王様 アラゴルン②
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アラゴルンとの恋の末、ゴンドールにとどまったはいいものの生活はあまり変わらない私の日常。
原因は全て王であるエレスサール王にあると思います!
「…ボロミア!」
「あぁ。ユア、戻ったのか。」
オークの残党狩りを終えて帰ってきた私は広場にいたボロミアに手を振りながら近寄った。
「うん。今さっき。アラゴルン…じゃなかった。王は?」
「お帰り。王ならファラミアがさっき凄い剣幕で強引に執務室に連れていったのを見たぞ。」
「はぁ?何それまた?」
先の指輪の旅を終えて、アラゴルンは先日戴冠式を終えて王となった。が、元々野伏で旅をしていた彼にとって、書類の山とにらめっこをする事は苦痛のようで、彼は度々城を抜け出していた。その度にボロミアの弟であるファラミアが静かな笑みを携えながら、彼を連れ戻し執務に向かわせる。最近はこれが日常となっていた。
「…そうだな。暫く姿が見えなかったから連れ戻されたんだろうな。」
「チッ…あのダメゴルンめっ」
旅をしていた頃のアラゴルンは、勇ましくて優しくて、それはそれは格好良かったものだ。あの時のトキメキはどこへやら。私はため息をついた。
「ユア…それシャレにならないからやめろ。王の耳に入ったらまた、なにされるかっ」
「ボロミア…あれは私の発言に対してやってることじゃないのよ。奴の暇つぶしなのっ!日々つまらないからってからかってるだげ!」
ボロミアが憐れむように私を見る。その視線は、もうすでに慣れっ子だ。が、王+αのαは違っている。奴は、ボロミアという兄を利用し、私に巧みな嫌がらせをしてくるのだ。
しかも、張り付いた笑顔で…
「いや…なんかもう、すまん。」
察したように言うボロミアに、私は首を振った。
「いいわ…少し我慢すればいいだけだから。」
げんなりしながら言う私に、彼はから笑いをした。
「とにかく…帰還した事だけ伝えてくる。ありがとボロミア。じゃあね。」
「あ…あーユア!」
トボトボ向かっていく私の背中が、あまりにも淋しそうだったらしく声をかけられる。
「…俺も行く。俺が一緒ならある程度は被害は免れるだろう。」
優しく微笑むボロミアに、私は思わず抱き付いた。
「ありがとう!…ボロミア愛してる!!!」
「分かった!分かった!!!分かったからとにかく離れろ!」
赤面するボロミアが、なんだか可愛かった。チューしたいくらい。
「で、ユアが戻った早々腕組んで此処まで登場した兄上…貴方は何がしたいのか。」
「あ…いや、何がしたいんだろうな。」
「何がしたいんでしょうねぇ…」
「な、何がしたいんだ…ろうなぁ…ハハハ」
絶対零度の微笑みを向けられて、とにかく固まるボロミアに、私は思いの外ニコニコと笑ってみせた。目の前の王様は大層ご立腹のようだが知らん顔。
「…ユア何か俺にまであの笑顔向けて怖いんですけどっ…」
ボソッと耳打ちする私達は端から見たらいいバカップルに見えるだろうが話の内容は大したことはない。
あ、王の青筋増えた。
「えー…だってぇ、王様とぉ、ファラミア様が、私と会う度に虐めるんだもん!ボロミア様ぁ…ユア怖い!」
ボロミアの腕をぎゅっと抱き、我ながら殴りたくなるような台詞を吐くと、アラゴルンが我慢出来なかったのか、突然席を立って私の腕を掴んで部屋を出て行った。
「…何なんだ?あれか?嫉妬というやつか?」
「…兄上。あの様子じゃ明日から虐めの対象は貴方に決定でしょうね。」
「はぁ?!…おい!待て!」
私室に入るまで沈黙を守っていた彼は、部屋に入るなり私を扉越に逃げられないようにした。
「…ずいぶん、ボロミアと仲がいいんだな。」
「何…?嫉妬してんの?」
「当たり前だ…。私は山ほどある書類と戦っているというのに、君は…」
「その割には部屋の書類一向にへらないね…」
「あれでも頑張って減らしてるんだ。」
「…へぇ」
怪しいという目つきをする私にアラゴルンがタジタジなる。
「ユア。君は、私の言うことが信用できないのか?」
「だってねぇ、私が帰ってくるまでに仕事終わらせるとか約束しといてあれでしょ?アラゴルン私の事本当に好きなの?」
