魂に誓って…
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「騒げ、嘩月。」
彼女の斬魄刀の名前ではない…
それを初めて聞いた時。
―イイイイイイイイイイイイ…
周囲に響き渡る…
その高音の音を耳にした時。
「……。」
無表情で、俺を眺める彼女がまるで別人のようで…
「…くっ…」
嘲笑うかの表情をして、一瞬で目の前の大量の虚の群れを殲滅した彼女に…
「ユアさん…?」
ゆっくりと、そちらに視線を向けたあの人が俺に剣を向けるとは思ってもみなかった…。
―ガイィィィィン!!!
斬魄刀で弾いて、数メートル後ろへ下がる。
「ほう…なかなか…やるようだな」
利き手を眺めると、ユアさんは俺に向かって笑いながら突撃してくる。
―ガイン!ガイン!!ガギィ…!!!!
「くっは…!!これを防ぐ奴がいるのか!言い太刀筋をしている!!!だが、これならどうだ!!!!」
「ぐっ、ユアさん!どうしちまったんだ!?」
完全にいつもと違う話し方、いつもとは違う雰囲気。それは明らかに明白で、明らかに俺の知るあの人の戦い方ではなかった。
「そういえば、貴様の戦い方はいつも同じような攻撃の仕方であったな!やり方を工夫しなければ…怪我をするのは貴様だぞ!!」
「ぐ、うああああああああ!!!!」
遠心力に巻き込まれて、遠方にふっ飛ばされる。先ほどまで戦っていた虚によって破壊された瓦礫に突っ込んだ。
「この程度のものか…存外、お前が共に行動している男は宛てにならぬなユア…」
煙が立ち込める瓦礫の前に着地をする彼女。
いつもとは違う形の斬魄刀を肩に乗せて、近寄ってくる。
「ぐ…く…ユアさん…」
喜怒哀楽の激しいあの人が、こんなに冷徹に笑う所なんて見たことがなかった。いつだってこの人綺麗に、心から楽しそうに笑っていたから…
「なんだ、その目は…」
「オメェは…誰だ…」
先程の大量の虚との戦いでかなり消費していた俺には、殆ど戦えるような余力はなくて…
それでも、あの人と力の違いすぎる存在が疑問でならなかった。
「お前は、誰…か…」
喉を鳴らす。
笑い方のしぐさでさえ、あの人のもではなかった。
「ユアさん…ユアさん、ユアさんユアさん!!!先程から何度も呼んでおろう。私は見細ユアだよ。阿散井恋次。」
「く…ぅ…、そんな、はずはねぇ…」
「はっ、何を…」
「俺の知ってるユアさんは、オメェみたいないけすかねぇ人じゃねぇ!もっと温かくて、真面目で素直な人だ!」
ピクリと、斬魄刀をもつ手が反応をする。
瓦礫を背に、なんとか立ち上がる俺はさらに話を続けた。
「それに、ユアさんはそんな下品な笑い方をしねぇんだよ!あの人はもっと…っ」
そこまで言って言葉を濁した。
本人に言ったことがなかった言葉を、こいつの目の前では言いたくなかった。
それを、聞いていた目の前の人物は突然おかしげに笑いだす。
「く、あはははは!!!なんだ、阿散井恋次!!貴様、この女を好いておるのか!?」
「っ!!」
「あぁ、そういえば貴様との真剣勝負ではいつもどういうわけか嬉しさが伝わっていた。今回に至っても、休憩と称してよくもまぁ…不愉快な感情を乗せた刃を交えてくれものだ…!!!!」
図星をつかれて、反応が鈍る。
どうして、こいつは俺の気持ちを知っているのか訳が分らなかった。
―ガギィ…ズバ!!!!
「が、ぁ…!!!!」
薙刀状のそれが、一気に下から上へと繰り出される。受け止めるものの、女とも思えないような強い力でごり押しされて、俺はそのまま肩に傷を作る。
「ほれ、ほれほれ!!どうした!?副隊長殿!貴様の技量はその程度か!?九番隊三席程度に後れを取るなどと、貴様の実力はそのような恥ずかしいものではないはずであろう!さぁ、どうした!?こんなものではなかろうが!私を楽しませろ!阿散井恋次!!」
「ぐ!くっ…うっ!くそっ!」
重い剣先が斬魄刀に圧し掛かる。
それを防ぐことで精いっぱいで、どうにもならない。
―ズバ!
