チェーンソーマン
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俺がヤクザの奴隷みてえな生活をしてた頃、変わった女が一人いた。
そいつはゆめこと言った。ヤクザの中でもそこそこ偉いやつらしく、ジジイもあいつのする事には大抵目を瞑るらしい。
というのはゆめこから聞いたことだ。ゆめこは暇があればオレのボロ屋にやってきて、何かしら食いもんを置いていく。なんでかは分からないが食いもんを前にそんなこと考えてる場合じゃない。急な仕事が入る前に食い切った。そのおかげで薄っぺらかったオレの体も少しはマシになった。
ゆめこはいつも「いっぱい食べな...」とじ、じあい?に満ちた顔で言う。
1度、気になってなんで食いもんを持って来るのかを聞いた。そしたら「弟に似てるから」だと。
弟に似てるからオレとポチタに食いもんを持ってくれるのか。弟に似てるから頭を撫でて、抱きしめてくれるのか。納得はしたが、何故か心の辺りがモヤモヤした。それってつまりオレが弟に似てなかったら、他のヤクザ共と同じようにオレとポチタをゲロでも見るような目で見るんじゃないか、なんて考えて寝れなくなったりもした。ただでさえゆめこが来ない間は空腹とついでに借金の事で寝れないのに。
ゆめこが来る日は決まってなくて、続けて来る時もあれば1ヶ月来ない時もある。でも長く来れない時は絶対に言ってくれるし、戻ってきたらいつもは食えないもんを食べさせてくれる。
1度だけこっそりとゲーセンに行ってプリクラを撮ったこともある。オレとポチタとゆめこが写ったプリクラはずっと大事にオレのポケットに入れてある。
でも、急に来なくなった。待っても待っても、来ない。木を切って、悪魔を殺して、ボロ屋に帰ったらゆめこがいつもの優しい顔で待ってるんじゃないかと思っても、ボロ屋はいつも通りゴミが散らばっていて、ゆめこは居ない。
ヤクザのジジイが言うには、裏切ったから殺したんだと。なんでも、オレの借金を無くすためにジジイを殺そうしたから蜂の巣にしたらしい。
オレは、少し泣いた。でもって次の日には立ち直って仕事をした。オレは死にたくない。普通の暮らしをして普通の死に方をするっつー夢を叶えるためにもヤクザ共には逆らえない。死んじまったもんは生き返らねえし、悲しんで食いもんが貰える訳でもない。借金を返すことだけを考えねえと。
...なんて思ってたんだけどなあ。
人生何があるかわかったもんじゃない。ヤクザ共はゾンビの悪魔と契約してゾンビになったから殺したし、ポチタはオレの心臓になっちまった。オレは今魔人でも悪魔でもない生き物として公安で働いている。
本人には絶対に言わねえが、少しは家族みたいに思ってる早川アキとパワ子と住んでる。風呂にも入れるし3食食えるし、上司のマキマさんは糞美人だし今までの生活を考えればまさに天国だ。
今日はマキマさんに何故かオレだけ呼び出された。なんでも合わせたいやつがいるらしい。
「おはよう、デンジ君。こっちだよ」
朝から見るマキマさんもめちゃくちゃ美人だ。けれど、こっちだよと言われて着いて行ったら地下に地下にと降りていく。
「あの〜、マキマさん。合わせたいやつって?」
「会ってからのお楽しみ、かな。魔人なんだけどね、何故か人間の頃の記憶がはっきりとしてて、混ざってるみたいなの」
魔人。特務課の魔人共を思い返してみれば、ヤバいやつばっかだが人間っぽいやつは...多分いなかった気がする。うん。
はっきりと人間の頃の記憶があるとして、なんでオレを呼び出したんだろう。
「ここだよ。私はここで待ってるから、デンジ君一人で行ってね」
「えっ...まじっすか...」
ニコッと笑ってそれ以上は何も言わないから早く行けってことなんだろう。
恐る恐るドアを開ける。中には女が1人うずくまっている。
その姿には、見覚えがあった。
女はオレに気づいて、顔をあげる。
ゆめこだった。魔人になったからか、顔に縫い目ができていた。
ゆめこは目を見開いて、オレの方によってきて、ほっぺたを手で挟んだ。
「デンジ!デンジ!あぁ、元気そうでよかった...」
心底喜んだ顔で、ゆめこはオレに抱きついてくる。なんでゆめこが、とか、どうして魔人に、とか色々あったけど。
オレはただ抱きしめ返すしか無かった。ひたすらに嬉しかった。
