ローハン第三軍団長 エオメル②
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
貴方を好きだと口にしたら、貴方は笑ってくれるかしら。
―それとも…
「…お帰りなさい。エオメル。激しく長い戦いご苦労様でした。」
ゴンドールの激戦や黒門への辛い戦いを終えたローハンの騎士エオメルは、エドラスで1人、都を取り仕切っていたユアに迎えられ優しく微笑みながら、彼女を抱き締めた。
「…ただいま。長く留守をしてすまなかった。」
「いいえ…。気にしないでください。優秀な文官達のおかげで大きな問題もなかったですから…」
微笑み返す、彼は満足げな顔をするが、突然表情を曇らせる。
「…ユア。大切な事を言わなければいけない。聞いてくれるか?」
彼女を椅子に座らせようとすると、ユアはそれを遮り、口を開く。
「大事なお話ならば鎧を脱いでからでもできましょう…?」
「あっ、あぁ…」
エオメルの私室に移動をすると、テキパキと彼の鎧が外していく。それはなんだか、彼から告げられる事を恐れているようで、男は表情を堅くした。
「…私服はこちらを…」
手渡された洋服。
重なった手が、少し震えていた。
「着替えが終わったら呼んでくださいね…。部屋の外に居ますから。」
「…ユアっ」
カチャリと無機質な音が異様にデカく響いた。
先程出迎えてくれた時とは違い、無理に笑顔を作る。
それがあまりにも痛々しかった。
だが、いずれは知られること。悲しみは早い方がいい。
「ユア…?」
扉のすぐ横で、両手を握り締めながら待っていた彼女は一段と暗い顔をする。
「…すまない。待たせた。」
優しい声色で部屋の中に抱き入れる。
そのまま彼女を部屋の椅子に座らせる。怯えた表情で、視線を下に向ける。エオメルは、長く緊張の息を吐くと意を決したようにそれを口にした。
「…ユア。落ち着いて聞いてほしい。既に耳に入っているかもしれないが…陛下が亡くなられた。」
「…あ…あぁ…やはり…。」
一瞬目が合い、見開かれた目。悲観の声を挙げるが、彼女は泣くことはなかった。
「…父は、セオデン陛下は最期まで戦われたのですか?」
「あぁ…最後の最期まで、叔父上は私達を指揮して下さったよ。」
「そうですか…。良かった…」
安緒の声と、儚げに笑みをもらす彼女。それはローハンの王の娘としての表情であり、張り付いた笑顔のように見えた。
「エオメル。有難うございます。私はこれで、安心してセオドレドに報告しエドラスを後に出来る。」
「…ユア?」
驚くエオメルの両手を握り締めながら言う彼女は、何かを決心したような顔をして微笑んだ。
「次の王は貴方です…エオメル。私がいては邪魔になりましょう?早く嫁ぎ先を決めなければなりませんね。」
王位継承。
自らにその技量がないと判断しているからこそ出た言葉だった。
「…何を言って…」
「王は…殿方がなるものです。私は女。直系の血族に男児がいないのならば、貴方がなるべきなのです。」
「あ、貴女はどうされるっ!」
「私は、ここから出ることは仕方がないこと思っていますから…」
思いの外声を荒げるエオメルとは対照的に、彼女は冷静だった。
姫である以上、国の道具として扱われることは重々承知であり、覚悟している事だったからだ。それに、セオデンの忘れ形見の自分がいれば王位継承の件で大きくもめるだろう。
その気がないのに、担ぎ出されることはごめんだったのだ。
「…ならば、私が貴女をさらってもいいだろうか。」
「…は…え…」」
思わぬ発言に言葉を失う。
大きな瞳をこぼれそうな程見開いて瞬きをする。
「以前…叔父上に貴女を頂けないかと話したことがある。当然却下去れたのだが、次になる王が私ならば貴女を私の妃にしたいと思っている。」
「エオメル…本気?」
「あぁ…本気だ。嘘など言わない。」
質問に答える彼が、真剣な視線と共に肯定の言葉を紡ぐ。
ユアは思わず涙を流した。
「ユアっ!どうしたんだ?な、泣くな!」
泣き出す彼女をみて慌てるエオメル。
ユアはクスクスと笑って彼に抱き付いた。
「お、おいっ泣くか笑うかどっちかにしろ!」
訳が分からず、抱きしめ返して頭を優しく撫でる。
男の胸の中で笑っていた彼女は笑うことを止め抱きついたまま動かなかった。
「ユア…?」
「………」
「…愛してる。」
「くっ…うっ……エオメル。有難う…」
悲しみと嬉しさと、緊張の糸が切れたかのように泣きじゃくる。
エオメルに『愛してます』と何度も呟きながら…
この人のそばにいれば平気だと思った。
愛するこの人のそばならば、
必ず自分も国も愛してくれるだろう。
この安らぎと共に…
貴方を好きだと口にしたら、
貴方は笑ってくれるかしら。
私を大切にしてくれますか?
