私はヒーロー
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26
大人数で食べるカレーはすごく美味しかったです。
ちなみに爆豪くんのカレーは人間の食べ物じゃないと思う
私もそこそこ辛いの食べれるつもりだったけどあれは辛すぎでしょ
一口しか食べてないのにお腹痛くなりそうだった…
上鳴くんとかちょっとアホになってたよ…
「爆豪やっぱ人間じゃねーわ!まだ舌いてぇよ!!」
「アレを食べれるって爆豪は男らしいなー」
「それ男らしいか?」
高校に入ってから普通科の桜は6限で終わっちゃって時間が違うし、仲の良い三奈ちゃんは帰る方向が違うからこんな風に放課後に遊ぶのは久しぶりだ
楽しかったなぁ
「まだ帰りたくないなぁ」
もっと皆と一緒にいたい
こんなに楽しいと家に帰ってから寂しくなってしまいそうだ
「じゃあもう少し付き合え」
「どこいくんだバクゴー?」
「山」
「この時間から山登り!?」
この時間から山登り!?流石に日が暮れちゃうよ!!
それを普通に言っちゃう爆豪くん流石や…
タフネスって本当すごい
「登らんわアホ。眺めが良いとこがあんだよ!」
爆豪くんが眺めが良いとこ知ってるのなんか不思議だ…
「爆豪が眺めが良いとこ知ってるなんて…」
思わず自分の口を塞いだけれど声は私じゃなくて上鳴くんのものだった
「さっきから爆破されたいんか?アホ面」
「まーまー!ほら爆豪、早く行かねぇと夜になっちまうぞ」
「歩いていける所なのか?」
「ん。少し歩くけど大丈夫だろ」
チラと目が合って頷くと爆豪君が歩き出した
爆豪君って何気に優しいんだよな…。
はじめは怒鳴るしガンつけるし緑谷君に当たり強いしすごく怖かったんだけど
困ってたらすぐ助けてくれるし
何も言わずに気遣ってくれるし
分かりにくい優しさが多いけれど
というかこの階段長いなぁ
4人は何もないように喋りながら登ってるけど息が…
ヒーローになるなら体力つけなきゃ
最後の階段を登りきると息が止まった
真っ赤な夕日に 雲が吸い込まれていく
爆豪君の髪の毛が赤に染まって
彼の後ろには長い影ができていた
夕日が彼まで吸い込んでしまいそうな不安と
彼に集まる光の美しさから瞬きができない
ふいに振り返った彼の瞳は夕日と同じ色をしていて
「すごく綺麗」
爆豪君の大きな手が近づいて
ふわりと頭に乗せられた。
「何かあったんなら頼れや、りんかくらい俺が助けたるわ」
力は入っていないけど頭に置かれている手で爆豪くんの顔は見えない
「爆豪だけカッコいいのズリー!俺達だって龍を守ってやるからな!」
上鳴くん
「俺も龍が困ってたら勿論助けるわ」
瀬呂くん
「困ってんなら頼っていいんだぜ。ヒーロー目指してんだ、仲間すら守れないならヒーローになれねぇだろ」
切島くん
どうして皆こんなに優しいんだろう
どうしてこんなに素敵な人達なのだろう
「りんか」
名前を呼ばれると目の前がぼやけた
授業中静かになると考えてしまったんだ
どうしてこの世界に連れてこられたのか
どうしてあんな事をされるのか
どうして、どうして
私は龍りんかじゃないのに。
私は龍りんかだったのに。
前世とは違って頼れる両親もいないこの世界で
私は誰に助けを求めたらいいのだろうか
「いい加減頼れや」
意気地なしの私の背中を押してくれる大きな手