「つまらぬよ!阿散井恋次!私は貴様を過大評価していたのかな。これほどまで斬ってやっているのに、一太刀も与えられない…くっ!」
「馬鹿野郎…どんなに傷つけられたって、オメェには斬りつける訳ねぇだろ…」
笑いかけたこいつに、俺は静かな声で言った。
「俺は、ユアさんと隊務に来てんだ。てめぇと遊ぶために来てんじゃねぇんだよ!!!」
「ぐ!!貴様っ!!」
もうひと振り、食らうはずだった…
「れ、ん…じ…」
「ユアさん!」
「斬って…、か、嘩月の…暴走が…浸食が…止まらなく、なる」
「できるわけ、ないじゃないですか!何をっ!!」
近寄って、両肩を持って訴える。
何かを押さえつけているように、苦しげに声を上げながら自らの斬魄刀を放り投げる彼女に、どうするべきなのかがわからなかった。
「あ、れは…紫月の本来の始解の姿…意識を乗っ取り、破壊を尽くし、殺しを良しとする…」
「なっ…」
「私であり、私でない…応戦して勝てるほど、生温い存在でもない…だから…」
「だからって…!」
「今…抑え込んでいる隙に…重症を食らえば、か…嘩月は意識の底に沈むはず…だ、から…」
「できねぇって!!!言ってるじゃねーっすか!!!」
叫び声を上げる。
精いっぱいの抵抗だった。
好きだったこの人を、傷つけるなってできない。たとえ、俺自身がボロボロになったとしてもだ。
「はっ…聞き分けのないうえに、馬鹿ときている…」
「っ!!」
目の前で聞こえるその声が、先程の声と違い少し怪しげな声に変わる。
「折角、お前の愛しのユアさんが貴様を助けようと私をひと時でも御したというのに…戸惑う貴様は馬鹿で無能であるな…」
ニィ…っと薄気味悪く笑う。
それを合図に、放ったはずの斬魄刀を拾いに走る。
「私は嘩月!貴様の思い人を主とし、そして支配する者だ!!!」
「チィッ!!させるかよ!!!蛇尾丸!!!」
「なっ!!!」
彼女の身体に巻きつく蛇尾丸。身動きが取れず、もがき出す。その悔しげな表情も、すべてがあの人のもではない。けれど、性格も仕草さえ違う目の前の人物の身体は、間違いなくユアさんなのだ。だったら、彼女の意識をこちらに戻してやればいいだけの話。
「ぐっ、この…放さぬか、無礼者がっ」
「俺は、あんたを傷つけない。」
「っ!」
近寄って、顔をこちらに向かせる。
「やめろ、何をするっ」
「俺は、あんたをこのままにはできない。」
ギチギチに固定された、身体を動かすこともできず、されるがままになる彼女…いや、嘩月は抵抗を続ける。
「斬ることもしたくない。でも、このままほってもおけない。…貴女の意識がここにないなら、引きもどしてやるまでだ!!」
「や、やめっ…ん!!!!」
見開かれた目が、嘩月の最後の抵抗だった。
「あ…く…」
「ユアさん!!!」
トスッと力が抜けたように倒れこむ彼女。
「ご、めん…恋次…ありがと…」
途切れ途切れにそういうと、ユアさんは意識を失った。
元々、こんなに苦戦するような隊務じゃなかった。たまたま、合同出動すると聞かされた時も複数の虚の出現とだけしか聞かされてなかったからだ。
十一番隊の頃からの先輩のユアさんとの合同任務。それが俺には嬉しくて、少し舞い上がっていた節はあった。でも、大量虚の出現の他に巨大虚までいるだなんて聞いてなかったんだ。油断して、背後を攻撃される所を、俺は彼女に助けられた。
けれど、それが元でバッサリと攻撃を受けたユアさんの傷はかなりの重症だったはずだ。瀕死の彼女が、突然立ち上がって見たことのない斬魄刀で戦う…
それが、一連の流れだった。
「ごめん…恋次…」
「もういいっスよ。俺もユアさんも無事生き残ったんスから…。謝らないでください。」
「うん…でも…」
横になる彼女の隣に座る俺の死覇装を掴まれる。
「どうしたんスか…」
「その、嬉しかった。何度も呼んでくれた。」
「あっ…いや…」
「応え…ないと…いけない…よね…」
見上げる彼女は、俺が好きだった声で、俺が好きだった表情で訴えかける。
「好きよ。ありがとう…」
「っ!!!」
顔が熱いまま、俺は彼女を見下ろす。
「俺だって、好きです!ユアさん!」
「あは…、あはは…恋次、顔真っ赤だよー」
嬉しげに笑う彼女の…
その表情が
声が
俺にとっていつだって元気の源で
貴女のその想いだけで、俺はいつだって強くなれる。
「付き合って、ください。ユアさん」
「うん、喜んで。恋次」
どんな困難でも、
俺は絶対貴女に刃を向けない。
魂に誓って
それだけはしない。
だから
何度でも引きもどしてやる
―愛してるから…
彼女の斬魄刀の名前ではない…
それを初めて聞いた時。
―イイイイイイイイイイイイ…
周囲に響き渡る…
その高音の音を耳にした時。
「……。」
無表情で、俺を眺める彼女がまるで別人のようで…
「…くっ…」
嘲笑うかの表情をして、一瞬で目の前の大量の虚の群れを殲滅した彼女に…
「ユアさん…?」
ゆっくりと、そちらに視線を向けたあの人が俺に剣を向けるとは思ってもみなかった…。
―ガイィィィィン!!!
