ONE PIECE
談笑を楽しみながらお酒を飲んだふたりは時計を確認する。夜の20時を回ろうとしていた。合流したのが17時過ぎ、買い物で30分位だから2時間ほど飲んでいたようだ。
お酒と一緒に買ったつまみを食べていたが、お腹は空いていたため彼は立ち上がりキッチンの方へと歩き出す。
私もその後ろをついて『手伝います』と、シンクで手を洗う。
「なら、そこから取り皿出してくれるか?」
『はいっ』
彼の指差した部屋の隅に棚が置いてある。その中に食器類がつんであった。食器を慎重に取り出しながら棚の中を見渡すと食器類と一緒にワイングラスやシャンパンを入れるようなおしゃれなグラスもある。お酒が好きなのだろうか。
中くらいのお皿を2枚持って彼のところへ戻る。
フライパンを熱しながら油を注いでいる。その隣でじぃーと眺めていると箸を持っていない左手を私の頭に乗せた。
『……?』
少し驚いて彼の方を見ると、彼もこっちを見ていた。パチパチと何回か瞬きをするとふっと彼は笑ってフライパンへと視線を戻した。
油が熱されたら火を弱めて厚揚げをぽんぽんと放り込む。
厚揚げに付いている水分で油が跳ねる。じゅうーと熱される厚揚げを見て、何かできることはないかな、と周りを見渡す。
キョロキョロしている私にまた彼は手を乗せて今度はわしゃわしゃと撫で回した。ボサボサになる髪に小さな悲鳴をあげて彼の手を掴む。
乱れた髪を直そうと頭をぶんぶん振りながら掴んだ彼の手をおろした。相変わらず彼は笑っている。
厚揚げに焼き目がついたのを確認して醤油をかけるように入れる。じゅううーっと美味しそうな匂いと音をさせながら最後にまたさっと火を通す。
私が持ってきたお皿に厚揚げを乗せてそのままウィンナーも焼き始める。
ウィンナーはじっくりと焼くことはなく、ささっと表面に焼き目を入れて厚揚げと一緒にお皿に乗せた。
「おかずこれだけで足りるか?」
『はい!さっきおつまみも食べましたし』
私の返事を聞きながら彼はお茶碗にご飯をよそう。保温されていたお米は炊きたてのようにつやつやとした美味しそうなお米だった。
お茶碗をひとつ机の上に置いてそのまま炊飯器を閉めた。
『竜クンは食べないんですか?』
「今はいいやつまみとして食べたいし」
なるほど、と納得して座椅子に腰掛けた彼の隣の座椅子に腰掛ける。
テレビと向き合うように隣同士に座るのはちょっと距離が近くて照れくさいけど、向き合って食べるよりかは顔を見ないからまだ緊張しない。
手を合わせて「いただきまーす」と言う彼と一緒に手をあわせて『いただきます』と言いお箸を持つ。
お野菜がないほぼほぼ醤油オンリーのおかず兼つまみ料理は男らしさに溢れていたが私の口に合ってぱくぱくとご飯が進んだ。
彼はまだ飲み足りないのかビールを開け、グビッと喉に流していた。
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