そう言うと、彼は突然真剣な表情をすると、私に向き直った。
「好きだ。愛してるよ」
「…ありがとう。私も愛してる。」
上目使いにアラゴルンを見ると、彼は赤面していて、一瞬視線を泳がせる。
「…他の奴と腕なんか組んだりするな。嫉妬で狂いそうになる。仕事に身が入らない。」
「ボロミアなのに?」
「ボロミアでもだ。」
「分かった。アラゴルンのお願いだしね。言うこと聞くわ。」
とても優しく視線を向けられて、今度は私が赤面する。
「頑張って今日執務をこなすよ。それまで待っててくれるか?」
「ん。待ってるね。」
抱きしめられて、頬に軽くキス。
私はアラゴルンに抱きついて、しばしの包容を感じて離れる。
「ていうか、アラゴルンさ…」
「ん…?どうしたんだ?」
執務室に戻った私は、執政の2人を下がらせるとアラゴルンの部屋でお茶を飲んでいた。
真剣に書類とにらめっこをする彼に、私は話しかける。
「…今回のオーク討伐…ついて来たでしょ。」
「………………今日は天気がいいな。」
「そうね…。遠乗り行きたいわ。」
「………………風も気持ちいいな。」
「…私、執政官の2人と出掛けてくるわ。」
「待て!待て待て待ってくれ!私が悪かった!」
誤魔化すようにいう彼に、私は青筋を立てながら席を立つと、アラゴルンは慌てて制止をかけた。
不機嫌そうに振り返ると、王は子犬のような瞳で私を見る。
「…心配だったんだ。会えない時間があるのに、私の目の前から一生居なくなるのが嫌だったんだ。」
「馬鹿ね。ヘルム峡谷やペレンノール野の戦いだって生き残れたのよ。ちょっとやそっとじゃやられないわ。私にはゴンドールの兵達もいるのよ?」
「サウロンという後ろ盾をなくしたオークだ…。何があっても不思議じゃないだろ。」
不安げな面持ちで言うアラゴルン。
まったく、この人の心配性には参ってしまう。
「…分かった。なら、討伐には行かないわ。だから、早く執務をこなして。待ちくたびれちゃう。」
「あ…あぁ!分かった!ユアが私のそばに居てくれるなら、こんな書類直ぐにでもっ」
先程とは打って変わってやる気を出すアラゴルンに、私は笑った。翌日、執務に区切りをつけて、私は楽しく遠乗りに行った。その隣には満足げに笑うアラゴルンがいた。
原因は全て王であるエレスサール王にあると思います!
「…ボロミア!」
「あぁ。ユア、戻ったのか。」
オークの残党狩りを終えて帰ってきた私は広場にいたボロミアに手を振りながら近寄った。
「うん。今さっき。アラゴルン…じゃなかった。王は?」
「お帰り。王ならファラミアがさっき凄い剣幕で強引に執務室に連れていったのを見たぞ。」
「はぁ?何それまた?」
先の指輪の旅を終えて、アラゴルンは先日戴冠式を終えて王となった。が、元々野伏で旅をしていた彼にとって、書類の山とにらめっこをする事は苦痛のようで、彼は度々城を抜け出していた。その度にボロミアの弟であるファラミアが静かな笑みを携えながら、彼を連れ戻し執務に向かわせる。最近はこれが日常となっていた。
「…そうだな。暫く姿が見えなかったから連れ戻されたんだろうな。」
「チッ…あのダメゴルンめっ」
旅をしていた頃のアラゴルンは、勇ましくて優しくて、それはそれは格好良かったものだ。あの時のトキメキはどこへやら。私はため息をついた。
「ユア…それシャレにならないからやめろ。王の耳に入ったらまた、なにされるかっ」
「ボロミア…あれは私の発言に対してやってることじゃないのよ。奴の暇つぶしなのっ!日々つまらないからってからかってるだげ!」
ボロミアが憐れむように私を見る。その視線は、もうすでに慣れっ子だ。が、王+αのαは違っている。奴は、ボロミアという兄を利用し、私に巧みな嫌がらせをしてくるのだ。
しかも、張り付いた笑顔で…
「いや…なんかもう、すまん。」
察したように言うボロミアに、私は首を振った。
「いいわ…少し我慢すればいいだけだから。」
げんなりしながら言う私に、彼はから笑いをした。
「とにかく…帰還した事だけ伝えてくる。ありがとボロミア。じゃあね。」
「あ…あーユア!」
トボトボ向かっていく私の背中が、あまりにも淋しそうだったらしく声をかけられる。
「…俺も行く。俺が一緒ならある程度は被害は免れるだろう。」