愛して、くれますか?
―それとも…
「…お帰りなさい。エオメル。激しく長い戦いご苦労様でした。」
ゴンドールの激戦や黒門への辛い戦いを終えたローハンの騎士エオメルは、エドラスで1人、都を取り仕切っていたユアに迎えられ優しく微笑みながら、彼女を抱き締めた。
「…ただいま。長く留守をしてすまなかった。」
「いいえ…。気にしないでください。優秀な文官達のおかげで大きな問題もなかったですから…」
微笑み返す、彼は満足げな顔をするが、突然表情を曇らせる。
「…ユア。大切な事を言わなければいけない。聞いてくれるか?」
彼女を椅子に座らせようとすると、ユアはそれを遮り、口を開く。
「大事なお話ならば鎧を脱いでからでもできましょう…?」
「あっ、あぁ…」
エオメルの私室に移動をすると、テキパキと彼の鎧が外していく。それはなんだか、彼から告げられる事を恐れているようで、男は表情を堅くした。
「…私服はこちらを…」
手渡された洋服。
重なった手が、少し震えていた。
「着替えが終わったら呼んでくださいね…。部屋の外に居ますから。」
「…ユアっ」
カチャリと無機質な音が異様にデカく響いた。
先程出迎えてくれた時とは違い、無理に笑顔を作る。
それがあまりにも痛々しかった。
だが、いずれは知られること。悲しみは早い方がいい。
「ユア…?」
扉のすぐ横で、両手を握り締めながら待っていた彼女は一段と暗い顔をする。
「…すまない。待たせた。」
優しい声色で部屋の中に抱き入れる。
そのまま彼女を部屋の椅子に座らせる。怯えた表情で、視線を下に向ける。エオメルは、長く緊張の息を吐くと意を決したようにそれを口にした。
「…ユア。落ち着いて聞いてほしい。既に耳に入っているかもしれないが…陛下が亡くなられた。」
「…あ…あぁ…やはり…。」
一瞬目が合い、見開かれた目。悲観の声を挙げるが、彼女は泣くことはなかった。
「…父は、セオデン陛下は最期まで戦われたのですか?」
「あぁ…最後の最期まで、叔父上は私達を指揮して下さったよ。」
「そうですか…。良かった…」
安緒の声と、儚げに笑みをもらす彼女。それはローハンの王の娘としての表情であり、張り付いた笑顔のように見えた。
「エオメル。有難うございます。私はこれで、安心してセオドレドに報告しエドラスを後に出来る。」
「…ユア?」
驚くエオメルの両手を握り締めながら言う彼女は、何かを決心したような顔をして微笑んだ。
「次の王は貴方です…エオメル。私がいては邪魔になりましょう?早く嫁ぎ先を決めなければなりませんね。」
王位継承。
自らにその技量がないと判断しているからこそ出た言葉だった。
「…何を言って…」
「王は…殿方がなるものです。私は女。直系の血族に男児がいないのならば、貴方がなるべきなのです。」
「あ、貴女はどうされるっ!」
「私は、ここから出ることは仕方がないこと思っていますから…」
思いの外声を荒げるエオメルとは対照的に、彼女は冷静だった。
姫である以上、国の道具として扱われることは重々承知であり、覚悟している事だったからだ。それに、セオデンの忘れ形見の自分がいれば王位継承の件で大きくもめるだろう。
その気がないのに、担ぎ出されることはごめんだったのだ。
「…ならば、私が貴女をさらってもいいだろうか。」
「…は…え…」」
思わぬ発言に言葉を失う。
大きな瞳をこぼれそうな程見開いて瞬きをする。
「以前…叔父上に貴女を頂けないかと話したことがある。当然却下去れたのだが、次になる王が私ならば貴女を私の妃にしたいと思っている。」
「エオメル…本気?」
「あぁ…本気だ。嘘など言わない。」
質問に答える彼が、真剣な視線と共に肯定の言葉を紡ぐ。
ユアは思わず涙を流した。
「ユアっ!どうしたんだ?な、泣くな!」
泣き出す彼女をみて慌てるエオメル。
ユアはクスクスと笑って彼に抱き付いた。
「お、おいっ泣くか笑うかどっちかにしろ!」
訳が分からず、抱きしめ返して頭を優しく撫でる。
男の胸の中で笑っていた彼女は笑うことを止め抱きついたまま動かなかった。
「ユア…?」
「………」
「…愛してる。」
「くっ…うっ……エオメル。有難う…」
悲しみと嬉しさと、緊張の糸が切れたかのように泣きじゃくる。
エオメルに『愛してます』と何度も呟きながら…
この人のそばにいれば平気だと思った。
愛するこの人のそばならば、
必ず自分も国も愛してくれるだろう。
この安らぎと共に…
貴方を好きだと口にしたら、
貴方は笑ってくれるかしら。
私を大切にしてくれますか?
愛して、くれますか?