傑がおかしくなり始めた原因の最初はなんだったか。確か星漿体である天内理子が死んだ時だ。今思えば、あの時から傑の精神は不安定だったんだろう。それから後輩の灰原雄が死んだ。
そして…決定的だったのが名前の死だ。ずっと片想いをしていて、付き合えた途端の恋人の死。しかも、非術師を庇っての。だからあいつは非術師をみんな殺す…なんてこと言い出したんだろう。
肝心の名前は呪いになって傑について行ってしまった。おそらく、憂太と折本里香のように、傑の執着心が名前を呪いに変えたんだろう。
それで再び出会ったのは、今の2年生が1年の時だった。宣戦布告をしに来た傑のすぐ後ろで、名前が静かに佇んでいた。
僕が話しかけても無言。傑が話しかけた時は頷いたりはしていた。
それからパンダと棘を傑と戦っているであろう真希と憂太の元に飛ばしたり、ボビーオロゴンみたいな話し方するやつの相手したりしてた。
それからなんやかんやあって、傑を殺した。憂太にボコられた後だったからだいぶ弱ってた。
名前が傑と僕の間に立ったから、とりあえず弾き飛ばして、傑と一言二言会話した後殺す。かつての…いや、今でも親友だと思っている男を殺さないといけなくなるかもしれないのがこの業界の辛いところだ。
弾き飛ばした名前を見に行くと、地面に座り込んでいた。ずっと一緒にいた傑が死んだんだ。当然だった。それから、どうしたんだっけ。ああ、そうだ。ぼんやりしている名前を連れて高専に戻って、憂太達に紹介したんだった。あの時はずっとぼんやりしていた名前が喋って驚いたな。たしか、｢傑が、ごめんね｣って言って憂太達の頭を撫でたんだっけ。ああ。懐かしいなあ、もう1年前か。さて、恵は無事かな？