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定時が過ぎてしばらくして、
人のいない十一番隊の隊舎で、私は黙々と作業を続けていた。
内容は例にもならって書類整理。
溜りにたまった書類を片づけるのはいつも私の仕事だ。
「ふぅ…」
一区切りついて声を漏らす。
あらかた片付いた書類に印鑑も押して、後は他隊へ配達に行くだけだ。
伸びを一つして、私はんーっと唸ってみせる。
「ユアさんっ!」
不意に後ろから声。
焦ったようなその声に、私はそのまま振り向いた。
「お疲れ修兵。」
そう声を上げるないなや、彼はどかどか自分の所に歩いてくる。
「聞いてくださいよ!さっき廊下でっ」
「はいはい。また喧嘩したの?」
「喧嘩ってもんじゃないですよ!アイツ、俺がせっかく声掛けたのに完全無視しやがって!」
ブチブチ言いながら、うちへの配達書類を手渡しつつ、私の机の隣の椅子に腰かける修兵の行動はいつもの事。もう慣れっこだ。
「態度が横柄だから不機嫌になったんじゃないのー?」
「そ、…そんなことないですよ!俺はいつだっていつも通りの俺で接してますよ!」
「いや、だからその『いつも通り』が気に入らないんじゃないの?修兵、ただでさえ顔が悪人面してるのに…」
「ユアさん、そりゃねーっすよ!俺泣いちまいますよ…。」
「あーはいはい。ごめんねー」
そう言ってお茶をいれて差し出せば、いつものように気兼ねなく口に流し込む彼の行動はいつものこと。
でも、私にとってみればこの時間は苦痛でしかない。後輩で好きな人だ。その彼から別の女性の話を定時後に毎日最低でも30分は聞かせられるのだ。たまったものではない。
それでも、彼のことを拒絶しないのは必ず毎日私のもとに足を運んで来てくれるから…
苦しい半面嬉しいのに、どうにもならなくてがんじがらめな私は、いつも苦笑いをしながら彼の話を聞くばかりだ。
「修兵は、ホントに彼女が好きなんだね。そんなことで泣きそうな顔してさ…」
「そ、そんなことないです…。」
「そんなことあるよ。だって、頭の中はいつもあの子でいっぱいな感じがするもん。」
「あ…いや…そんなこと…ホントに…」
焦った表情をして何とか反論しようとする修兵に私はいつものお決まりのセリフを口走る。
「羨ましいなぁ…私も早く誰かと付き合いたいなぁ…」
誰かなんて自分の中での答えが出ているのにそう言うのは、きっとかすかな希望を彼に託したいから。でも、それは毎度この言葉によって希望の光から闇へといざなわれる。
「ユアさんならきっといい男見つかりますよ!俺協力しますから、気になるヤツが出来たら真っ先に報告してください!」
「…うん、ありがとう…」
当たり前の会話と当たり前の答えに、いつもながら苦笑い。そうして、いつものようにすっきりした顔をして隊舎を出て行く彼の背中を私は貼りついた笑みで見送るのだ。
『愛されてないことは知ってる』
彼の目に留まっていないことも知っている。
でも、私はまだこの気持ちを整理することが出来ないの…―
人のいない十一番隊の隊舎で、私は黙々と作業を続けていた。
内容は例にもならって書類整理。
溜りにたまった書類を片づけるのはいつも私の仕事だ。
「ふぅ…」
一区切りついて声を漏らす。
あらかた片付いた書類に印鑑も押して、後は他隊へ配達に行くだけだ。
伸びを一つして、私はんーっと唸ってみせる。
「ユアさんっ!」
不意に後ろから声。
焦ったようなその声に、私はそのまま振り向いた。
「お疲れ修兵。」
そう声を上げるないなや、彼はどかどか自分の所に歩いてくる。
「聞いてくださいよ!さっき廊下でっ」
「はいはい。また喧嘩したの?」
「喧嘩ってもんじゃないですよ!アイツ、俺がせっかく声掛けたのに完全無視しやがって!」
ブチブチ言いながら、うちへの配達書類を手渡しつつ、私の机の隣の椅子に腰かける修兵の行動はいつもの事。もう慣れっこだ。
「態度が横柄だから不機嫌になったんじゃないのー?」
「そ、…そんなことないですよ!俺はいつだっていつも通りの俺で接してますよ!」
「いや、だからその『いつも通り』が気に入らないんじゃないの?修兵、ただでさえ顔が悪人面してるのに…」
「ユアさん、そりゃねーっすよ!俺泣いちまいますよ…。」
「あーはいはい。ごめんねー」
そう言ってお茶をいれて差し出せば、いつものように気兼ねなく口に流し込む彼の行動はいつものこと。
でも、私にとってみればこの時間は苦痛でしかない。後輩で好きな人だ。その彼から別の女性の話を定時後に毎日最低でも30分は聞かせられるのだ。たまったものではない。
それでも、彼のことを拒絶しないのは必ず毎日私のもとに足を運んで来てくれるから…
苦しい半面嬉しいのに、どうにもならなくてがんじがらめな私は、いつも苦笑いをしながら彼の話を聞くばかりだ。
「修兵は、ホントに彼女が好きなんだね。そんなことで泣きそうな顔してさ…」
「そ、そんなことないです…。」
「そんなことあるよ。だって、頭の中はいつもあの子でいっぱいな感じがするもん。」
「あ…いや…そんなこと…ホントに…」
焦った表情をして何とか反論しようとする修兵に私はいつものお決まりのセリフを口走る。
「羨ましいなぁ…私も早く誰かと付き合いたいなぁ…」
誰かなんて自分の中での答えが出ているのにそう言うのは、きっとかすかな希望を彼に託したいから。でも、それは毎度この言葉によって希望の光から闇へといざなわれる。
「ユアさんならきっといい男見つかりますよ!俺協力しますから、気になるヤツが出来たら真っ先に報告してください!」
「…うん、ありがとう…」
当たり前の会話と当たり前の答えに、いつもながら苦笑い。そうして、いつものようにすっきりした顔をして隊舎を出て行く彼の背中を私は貼りついた笑みで見送るのだ。
『愛されてないことは知ってる』
彼の目に留まっていないことも知っている。
でも、私はまだこの気持ちを整理することが出来ないの…―
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