このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

ONE PIECE







食事を終えたあと、お腹いっぱいになったふたりはまったりとテレビを見ていた。
盛り上がっているテレビ番組にあはは、と笑っていると、隣に座っていた彼がコテ、と肩に頭を乗せてきた。
びっくりして笑うのを止めて横目に彼を見る。
身体を離すことはできた、けどそうしたらもたれ掛かってる彼が倒れてしまいそうでそのままドキドキしながらテレビを見てるふりをした。
じぃーとこちらを見ている彼の視線を感じていたからだ。
しばらくそのままでいたが、このまま黙っているには心臓がもたない、思い切って口を開く。




『な、なんですか』



「…別になんも」




彼がそういうと共にズシ、と身体が重くなる。
もたれ掛かっていた彼が一気に体重をかけてきたのだ。体格の良い彼の身体を支えきれなくなって横倒しにふたりとも倒れる。
急な出来事に驚く。頭の隅にいる冷静な私が今私にわかることは彼にほぼほぼ押し倒されてる状態ってことだけを知らせた。
彼は肘をつきながら両手で私の腕を抑え馬乗りの状態で顔はじっと私を見つめていた。



『ど、どいて?』



「嫌って言ったらどうする?」



そう言いながら顔を近づけてくる。
あともう少しで触れちゃう、そのギリギリで止めて真っ直ぐに目は私を見据えている。
テレビからは観客か誰かの笑い声が響き渡り、私の心臓も同じくらいうるさく鼓動している。
こんな状況になったことがない、どうしたらいいか分からない。頭は情報量の多さにパニックを起こしている。
おろおろ、と目が泳ぐ。何か解決策はないだろうか、と探すように。



「時間切れ」



そう言って唇に温かい感触が広がる。
思わず目を閉じる。手で彼の身体を押し返そうと動かすも彼の手で塞がれてしまう。
その間も彼はキスをやめない。堪能するようにゆっくりと押し当ててはついばんだり、撫でるように優しく動かしていた。
その行為に何故か恥ずかしいような高揚するような感覚になる。顔が火照り、顔の体温が全身にも伝うように熱くなる。
彼の唇が離れる。少しだけ、目を開く。目が合う。
ふにゃ、と笑って抑えていた手を私の手と絡める。また顔を近づけてはおでこに軽いキスをしてその唇を這わせるようにまぶた、頬、耳、と移動させた。
くすぐったい感覚に身体の力が抜ける。
抵抗する意思は無くなっていた。下心のある人のもとは嫌だと思っていたのに、会って数時間しか経っていない男に襲われかけてなぜか嫌な気持ちは無かった。
なんでだろう、と虚ろに考えながら目をゆっくり開く。キスをしている彼と目があった。絡めていた片手を解いて私の頭をゆっくり撫でた。
答えはわからなかった。






.
12/13ページ