朝ー


げっそりとした顔が鏡に映る。
よく眠れなかった。ぃゃ、考えすぎて寝付けなかった。気付いたら外が明るくなり、気付いたらアラームが鳴っていた。
そして彼からのトークを知らせる通知音が鳴り、朝の挨拶とともに「楽しみや、仕事終わったら連絡くれ」と来ていた。
昨日のことは夢ではないことを改めて実感した。
顔をばしゃばしゃと洗い、タオルで拭き取る。寝不足全開の顔をもう一度見て眠れなかったことを後悔する。



『ひどい顔だよ………。』




仕事にも身が入らず何回かミスをしては職場の方々に謝った。
しょうがない、まともに彼氏がいたこともなかった女が知り合って1日しか経ってない男の家に行こうとしてるんだから。なんなら住もうと考えているんだから。
そんな言い訳を心の中で唱えながら、短めだった今日の仕事は終わった。
帰路の途中に彼にトークを送った。すぐに既読は付いた。




「おつかれさん!このまま来る?」



『いえ、さすがに仕事道具とかもあるので一度家に帰ります』



「ならパジャマとお泊り道具も待ってきいや笑」



『さすがに持っていきません笑』



笑を付けながらも打ってる本人は動揺を隠しきれていない様子で手で顔を覆う。
結局帰路の間は泊まるか泊まらないかの攻防を繰り返していた。
家に着き、とりあえずお風呂を済ましてから昨日あれでもないこれでもないと考えた服に着替え、化粧を軽くした。
髪型も普段はおろしているが、服装に合わせて横結びにしてみた。
シュシュを付けて、ネックレスを下げ、できる限りのおしゃれをした。
変なところはないかな、と鏡で今一度確認をして、手提げ鞄を手に取った。トークで『今から向かいます』と送り、予め送ってもらった最寄りの駅とそこまでの乗り換え。方向音痴なのを話したら駅まで迎えに来てくれると言ってくれた。
もう後には引き返せない。だがこれでちゃんと彼が大丈夫な人なのか、家に転がり込んでも大丈夫か、など全部がわかるはず。
今日がきっと私の人生が変わる起点のひとつ。そう思うと緊張で胃がキリキリした。








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