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「恋次さー…」
「はい?」
「好きな人いないの?」
―ガタ!
書類整理しながら、びっくりして彼女の方顔を向けると思いの外キョトンとしてる貴女が目に入る。
「え、それどういう意味ですか?」
「んー、今度の瀞霊廷通信に副隊長の気になる女の子を探せ!とかいう記事を上げるんだけどさ…。ちょっと偵察。」
「て、偵察しないでくださいよ…」
待ちの書類に再び視線を向ける俺に、ユアさんは可笑しそうに笑う。
「だよねぇ…恋次が好きなのは今も昔も私だもんね。」
「な、何言ってるんですか…」
「え、違うの?十一番隊にいた時はいっつも後追っかけてきてたのに。」
図星を突かれて慌てて言い訳を考える。彼女は可笑しそうにニヤニヤ笑う。
「ち、違いますよ。俺は…一角さんに稽古付けてもらいたくてですね!」
「ふぅ~ん…。まぁ、いいや。そう言うことにしておくね!」
チェックの終わった書類を手渡すと、ユアさんは俺の頭をワシワシとなでてそのままありがとうございました~と言って隊舎に向かって歩いて行く。ふと振り返ると、大きな声で言った。
「れーんじ!照れなくていいんだよ!」
「照れてないですよ!」
俺の反応に満足したかのように、手をヒラヒラさせて言う彼女の態度はいつもの事で、姿の見えなくなった先輩にため息をこぼす。
なぁ、ユアさん…
【俺が年下だからって、からかってるんですか?】
「うえぇぇ…振られたー!」
「あん?お前、好きな男居たのか?」
「いたよー!つるりん!ばかじゃん!」
「あぁ!?」
酒の席で、振られた割にいつものテンションのユアさんはいつも通り俺の隣で、向かい側の一角さんと罵りあっている。
「お前も、大概俺みたいなかっこよくてツイてる男を理解できなくて残念だな。」
「私、ハゲは好きじゃないの!」
「お、まっ」
シレっと言うユアさんの発言は相変わらず過激で、それでもいつもの事で対して怒らない一角さんとユアさんの仲を実感してしまう。
「えーじゃあ僕はー?」
「弓親は美しいから好きー!」
「ユアは僕ほど美しくないけど好きだよ!」
「ちょっとそれどういう意味よ!おかっぱナルシスト!」
横から会話に入る弓親さんと一緒にぎゃあぎゃあと喚き散らす三人に、いつものことながら苦笑い。
「そんなこと言ったら、お前…恋次はどうなんだよ!お前のお気に入りだろ!」
「はー?恋次?」
「俺は好きですよ?ユアさん。」
酒のせいかほんのり赤い顔を向けられて少しばかりうるんだ目で見つめられながら、俺は即座に言った。
「…だとよ。」
「よかったじゃない。失恋の痛手、和らぐね。」
「むー…年下は、趣味じゃないの!子供っぽいの嫌!」
ぐびっと酒を飲んで歯切れの悪い言い方をするユアさんの反応に弓親さんは可笑しそうに肩をすくめる。
「我儘だなぁ…」
「うっさいわね…私はどうせならこう、クールでかっこよくて大人な人がいいの!!」
「お前にゃ無理だろ!バーカ!」
「うっさいなー!もう!ハゲぇ!!!」
そう言っていつも、話をはぐらかされる度俺の心は折れそうになる。楽しいはずの飲み会が楽しくなくなるんですよ。貴女と一緒に飲んでるのに、辛くて仕方ないんです。
【確かにまだ子どもかもしれませんけど、本気ですから】
貴女を好きな気持ちは誰にも負けない。
「恋次はルキアちゃんが好きなんでしょ?」
好きか嫌いかと問われれば、好きに決まっている。彼女は家族であり、大切な仲間だった。でも、女性として好きかと問われたらきっとそれは【NO】だと思う。だって、俺はずっと貴女を見てきて好きで仕方なくてこの気持ちを伝えることを躊躇ってきたのだから…
「えへへ…朽木隊長に振られちゃいました。」
たまたまぶつかった非番の日に、付き合ってもらった甘味処で彼女は気恥ずかしそうに言った。
「告白、したんですか…」
「遠まわしに…でも、望みないっぽい。仕方ないねー…私ガサツだし口悪いし、女っぽくないもの…」