まっすぐ前を見ながら道を示してくれる大きな背中
とうとう涙が地面に吸い込まれた
止めることもできなくて次から次にこぼれ落ちてくる
***
26.5
爆豪視点
りんかが無理してる事なんてすぐに分かった。
心配かけまいといつも通りに笑おうとしていても、授業中ふと泣きそうな顔しやがる
いっそのこと泣いてくれたら、頼ってくれたら、助けを求めてくれたら
そしたら助けてやれるのに
「いい加減頼れや」
俯いたりんかの顔は見えねえけど地面に落ちた雫から泣いていることが分かった
やっと泣いたんか
頭に乗せていた手を髪の流れに沿って撫で付け離すと
風に吹かれた髪は夕日で赤く染まる
あげられた瞳は俺と同じ赤をしていて
赤はぼやけて溶け落ちた
以前のような綺麗な泣き顔ではなくて
泣き方が分からない子供のように眉を寄せ唇を噛み締める姿は普段大人びて見えるりんかも俺達と同じ高校生なのだと確認できて安心した。
「本当は…」と前置きしてりんかは今日あったことを話し始める
朝、初対面の男から暴力を受けたこと、以前集団に追いかけられたこと、祖父が怖い事、母親と弟が出て行って頼れる人がいなかった事。
朝の出来事について聞いた時はその男を殺してやりたくなった
なんでコイツに暴力を振るうのか、なんで助けに行けなかったのか
「怖かった」
嗚咽混じりの声に奥歯がギリリと鳴った
「俺が守ったるわ」
常に側にいる事は出来ないのは分かってる
ナンバーワンヒーローになっても守りきれないものがあるのも分かってる
だけどコイツだけは守りてえ
「側にいる限り守ったるわ」
だから側にいろ
美しい金色の髪に
見るものを引きつける灰色の瞳
写真越しでも人々を魅了する雰囲気を持っている龍の宝玉は
実は怖がりで泣き虫、頭は良いが体力はねえし、授業中もぼーっとしてる事が多いただの高校生
龍の宝玉ではなくただの高校生のりんかの事は少しずつ分かってきた
もっと分かりたいと思ってしまうこの感情を言葉に表すとなんになるか
分かっちまいそうだが気付かないふりをする
「さすが私のヒーローだ」
かっこいいと涙ながらに笑うとりんかは目を閉じて深呼吸を一つした
瞼が開かれるとりんかから目が離せなくなった。
クソ髪もアホ面もしょうゆ顔も
その場にいる誰もが息を飲んだ。
「私は、爆豪くん達を守れるようなヒーローになりたい。皆を守れるようなヒーローに」
大人数で食べるカレーはすごく美味しかったです。
ちなみに爆豪くんのカレーは人間の食べ物じゃないと思う
私もそこそこ辛いの食べれるつもりだったけどあれは辛すぎでしょ
一口しか食べてないのにお腹痛くなりそうだった…
上鳴くんとかちょっとアホになってたよ…
「爆豪やっぱ人間じゃねーわ!まだ舌いてぇよ!!」
「アレを食べれるって爆豪は男らしいなー」
「それ男らしいか?」
高校に入ってから普通科の桜は6限で終わっちゃって時間が違うし、仲の良い三奈ちゃんは帰る方向が違うからこんな風に放課後に遊ぶのは久しぶりだ
楽しかったなぁ
「まだ帰りたくないなぁ」
もっと皆と一緒にいたい
こんなに楽しいと家に帰ってから寂しくなってしまいそうだ
「じゃあもう少し付き合え」
「どこいくんだバクゴー?」
「山」
「この時間から山登り!?」
この時間から山登り!?流石に日が暮れちゃうよ!!