優しく微笑むボロミアに、私は思わず抱き付いた。
「ありがとう!…ボロミア愛してる!!!」
「分かった!分かった!!!分かったからとにかく離れろ!」
赤面するボロミアが、なんだか可愛かった。チューしたいくらい。
「で、ユアが戻った早々腕組んで此処まで登場した兄上…貴方は何がしたいのか。」
「あ…いや、何がしたいんだろうな。」
「何がしたいんでしょうねぇ…」
「な、何がしたいんだ…ろうなぁ…ハハハ」
絶対零度の微笑みを向けられて、とにかく固まるボロミアに、私は思いの外ニコニコと笑ってみせた。目の前の王様は大層ご立腹のようだが知らん顔。
「…ユア何か俺にまであの笑顔向けて怖いんですけどっ…」
ボソッと耳打ちする私達は端から見たらいいバカップルに見えるだろうが話の内容は大したことはない。
あ、王の青筋増えた。
「えー…だってぇ、王様とぉ、ファラミア様が、私と会う度に虐めるんだもん!ボロミア様ぁ…ユア怖い!」
ボロミアの腕をぎゅっと抱き、我ながら殴りたくなるような台詞を吐くと、アラゴルンが我慢出来なかったのか、突然席を立って私の腕を掴んで部屋を出て行った。
「…何なんだ?あれか?嫉妬というやつか?」
「…兄上。あの様子じゃ明日から虐めの対象は貴方に決定でしょうね。」
「はぁ?!…おい!待て!」
私室に入るまで沈黙を守っていた彼は、部屋に入るなり私を扉越に逃げられないようにした。
「…ずいぶん、ボロミアと仲がいいんだな。」
「何…?嫉妬してんの?」
「当たり前だ…。私は山ほどある書類と戦っているというのに、君は…」
「その割には部屋の書類一向にへらないね…」
「あれでも頑張って減らしてるんだ。」
「…へぇ」
怪しいという目つきをする私にアラゴルンがタジタジなる。
「ユア。君は、私の言うことが信用できないのか?」
「だってねぇ、私が帰ってくるまでに仕事終わらせるとか約束しといてあれでしょ?アラゴルン私の事本当に好きなの?」
そう言うと、彼は突然真剣な表情をすると、私に向き直った。
「好きだ。愛してるよ」
「…ありがとう。私も愛してる。」
上目使いにアラゴルンを見ると、彼は赤面していて、一瞬視線を泳がせる。
「…他の奴と腕なんか組んだりするな。嫉妬で狂いそうになる。仕事に身が入らない。」
「ボロミアなのに?」
「ボロミアでもだ。」
「分かった。アラゴルンのお願いだしね。言うこと聞くわ。」
とても優しく視線を向けられて、今度は私が赤面する。
「頑張って今日執務をこなすよ。それまで待っててくれるか?」
「ん。待ってるね。」
抱きしめられて、頬に軽くキス。
私はアラゴルンに抱きついて、しばしの包容を感じて離れる。
「ていうか、アラゴルンさ…」
「ん…?どうしたんだ?」
執務室に戻った私は、執政の2人を下がらせるとアラゴルンの部屋でお茶を飲んでいた。
真剣に書類とにらめっこをする彼に、私は話しかける。
「…今回のオーク討伐…ついて来たでしょ。」
「………………今日は天気がいいな。」
「そうね…。遠乗り行きたいわ。」
「………………風も気持ちいいな。」
「…私、執政官の2人と出掛けてくるわ。」
「待て!待て待て待ってくれ!私が悪かった!」
誤魔化すようにいう彼に、私は青筋を立てながら席を立つと、アラゴルンは慌てて制止をかけた。
不機嫌そうに振り返ると、王は子犬のような瞳で私を見る。
「…心配だったんだ。会えない時間があるのに、私の目の前から一生居なくなるのが嫌だったんだ。」
「馬鹿ね。ヘルム峡谷やペレンノール野の戦いだって生き残れたのよ。ちょっとやそっとじゃやられないわ。私にはゴンドールの兵達もいるのよ?」
「サウロンという後ろ盾をなくしたオークだ…。何があっても不思議じゃないだろ。」
不安げな面持ちで言うアラゴルン。
まったく、この人の心配性には参ってしまう。
「…分かった。なら、討伐には行かないわ。だから、早く執務をこなして。待ちくたびれちゃう。」
「あ…あぁ!分かった!ユアが私のそばに居てくれるなら、こんな書類直ぐにでもっ」
先程とは打って変わってやる気を出すアラゴルンに、私は笑った。翌日、執務に区切りをつけて、私は楽しく遠乗りに行った。その隣には満足げに笑うアラゴルンがいた。