あははと笑っては寂しげに俯く彼女はいつもと違って哀愁漂っていて、明るくて暖かくて笑顔の似合う貴女ではなかった。
「俺、ユアさんはそのままでいいと思います。」
にぎりしめた拳が汗を作る。俺ではなく彼女が好きだったのは越えたいと願ってきた朽木隊長で、倒したいと願ってきたあの人だったから…
「俺はユアさんの明るくて、暖かくていつもニコニコ笑って、楽しそうにいつも呼んでくれる貴女が好きです。」
「ありがとう恋次…。」
見つめられた瞳が俺を捉える。
それだけで、俺の心臓はバクバクで…
「あんたが私より年上だったらよかったのに…」
なんでそんなこと言うんですか…
【年の差は埋められないのに、そんな言い方ずるいです】
俺を受け止めてもくれないのに…
「恋次、ユア殿とは仲が良かったな…」
「ん。あぁ…」
たいやきを頬張りながら、ルキアは困った顔をして聞いてくる。こいつがユアさんの話をするのは珍しくて、俺は首を傾げた。
「実はその…彼女の噂が女性死神の間であまりよくなくてな…」
「は?なんだよ…。あの人はさっぱりした性格だが、変なことするような人じゃねぇぞ。」
言葉を濁すルキアに、そう答えるとしばしの沈黙の後口を開く。
「その、兄様と恋次…貴様を天秤にかけていると話を聞いた。」
「っ!」
「私も、前から話を聞いていたし話もした事はあるから信じられないのだが…どうも、尾ひれが付いているようでな…恋次には話しておかねばと思っていたのだが…」
「あの人は、そんな人じゃねぇよ…。朽木隊長に振られたって言って、俺が強引にあちこち付き合わせたからだ。」
自分の軽薄な行動に、彼女に悪いうわさが広がっていたことが誤算だった。少しでも元気になってほしくて、少しでも笑ってほしかっただけだったのに…
「それならば良いのだ。当事者同士が誤解を招くことが一番厄介だからな。」
「当たり前だ。俺はずっと…あの人が…好きなんだ!」
そう、力強く言ってしばしの沈黙。
自分の意気込みをルキアに言ったところでどうにもならないのに、言わずには居られなかった。
「幸せだな…。そこまで思われて…」
「あ、当たり前だろ…」
【周りがどんな目で見ようと、俺の気持ちは変わりません】
俺、馬鹿みたいですけどホントに好きなんですよ。
年齢差が俺を不幸にする?
それは違います
俺にとって本当に不幸なのは、年齢を理由にフラれることです
はぐらかさないで、ちゃんと俺と向き合ってください
「こんにちは、ユアさん」
「あ…うん。あ、いや…お疲れ様です。阿散井副隊長。」
九番隊の隊舎に書類を届けに来て、声をかけると気まずそうに返事をされる。
「あの…どうしたんですか?」
先日渡された原稿を彼女に手渡すと、そのまま質問には答えてはくれず確認を始める。
いつもはこんな雰囲気にならないのに、不思議で仕方なくて俺は、再び短く声をかける。
「ユアさん…あの…」
「ありがとうございます。阿散井副隊長。確かに原稿頂きました。」
そう言って立ち上がって、上司である檜佐木さんの執務室へ向かう彼女。
「ちょ、ユアさんどうしたんですかっ」
肩を掴んで、そちらに向かせると今までにないほどの切なげな表情で自分を見つめる。
「っ!」
「放してください。仕事があります。」
他の隊員がいる手前、小声でそう言うユアさんに反抗するように応える。
「嫌だ、そんな顔するユアさんはいつも無理してる時だ。」
「やめてください。今は隊務中です。私に触らないで。話しかけないで。」
「だって…っ」
「やめて、これ以上土足で私の中に入り込まないでっ隊務に戻って。仕事して。」
見上げる彼女は何かを懸命に耐えていて、ずっと一緒にいて傍にいた俺にでさえ抱えているものを応えてくれなくてそれが、たまらなく悔しかった。
「はぐらかさないで、ちゃんと俺と向き合ってください!!!!!!」
強引に手を引いて、書類も傍にいた隊士に押し付けてそこから消えた。拒否されるのが悔しいんじゃない。俺にまで何かを隠すことが嫌だった。