斬魄刀で弾いて、数メートル後ろへ下がる。
「ほう…なかなか…やるようだな」
利き手を眺めると、ユアさんは俺に向かって笑いながら突撃してくる。
―ガイン!ガイン!!ガギィ…!!!!
「くっは…!!これを防ぐ奴がいるのか!言い太刀筋をしている!!!だが、これならどうだ!!!!」
「ぐっ、ユアさん!どうしちまったんだ!?」
完全にいつもと違う話し方、いつもとは違う雰囲気。それは明らかに明白で、明らかに俺の知るあの人の戦い方ではなかった。
「そういえば、貴様の戦い方はいつも同じような攻撃の仕方であったな!やり方を工夫しなければ…怪我をするのは貴様だぞ!!」
「ぐ、うああああああああ!!!!」
遠心力に巻き込まれて、遠方にふっ飛ばされる。先ほどまで戦っていた虚によって破壊された瓦礫に突っ込んだ。
「この程度のものか…存外、お前が共に行動している男は宛てにならぬなユア…」
煙が立ち込める瓦礫の前に着地をする彼女。
いつもとは違う形の斬魄刀を肩に乗せて、近寄ってくる。
「ぐ…く…ユアさん…」
喜怒哀楽の激しいあの人が、こんなに冷徹に笑う所なんて見たことがなかった。いつだってこの人綺麗に、心から楽しそうに笑っていたから…
「なんだ、その目は…」
「オメェは…誰だ…」
先程の大量の虚との戦いでかなり消費していた俺には、殆ど戦えるような余力はなくて…
それでも、あの人と力の違いすぎる存在が疑問でならなかった。
「お前は、誰…か…」
喉を鳴らす。
笑い方のしぐさでさえ、あの人のもではなかった。
「ユアさん…ユアさん、ユアさんユアさん!!!先程から何度も呼んでおろう。私は見細ユアだよ。阿散井恋次。」
「く…ぅ…、そんな、はずはねぇ…」
「はっ、何を…」
「俺の知ってるユアさんは、オメェみたいないけすかねぇ人じゃねぇ!もっと温かくて、真面目で素直な人だ!」
ピクリと、斬魄刀をもつ手が反応をする。
瓦礫を背に、なんとか立ち上がる俺はさらに話を続けた。
「それに、ユアさんはそんな下品な笑い方をしねぇんだよ!あの人はもっと…っ」
そこまで言って言葉を濁した。
本人に言ったことがなかった言葉を、こいつの目の前では言いたくなかった。
それを、聞いていた目の前の人物は突然おかしげに笑いだす。
「く、あはははは!!!なんだ、阿散井恋次!!貴様、この女を好いておるのか!?」
「っ!!」
「あぁ、そういえば貴様との真剣勝負ではいつもどういうわけか嬉しさが伝わっていた。今回に至っても、休憩と称してよくもまぁ…不愉快な感情を乗せた刃を交えてくれものだ…!!!!」
図星をつかれて、反応が鈍る。
どうして、こいつは俺の気持ちを知っているのか訳が分らなかった。
―ガギィ…ズバ!!!!
「が、ぁ…!!!!」
薙刀状のそれが、一気に下から上へと繰り出される。受け止めるものの、女とも思えないような強い力でごり押しされて、俺はそのまま肩に傷を作る。
「ほれ、ほれほれ!!どうした!?副隊長殿!貴様の技量はその程度か!?九番隊三席程度に後れを取るなどと、貴様の実力はそのような恥ずかしいものではないはずであろう!さぁ、どうした!?こんなものではなかろうが!私を楽しませろ!阿散井恋次!!」
「ぐ!くっ…うっ!くそっ!」
重い剣先が斬魄刀に圧し掛かる。
それを防ぐことで精いっぱいで、どうにもならない。
―ズバ!
