短編集
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私の恋人は、無敵と言われる程喧嘩が強くて、暴走族の総長なんかもやっていて、けれどお子様セットの旗にテンションが上がる子供っぽい一面も持つ、不思議な人だ。
ある日の東京卍會の集会が終わった後、私は万次郎に連れられ佐野家にやって来た。
放課後はこうして万次郎と過ごす事が多い。
いつも一緒にいるなと、ドラケンを始めとする東卍メンバーやエマに半ば呆れ気味に言われるのは、珍しい事ではなかった。
それくらい私たちは、一緒に過ごす時間が多かった。
万次郎と過ごす時間はなんていうか、居心地が良いししっくり来るし、何より万次郎が好きだから一緒にいたいと思う。
万次郎も私と同じように思ってくれているのが分かった時は、それが何より嬉しかった。
雪のように静かに、でも確実に積もる万次郎への気持ちを自覚して、私は隣に座っている万次郎の横顔へ視線を向けた。
「ん?志織、何?」
「なんでもないよ」
とは言うものの、私はそのまま万次郎から視線を逸らさなかった。
不思議そうな表情を浮かべた万次郎が首を傾げていたけれど、私は気にせずに万次郎を見つめ続けた。
整った顔立ち、意外にもしっかりとした体つき、少し高めの声、万次郎の全部が私は大好きだ。
「万次郎」
「ん?」
「大好き」
「俺も」
万次郎の言葉に、私は微笑んだ。
一瞬の沈黙が流れる中、私と万次郎の視線だけが絡み合う。
万次郎はふと私との距離を縮めると、形の良い唇を私のそれに軽く触れさせた。
「なんでそんな可愛い顔してんの?」
「可愛くないよ」
「自覚ナシかよ」
タチ悪いな、と万次郎は笑って私の髪を撫でた。
そう言われても、自分の容姿にそこまで自信満々な人も珍しいと思うけれど。
そんな事を考えていたら髪を撫でていた万次郎の手が後頭部に回り、今度は噛みつくように唇を奪われた。
ぬるりと万次郎の舌が入って来て私の舌と絡まると、脳がビリビリと痺れるような感覚に、ん…と小さく声が漏れる。
そんな癖になるような息苦しさがもっと欲しくなって、私は万次郎の首に腕を回して深いキスに夢中になった。
やっと唇が離れると、涙でぼやけた視線の先にうっすらと万次郎の顔が見える。
その時見えた万次郎の目は、先ほどまでとは打って変わり、獲物を狙う野獣みたいな目をしていた。
「やっぱり可愛い顔してんじゃん。キス気持ちよかった?」
「うん。気持ちよかった」
私は完全に、万次郎から目が離せなくなっていた。
ギラギラと眼光を放つ万次郎の目は、私をいとも簡単に捉えて離さない。
「じゃあもっとしよっか」
「うん。して」
万次郎の少し冷たい手が、私の頬に触れる。
それが合図かのように、私はそっと目を閉じた。
再び万次郎に唇を塞がれ、自分の口内に万次郎の舌が入り込む。
それは触れたところから一つに溶け合ってしまいな程、熱を帯びていた。
その熱は次第に脳も痺れさせ、溺れてしまいそうな感覚を覚えた私は、思わず万次郎の服をぎゅっと握りしめた。
.