王様 アラゴルン
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幼いときにあの人に拾われてから、何年たっただろう。
共に旅をして、知識を得、戦う術を得、生きることを得た。
世界が平和になって、あの人が王となったら…
残された私はどうすればいいですか?
「こんな所にいたのか…風邪をひくぞ。」
いつもと変わらない口調で接してくるアラゴルンに、耳だけ傾けると私はゴンドールの窓からモルドールを眺めていた。
「どうした?ユア?」
返事をしない私の名前をもう一度呼ぶと、彼が顔を覗き込む。
「野伏の名残…なかなか消えないですね。エレスサール王。」
「…お前からそういう言い方はされたくなかったな…」
少し声のトーンを落としていうアラゴルンに私は視線を逸らした。
「フロド含め、指輪の仲間やアルウェンもいない私には今はお前だけが安らげる存在なんだ。どうしてそんな言い方をするんだ?」
どうと言われても困ることだ。
王となった時点で、この人は身分の高いまぎれもない『王』なのだから…
今までのように接する事は許されない存在。それをこの人はわかっているのだろうか。
「いままでのようには話すことは出来ないでしょう。私には身分などありません。貴方と対等にお話するなど恐れ多い。」
跪いてそう言うと、アラゴルンは私と同じ視線になると、ふわりと抱きしめた。
「私がそのままでいいと頼んでいてもか?」
「…アラ…あ、いえエレスサール王…貴方はっ」
「強情だな。昔のお前はもっと素直だった。」
「…っ…今と昔を比べられても困ります。」
抱かれている事の恥ずかしさで、私は何とかその腕から離れようとする。
このままではいけない。このままでは、押し込めてきた物が姿を現してしまう。そう判断して、彼の胸をぐいぐいと押した。
「……そんなに…私に抱かれるのはそんなに嫌か?…」
「そ、そんな…あっアラゴルンっ!」
首元に顔を埋められて、そのまま強く吸われる。今まで感じたことのないこの感覚に、私は彼の服を弱々しく握りしめる。
「可愛い声だ。もっと欲しくなってきた。」
ツーっと首筋を舌が這うように往復する。そのたびに声は漏れ、男は満足そうに笑んだ。
「やめっ…アラゴルンっ!」
「…何故?」
「何故って…分かるでしょ!貴方の好きな人が誰なのかっ…ふっ…ん!」
そこまで言いかけて、唇を強く吸われ先を口には出来なかった。
ただ、激しい口付けに私はされるがままで、次第に息苦しくて涙が出た。
ようやく離されたキスには、名残惜しそうに銀色の糸をひいてプツリと切れた。
「アラゴルンっ貴方は、私を重ねているだけでしょう。」
火照った顔でそう言った。
エルフでありながら、彼を愛し自らの長い年月よりも一時でも、愛するこの人のために生きようとした人アルウェンを…
「違う。私はアルウェンより…」
「いいよ言い訳なんて…でも、私はあの人の身代わりなんかになりたくない。」
娘のように育ててもらったあの頃。彼女は自分の姉のような感覚で、裂け谷ではいつも一緒だった。好きだったのだ。綺麗で優しくてなんでも出来る彼女が…
だが、いつからかアラゴルンを男として意識しはじめてからは彼女に嫉妬を覚えた。同時に、己の愚かな感情に嫌悪した。だが、想いは仕舞っておこうと決めていたのだ。幸せな2人を見ていたから…完璧で美しく、優しい彼女からアラゴルンを奪う気なんてなかったのに…
「…彼女は、アルウェンはもういないよ。」
「居なくとも…貴方の中に居続けている。」
「過去の私達は確かに相思相愛だったよ…でも今は」
「やめて!!!」
叫び声をあげて制止をかける。
こんな慰めなんていらない。自分が惨めになるだけだ。
「私は、アルウェンにはなれない。アルウェンじゃない。」
深刻な顔で言うと、彼は顔を強ばらせて強引に私を抱き抱えると、無言でその場を後にした。
―ドサッ
「あっ…!」
王の私室のベッドに押し倒される。
見下ろす彼の目を見ることが出来なくてい私は顔を背ける。
