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「りんかちゃんは鱗があるんだね。お魚みたい！」

子供とは時に残酷である。幼稚園に入園させられてからつくづく思い知らされた。

はじめは一生懸命に彼等に合わせていたが、園児同士の喧嘩を止めた時に「みっちゃん先生(50歳怒ると怖い)みたい」と言われて衝撃を受けた。

前世の年齢入れてもまだ二十代なのに…！！

話がずれてしまった、今は鱗の話だ

私にはこの世界に生まれてから鱗というものが体のところどころにある。

産まれてからはっきり目が見えるようになったときは衝撃的だった。腕にガラスみたいな透明なものがくっついていて、いくらこすっても取れないし


動けるようになって鱗をとろうとしたらものすごく痛かった…
爪と肉の間に爪楊枝を刺されたときみたいな痛さだった。

個性が当たり前のこの世界では鱗があるくらい普通のことだが、

いまだに慣れず気にしていることを目の前の少女は、オブラートにも何にも包まず言い放ってくれた。

先生が慌ててフォローしてくれているが突き刺さった言葉はどうしようもない

次の日から着始めた首から手首まで隠してくれるインナーは、心の安全の為には仕方がないことなのだ。

この子供の残酷さを教えてくれた少女とはこれから長い年月を共にするわけだが、それはもう少し先のお話し。



***


2.5
少女視点

私のお友達のりんかちゃんはとても綺麗な女の子。

髪の毛はキラキラしててお姫様みたいな金色！髪の毛も綺麗だけど一番綺麗なのは目の色でね

りんかちゃんの目はいつもは灰色だけどお空を見ているときはお空の色がうつってすっごい綺麗なの！

はじめて会ったときは絵本の中から出て来たんじゃないかと思ったくらいビックリしちゃった！

それにりんかちゃんはすっごくかっこいいの

この前おっきな男の子と私がケンカしちゃったとき、男の子が私を叩こうとしたのを止めてくれたの

あの男の子はみっちゃん先生の言うことしか聞かないのに、あれからりんかちゃんの言うことはちゃんと聞くのよ！


この前、プールの時間にりんかちゃんの体にキラキラしたのがあったの！
先生に聞いたら鱗って言うんだって

鱗はお魚にあるものだから、

「りんかちゃんは鱗があるんだね。お魚みたい！」

りんかちゃんはきっと海の中に住んでる半分お魚のお姫様なんだ！
この前絵本で読んだ最後は海に消えちゃう、悲しいけれどすっごく綺麗なお姫様

きっとあれはりんかちゃんなんだ！

でもそれは秘密だったみたいでりんかちゃんは真っ黒の服を着るようになっちゃったの

りんかちゃんがあのお姫様みたいに消えちゃわないように私が守ってあげるんだ！