「つまらぬよ!阿散井恋次!私は貴様を過大評価していたのかな。これほどまで斬ってやっているのに、一太刀も与えられない…くっ!」
「馬鹿野郎…どんなに傷つけられたって、オメェには斬りつける訳ねぇだろ…」
笑いかけたこいつに、俺は静かな声で言った。
「俺は、ユアさんと隊務に来てんだ。てめぇと遊ぶために来てんじゃねぇんだよ!!!」
「ぐ!!貴様っ!!」
もうひと振り、食らうはずだった…
「れ、ん…じ…」
「ユアさん!」
「斬って…、か、嘩月の…暴走が…浸食が…止まらなく、なる」
「できるわけ、ないじゃないですか!何をっ!!」
近寄って、両肩を持って訴える。
何かを押さえつけているように、苦しげに声を上げながら自らの斬魄刀を放り投げる彼女に、どうするべきなのかがわからなかった。
「あ、れは…紫月の本来の始解の姿…意識を乗っ取り、破壊を尽くし、殺しを良しとする…」
「なっ…」
「私であり、私でない…応戦して勝てるほど、生温い存在でもない…だから…」
「だからって…!」
「今…抑え込んでいる隙に…重症を食らえば、か…嘩月は意識の底に沈むはず…だ、から…」
「できねぇって!!!言ってるじゃねーっすか!!!」
叫び声を上げる。
精いっぱいの抵抗だった。
好きだったこの人を、傷つけるなってできない。たとえ、俺自身がボロボロになったとしてもだ。
「はっ…聞き分けのないうえに、馬鹿ときている…」
「っ!!」
目の前で聞こえるその声が、先程の声と違い少し怪しげな声に変わる。
「折角、お前の愛しのユアさんが貴様を助けようと私をひと時でも御したというのに…戸惑う貴様は馬鹿で無能であるな…」
ニィ…っと薄気味悪く笑う。
それを合図に、放ったはずの斬魄刀を拾いに走る。
「私は嘩月!貴様の思い人を主とし、そして支配する者だ!!!」
「チィッ!!させるかよ!!!蛇尾丸!!!」
「なっ!!!」
彼女の身体に巻きつく蛇尾丸。身動きが取れず、もがき出す。その悔しげな表情も、すべてがあの人のもではない。けれど、性格も仕草さえ違う目の前の人物の身体は、間違いなくユアさんなのだ。だったら、彼女の意識をこちらに戻してやればいいだけの話。
「ぐっ、この…放さぬか、無礼者がっ」
「俺は、あんたを傷つけない。」
「っ!」
近寄って、顔をこちらに向かせる。
「やめろ、何をするっ」
「俺は、あんたをこのままにはできない。」
ギチギチに固定された、身体を動かすこともできず、されるがままになる彼女…いや、嘩月は抵抗を続ける。
「斬ることもしたくない。でも、このままほってもおけない。…貴女の意識がここにないなら、引きもどしてやるまでだ!!」
「や、やめっ…ん!!!!」
見開かれた目が、嘩月の最後の抵抗だった。
「あ…く…」
「ユアさん!!!」
トスッと力が抜けたように倒れこむ彼女。
「ご、めん…恋次…ありがと…」
途切れ途切れにそういうと、ユアさんは意識を失った。
元々、こんなに苦戦するような隊務じゃなかった。たまたま、合同出動すると聞かされた時も複数の虚の出現とだけしか聞かされてなかったからだ。
十一番隊の頃からの先輩のユアさんとの合同任務。それが俺には嬉しくて、少し舞い上がっていた節はあった。でも、大量虚の出現の他に巨大虚までいるだなんて聞いてなかったんだ。油断して、背後を攻撃される所を、俺は彼女に助けられた。
けれど、それが元でバッサリと攻撃を受けたユアさんの傷はかなりの重症だったはずだ。瀕死の彼女が、突然立ち上がって見たことのない斬魄刀で戦う…
それが、一連の流れだった。
「ごめん…恋次…」
「もういいっスよ。俺もユアさんも無事生き残ったんスから…。謝らないでください。」
「うん…でも…」
横になる彼女の隣に座る俺の死覇装を掴まれる。
「どうしたんスか…」
「その、嬉しかった。何度も呼んでくれた。」
「あっ…いや…」
「応え…ないと…いけない…よね…」
見上げる彼女は、俺が好きだった声で、俺が好きだった表情で訴えかける。
「好きよ。ありがとう…」
「っ!!!」
顔が熱いまま、俺は彼女を見下ろす。
「俺だって、好きです!ユアさん!」
「あは…、あはは…恋次、顔真っ赤だよー」
嬉しげに笑う彼女の…
その表情が
声が
俺にとっていつだって元気の源で
貴女のその想いだけで、俺はいつだって強くなれる。
「付き合って、ください。ユアさん」
「うん、喜んで。恋次」
どんな困難でも、
俺は絶対貴女に刃を向けない。
魂に誓って
それだけはしない。
だから
何度でも引きもどしてやる
―愛してるから…