「ユア。」
厳しい口調で私を呼ぶと、アラゴルンは片手で強引に自分と目が合うようにする。
「イヤっ…」
拒絶の声を再びあげると、もう一度食いつくようなキス。
私はされるがままのその行為に、彼の背をドンドンと叩いた。
「…はぁ…っ…」
ボーっとする頭で、男を見つめてどうしてと問う。
「分からないのか…私が誰を好きか…誰を愛してるか…」
「…そ…そんな事、言わなくたって…」
「…違う。」
遮られて、彼は被りを振ると厳しい表情から悲しそうな顔をした。
「どうすれば分かってくれる?どうすれば私の話を聞いてくれるんだ。」
「…何っ」
「好きだよ。私はお前が…。身代わりなんかじゃない。アルウェンに、彼女にこの気持ちを見破られてしまうほど…」
「…え…」
そう聞き返すと、彼は体を起こしベッドの端に座り直した。
「お前を拾って数年。…この気持ちに気づいたのはここ最近の事だ。」
「何っ…言って…。冗談をっ」
「…では、聞くが冗談で私がずっと寄り添っていた女性を見送りになど行くと思うのか?好きだと言った女性に、他の誰かを重ねる男だと思うのかっ」
真剣な眼差しに訳が分からなくなる。長い間ずっとあの2人を見てきた自分には信じられない言葉だった。
「アルウェンは気づいていたんだ。私の心代わりに…気づいていて中つ国の平和を見届けて旅立ったんだ。相手がお前ならいいと…」
「私…」
奪った事に代わりはなかった。
優しいあの人から…
奪った事に代わりはなかったのだ。
あの、幸せそうな2人を…
だがアラゴルンは私引き寄せて、囁くように不安げな声で言った。
「これは私のエゴで…お前に押し付ける形になるかもしれない。それでもいいと言ってくれるなら、私とずっといてほしい…」
「あ…アラゴルンに、私は必要なの?」
「…あぁ」
「…ずっと?」
「ずっとだ。」
「………アラゴルン、私…」
思わず抱き付く。実らないと思っていた恋。この気持ちをなんと表現したらいいのだろう。
微笑み、私を抱きしめる彼はいつものそれと変わらず私を見下ろした。
「身代わりなんかじゃない。ユア。私と一緒に…」
共に旅をして、知識を得、戦う術を得、生きることを得た。
世界が平和になって、あの人が王となったら…
残された私はどうすればいいですか?
「こんな所にいたのか…風邪をひくぞ。」
いつもと変わらない口調で接してくるアラゴルンに、耳だけ傾けると私はゴンドールの窓からモルドールを眺めていた。
「どうした?ユア?」
返事をしない私の名前をもう一度呼ぶと、彼が顔を覗き込む。
「野伏の名残…なかなか消えないですね。エレスサール王。」
「…お前からそういう言い方はされたくなかったな…」
少し声のトーンを落としていうアラゴルンに私は視線を逸らした。
「フロド含め、指輪の仲間やアルウェンもいない私には今はお前だけが安らげる存在なんだ。どうしてそんな言い方をするんだ?」
どうと言われても困ることだ。
王となった時点で、この人は身分の高いまぎれもない『王』なのだから…
今までのように接する事は許されない存在。それをこの人はわかっているのだろうか。
「いままでのようには話すことは出来ないでしょう。私には身分などありません。貴方と対等にお話するなど恐れ多い。」
跪いてそう言うと、アラゴルンは私と同じ視線になると、ふわりと抱きしめた。
「私がそのままでいいと頼んでいてもか?」
「…アラ…あ、いえエレスサール王…貴方はっ」
「強情だな。昔のお前はもっと素直だった。」
「…っ…今と昔を比べられても困ります。」
抱かれている事の恥ずかしさで、私は何とかその腕から離れようとする。
このままではいけない。このままでは、押し込めてきた物が姿を現してしまう。そう判断して、彼の胸をぐいぐいと押した。
「……そんなに…私に抱かれるのはそんなに嫌か?…」
「そ、そんな…あっアラゴルンっ!」
首元に顔を埋められて、そのまま強く吸われる。今まで感じたことのないこの感覚に、私は彼の服を弱々しく握りしめる。