心の当たりがキューっと苦しくて、でも同時にポカポカした。
そいつはゆめこと言った。ヤクザの中でもそこそこ偉いやつらしく、ジジイもあいつのする事には大抵目を瞑るらしい。
というのはゆめこから聞いたことだ。ゆめこは暇があればオレのボロ屋にやってきて、何かしら食いもんを置いていく。なんでかは分からないが食いもんを前にそんなこと考えてる場合じゃない。急な仕事が入る前に食い切った。そのおかげで薄っぺらかったオレの体も少しはマシになった。
ゆめこはいつも「いっぱい食べな...」とじ、じあい?に満ちた顔で言う。
1度、気になってなんで食いもんを持って来るのかを聞いた。そしたら「弟に似てるから」だと。
弟に似てるからオレとポチタに食いもんを持ってくれるのか。弟に似てるから頭を撫でて、抱きしめてくれるのか。納得はしたが、何故か心の辺りがモヤモヤした。それってつまりオレが弟に似てなかったら、他のヤクザ共と同じようにオレとポチタをゲロでも見るような目で見るんじゃないか、なんて考えて寝れなくなったりもした。ただでさえゆめこが来ない間は空腹とついでに借金の事で寝れないのに。
ゆめこが来る日は決まってなくて、続けて来る時もあれば1ヶ月来ない時もある。でも長く来れない時は絶対に言ってくれるし、戻ってきたらいつもは食えないもんを食べさせてくれる。
1度だけこっそりとゲーセンに行ってプリクラを撮ったこともある。オレとポチタとゆめこが写ったプリクラはずっと大事にオレのポケットに入れてある。
でも、急に来なくなった。待っても待っても、来ない。木を切って、悪魔を殺して、ボロ屋に帰ったらゆめこがいつもの優しい顔で待ってるんじゃないかと思っても、ボロ屋はいつも通りゴミが散らばっていて、ゆめこは居ない。
ヤクザのジジイが言うには、裏切ったから殺したんだと。なんでも、オレの借金を無くすためにジジイを殺そうしたから蜂の巣にしたらしい。
オレは、少し泣いた。でもって次の日には立ち直って仕事をした。オレは死にたくない。普通の暮らしをして普通の死に方をするっつー夢を叶えるためにもヤクザ共には逆らえない。死んじまったもんは生き返らねえし、悲しんで食いもんが貰える訳でもない。借金を返すことだけを考えねえと。
...なんて思ってたんだけどなあ。
人生何があるかわかったもんじゃない。ヤクザ共はゾンビの悪魔と契約してゾンビになったから殺したし、ポチタはオレの心臓になっちまった。オレは今魔人でも悪魔でもない生き物として公安で働いている。
本人には絶対に言わねえが、少しは家族みたいに思ってる早川アキとパワ子と住んでる。風呂にも入れるし3食食えるし、上司のマキマさんは糞美人だし今までの生活を考えればまさに天国だ。
今日はマキマさんに何故かオレだけ呼び出された。なんでも合わせたいやつがいるらしい。
「おはよう、デンジ君。こっちだよ」
朝から見るマキマさんもめちゃくちゃ美人だ。けれど、こっちだよと言われて着いて行ったら地下に地下にと降りていく。
「あの〜、マキマさん。合わせたいやつって?」
「会ってからのお楽しみ、かな。魔人なんだけどね、何故か人間の頃の記憶がはっきりとしてて、混ざってるみたいなの」
魔人。特務課の魔人共を思い返してみれば、ヤバいやつばっかだが人間っぽいやつは...多分いなかった気がする。うん。
はっきりと人間の頃の記憶があるとして、なんでオレを呼び出したんだろう。
「ここだよ。私はここで待ってるから、デンジ君一人で行ってね」
「えっ...まじっすか...」
ニコッと笑ってそれ以上は何も言わないから早く行けってことなんだろう。
恐る恐るドアを開ける。中には女が1人うずくまっている。
その姿には、見覚えがあった。
女はオレに気づいて、顔をあげる。
ゆめこだった。魔人になったからか、顔に縫い目ができていた。
ゆめこは目を見開いて、オレの方によってきて、ほっぺたを手で挟んだ。
「デンジ!デンジ!あぁ、元気そうでよかった...」
心底喜んだ顔で、ゆめこはオレに抱きついてくる。なんでゆめこが、とか、どうして魔人に、とか色々あったけど。
オレはただ抱きしめ返すしか無かった。ひたすらに嬉しかった。
心の当たりがキューっと苦しくて、でも同時にポカポカした。
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