流魂街のはずれまで来て、ようやく手を離せば、ユアさんは怯えた表情で俺を見上げていた。
「何があったんですか…俺じゃ駄目なんですか?俺じゃ、貴女の役には立ちませんか…」
こみ上げてくる思い。
話してくれないことが悔しかった。
貴女はいつだって俺を受け入れてくれたのに…
「…恋次は、ルキアちゃんが好きなんでしょ!?」
「何っ言って…」
「無理しなくていいよ。この間、恋次がルキアちゃんに告白してるとこ見ちゃったんだよ。」
初めてみる涙目な彼女は、いつもの力強さはないもののまっすぐに気持ちを訴えていた。
「してないです。そんなの。ルキアは家族だ。仲間だ。俺は貴女以上に好きな奴なんかいない。」
「嘘っ!私、恋次がルキアちゃんに告白してるところ見て……苦しくて、切なくて…とられてしまった気がして…」
ぐしぐし泣く初めてみる姿が、なんだか可愛くて…そして嬉しくて…思わず細い腕を引いて耳元で囁けば、びくっと身体を震わせた。
「なぁ、ユアさん…それ…俺、自惚れてもいいんですか…?」
「っ!」
「ユアさん…ルキアに嫉妬してるんですよ…。」
「ちがっ…私は…」
慌てて否定をしようとして、両手で彼女の顔を抑えて顔を向けさせる。真剣な顔で彼女を直視すればいつもの元気はなく押し黙ってしまう。
「俺が好きなのは、ユアさんです。」
「あ…ぅ…えっと…」
顔を真っ赤にして、言葉を選んでいる
ユアさんの行動は挙動不審なのに、俺の死覇装をぎゅっと握る行為に全てが分かってしまって思わず笑った。
「返事…声に出さなくても行動に出てますね。」
「そ、そんなことない!…よ!」
焦った表情でしどろもどろする行動が可愛くて彼女の唇を指でなぞった。
「もう一度言いますよ。俺…―」
―年上に恋する彼のセリフ―
恋をすると素直じゃない貴女も
可愛くて好きです。
「はい?」
「好きな人いないの?」
―ガタ!
書類整理しながら、びっくりして彼女の方顔を向けると思いの外キョトンとしてる貴女が目に入る。
「え、それどういう意味ですか?」
「んー、今度の瀞霊廷通信に副隊長の気になる女の子を探せ!とかいう記事を上げるんだけどさ…。ちょっと偵察。」
「て、偵察しないでくださいよ…」
待ちの書類に再び視線を向ける俺に、ユアさんは可笑しそうに笑う。
「だよねぇ…恋次が好きなのは今も昔も私だもんね。」
「な、何言ってるんですか…」
「え、違うの?十一番隊にいた時はいっつも後追っかけてきてたのに。」
図星を突かれて慌てて言い訳を考える。彼女は可笑しそうにニヤニヤ笑う。
「ち、違いますよ。俺は…一角さんに稽古付けてもらいたくてですね!」
「ふぅ~ん…。まぁ、いいや。そう言うことにしておくね!」
チェックの終わった書類を手渡すと、ユアさんは俺の頭をワシワシとなでてそのままありがとうございました~と言って隊舎に向かって歩いて行く。ふと振り返ると、大きな声で言った。
「れーんじ!照れなくていいんだよ!」
「照れてないですよ!」
俺の反応に満足したかのように、手をヒラヒラさせて言う彼女の態度はいつもの事で、姿の見えなくなった先輩にため息をこぼす。
なぁ、ユアさん…
【俺が年下だからって、からかってるんですか?】
「うえぇぇ…振られたー!」
「あん?お前、好きな男居たのか?」
「いたよー!つるりん!ばかじゃん!」
「あぁ!?」
酒の席で、振られた割にいつものテンションのユアさんはいつも通り俺の隣で、向かい側の一角さんと罵りあっている。
「お前も、大概俺みたいなかっこよくてツイてる男を理解できなくて残念だな。」
「私、ハゲは好きじゃないの!」
「お、まっ」
シレっと言うユアさんの発言は相変わらず過激で、それでもいつもの事で対して怒らない一角さんとユアさんの仲を実感してしまう。
「えーじゃあ僕はー?」
「弓親は美しいから好きー!」
「ユアは僕ほど美しくないけど好きだよ!」
「ちょっとそれどういう意味よ!おかっぱナルシスト!」
横から会話に入る弓親さんと一緒にぎゃあぎゃあと喚き散らす三人に、いつものことながら苦笑い。