「可愛い声だ。もっと欲しくなってきた。」
ツーっと首筋を舌が這うように往復する。そのたびに声は漏れ、男は満足そうに笑んだ。
「やめっ…アラゴルンっ!」
「…何故?」
「何故って…分かるでしょ!貴方の好きな人が誰なのかっ…ふっ…ん!」
そこまで言いかけて、唇を強く吸われ先を口には出来なかった。
ただ、激しい口付けに私はされるがままで、次第に息苦しくて涙が出た。
ようやく離されたキスには、名残惜しそうに銀色の糸をひいてプツリと切れた。
「アラゴルンっ貴方は、私を重ねているだけでしょう。」
火照った顔でそう言った。
エルフでありながら、彼を愛し自らの長い年月よりも一時でも、愛するこの人のために生きようとした人アルウェンを…
「違う。私はアルウェンより…」
「いいよ言い訳なんて…でも、私はあの人の身代わりなんかになりたくない。」
娘のように育ててもらったあの頃。彼女は自分の姉のような感覚で、裂け谷ではいつも一緒だった。好きだったのだ。綺麗で優しくてなんでも出来る彼女が…
だが、いつからかアラゴルンを男として意識しはじめてからは彼女に嫉妬を覚えた。同時に、己の愚かな感情に嫌悪した。だが、想いは仕舞っておこうと決めていたのだ。幸せな2人を見ていたから…完璧で美しく、優しい彼女からアラゴルンを奪う気なんてなかったのに…
「…彼女は、アルウェンはもういないよ。」
「居なくとも…貴方の中に居続けている。」
「過去の私達は確かに相思相愛だったよ…でも今は」
「やめて!!!」
叫び声をあげて制止をかける。
こんな慰めなんていらない。自分が惨めになるだけだ。
「私は、アルウェンにはなれない。アルウェンじゃない。」
深刻な顔で言うと、彼は顔を強ばらせて強引に私を抱き抱えると、無言でその場を後にした。
―ドサッ
「あっ…!」
王の私室のベッドに押し倒される。
見下ろす彼の目を見ることが出来なくてい私は顔を背ける。
「ユア。」
厳しい口調で私を呼ぶと、アラゴルンは片手で強引に自分と目が合うようにする。
「イヤっ…」
拒絶の声を再びあげると、もう一度食いつくようなキス。
私はされるがままのその行為に、彼の背をドンドンと叩いた。
「…はぁ…っ…」
ボーっとする頭で、男を見つめてどうしてと問う。
「分からないのか…私が誰を好きか…誰を愛してるか…」
「…そ…そんな事、言わなくたって…」
「…違う。」
遮られて、彼は被りを振ると厳しい表情から悲しそうな顔をした。
「どうすれば分かってくれる?どうすれば私の話を聞いてくれるんだ。」
「…何っ」
「好きだよ。私はお前が…。身代わりなんかじゃない。アルウェンに、彼女にこの気持ちを見破られてしまうほど…」
「…え…」
そう聞き返すと、彼は体を起こしベッドの端に座り直した。
「お前を拾って数年。…この気持ちに気づいたのはここ最近の事だ。」
「何っ…言って…。冗談をっ」
「…では、聞くが冗談で私がずっと寄り添っていた女性を見送りになど行くと思うのか?好きだと言った女性に、他の誰かを重ねる男だと思うのかっ」
真剣な眼差しに訳が分からなくなる。長い間ずっとあの2人を見てきた自分には信じられない言葉だった。
「アルウェンは気づいていたんだ。私の心代わりに…気づいていて中つ国の平和を見届けて旅立ったんだ。相手がお前ならいいと…」
「私…」
奪った事に代わりはなかった。
優しいあの人から…
奪った事に代わりはなかったのだ。
あの、幸せそうな2人を…
だがアラゴルンは私引き寄せて、囁くように不安げな声で言った。
「これは私のエゴで…お前に押し付ける形になるかもしれない。それでもいいと言ってくれるなら、私とずっといてほしい…」
「あ…アラゴルンに、私は必要なの?」
「…あぁ」
「…ずっと?」
「ずっとだ。」
「………アラゴルン、私…」
思わず抱き付く。実らないと思っていた恋。この気持ちをなんと表現したらいいのだろう。
微笑み、私を抱きしめる彼はいつものそれと変わらず私を見下ろした。
「身代わりなんかじゃない。ユア。私と一緒に…」