それを普通に言っちゃう爆豪くん流石や…
タフネスって本当すごい
「登らんわアホ。眺めが良いとこがあんだよ!」
爆豪くんが眺めが良いとこ知ってるのなんか不思議だ…
「爆豪が眺めが良いとこ知ってるなんて…」
思わず自分の口を塞いだけれど声は私じゃなくて上鳴くんのものだった
「さっきから爆破されたいんか?アホ面」
「まーまー!ほら爆豪、早く行かねぇと夜になっちまうぞ」
「歩いていける所なのか?」
「ん。少し歩くけど大丈夫だろ」
チラと目が合って頷くと爆豪君が歩き出した
爆豪君って何気に優しいんだよな…。
はじめは怒鳴るしガンつけるし緑谷君に当たり強いしすごく怖かったんだけど
困ってたらすぐ助けてくれるし
何も言わずに気遣ってくれるし
分かりにくい優しさが多いけれど
というかこの階段長いなぁ
4人は何もないように喋りながら登ってるけど息が…
ヒーローになるなら体力つけなきゃ
最後の階段を登りきると息が止まった
真っ赤な夕日に 雲が吸い込まれていく
爆豪君の髪の毛が赤に染まって
彼の後ろには長い影ができていた
夕日が彼まで吸い込んでしまいそうな不安と
彼に集まる光の美しさから瞬きができない
ふいに振り返った彼の瞳は夕日と同じ色をしていて
「すごく綺麗」
爆豪君の大きな手が近づいて
ふわりと頭に乗せられた。
「何かあったんなら頼れや、りんかくらい俺が助けたるわ」
力は入っていないけど頭に置かれている手で爆豪くんの顔は見えない
「爆豪だけカッコいいのズリー!俺達だって龍を守ってやるからな!」
上鳴くん
「俺も龍が困ってたら勿論助けるわ」
瀬呂くん
「困ってんなら頼っていいんだぜ。ヒーロー目指してんだ、仲間すら守れないならヒーローになれねぇだろ」
切島くん
どうして皆こんなに優しいんだろう
どうしてこんなに素敵な人達なのだろう
「りんか」
名前を呼ばれると目の前がぼやけた
授業中静かになると考えてしまったんだ
どうしてこの世界に連れてこられたのか
どうしてあんな事をされるのか
どうして、どうして
私は龍りんかじゃないのに。
私は龍りんかだったのに。
前世とは違って頼れる両親もいないこの世界で
私は誰に助けを求めたらいいのだろうか
「いい加減頼れや」
意気地なしの私の背中を押してくれる大きな手
まっすぐ前を見ながら道を示してくれる大きな背中
とうとう涙が地面に吸い込まれた
止めることもできなくて次から次にこぼれ落ちてくる
***
26.5
爆豪視点
りんかが無理してる事なんてすぐに分かった。
心配かけまいといつも通りに笑おうとしていても、授業中ふと泣きそうな顔しやがる
いっそのこと泣いてくれたら、頼ってくれたら、助けを求めてくれたら
そしたら助けてやれるのに
「いい加減頼れや」
俯いたりんかの顔は見えねえけど地面に落ちた雫から泣いていることが分かった
やっと泣いたんか
頭に乗せていた手を髪の流れに沿って撫で付け離すと
風に吹かれた髪は夕日で赤く染まる
あげられた瞳は俺と同じ赤をしていて
赤はぼやけて溶け落ちた
以前のような綺麗な泣き顔ではなくて
泣き方が分からない子供のように眉を寄せ唇を噛み締める姿は普段大人びて見えるりんかも俺達と同じ高校生なのだと確認できて安心した。
「本当は…」と前置きしてりんかは今日あったことを話し始める
朝、初対面の男から暴力を受けたこと、以前集団に追いかけられたこと、祖父が怖い事、母親と弟が出て行って頼れる人がいなかった事。
朝の出来事について聞いた時はその男を殺してやりたくなった
なんでコイツに暴力を振るうのか、なんで助けに行けなかったのか
「怖かった」
嗚咽混じりの声に奥歯がギリリと鳴った
「俺が守ったるわ」
常に側にいる事は出来ないのは分かってる
ナンバーワンヒーローになっても守りきれないものがあるのも分かってる
だけどコイツだけは守りてえ
「側にいる限り守ったるわ」
だから側にいろ
美しい金色の髪に
見るものを引きつける灰色の瞳
写真越しでも人々を魅了する雰囲気を持っている龍の宝玉は
実は怖がりで泣き虫、頭は良いが体力はねえし、授業中もぼーっとしてる事が多いただの高校生
龍の宝玉ではなくただの高校生のりんかの事は少しずつ分かってきた
もっと分かりたいと思ってしまうこの感情を言葉に表すとなんになるか
分かっちまいそうだが気付かないふりをする
「さすが私のヒーローだ」
かっこいいと涙ながらに笑うとりんかは目を閉じて深呼吸を一つした
瞼が開かれるとりんかから目が離せなくなった。
クソ髪もアホ面もしょうゆ顔も
その場にいる誰もが息を飲んだ。
「私は、爆豪くん達を守れるようなヒーローになりたい。皆を守れるようなヒーローに」