「そんなこと言ったら、お前…恋次はどうなんだよ!お前のお気に入りだろ!」
「はー?恋次?」
「俺は好きですよ?ユアさん。」
酒のせいかほんのり赤い顔を向けられて少しばかりうるんだ目で見つめられながら、俺は即座に言った。
「…だとよ。」
「よかったじゃない。失恋の痛手、和らぐね。」
「むー…年下は、趣味じゃないの!子供っぽいの嫌!」
ぐびっと酒を飲んで歯切れの悪い言い方をするユアさんの反応に弓親さんは可笑しそうに肩をすくめる。
「我儘だなぁ…」
「うっさいわね…私はどうせならこう、クールでかっこよくて大人な人がいいの!!」
「お前にゃ無理だろ!バーカ!」
「うっさいなー!もう!ハゲぇ!!!」
そう言っていつも、話をはぐらかされる度俺の心は折れそうになる。楽しいはずの飲み会が楽しくなくなるんですよ。貴女と一緒に飲んでるのに、辛くて仕方ないんです。
【確かにまだ子どもかもしれませんけど、本気ですから】
貴女を好きな気持ちは誰にも負けない。
「恋次はルキアちゃんが好きなんでしょ?」
好きか嫌いかと問われれば、好きに決まっている。彼女は家族であり、大切な仲間だった。でも、女性として好きかと問われたらきっとそれは【NO】だと思う。だって、俺はずっと貴女を見てきて好きで仕方なくてこの気持ちを伝えることを躊躇ってきたのだから…
「えへへ…朽木隊長に振られちゃいました。」
たまたまぶつかった非番の日に、付き合ってもらった甘味処で彼女は気恥ずかしそうに言った。
「告白、したんですか…」
「遠まわしに…でも、望みないっぽい。仕方ないねー…私ガサツだし口悪いし、女っぽくないもの…」
あははと笑っては寂しげに俯く彼女はいつもと違って哀愁漂っていて、明るくて暖かくて笑顔の似合う貴女ではなかった。
「俺、ユアさんはそのままでいいと思います。」
にぎりしめた拳が汗を作る。俺ではなく彼女が好きだったのは越えたいと願ってきた朽木隊長で、倒したいと願ってきたあの人だったから…
「俺はユアさんの明るくて、暖かくていつもニコニコ笑って、楽しそうにいつも呼んでくれる貴女が好きです。」
「ありがとう恋次…。」
見つめられた瞳が俺を捉える。
それだけで、俺の心臓はバクバクで…
「あんたが私より年上だったらよかったのに…」
なんでそんなこと言うんですか…
【年の差は埋められないのに、そんな言い方ずるいです】
俺を受け止めてもくれないのに…
「恋次、ユア殿とは仲が良かったな…」
「ん。あぁ…」
たいやきを頬張りながら、ルキアは困った顔をして聞いてくる。こいつがユアさんの話をするのは珍しくて、俺は首を傾げた。
「実はその…彼女の噂が女性死神の間であまりよくなくてな…」
「は?なんだよ…。あの人はさっぱりした性格だが、変なことするような人じゃねぇぞ。」
言葉を濁すルキアに、そう答えるとしばしの沈黙の後口を開く。
「その、兄様と恋次…貴様を天秤にかけていると話を聞いた。」
「っ!」
「私も、前から話を聞いていたし話もした事はあるから信じられないのだが…どうも、尾ひれが付いているようでな…恋次には話しておかねばと思っていたのだが…」
「あの人は、そんな人じゃねぇよ…。朽木隊長に振られたって言って、俺が強引にあちこち付き合わせたからだ。」
自分の軽薄な行動に、彼女に悪いうわさが広がっていたことが誤算だった。少しでも元気になってほしくて、少しでも笑ってほしかっただけだったのに…
「それならば良いのだ。当事者同士が誤解を招くことが一番厄介だからな。」
「当たり前だ。俺はずっと…あの人が…好きなんだ!」
そう、力強く言ってしばしの沈黙。
自分の意気込みをルキアに言ったところでどうにもならないのに、言わずには居られなかった。
「幸せだな…。そこまで思われて…」
「あ、当たり前だろ…」
【周りがどんな目で見ようと、俺の気持ちは変わりません】
俺、馬鹿みたいですけどホントに好きなんですよ。
年齢差が俺を不幸にする?
それは違います
俺にとって本当に不幸なのは、年齢を理由にフラれることです
はぐらかさないで、ちゃんと俺と向き合ってください
「こんにちは、ユアさん」
「あ…うん。あ、いや…お疲れ様です。阿散井副隊長。」
九番隊の隊舎に書類を届けに来て、声をかけると気まずそうに返事をされる。
「あの…どうしたんですか?」
先日渡された原稿を彼女に手渡すと、そのまま質問には答えてはくれず確認を始める。
いつもはこんな雰囲気にならないのに、不思議で仕方なくて俺は、再び短く声をかける。
「ユアさん…あの…」
「ありがとうございます。阿散井副隊長。確かに原稿頂きました。」
そう言って立ち上がって、上司である檜佐木さんの執務室へ向かう彼女。
「ちょ、ユアさんどうしたんですかっ」
肩を掴んで、そちらに向かせると今までにないほどの切なげな表情で自分を見つめる。
「っ!」
「放してください。仕事があります。」
他の隊員がいる手前、小声でそう言うユアさんに反抗するように応える。
「嫌だ、そんな顔するユアさんはいつも無理してる時だ。」
「やめてください。今は隊務中です。私に触らないで。話しかけないで。」
「だって…っ」
「やめて、これ以上土足で私の中に入り込まないでっ隊務に戻って。仕事して。」
見上げる彼女は何かを懸命に耐えていて、ずっと一緒にいて傍にいた俺にでさえ抱えているものを応えてくれなくてそれが、たまらなく悔しかった。
「はぐらかさないで、ちゃんと俺と向き合ってください!!!!!!」
強引に手を引いて、書類も傍にいた隊士に押し付けてそこから消えた。拒否されるのが悔しいんじゃない。俺にまで何かを隠すことが嫌だった。
流魂街のはずれまで来て、ようやく手を離せば、ユアさんは怯えた表情で俺を見上げていた。
「何があったんですか…俺じゃ駄目なんですか?俺じゃ、貴女の役には立ちませんか…」
こみ上げてくる思い。
話してくれないことが悔しかった。
貴女はいつだって俺を受け入れてくれたのに…
「…恋次は、ルキアちゃんが好きなんでしょ!?」
「何っ言って…」
「無理しなくていいよ。この間、恋次がルキアちゃんに告白してるとこ見ちゃったんだよ。」
初めてみる涙目な彼女は、いつもの力強さはないもののまっすぐに気持ちを訴えていた。
「してないです。そんなの。ルキアは家族だ。仲間だ。俺は貴女以上に好きな奴なんかいない。」
「嘘っ!私、恋次がルキアちゃんに告白してるところ見て……苦しくて、切なくて…とられてしまった気がして…」
ぐしぐし泣く初めてみる姿が、なんだか可愛くて…そして嬉しくて…思わず細い腕を引いて耳元で囁けば、びくっと身体を震わせた。
「なぁ、ユアさん…それ…俺、自惚れてもいいんですか…?」
「っ!」
「ユアさん…ルキアに嫉妬してるんですよ…。」
「ちがっ…私は…」
慌てて否定をしようとして、両手で彼女の顔を抑えて顔を向けさせる。真剣な顔で彼女を直視すればいつもの元気はなく押し黙ってしまう。
「俺が好きなのは、ユアさんです。」
「あ…ぅ…えっと…」
顔を真っ赤にして、言葉を選んでいる
ユアさんの行動は挙動不審なのに、俺の死覇装をぎゅっと握る行為に全てが分かってしまって思わず笑った。
「返事…声に出さなくても行動に出てますね。」
「そ、そんなことない!…よ!」
焦った表情でしどろもどろする行動が可愛くて彼女の唇を指でなぞった。
「もう一度言いますよ。俺…―」
―年上に恋する彼のセリフ―
恋をすると素直じゃない貴女も
可愛くて好きです。